異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第5章 ダンジョンに行こう

176 まさかの全種類

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道順も知っているようで、どんどんと進んでいく。
途中で本当に植物系のモンスターが現れたけど、姿を確認する前に妖精が燃やしてしまった。

どうやら何種類もの魔法が使えるらしく、近距離なら火炎放射器のような魔法、遠距離ならファイヤーアローのような魔法を使っていた。
魔法紙の事があるので、1人で1つの魔法だと思い込んでたわ。

「妖精って、どれだけの魔法が使えるんです?」
「どれだけ?」
「どういう意味?」
「えっと、種類とか数とか系統とか、そんな感じです」
「全部ね」
「全部よ」
「全部?!」

赤の服を着ているイチが炎系を担当していたから単一だと思ってたのに!
まさかの全種類とは。

「でも炎系ばかりでしたよ?!」
「植物系は炎に弱いから」
「他のを使う必要無いしね」
「じゃあ、もし人間相手に使うとしたら?」
「どれでも有効じゃない?」
「そうね」
「いや、そうでしょうけど。ちょっと具体的に教えて欲しいな~なんて」
「じゃあ私は土系が好きだから、大量の土を落として生き埋め?」
「じゃあ私は風系が好きだから、周囲の酸素を無くす?」

自分で聞いておきながら後悔した。
めっちゃ恐ろしい事を軽く言われたわ。

ダンジョン内で、大量の土を出されて生き埋めなんて怖すぎる。
規模にもよるけど、その層を埋めるほど土を出されたら対処不能だ。

酸素を無くすのも怖い。
なんて言ったって、確認のしようがない。しかも攻撃されたと気づかない。
死体を発見されても、その場所は空気が薄いとか毒ガスが出てると認識される程度だろう。つまり偶然と言うか事故?と認識されそう。
ラノベでは嫌われそうな攻撃だ。俺も困る。
だってイラストにしにくいし、派手さも無い。
モンスターや獣の綺麗な死骸を入手するなら確実な手だけど、ラノベではせいぜい水魔法で顔を覆うとかくらいだろう。
圧倒的に使用されてないと思う。派手さも無いけど、何よりも対抗手段を思いつかないからじゃないかな?
使える主人公と対峙した時に、対抗手段が無ければどんな強敵だろうと無意味。蹂躙されるだけ。正にチート。
これだと面白くならないから、使用魔力量が多い・対象が1体・移動されたらダメ・抗魔法で効かない、等の制限をかけるだろう。
でもその制限ってほとんどが主人公にかけられる物だから、本来チートなら克服出来そう。
唯一「抗魔法で効かない」が相手の能力になるけど、対象に向けてではなく周囲の酸素を減らせば対象の周囲の酸素も減るだろうから意味無い。

全属性、全種類の魔法が使えるって事は、本当に無敵だわ。
弱点なんか無い、完全無欠、チートオブチート。
味方からも怖がられそう。現に俺も妖精にビビってるし。

こんな存在を魔法紙欲しさに追い回す冒険者とか居るんだよなぁ……。
知らないとはいえ、自殺願望でもあるの?ってレベル。
いや、自殺ならまだマシか。国、いや人類を抹殺されても不思議じゃない。

話題を変えなくちゃ、怖くてしょうがないわ。

「そ、そう言えば。俺には魔法を教えてもらえないんですか?」
「覚えたいの?」
「必要無いでしょ?」
「必要無いですか? 便利そうなんですけど」
「具現化で十分」
「仲間も強いみたいだし」

合流する仲間が強いなら必要無いのか?
しかし具現化があれば十分なのはどうしてだろう?

「具現化で十分ってのはどうして?」
「簡単よ」
「妖精を具現化すれば良いでしょ」
「…………あぁ! なるほど!!」

全てを使える妖精を具現化出来るなら、どんな敵だろうと問題無く倒してしまうだろう。
妖精の強さを知ってしまった今となっては、それが確かに一番確実だ。

「具現化しても良いんですか?」
「問題無いんじゃない?」
「使役は出来ないかもしれないけど」
「使役出来ないってのはどういう事です?」
「例えば魔法紙を作らせるとか」
「そういうのは無理だと思う」

そうなんだ。
確かに確実な方法だよね。
妖精を具現化して魔法紙を作ってもらい、それを販売する。元手要らずのボロ儲けだ。
それは出来ないって事か。

そんな話をしながら歩いていると、とうとう10層に到着した。
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