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第05章 家族
06 親子水入らず
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翌朝目を覚ますと身動きが取れなくなっていた。
何が起きたのかと見てみると、目の前には母さんの顔があった。しかも俺を抱き枕の如く抱きしめている。どうやら、動けないのはこれが原因みたいだ。また、背後を見てみると父さんまでも俺の側で寝ていた。どうやら、いつの間にやら両親に囲まれていたらしい。全く気が付かなかった。前世の俺は警戒心が強かったから、こうして寝てても近くに人が来ればすぐに目覚めていたんだけど、今世の俺はそんなこともないらしい。まぁ、自分の強さに対する自信と、近くにダンクスとシュンナがいることが大きいのだろう。その上に近づいてきたのが両親だったからこそ気が付かなかったのだろう。
それはともかく、動けない。さて、どうしたものか。そう思いながらも少しだけ身じろぎしてしまった。
「うーん、ス、スニル、起きたの?」
「あ、ああ」
母さんが目を覚ましたようで、これで解放されると思ったら抱き着く力が強くなり余計に動けなくなってしまった。なんというか振り払うのも違う気がして仕方なくそのまま母さんのしたいようにさせることにした。
「んっ、朝か、って、お前たち起きてたのか?」
背後から父さんの声がしてきた。
「さっきね」
「そうか、ミリアそろそろスニルを解放してやれ」
「うーん、もう少し」
「はぁ、仕方ねぇな」
それから数分俺は母さんに抱きしめられたのちようやく解放されたのだった。
「おはよう、スニル」
「ああ、おはよう、母さん、父さん」
その後俺たち親子はそれぞれ身支度を整えたのち、リビングへと向かったのだった。
「おう、スニル今日は遅かったな」
「あたしより遅いのは初めてだよね」
「起きたのはいつも通りなんだが、動けなくてな」
「ああ、なるほどね」
俺の言葉にシュンナはその理由に気が付いたようだ。というか、隣を見てみると父さんと母さんがリビングへと入ったところから固まっている。どうしたんだろうか、そう思ってみてみると、どうやら1点を見つめている。その先を見るとそこにはシュンナが先ほどからおむつ交換台でサーナのおむつを交換しているところをだった。
「す、スニル?」
「……」
父さんが起動し俺を呼んだ。
「なに?」
「あ、あれはどういうことだ?」
「あれ? ……ああ、そういうことか、そういえばまだ言ってなかったっけ」
考えてみるといろいろ慌ただしかったことや、たて込んでいたことで父さんと母さんの2人にサーナの種族について話していなかった。
「父さん、母さん、サーナは見ての通り獣人族なんだ。だから俺たちで引き取っているんだよ」
「獣、獣人……」
「そういうことだったのか」
母さんは何か衝撃を受けたようだが、父さんは納得したらしい、まぁ、旅を続ける俺たちが赤ん坊であるサーナを連れていることはおかしいからな。父さんたちもそれを不思議に思っていたのだろう。
「……か……」
納得した父さんの一方で母さんはいまだに衝撃を受けており、何かつぶやいた。
「かゎぃぃ」
母さんが何か言ったが、全く聞き取れないんだけど、ほんとどうしたんだ。
「ミリア?」
「かわいい、サーナちゃん、かわいいわ!」
「うぉっ!」
突然大声で叫びだした母さんに思わず驚いてしまったよ。ていうか、サーナもびっくりして泣き出したんだけど。まぁ、すぐにシュンナがあやして何とか事なきを得たが……。
「はぁ、ミリア、落ち着け、サーナちゃんがびっくりしているぞ」
「あっ、ああ、そうよね、ご、ごめんなさい」
「ああ、気にしなくてもいいよ。サーナがかわいいのは間違いないし」
俺にはケモミミ属性はないが、サーナは普段の人の姿でもかなりかわいいと、シュンナをはじめ女性陣から公表を受けているが、そこに本来の姿である猫の耳と尻尾が加わるとまさに無敵レベルになるらしい。実際あのサーナ誕生を祝う宴会の際にも多くの女性陣が母さんみたいな反応になったからな。
「そうよねぇ。ほんとかわいいわぁ」
そう言って母さんもいつの間にかサーナの側にいてその頭をなでており、サーナはそれから少しして泣き止んだ。
