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2.手紙
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我が家ではわたしがドレスを仕立てる時、必ずエイミィのドレスも一緒に仕立てる。幼い頃からずっとそうしてきた。
「――このドレス、エイミィに、ちょうだい?」
あれはわたしが六歳くらいの頃。
お友達の誕生日パーティに出かける直前になって、エイミィがわたしの着ているドレスを握って離さなくなったことがあった。
「エイミィ、あなたはまだ小さいでしょ、ブカブカになってしまうわ」
お母様は愛おしそうに目を細めて笑っていた。
「三歳ではドレスを着るのはまだ無理よ。エイミィはもう少し大きくなったら仕立てましょうね」
「イヤッ! このドレスがいいの!」
エイミィはますます強くドレスの布を握り込んだ。あんまり強く引っ張るので子供心に驚いた記憶がある。
「まあ、困ったわねえ。エイミィにはこの前作ったワンピースがあるでしょう? 可愛くて、フリルがいっぱいの……」
なだめようとしてお母様が言うと、逆効果になった。
「このドレスがいいの! どうしてダメなの? おかあさまなんか、きらい! きらい!」
エイミィは顔を真っ赤にして地団太を踏み、力任せにドレスを引っ張った。ブツブツと糸が切れる音がしてドレスが大きく破れていく。
「これはエイミィの! ちょうだいって、いってるのに! わあああああああああ!」
喉がどうかしてしまうと心配するほどの大声で、エイミィは泣き叫んでいた。
あの後どうなったのか正直あまり覚えていない。
お誕生日パーティは欠席したような気がする。ちゃんと仕立てたドレスが子供の力で破れるものなのかどうかもわからない。もしかしたらあれは夢だったのかもしれない。
とにかくだいぶ前から、わたしとエイミィは同じデザインのドレスをお揃いで作ることになっているのだ。どんな場合であろうと必ず同じものでなければならない。
不思議なのは、エイミィがわたしの昔の服を欲しがらないことだった。サイズが合うようになっても、たった一年前の物でも絶対に欲しがることはなかった。
「お下がりがお嫌なのでしょう」
侍女のシェーラはいつもの無表情でわたしの疑問に答えた。栗色の髪をきっちりとまとめた彼女は真面目そのもので、感情をあらわにすることがない。
「……そうね」
わたしは小さくため息をついて、この話題を終わりにした。
エイミィは明るく輝く金髪に澄んだ薄紫の瞳、わたしは髪も瞳も薄い茶色。地味なわたしと違って、エイミィは何を着ても良く似合った。
身につける物にはその人の魅力が反映されるらしく、ドレスでもネックレスでも髪留めでもエイミィが着けた方が良い物に見えた。
「素敵ですわ、エイミィ様」
「まあ本当、どちらでお仕立てになったのかしら」
同じドレスを着ても誰もがエイミィを褒める。同じでなければ比べられることはなかったかもしれない。
そう、同じだからこそ余計に容姿の差を突き付けられた。
〇▲◇
執事のクロードにお父様の書斎へ来るよう言われたのは、わたしが十五歳になってすぐのことだった。
クロードは背が高く知的な雰囲気の青年で、いつもお父様の執務室で仕事をしていた。
「ジェシカ様にお手紙が来ているそうです」
「は、はい」
今まで彼と話したことがなかったのでわたしはとても驚いた。シェーラと一緒に慌てて部屋を出たところ、ドアのすぐ近くになぜかエイミィが立っていた。
「お姉様、わたくしも一緒に行きたいの」
「え……?」
どうして? という言葉をわたしはとっさに飲み込んだ。
「エイミィも連れて行きなさい!」
と言いながらお母様が急ぎ足でこちらに来るのが見えたからだ。お母様はわたしが何かエイミィに言うと過剰に反応することがよくあった。
「エイミィはジェシカが大好きなのよ。意地悪はいけないでしょう?」
