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花嫁は幽霊!?
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気絶したメイド達を放っておけず、オロオロしているとバタバタバタと走り寄ってくる複数の足音が聞こえた。
駆けつけてきた男たちを見て、アーリスは驚いた。王宮の護衛兵の騎士服を着ていたからだ。
(王宮の護衛兵!じゃあここは王宮なの?)
普通なら屈強な男たちを前にしてアーリスが怖がるべきだが、男たちの顔は真っ青だった。中にはガタガタ震えている者もいる。
「ゆっ幽霊め!何故ここに居る!」
「早く神官を呼べ!」
幽霊?また言われた。とりあえず釈明しなければ!
「幽霊じゃありません!足だってありますから!」
「足がなんだ。幽霊にも足くらいあるだろう!」
幽霊に足がないってもしかして日本だけなの?これじゃダメなんだ!どうしよう!ああっそうだ
「さっき薔薇の棘を踏んでしまって血が出てるの。幽霊なら血なんて流さないでしょう。」
ほらっと淑女らしからぬ仕草で足の裏を護衛兵達に向ける。
「血っ血だと!」
「なんだと!一体どういうことだ!」
逆にそれがパニックを呼んでしまったらしく騒然となった。
えええっ!もうどうしたらいいの‼
「どうしたのだ。一体何を騒いでいる。」
聞き覚えのある声がした。一斉に騒然していた場がピタッと静まり返る。
「アッアレン様。実は幽霊が出まして」
「幽霊だと?・・・アーリス嬢・・・」
呆然としたような顔で一瞬固まったが、直ぐに立ち直り、護衛兵を押しのけるとアーリスの近くまでやって来た。
アレン様・・・確かにアレン様だけど
アーリスは困惑した。1週間前、学園でお会いした時はアーリスと変わらない背丈だったのに、今は見上げるほど背が高くなっている。背丈って1週間位でそんなに伸びたりしないはず。
「アーリス嬢、貴女は3年前に亡くなったはずだ。どうして此処にいるんだ・・・それにそのドレス・・・3年前から現れたようだ。」
「3年前?えっ3年?私死んでいませんし幽霊でもありません!怪我もすれば血も出ます。」
ホラッと足の裏の傷を見せると、アレン様は驚いて足の裏をしげしげと見つめ本当だと呟いた。
ドヤドヤと人が集まってくる気配がしてきた。どうやら騒ぎを聞きつけて、城の者たちが続々と集まって来たらしい。
アレン様は周囲を見回すと、従者に素早く指示を与えた。
「場所を変えよう。ハッサン、宰相と医者を直ぐに呼べ、私達は光条の間にいる。イソラ公爵に登城するよう使者を送れ、陛下に午後面会したいと申し入れよ。アーリス嬢、歩けますか?」
「はい。」
光条の間は、私が王妃教育を受ける時に使っていた客間だった。歩き出そうとするが、足の裏の傷が痛くて真っ直ぐ歩けずふらついてしまう。
「アーリス嬢、触れるのをお許しください。」
アレン様はそういうと私をお姫様抱っこして歩き出した。ビックリして降りようと身を攀じるがビクともしない。その時、ハッサンがアレン様を咎めた。
「殿下、そのように得体の知れない者にみだりに触れてはなりませぬ!」
「得体の知れないものでは無い。この方はアーリス嬢だ。私にはわかる。・・・ああっだが、なんてことだ・・・。」絞り出すような低い声でアレン様が呟いた。
「アレン様、私重いので!下ろしてください!」
「いや、大丈夫だ。少しこのままでいてください。」
アーリスを抱く右手に一瞬グッと力が込められた。アーリスは身を攀じるのを止め、体の力を抜いた。
アレン様は、以前より逞しくなっていた。3年たったのだと実感する。
抱きかかえられたまま、アレン様に連れられて光条の間に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーー
アレン様に連れられて光条の間に向かう途中、メイドや護衛兵が真っ青になって震えたり悲鳴を上げた。
それを見て、やはり自分は既に故人と認識されているんだと思い知った。一体、私の身に何が起こったというのだろう。
アレン様は周りの様子には目もくれず、光条の間に着くと、ソファーへそっと下ろしてくれた。
確か光条の間に最後に入ったのは、10日前だった。あの日がこの部屋に入る最後だと思った物だった。感慨深い気持ちで周囲を見渡すと、有り得ない物を見つけて凍りついた。
10日前まではなかった3枚の絵が飾られていた。
1枚は今着ている紫のドレスを着て花嫁のベールを被り幸せそうに微笑んでいる私の絵だ。
もう1枚は同じドレスを着てクリス様と2人で腕を組んでいる絵だった。クリス様は婚礼式で着る王族の正装をしている。クリス様も私も嬉しそうな表情をしている。