「そうだ。ミリアもサーナにミルクあげてみる?」
シュンナが母さんにそう言った。ちなみにだけど、ダンクスとシュンナは父さん母さん相手でも普通に呼び捨てで敬語などは使っていない。というのも、最初はダンクスはともかくシュンナは中身が年上ということで敬語などを使っていたが、父さんと母さんから見た目は12歳だから必要ないと言われたためにシュンナは敬語を使わなくあっている。
「いいのかしら?」
「もちろん」
じつはこれまで母さんはサーナにミルクを与えたことはない。というのも、これまで母さんはサーナの気になるようだが、久しぶりに会った息子である俺の世話を優先していたからな。
「ええと、こうかな」
「さすが、経験者ね」
「ふふっ、ありがとう。でも、やっぱりちょっと違和感があるわね」
「それは、村でもみんな言ってたなぁ」
シュンナが言うように、村でサーナにミルクを与えた女性陣(子育て経験あり)はみんな口をそろえて違和感を訴えた。もちろんだからといってすぐに慣れたみたいだけど。
「あたしは、経験ないからわからないんだよね」
「まぁ、そうよね。でも、シュンナならすぐじゃないかな」
「どうだろ、でも今はサーナがいるし、旅が楽しいからまだ子供はいらないかな」
「そっか、まっ、シュンナはまだ若いものね」
シュンナと母さんでそんな会話をしつつ、サーナにミルクを与えている。俺たち男はそんな会話に入れずおとなしく朝食を準備していったのだった。
それから朝食を食べたのち旅を再開したのだった。
「おっ、あれがルンボーテか」
「外から見る限り、カリブリンに似てるのね」
「俺たちもあちこち行ったけど、どの街も外から見るとほとんど一緒だぜ」
「そうそう」
「へぇ、俺たちはカリブリンしか知らないからなぁ」
「ほかの街って行ったことないよね」
父さんと母さんは元冒険者だが、活動拠点であるカリブリンから離れることはなかったらしい。これはワイエノおじさんたちからも聞いたことだけど、まずそのワイエノおじさんたちはシエリルおばさんの実家である雑貨屋を時々手伝っており、あまり遠出ができなかったらしい。そして、父さんも孤児院によく出入りしていて院長の手伝いで子供たちの面倒を見ていたそうだ。その結果、4人はカリブリンを離れることができず、ほかの街を知らないという。
「そうらしいね。ワイエノおじさんたちに聞いたよ」
「そういえばスニルはあいつらからいろいろ聞いたんだよな」
「そっかぁ。あの2人も元気かしらね。久しぶりに会いたいところだけど」
「さすがにそれはまずいだろ」
「そうなのよね」
父さんと母さんは転生しているわけだが、これは神様からの特別処置となっている。そのため、残念ながら4人を再会させるというのは難しいだろう。
「それは仕方ないと思う。でも、そのうち会うことになるような気がするんだよね。ていうか、俺って時々は村とかカリブリンに戻る可能性があるし、その時父さんと母さんを置いていくってわけにもいかないしなぁ。だからといって俺のことだからついポロッと言ってしまいそうだし」
実際俺は村長一家にポロっと転生者であることを話してしまっている。まぁ、ワイエノおじさんたちには言っていないけど、でもつい言ってしまいそうだ。
「スニルはなんだかんだで、口が軽いからな」
「普段ほとんどしゃべらないから、たまにしゃべると制御ができないんだよ」
前世を含めて話し慣れていないためにいざ話すとなると、言うのをやめておこうと考えたことでもついつい話してしまう。なんていうか、テンパっちゃうんだよな。とまぁ、それはともかく俺たちは門番の不思議そうな目を通行料で黙らせてからルンボーテへと入ったのだった。
「さて、街に入ったわけだがどうするんだ」
「いつもなら、別れてそれぞれで過ごす感じだな」
「そうね。いつも一緒ってわけじゃないし」
「そうなの」
「それぞれ、違うからね。俺は街全体を見て、その土地の文明と文化を見て回っているし、ダンクスは主に武器屋、シュンナは雑貨屋だからなぁ。まぁ、俺も武器屋や雑貨屋にもいくけど、少し見るだけだし」
「なるほどな。それじゃ、今回も別行動ってわけか」
「そうなるかな」
「そんじゃ、俺は行くぜ、まだ見てない武器屋があるんだよな」
「あたしも、行きたいお店あるのよね」