大好きだと言われたことも意地悪をした覚えもないのだけれど、今それを言うと面倒なことになるのはわかっている。
「……わかり、ました」
わたしの顔はきっと強張っていたと思う。
書斎に入るとお父様が目を丸くしていた。わたしに続いてお母様とエイミィが一緒に入ってきたことに驚いたのだろう。
「お父様、わたくし、ここに居てもいいでしょ?」
エイミィが可愛らしく首を傾げるとツインテールの金髪がさらりと揺れる。
「もちろんだよエイミィ」
お父様はとろけた顔で何度もうなずき、その顔のまま封筒を開けて中身を取り出した。
わたし宛ての手紙を読むのになぜ家族全員が揃わないといけないのか理解できないけれど、何か重要な手紙なのかもしれないと考えて、わたしは黙ってうつむいていた。
「ふむ……、まあこんなものか。ジェシカ」
お父様はサッと目を通し、手紙をわたしに渡してきた。
『親愛なるジェシカ』で始まるその内容は、時候の挨拶と庭の樹木の様子を尋ねるという当たり障りのないものだった。
署名はレイモンド・ラスタヒュース……聞いたことのない名前だけれど、どうして知らない人からいきなり手紙が来るのかしら。
「ラスタヒュース侯は大領主だが、王都からかなり離れた領地ではあるな」
「まあ、ジェシカももうそんな歳になったのねえ」
どこか浮かれた様子の両親を見て、どうしてこの内容のない手紙を喜んでいるのか不安になった。
「お父様、この手紙には何か意味があるのですか?」
「ああ、これは婚約の前段階みたいなものだ。相手は返事が来たら脈があると考える。婚約したいなどと直接書いてくるのはかなりの田舎者とみていい」
「そうそう、わたくしも昔いくつか手紙をいただきましたわ。これだと思う人と何度も手紙のやり取りをして、そのあとで婚約するのよ」
お父様とお母様は幸せそうに目を細めている。
ということは……これに返事を書いたら、婚約につながっていくの……?
そういえば近くに住んでいる女の子のうち何人かはとっくに婚約者がいると聞いていた。でもこういう手紙のやり取りをしていたなんて知らなかった。
こんなわたしにも婚約者ができるのだろうか……。
「ジェシカ、婚約は時の運もあるから、返事を出すならよく考えて――」
「お父様!」
お父様の話を遮るようにエイミィが叫ぶと、一瞬のうちに空気がピシリと固まる。
「そのお手紙、わたくしにちょうだい?」
「……」
お父様の顔がわずかに曇った。
珍しいわ。エイミィのおねだりには決まって嬉しそうな顔をするのに。
「ねえいいでしょ? ほら、お姉様からもお願いしてよ」
わたしの袖をつかんで上目遣いをするエイミィ。
これはわたし宛ての手紙だからあげられない――と答えようとして、前にも同じような返事をしたことがあると気付いた。
あの時、あげられないと口にしてどうなったか。思い出したら嫌な気分が甦ってくる。
どう答えればいいの……。
どうすればあんな惨めな思いをしなくて済むの――
「……エイミィ、わたくしを悲しませないで」
お母様の目から涙がこぼれていた。
「エイミィと離れてしまうなんて、わたくしには耐えられないわ。貴女は優秀なお婿さんを取って、ずっとここで一緒に暮らしていくの」
「そうだよ、私たちは前から考えていたんだ。本来なら家を継ぐのは長子だが……エイミィをよその家にやるなんて、とても考えられなくてね」
お父様も声を震わせて、エイミィを抱擁する。
――ああ、そういうこと。
納得すると同時に、わたしの心を冷たい何かが覆った。
両親の間に生まれたのはわたしとエイミィだけ。ノーラ叔母様からはいつも『一番上のあなたが継ぐのよ』と言われていたし、家庭教師の先生もそのつもりで教えていると言っていた。だからわたしもそう信じ込んでいたのかもしれない。
この両親が、溺愛しているエイミィを他家へ嫁がせるわけがなかったのだ。
家を出て行くことに抵抗があるわけではないけれど、わたしだけ本当の家族ではないと言われているようで気持ちのいいものではなかった。
「ふうん」
