異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第5章 ダンジョンに行こう

200 ここが60層ですか?

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「……撃つ間も無く倒すのって、どうなの?」

扉に文句言われた。
そんな事を言われてもなぁ。

「銃弾なんて遅い物が当たりはしませんが、敵の攻撃方法を封じて戦うのは常識では?」
「……という事らしいです」
「そう言われたらそうなんだけどさ。
 でもさ、ラノベとかマンガとか知ってるなら、相手の攻撃を全て出させてそれを受け切るのが王道じゃない?」
「そういう意見もありますね。という事ですけど、クロさん、どう思います?」
「良いですよ。では次に出てくるモンスターには全部吐き出すように指示してください」

うわ~、全部出しても受けきれる自身があるのか。
凄いな。俺は流れ弾が来ないように気をつけていよう。

「私も少しは読んだ事があるのですけど、まさか全部出したら覚醒とかしないですよね?」
「ギクッ! 何故それを!!」
「マンガでは主人公が主にそれをやるので」

確かに少年漫画の王道パターンな気がする。
もうだめだってなってから覚醒するとか、武器や防具が進化するとか。
死んだはずの仲間がやって来るってのもあったな。
あれがあると「どうせ主人公が勝つんだろ」となって面白くないんだよね。

「ラスボスが覚醒するのはゲームから続く既定路線ですし」

それもよくあるね。
このダンジョンでもそうだったよね。第二形態とか。
いつも思うのは「何で出し惜しみしてるのか」って事だけど。
最初からそれで全滅させた方がボスにとっては安全策になると思うんだけどさ。
ま、それやったらクソゲー確定になるけど。

「で、どうなんです?」
「……覚醒します」
「やはりそうですか。まぁ構いませんよ」
「へ? そうなの?」
「私の予想では、その覚醒したボスの攻撃を利用して、扉を破壊するという流れになるのではないかと」
「…………正解です」

あ~、そういうのもあるね。
閉じている扉の前に立ち、ボスが出す強力な魔法を扉に当てて破壊させる。
そしてボスを倒さずに先に進むっていう流れ。
ボスは、通過出来ないので倒した判定になるか、ボスが壁も破壊して追いかけてくるか、どちらかだ。

「質問ですが、ボスを倒してしまうと扉は壊せないのですか?」
「ボスを倒せば、開けます。で、でも、覚醒したボスは強いんだからね! そうやって扉を破壊して逃げるしか無いんだからね!」
「覚醒させないという手もありますけど」
「さっき約束したじゃん! 覚醒させるって! 今更無しには出来ないからね!」
「はいはい、分かりましたよ」

う~ん、俺ってモブ扱いな気がする。
まぁ役に立ってないけどさ。

「今からボス出すからね!」

扉が宣言した。
すると中央にまた黒いモヤが発生する。

「貴方はドラゴンを出来るだけ具現化してください」
「えっ? ドラゴンを?」
「そうです。それで扉を攻撃させるのと、ボスを攻撃するのに分けてください」
「何の意味が?」
「目隠しですよ。部屋全体を見れるのなら意味無いですけど。ついでに言えば貴方の防御という役目もあります」
「防御。そこまでして何をするんです?」
「覚醒したボスを描いてもらいます」
「…………なるほど」

つまりボスを覚醒させて、それを俺が絵にして具現化する。
具現化したボスを使って扉を破壊するつもりだな。

ドラゴンを2体出すと同時にモヤが集まって形が出来た。
あれは……タコだな。8本足だし、頭が丸いから。

クロさんがすぐに足の1本を切り飛ばしている。
具現化したドラゴンは頭に向かって炎を吐いている。

「アチチチ! なんだよ、これ!」

声がする方を見ると、もう1体のドラゴンが扉に炎を吐いていた。
熱さを感じるんだ……。
そして具現化を知らなかったんだ。大丈夫かな?

そんな事を考えつつ戦闘を見ていると、なんとタコが死んでしまった!
早くない?!