そういってダンクスはシュンナにサーナを渡して街へと繰り出していった。
「サーナちゃんはシュンナが連れて行くのね」
「ダンクスが連れていくわけにはいかないからな」
「あたしたちがいないと、どう見ても誘拐犯だものね」
「違いないな」
何度も言うがダンクスは巨漢の強面、笑っていても何かを企んでいるようにしか見えない。そんなダンクスが1人でサーナを連れて歩いた場合どう見てもただの誘拐犯、通報されて逮捕されてサーナは保護されるのは必至となるだろう。そうなるとダンクス救出が面倒だし、何よりサーナの正体がばれる可能性まである。それだけは何があっても避けたい。というわけでダンクスがサーナを連れて歩くときは俺たちと一緒にいるときと決めている。
「ああ、なるほどな。確かにダンクスはかなりの強面だからな」
「うーん、確かにね。ちょっと悪い気もするけれど、はたから見たらそう見えるわね」
父さんはすぐに納得したが、母さんは少し悪いという感情が勝っているようだが、納得はしているようだ。
「それじゃ、あたしも行くわね」
「おう」
「気を付けてね」
「あとでな」
シュンナもサーナを抱えたまま街へと繰り出していったのだった。それにより残されたのは俺たち親子である。
「2人はどうする?」
「そうだなぁ。特にこれといった予定はないが……」
「何言ってるの」
俺が2人にこの後の予定を聞くと、父さんは特に予定はないというが、母さんが呆れたように言った。
「あなたと私はほとんど旅の準備なんてしていないじゃない。それをしないと、それにスニルだってもう着られなくなった服とかあるでしょ」
「おぉう、いや、まあ、そうだけどよ」
「う、うん、まぁ、そうだけど」
「だったら、まずはスニルの服を買いに行きましょう」
母さんはそう言ってうきうきしているように見える。
「でもよ。ミリア、俺たち金なんて持ってないぞ。どうすんだ」
「あっ!」
「どうしたの、スニル」
父さんが金を持っていないということを聞いて思い出した。
「これ、返すの忘れてた」
そう言って、俺は”収納”から財布を1つ取り出した。
「これって、私の? どうしたのこれ」
なぜ俺が母さんの財布を持っているのかというと、まぁ簡単に言えば形見として持っていただけだ。
「家にあったからね。形見として持ってたんだよ。その剣だってそうだし」
「そうだったのね」
母さんがそう言って母さんは俺の頭をなでてきた。人前でされるのは妙に恥ずかしいものがあるな。
「そうそう、父さんのもあるけどどうする」
そう言って、もう1つ父さんの財布も取り出して見せた。ちなみになんでこれらが父さんと母さんの者だということが分かったのかというと、これらはワイエノおじさんとシエリルおばさんに聞いたからだ。
「それもお母さんがもらうわ」
「えっ、いや、俺のだろ」
差し出していた財布を母さんが父さんよりも先に奪うように持っていったことに、父さんが不満を口にした。
「あなたに渡したら余計なものを買うでしょ」
どうやら父さんもダンクスのように金を持つと変なものを買う癖があるらしい。俺もそういうところがあるから似てるんだな。
「どうしたんだ?」
「あっ、いや、俺もよくシュンナに言われるから、大金を持たせると変なものを買ってくるって、まぁ、俺だけじゃなくてダンクスもなんだけど」
「変なとこ似ないでよね。あらっ!?」
若干呆れつつも俺と父さんが似ていることに嬉しそうにしつつ、母さんが自分の財布を開けて何か不思議そうにしている。
「なんか、増えてない?」
「おっ、まじか!」
「ああ、それ2人がギルドに預けてた金だよ。カリブリンでシエリルおばさんがギルドからおろして、渡してくれたんだ」
「ああ、そういえばギルドに預けてたわね」
「おお、あれか、いくらあったっけ」
「わからないけれど、結構あったはずよ。ということはここからスニルの服もあなたと私のものも買えるわね」
「ああ、そうだな。それじゃ行くか」
「ええ」
というわけで俺たちは親子3人で近くにあった服屋へ向かうことになった。
「いらっしゃい」
服屋に入ると店員から声をかけられた。
「この子の服を買いたいんだけど、どこかしら」
「はい、こちらです」