もう1枚は同じ衣装のクリス様が私をお姫様抱っこしていて、私はクリス様の方を向いて微笑んでいる。
その絵を見て思い出した。今着ている紫のドレスは、15歳の時にクリス様が婚礼衣装としてデッサン画を見せてくれた物と同じだった。
『アーリー、 これは僕が描いた婚礼式のドレスのデッサンなんだ。今から作らないと間に合わないから、僕に任せてくれるかい。僕の色をまとった君はきっと美しいよ。』そう言って私を抱きしめたクリス様は幸せそうに笑っていた。絵の中の彼と同じ様に・・・
『大好きだよ。アーリー17歳になったら結婚しよう。』
叶えられなかった約束だった。そのはずなのに・・・。
「アレン様、あの・・・あの絵は一体・・・10日前にこちらに伺った際にはなかったはずです。・・・それに今着ているこのドレスも自分で着た覚えがありません。」問いかけた声が震えていた。その声で知らぬ間に自分がブルブルと震えていたことがわかった。
「そのドレスは、兄上が貴女を仮の柩に納める時に着せた物だ。本当は17歳で婚礼式の時に送る予定の物だったそうだ。あの絵は・・・」
アレン様は立ち上がると、私とクリス様が2人で腕を組んでいる絵の前に立った。
「絵は兄上が全て描いたんだ。ここだけてはない、王宮中のあちこちにある。兄上は貴女が亡くなったことを受け入れられず、17歳で婚姻したと思い込んでしまったのだ。陛下や私は貴女が亡くなったことを兄上に繰り返し説明したが、その度に絵が増えて行った。兄上は貴女が亡き者となることが我慢出来なかった様だ。使用人達は兄上は幽霊を花嫁にしたと言っているらしい。。」
アーリスは驚愕のあまりとっさに声が出なかった。
幽霊の花嫁・・・王宮中にある私の絵・・・この絵と同じドレスを着た私が現れたから、皆に幽霊と呼ばれていたのだ。
(でも、どうして?どうしてなの?学園ではあんなに冷たかったクリス様がそんなことを・・・そういえばヒロインはどうしたのだろう。)
「あっあのナターシャ様はどうなされたのですか?クリス様の伴侶に・・・王子妃になられたのではないのですか?」
「馬鹿なあの毒婦が、有り得ない!」吐き捨てるような激しい口調でナターシャを"毒婦"と呼んだ。アーリスはますます混乱した。ナターシャが毒婦ってどういうことなの?
「すまない、貴女に怒鳴ったりして。貴女はあの事件の顛末を、知らなかったな。実は・・・」
その時、
「アレン様、宰相様と医者が参りました。」
と従者が来訪を告げた。
「わかった通せ。アーリス嬢この話はまた後程。」
そうして、あの事件の話は後回しとなったのだった。
駆けつけてきた男たちを見て、アーリスは驚いた。王宮の護衛兵の騎士服を着ていたからだ。
(王宮の護衛兵!じゃあここは王宮なの?)
普通なら屈強な男たちを前にしてアーリスが怖がるべきだが、男たちの顔は真っ青だった。中にはガタガタ震えている者もいる。
「ゆっ幽霊め!何故ここに居る!」
「早く神官を呼べ!」
幽霊?また言われた。とりあえず釈明しなければ!
「幽霊じゃありません!足だってありますから!」
「足がなんだ。幽霊にも足くらいあるだろう!」
幽霊に足がないってもしかして日本だけなの?これじゃダメなんだ!どうしよう!ああっそうだ
「さっき薔薇の棘を踏んでしまって血が出てるの。幽霊なら血なんて流さないでしょう。」
ほらっと淑女らしからぬ仕草で足の裏を護衛兵達に向ける。
「血っ血だと!」
「なんだと!一体どういうことだ!」
逆にそれがパニックを呼んでしまったらしく騒然となった。
えええっ!もうどうしたらいいの‼
「どうしたのだ。一体何を騒いでいる。」
聞き覚えのある声がした。一斉に騒然していた場がピタッと静まり返る。
「アッアレン様。実は幽霊が出まして」
「幽霊だと?・・・アーリス嬢・・・」
呆然としたような顔で一瞬固まったが、直ぐに立ち直り、護衛兵を押しのけるとアーリスの近くまでやって来た。
アレン様・・・確かにアレン様だけど
アーリスは困惑した。1週間前、学園でお会いした時はアーリスと変わらない背丈だったのに、今は見上げるほど背が高くなっている。背丈って1週間位でそんなに伸びたりしないはず。
「アーリス嬢、貴女は3年前に亡くなったはずだ。どうして此処にいるんだ・・・それにそのドレス・・・3年前から現れたようだ。」
「3年前?えっ3年?私死んでいませんし幽霊でもありません!怪我もすれば血も出ます。」
ホラッと足の裏の傷を見せると、アレン様は驚いて足の裏をしげしげと見つめ本当だと呟いた。
ドヤドヤと人が集まってくる気配がしてきた。どうやら騒ぎを聞きつけて、城の者たちが続々と集まって来たらしい。
アレン様は周囲を見回すと、従者に素早く指示を与えた。