両親とは対照的に気の無い声を出したエイミィは、いつか見たあの暗い笑顔を浮かべていた。
「なら、こんなのいらないわよね」
白い指が便箋をつまんでビリビリと引き裂いていくのを、わたしは無言で見つめることしかできなかった。
「――このドレス、エイミィに、ちょうだい?」
あれはわたしが六歳くらいの頃。
お友達の誕生日パーティに出かける直前になって、エイミィがわたしの着ているドレスを握って離さなくなったことがあった。
「エイミィ、あなたはまだ小さいでしょ、ブカブカになってしまうわ」
お母様は愛おしそうに目を細めて笑っていた。
「三歳ではドレスを着るのはまだ無理よ。エイミィはもう少し大きくなったら仕立てましょうね」
「イヤッ! このドレスがいいの!」
エイミィはますます強くドレスの布を握り込んだ。あんまり強く引っ張るので子供心に驚いた記憶がある。
「まあ、困ったわねえ。エイミィにはこの前作ったワンピースがあるでしょう? 可愛くて、フリルがいっぱいの……」
なだめようとしてお母様が言うと、逆効果になった。
「このドレスがいいの! どうしてダメなの? おかあさまなんか、きらい! きらい!」
エイミィは顔を真っ赤にして地団太を踏み、力任せにドレスを引っ張った。ブツブツと糸が切れる音がしてドレスが大きく破れていく。
「これはエイミィの! ちょうだいって、いってるのに! わあああああああああ!」
喉がどうかしてしまうと心配するほどの大声で、エイミィは泣き叫んでいた。
あの後どうなったのか正直あまり覚えていない。
お誕生日パーティは欠席したような気がする。ちゃんと仕立てたドレスが子供の力で破れるものなのかどうかもわからない。もしかしたらあれは夢だったのかもしれない。
とにかくだいぶ前から、わたしとエイミィは同じデザインのドレスをお揃いで作ることになっているのだ。どんな場合であろうと必ず同じものでなければならない。
不思議なのは、エイミィがわたしの昔の服を欲しがらないことだった。サイズが合うようになっても、たった一年前の物でも絶対に欲しがることはなかった。
「お下がりがお嫌なのでしょう」
侍女のシェーラはいつもの無表情でわたしの疑問に答えた。栗色の髪をきっちりとまとめた彼女は真面目そのもので、感情をあらわにすることがない。
「……そうね」
わたしは小さくため息をついて、この話題を終わりにした。
エイミィは明るく輝く金髪に澄んだ薄紫の瞳、わたしは髪も瞳も薄い茶色。地味なわたしと違って、エイミィは何を着ても良く似合った。
身につける物にはその人の魅力が反映されるらしく、ドレスでもネックレスでも髪留めでもエイミィが着けた方が良い物に見えた。
「素敵ですわ、エイミィ様」
「まあ本当、どちらでお仕立てになったのかしら」
同じドレスを着ても誰もがエイミィを褒める。同じでなければ比べられることはなかったかもしれない。
そう、同じだからこそ余計に容姿の差を突き付けられた。
〇▲◇
執事のクロードにお父様の書斎へ来るよう言われたのは、わたしが十五歳になってすぐのことだった。
クロードは背が高く知的な雰囲気の青年で、いつもお父様の執務室で仕事をしていた。
「ジェシカ様にお手紙が来ているそうです」
「は、はい」
今まで彼と話したことがなかったのでわたしはとても驚いた。シェーラと一緒に慌てて部屋を出たところ、ドアのすぐ近くになぜかエイミィが立っていた。
「お姉様、わたくしも一緒に行きたいの」
「え……?」
どうして? という言葉をわたしはとっさに飲み込んだ。
「エイミィも連れて行きなさい!」
と言いながらお母様が急ぎ足でこちらに来るのが見えたからだ。お母様はわたしが何かエイミィに言うと過剰に反応することがよくあった。
「エイミィはジェシカが大好きなのよ。意地悪はいけないでしょう?」
大好きだと言われたことも意地悪をした覚えもないのだけれど、今それを言うと面倒なことになるのはわかっている。
「……わかり、ました」
わたしの顔はきっと強張っていたと思う。