母さんは臆することなく店員に声をかけている。すげぇな、俺には無理だ。ちなみに、母さんが俺を指してこの子といったが、実年齢を考えるとこれはおかしい、なぜなら現在の俺は14歳で母さんは12歳、母さんのほうが年下だからだ。でも、身長は母さんのほうが少し高いためにはたから見たら弟の世話をする姉という風に見えるかもしれないな。
「スニルはどういうのが好み?」
服がいくつか並んでいる場所にやって来たところで、母さんが1つ1つ確認しながら聞いてきた。
「さぁ考えたことないな。とりあえず着れればなんでも」
「おっ、俺と同じだなスニル」
「はぁ、駄目よスニル、そんなところまでお父さんに似ないで頂戴、ちゃんとおしゃれしないとポリーちゃんに嫌われるわよ」
なぜここでポリーが出てくるのかはわからないが、こればかりは前世からのもので父さんに似るとかはあまり関係ない気がする。
「そう言われても、昔からだしなぁ。それにあまり興味もないし」
「今度あなたのクローゼットを確認したほうがよさそうね」
「いや、そこまでしなくても」
「ていうか、よく見たらその服、少し小さくない」
母さんが指摘してきた俺が今着ている服は確かに、少し小さいがまだ切ることができるためにそのまま着ている物だった。
「まぁ、確かに少し小さいけど、まだ着れるぞ」
「そういう問題じゃないわ。サイズの合わないものを着ているとみっともないでしょ。あとで直してあげるからね」
「あ、ああ」
母さんの迫力に押されて思わずうなずいてしまった。そのあと俺は母さんの着せ替え人形と化したのは言うまでもないだろう。ふと見ると父さんが放置されていた。しかし、父さんもなんだか嬉しそうにしていた。こうして両親が2人とも楽しそうにしていたので、俺も何も言わずになすがままとなっていたのだった。
その後、俺の服を治すために布を扱っている店へ向かいいくらかの布を買ったから、ようやく父さんと母さんの装備を整えるために防具屋や武器屋へと向かってから、雑貨屋などいくつかの店を回った。
こうして、その日は俺たち親子水入らずで過ごすこととなったのであった。
何が起きたのかと見てみると、目の前には母さんの顔があった。しかも俺を抱き枕の如く抱きしめている。どうやら、動けないのはこれが原因みたいだ。また、背後を見てみると父さんまでも俺の側で寝ていた。どうやら、いつの間にやら両親に囲まれていたらしい。全く気が付かなかった。前世の俺は警戒心が強かったから、こうして寝てても近くに人が来ればすぐに目覚めていたんだけど、今世の俺はそんなこともないらしい。まぁ、自分の強さに対する自信と、近くにダンクスとシュンナがいることが大きいのだろう。その上に近づいてきたのが両親だったからこそ気が付かなかったのだろう。
それはともかく、動けない。さて、どうしたものか。そう思いながらも少しだけ身じろぎしてしまった。
「うーん、ス、スニル、起きたの?」
「あ、ああ」
母さんが目を覚ましたようで、これで解放されると思ったら抱き着く力が強くなり余計に動けなくなってしまった。なんというか振り払うのも違う気がして仕方なくそのまま母さんのしたいようにさせることにした。
「んっ、朝か、って、お前たち起きてたのか?」
背後から父さんの声がしてきた。
「さっきね」
「そうか、ミリアそろそろスニルを解放してやれ」
「うーん、もう少し」
「はぁ、仕方ねぇな」
それから数分俺は母さんに抱きしめられたのちようやく解放されたのだった。
「おはよう、スニル」
「ああ、おはよう、母さん、父さん」
その後俺たち親子はそれぞれ身支度を整えたのち、リビングへと向かったのだった。
「おう、スニル今日は遅かったな」
「あたしより遅いのは初めてだよね」
「起きたのはいつも通りなんだが、動けなくてな」
「ああ、なるほどね」
俺の言葉にシュンナはその理由に気が付いたようだ。というか、隣を見てみると父さんと母さんがリビングへと入ったところから固まっている。どうしたんだろうか、そう思ってみてみると、どうやら1点を見つめている。その先を見るとそこにはシュンナが先ほどからおむつ交換台でサーナのおむつを交換しているところをだった。
「す、スニル?」
「……」
父さんが起動し俺を呼んだ。
「なに?」
「あ、あれはどういうことだ?」
「あれ? ……ああ、そういうことか、そういえばまだ言ってなかったっけ」