「場所を変えよう。ハッサン、宰相と医者を直ぐに呼べ、私達は光条の間にいる。イソラ公爵に登城するよう使者を送れ、陛下に午後面会したいと申し入れよ。アーリス嬢、歩けますか?」
「はい。」
光条の間は、私が王妃教育を受ける時に使っていた客間だった。歩き出そうとするが、足の裏の傷が痛くて真っ直ぐ歩けずふらついてしまう。
「アーリス嬢、触れるのをお許しください。」
アレン様はそういうと私をお姫様抱っこして歩き出した。ビックリして降りようと身を攀じるがビクともしない。その時、ハッサンがアレン様を咎めた。
「殿下、そのように得体の知れない者にみだりに触れてはなりませぬ!」
「得体の知れないものでは無い。この方はアーリス嬢だ。私にはわかる。・・・ああっだが、なんてことだ・・・。」絞り出すような低い声でアレン様が呟いた。
「アレン様、私重いので!下ろしてください!」
「いや、大丈夫だ。少しこのままでいてください。」
アーリスを抱く右手に一瞬グッと力が込められた。アーリスは身を攀じるのを止め、体の力を抜いた。
アレン様は、以前より逞しくなっていた。3年たったのだと実感する。
抱きかかえられたまま、アレン様に連れられて光条の間に向かった。
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アレン様に連れられて光条の間に向かう途中、メイドや護衛兵が真っ青になって震えたり悲鳴を上げた。
それを見て、やはり自分は既に故人と認識されているんだと思い知った。一体、私の身に何が起こったというのだろう。
アレン様は周りの様子には目もくれず、光条の間に着くと、ソファーへそっと下ろしてくれた。
確か光条の間に最後に入ったのは、10日前だった。あの日がこの部屋に入る最後だと思った物だった。感慨深い気持ちで周囲を見渡すと、有り得ない物を見つけて凍りついた。
10日前まではなかった3枚の絵が飾られていた。
1枚は今着ている紫のドレスを着て花嫁のベールを被り幸せそうに微笑んでいる私の絵だ。
もう1枚は同じドレスを着てクリス様と2人で腕を組んでいる絵だった。クリス様は婚礼式で着る王族の正装をしている。クリス様も私も嬉しそうな表情をしている。
もう1枚は同じ衣装のクリス様が私をお姫様抱っこしていて、私はクリス様の方を向いて微笑んでいる。
その絵を見て思い出した。今着ている紫のドレスは、15歳の時にクリス様が婚礼衣装としてデッサン画を見せてくれた物と同じだった。
『アーリー、 これは僕が描いた婚礼式のドレスのデッサンなんだ。今から作らないと間に合わないから、僕に任せてくれるかい。僕の色をまとった君はきっと美しいよ。』そう言って私を抱きしめたクリス様は幸せそうに笑っていた。絵の中の彼と同じ様に・・・
『大好きだよ。アーリー17歳になったら結婚しよう。』
叶えられなかった約束だった。そのはずなのに・・・。
「アレン様、あの・・・あの絵は一体・・・10日前にこちらに伺った際にはなかったはずです。・・・それに今着ているこのドレスも自分で着た覚えがありません。」問いかけた声が震えていた。その声で知らぬ間に自分がブルブルと震えていたことがわかった。
「そのドレスは、兄上が貴女を仮の柩に納める時に着せた物だ。本当は17歳で婚礼式の時に送る予定の物だったそうだ。あの絵は・・・」
アレン様は立ち上がると、私とクリス様が2人で腕を組んでいる絵の前に立った。
「絵は兄上が全て描いたんだ。ここだけてはない、王宮中のあちこちにある。兄上は貴女が亡くなったことを受け入れられず、17歳で婚姻したと思い込んでしまったのだ。陛下や私は貴女が亡くなったことを兄上に繰り返し説明したが、その度に絵が増えて行った。兄上は貴女が亡き者となることが我慢出来なかった様だ。使用人達は兄上は幽霊を花嫁にしたと言っているらしい。。」
アーリスは驚愕のあまりとっさに声が出なかった。
幽霊の花嫁・・・王宮中にある私の絵・・・この絵と同じドレスを着た私が現れたから、皆に幽霊と呼ばれていたのだ。
(でも、どうして?どうしてなの?学園ではあんなに冷たかったクリス様がそんなことを・・・そういえばヒロインはどうしたのだろう。)
「あっあのナターシャ様はどうなされたのですか?クリス様の伴侶に・・・王子妃になられたのではないのですか?」
「馬鹿なあの毒婦が、有り得ない!」吐き捨てるような激しい口調でナターシャを"毒婦"と呼んだ。アーリスはますます混乱した。ナターシャが毒婦ってどういうことなの?
「すまない、貴女に怒鳴ったりして。貴女はあの事件の顛末を、知らなかったな。実は・・・」
その時、
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