書斎に入るとお父様が目を丸くしていた。わたしに続いてお母様とエイミィが一緒に入ってきたことに驚いたのだろう。
「お父様、わたくし、ここに居てもいいでしょ?」
エイミィが可愛らしく首を傾げるとツインテールの金髪がさらりと揺れる。
「もちろんだよエイミィ」
お父様はとろけた顔で何度もうなずき、その顔のまま封筒を開けて中身を取り出した。
わたし宛ての手紙を読むのになぜ家族全員が揃わないといけないのか理解できないけれど、何か重要な手紙なのかもしれないと考えて、わたしは黙ってうつむいていた。
「ふむ……、まあこんなものか。ジェシカ」
お父様はサッと目を通し、手紙をわたしに渡してきた。
『親愛なるジェシカ』で始まるその内容は、時候の挨拶と庭の樹木の様子を尋ねるという当たり障りのないものだった。
署名はレイモンド・ラスタヒュース……聞いたことのない名前だけれど、どうして知らない人からいきなり手紙が来るのかしら。
「ラスタヒュース侯は大領主だが、王都からかなり離れた領地ではあるな」
「まあ、ジェシカももうそんな歳になったのねえ」
どこか浮かれた様子の両親を見て、どうしてこの内容のない手紙を喜んでいるのか不安になった。
「お父様、この手紙には何か意味があるのですか?」
「ああ、これは婚約の前段階みたいなものだ。相手は返事が来たら脈があると考える。婚約したいなどと直接書いてくるのはかなりの田舎者とみていい」
「そうそう、わたくしも昔いくつか手紙をいただきましたわ。これだと思う人と何度も手紙のやり取りをして、そのあとで婚約するのよ」
お父様とお母様は幸せそうに目を細めている。
ということは……これに返事を書いたら、婚約につながっていくの……?
そういえば近くに住んでいる女の子のうち何人かはとっくに婚約者がいると聞いていた。でもこういう手紙のやり取りをしていたなんて知らなかった。
こんなわたしにも婚約者ができるのだろうか……。
「ジェシカ、婚約は時の運もあるから、返事を出すならよく考えて――」
「お父様!」
お父様の話を遮るようにエイミィが叫ぶと、一瞬のうちに空気がピシリと固まる。
「そのお手紙、わたくしにちょうだい?」
「……」
お父様の顔がわずかに曇った。
珍しいわ。エイミィのおねだりには決まって嬉しそうな顔をするのに。
「ねえいいでしょ? ほら、お姉様からもお願いしてよ」
わたしの袖をつかんで上目遣いをするエイミィ。
これはわたし宛ての手紙だからあげられない――と答えようとして、前にも同じような返事をしたことがあると気付いた。
あの時、あげられないと口にしてどうなったか。思い出したら嫌な気分が甦ってくる。
どう答えればいいの……。
どうすればあんな惨めな思いをしなくて済むの――
「……エイミィ、わたくしを悲しませないで」
お母様の目から涙がこぼれていた。
「エイミィと離れてしまうなんて、わたくしには耐えられないわ。貴女は優秀なお婿さんを取って、ずっとここで一緒に暮らしていくの」
「そうだよ、私たちは前から考えていたんだ。本来なら家を継ぐのは長子だが……エイミィをよその家にやるなんて、とても考えられなくてね」
お父様も声を震わせて、エイミィを抱擁する。
――ああ、そういうこと。
納得すると同時に、わたしの心を冷たい何かが覆った。
両親の間に生まれたのはわたしとエイミィだけ。ノーラ叔母様からはいつも『一番上のあなたが継ぐのよ』と言われていたし、家庭教師の先生もそのつもりで教えていると言っていた。だからわたしもそう信じ込んでいたのかもしれない。
この両親が、溺愛しているエイミィを他家へ嫁がせるわけがなかったのだ。
家を出て行くことに抵抗があるわけではないけれど、わたしだけ本当の家族ではないと言われているようで気持ちのいいものではなかった。
「ふうん」
両親とは対照的に気の無い声を出したエイミィは、いつか見たあの暗い笑顔を浮かべていた。
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