考えてみるといろいろ慌ただしかったことや、たて込んでいたことで父さんと母さんの2人にサーナの種族について話していなかった。
「父さん、母さん、サーナは見ての通り獣人族なんだ。だから俺たちで引き取っているんだよ」
「獣、獣人……」
「そういうことだったのか」
母さんは何か衝撃を受けたようだが、父さんは納得したらしい、まぁ、旅を続ける俺たちが赤ん坊であるサーナを連れていることはおかしいからな。父さんたちもそれを不思議に思っていたのだろう。
「……か……」
納得した父さんの一方で母さんはいまだに衝撃を受けており、何かつぶやいた。
「かゎぃぃ」
母さんが何か言ったが、全く聞き取れないんだけど、ほんとどうしたんだ。
「ミリア?」
「かわいい、サーナちゃん、かわいいわ!」
「うぉっ!」
突然大声で叫びだした母さんに思わず驚いてしまったよ。ていうか、サーナもびっくりして泣き出したんだけど。まぁ、すぐにシュンナがあやして何とか事なきを得たが……。
「はぁ、ミリア、落ち着け、サーナちゃんがびっくりしているぞ」
「あっ、ああ、そうよね、ご、ごめんなさい」
「ああ、気にしなくてもいいよ。サーナがかわいいのは間違いないし」
俺にはケモミミ属性はないが、サーナは普段の人の姿でもかなりかわいいと、シュンナをはじめ女性陣から公表を受けているが、そこに本来の姿である猫の耳と尻尾が加わるとまさに無敵レベルになるらしい。実際あのサーナ誕生を祝う宴会の際にも多くの女性陣が母さんみたいな反応になったからな。
「そうよねぇ。ほんとかわいいわぁ」
そう言って母さんもいつの間にかサーナの側にいてその頭をなでており、サーナはそれから少しして泣き止んだ。
「そうだ。ミリアもサーナにミルクあげてみる?」
シュンナが母さんにそう言った。ちなみにだけど、ダンクスとシュンナは父さん母さん相手でも普通に呼び捨てで敬語などは使っていない。というのも、最初はダンクスはともかくシュンナは中身が年上ということで敬語などを使っていたが、父さんと母さんから見た目は12歳だから必要ないと言われたためにシュンナは敬語を使わなくあっている。
「いいのかしら?」
「もちろん」
じつはこれまで母さんはサーナにミルクを与えたことはない。というのも、これまで母さんはサーナの気になるようだが、久しぶりに会った息子である俺の世話を優先していたからな。
「ええと、こうかな」
「さすが、経験者ね」
「ふふっ、ありがとう。でも、やっぱりちょっと違和感があるわね」
「それは、村でもみんな言ってたなぁ」
シュンナが言うように、村でサーナにミルクを与えた女性陣(子育て経験あり)はみんな口をそろえて違和感を訴えた。もちろんだからといってすぐに慣れたみたいだけど。
「あたしは、経験ないからわからないんだよね」
「まぁ、そうよね。でも、シュンナならすぐじゃないかな」
「どうだろ、でも今はサーナがいるし、旅が楽しいからまだ子供はいらないかな」
「そっか、まっ、シュンナはまだ若いものね」
シュンナと母さんでそんな会話をしつつ、サーナにミルクを与えている。俺たち男はそんな会話に入れずおとなしく朝食を準備していったのだった。
それから朝食を食べたのち旅を再開したのだった。
「おっ、あれがルンボーテか」
「外から見る限り、カリブリンに似てるのね」
「俺たちもあちこち行ったけど、どの街も外から見るとほとんど一緒だぜ」
「そうそう」
「へぇ、俺たちはカリブリンしか知らないからなぁ」
「ほかの街って行ったことないよね」
父さんと母さんは元冒険者だが、活動拠点であるカリブリンから離れることはなかったらしい。これはワイエノおじさんたちからも聞いたことだけど、まずそのワイエノおじさんたちはシエリルおばさんの実家である雑貨屋を時々手伝っており、あまり遠出ができなかったらしい。そして、父さんも孤児院によく出入りしていて院長の手伝いで子供たちの面倒を見ていたそうだ。その結果、4人はカリブリンを離れることができず、ほかの街を知らないという。
「そうらしいね。ワイエノおじさんたちに聞いたよ」
「そういえばスニルはあいつらからいろいろ聞いたんだよな」
「そっかぁ。あの2人も元気かしらね。久しぶりに会いたいところだけど」
「さすがにそれはまずいだろ」
「そうなのよね」