「ドラゴンに攻撃中止を命令してください」
「あ、はい」

ドラゴンを止める。

「すみません。覚醒する前に死んだんですけど。死んだ後に覚醒するのですか?」
「アチチ……え? 死んだ? そんな馬鹿な」
「アレを見てください」

クロさんがしっぽでタコを指している。
その先には足を全て切り落とされて、綺麗に焼かれた焼きダコが転がっている。

「覚醒するなら早くしてください」
「え~~~~~~と、あれは死んでます。もう覚醒しません……」
「そうですか。では開けてもらえますか?」
「……………………はい」
「ちゃんと60層に繋がってますよね? 違ったら許しませんからね?」
「大丈夫です!!」

扉が開いた。
ちゃんと60層に繋がっているらしい。

「一応、分断されないように、一緒に行きましょう」

そう言ってクロさんは俺の肩に飛び乗った。
そのまま歩いて扉をくぐる。
そこにあった綺麗に舗装されている階段を降りると、小さな部屋に到着した。
部屋と言っても何も無い、ただの3m角くらいの立方体の中なんだけど。壁と天井は板張りになっている。

「ここが60層ですか?」
「そうです。私はここから来ました」
「何も無いですけど?」
「普通なら宝箱があるそうですね。覚醒したボスを退治してないので報酬無しなんじゃないですか?」
「……なるほど。で、ここで何をするんです?」
「具現化ですよ」
「何を出すんです?」
「紙に漢字で『神』と書いてください」
「か、神?! それで具現化するんですか?!」
「そう言われています。さあ、早く。これで私も帰れるのですから!」

クロさんに言われた通りに神と書き込む。
すると目の前に知らない男性が立っていた。

「よくやった! これで俺は大逆転勝利だ!」
「え~と、おめでとうございます?」
「さ、もう帰れ」
「え? ど、どうやって?」
「そこに飛び込め」

指差された先には7色の渦巻があった。

「お先に」

それだけ言って、クロさんは先に飛び込んでいった。恐れとか無いのか。

「早くしろ」

そう言われたけど、なかなか勇気が出ない。
躊躇してたら、後ろから押されて7色の渦巻に踏み込んでしまった。



気づくと、そこは自分の部屋だった。
着ている服も具現化で作ったあっちの世界のヤツ。

……帰りたいとは言ったけど、急すぎませんか、神様!!
あっちの世界の屋敷とか従業員とか温泉施設とか、何もかもそのままですよ?!

頭を抱えようとしたら、俺は紙切れを握っている事に気づいた。
それには神様からの言葉が書かれていた。

『儲かったので、お前にも少しおすそ分けしてやる。
 あっちの世界はお前のPCで操作出来るようにしてやった。シュミレーションゲームみたいな感じだ。
 それを使ってあっちの世界の家とか好きに操作しろ。
 レベルが上がれば、あの世界すら操作出来るようになるぞ。そうなればまたあの世界を使って賭け事するから面白い世界にしとけよ。
 お前の持ち物と能力は全部そのまま使える。自由にしろ』

……どうやら俺はあの世界の神になってしまったようだ。
実際に生きている人達が居る世界をゲーム感覚でプレイしろって?! 無茶苦茶だ!

それにあっちの世界の物を持ってたってこっちでは売れませんよ!
具現化する能力だって、何の役に立つんですか!


俺の苦労は戻っても続くようだ。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これで完結となります。
読んで頂き、ありがとうございました。
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感想 37

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みんなの感想(37件)

sakura
2025.08.04 sakura

え!?終わり!?
わーでも面白かったです…!愉快な物語をありがとうございました。
作者様の他の作品もチェックさせていただきます👀✨

2025.08.04 お子様

ありがとうございます!

解除
日前蜜柑
2025.03.30 日前蜜柑

忠臣蔵って逆恨みじゃ無いですよ。浅野家は山鹿流の天皇を中心とする考えで、吉良家は室町時代に出来た将軍を中心に置く考えだから対立したんです。
勅使を接待するのなら勅使を上座に据えるのが浅野家で、吉良家は将軍を上座に置きたかった訳です。
いちおう将軍は天皇の家臣ですから、そりゃ対立する訳です。
敵討ちが本懐ではなく、天皇を尊重しろが本懐な訳です。
それが証拠に百年後では有りますが、徳川幕府は浅野家の天皇を上座に置く方式に変えています。
山鹿流の筋が通った訳です。
因みに吉田松陰も山鹿流の軍師ですから、明治維新はそう言う事な訳です。

解除
さこゼロ
2021.12.24 さこゼロ

無意識に下を目指すなんて、本質的には勇者と組んでも問題無かったんじゃない?(^^)

2021.12.24 お子様

これについてはノーコメントで。
後に関係するので。

…ってそれを書いたらノーコメントの意味無いですね。
というか、ノーコメントって書いた時点で、ストーリーに関係するなぁってバレますね。

解除

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