父さんと母さんは転生しているわけだが、これは神様からの特別処置となっている。そのため、残念ながら4人を再会させるというのは難しいだろう。
「それは仕方ないと思う。でも、そのうち会うことになるような気がするんだよね。ていうか、俺って時々は村とかカリブリンに戻る可能性があるし、その時父さんと母さんを置いていくってわけにもいかないしなぁ。だからといって俺のことだからついポロッと言ってしまいそうだし」
実際俺は村長一家にポロっと転生者であることを話してしまっている。まぁ、ワイエノおじさんたちには言っていないけど、でもつい言ってしまいそうだ。
「スニルはなんだかんだで、口が軽いからな」
「普段ほとんどしゃべらないから、たまにしゃべると制御ができないんだよ」
前世を含めて話し慣れていないためにいざ話すとなると、言うのをやめておこうと考えたことでもついつい話してしまう。なんていうか、テンパっちゃうんだよな。とまぁ、それはともかく俺たちは門番の不思議そうな目を通行料で黙らせてからルンボーテへと入ったのだった。
「さて、街に入ったわけだがどうするんだ」
「いつもなら、別れてそれぞれで過ごす感じだな」
「そうね。いつも一緒ってわけじゃないし」
「そうなの」
「それぞれ、違うからね。俺は街全体を見て、その土地の文明と文化を見て回っているし、ダンクスは主に武器屋、シュンナは雑貨屋だからなぁ。まぁ、俺も武器屋や雑貨屋にもいくけど、少し見るだけだし」
「なるほどな。それじゃ、今回も別行動ってわけか」
「そうなるかな」
「そんじゃ、俺は行くぜ、まだ見てない武器屋があるんだよな」
「あたしも、行きたいお店あるのよね」
そういってダンクスはシュンナにサーナを渡して街へと繰り出していった。
「サーナちゃんはシュンナが連れて行くのね」
「ダンクスが連れていくわけにはいかないからな」
「あたしたちがいないと、どう見ても誘拐犯だものね」
「違いないな」
何度も言うがダンクスは巨漢の強面、笑っていても何かを企んでいるようにしか見えない。そんなダンクスが1人でサーナを連れて歩いた場合どう見てもただの誘拐犯、通報されて逮捕されてサーナは保護されるのは必至となるだろう。そうなるとダンクス救出が面倒だし、何よりサーナの正体がばれる可能性まである。それだけは何があっても避けたい。というわけでダンクスがサーナを連れて歩くときは俺たちと一緒にいるときと決めている。
「ああ、なるほどな。確かにダンクスはかなりの強面だからな」
「うーん、確かにね。ちょっと悪い気もするけれど、はたから見たらそう見えるわね」
父さんはすぐに納得したが、母さんは少し悪いという感情が勝っているようだが、納得はしているようだ。
「それじゃ、あたしも行くわね」
「おう」
「気を付けてね」
「あとでな」
シュンナもサーナを抱えたまま街へと繰り出していったのだった。それにより残されたのは俺たち親子である。
「2人はどうする?」
「そうだなぁ。特にこれといった予定はないが……」
「何言ってるの」
俺が2人にこの後の予定を聞くと、父さんは特に予定はないというが、母さんが呆れたように言った。
「あなたと私はほとんど旅の準備なんてしていないじゃない。それをしないと、それにスニルだってもう着られなくなった服とかあるでしょ」
「おぉう、いや、まあ、そうだけどよ」
「う、うん、まぁ、そうだけど」
「だったら、まずはスニルの服を買いに行きましょう」
母さんはそう言ってうきうきしているように見える。
「でもよ。ミリア、俺たち金なんて持ってないぞ。どうすんだ」
「あっ!」
「どうしたの、スニル」
父さんが金を持っていないということを聞いて思い出した。
「これ、返すの忘れてた」
そう言って、俺は”収納”から財布を1つ取り出した。
「これって、私の? どうしたのこれ」
なぜ俺が母さんの財布を持っているのかというと、まぁ簡単に言えば形見として持っていただけだ。
「家にあったからね。形見として持ってたんだよ。その剣だってそうだし」
「そうだったのね」
母さんがそう言って母さんは俺の頭をなでてきた。人前でされるのは妙に恥ずかしいものがあるな。
「そうそう、父さんのもあるけどどうする」
そう言って、もう1つ父さんの財布も取り出して見せた。ちなみになんでこれらが父さんと母さんの者だということが分かったのかというと、これらはワイエノおじさんとシエリルおばさんに聞いたからだ。
「それもお母さんがもらうわ」
「えっ、いや、俺のだろ」
差し出していた財布を母さんが父さんよりも先に奪うように持っていったことに、父さんが不満を口にした。
「あなたに渡したら余計なものを買うでしょ」
どうやら父さんもダンクスのように金を持つと変なものを買う癖があるらしい。俺もそういうところがあるから似てるんだな。
「どうしたんだ?」
「あっ、いや、俺もよくシュンナに言われるから、大金を持たせると変なものを買ってくるって、まぁ、俺だけじゃなくてダンクスもなんだけど」
「変なとこ似ないでよね。あらっ!?」
若干呆れつつも俺と父さんが似ていることに嬉しそうにしつつ、母さんが自分の財布を開けて何か不思議そうにしている。
「なんか、増えてない?」
「おっ、まじか!」
「ああ、それ2人がギルドに預けてた金だよ。カリブリンでシエリルおばさんがギルドからおろして、渡してくれたんだ」
「ああ、そういえばギルドに預けてたわね」
「おお、あれか、いくらあったっけ」
「わからないけれど、結構あったはずよ。ということはここからスニルの服もあなたと私のものも買えるわね」
「ああ、そうだな。それじゃ行くか」
「ええ」
というわけで俺たちは親子3人で近くにあった服屋へ向かうことになった。
「いらっしゃい」
服屋に入ると店員から声をかけられた。
「この子の服を買いたいんだけど、どこかしら」
「はい、こちらです」
母さんは臆することなく店員に声をかけている。すげぇな、俺には無理だ。ちなみに、母さんが俺を指してこの子といったが、実年齢を考えるとこれはおかしい、なぜなら現在の俺は14歳で母さんは12歳、母さんのほうが年下だからだ。でも、身長は母さんのほうが少し高いためにはたから見たら弟の世話をする姉という風に見えるかもしれないな。
「スニルはどういうのが好み?」
服がいくつか並んでいる場所にやって来たところで、母さんが1つ1つ確認しながら聞いてきた。
「さぁ考えたことないな。とりあえず着れればなんでも」
「おっ、俺と同じだなスニル」
「はぁ、駄目よスニル、そんなところまでお父さんに似ないで頂戴、ちゃんとおしゃれしないとポリーちゃんに嫌われるわよ」
なぜここでポリーが出てくるのかはわからないが、こればかりは前世からのもので父さんに似るとかはあまり関係ない気がする。
「そう言われても、昔からだしなぁ。それにあまり興味もないし」
「今度あなたのクローゼットを確認したほうがよさそうね」
「いや、そこまでしなくても」
「ていうか、よく見たらその服、少し小さくない」
母さんが指摘してきた俺が今着ている服は確かに、少し小さいがまだ切ることができるためにそのまま着ている物だった。
「まぁ、確かに少し小さいけど、まだ着れるぞ」
「そういう問題じゃないわ。サイズの合わないものを着ているとみっともないでしょ。あとで直してあげるからね」
「あ、ああ」
母さんの迫力に押されて思わずうなずいてしまった。そのあと俺は母さんの着せ替え人形と化したのは言うまでもないだろう。ふと見ると父さんが放置されていた。しかし、父さんもなんだか嬉しそうにしていた。こうして両親が2人とも楽しそうにしていたので、俺も何も言わずになすがままとなっていたのだった。
その後、俺の服を治すために布を扱っている店へ向かいいくらかの布を買ったから、ようやく父さんと母さんの装備を整えるために防具屋や武器屋へと向かってから、雑貨屋などいくつかの店を回った。
こうして、その日は俺たち親子水入らずで過ごすこととなったのであった。
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そんな少年の物語。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
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主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
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