異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第5章 ダンジョンに行こう

199 私がボスです!

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「私がボスです!」

そう宣言してきたのは、まさかの目の前にある扉だった。

「では貴方を壊せば良いのですね」
「待って待って! チョット待って!」
「何を待つ必要が?」
「そこの君! 止めてよ!」
「あっ、俺ですか?」
「そう! 君!」
「だってボスなんですよね?」
「事情があるの! 聞かないと損するの!!」

扉は俺に助けを求めてきた。
そして俺には、今までのボスや四天王の言葉の最中に(クロさんが)殺してしまったという罪悪感が。

「……クロさん。話を聞いてあげましょうよ」
「何故です?」
「今までの敵みたいに口上を言う訳でも無さそうですし。
 それに扉だから動けないでしょう? 飽きたらいつでも攻撃出来るじゃないですか」
「……分かりました。貴方に免じて聞いてあげましょう」

良かった。
どうやら説得出来たようだ。

「本当は説明なんか必要無いんだけどなぁ……」
「何やらブツブツ言ってますよ? もう無視しても良いのでは?」
「待ちましょう! 扉さんも早く話を!」

30秒も待てない様子ですよ!
早く!!

「話す! 話すから爪を引っ込めて!
 まず、自分はここのボスです。名前は魔王です」
「名前が魔王!」
「しょうがないでしょ! そう名付けられたんだから!
 で、ここは試練の間です。自分が呼び出すモンスターと戦闘してもらいます」
「貴方を倒せば呼び出す事も出来ないし、通過出来て全て良しでは?」
「試練を受けずに自分を壊すとこの先は20層と繋がってしまい60層には行けなくなります!」

扉ボスが早口で説明をした。クロさんがまた爪を出したのを見たのだろう。

「貴方が管理しているのなら、試練なんか無しで繋げてくれれば良いのです」
「自分は管理してません! そういう決まりになってるの! 改修も出来ません!」
「頼む事は?」
「自分は、ここから動けません! だって扉だもん! 頼みに行く事も出来ません!
 もっと言えば、どこに居るかも知りません! 設置されてから自我が目覚めたので!」

俺が穏便な方法を質問してみたけど、どうやらダメなようだ。
クロさん? 未だに爪を出したまま扉ボスを見てるよ。

「呼び出すモンスターでどれくらいの規模なんですか?」
「強さとか教えられません!」
「あぁ、そうじゃなくて、1回に何匹来るとか、何回続くのかとか、そういう事です」
「う~ん、それくらいも言っちゃあいけないんだけ……ウソです! 言います!
 1回に1匹だけです! それが2回で終了です!」

クロさん、脅さないで。
かなりビビってるから。

「合計2匹倒せば終わるようですよ。そっちと戦ってあげましょうよ」
「時間の無駄ですが……ま、それくらいなら良いでしょう」
「こちらは納得しました」
「ありがとう! 君って良いヤツだね! クリアしたら報酬出すから!」

クロさんを説得した事で報酬が貰えるようになった。
普通は「よくやった。褒美をとらす」とかで出すものではないだろうか?

「じゃあ入ってきた扉の前まで戻って。呼び出すから。
 あっ、ゴングが鳴るから。そしたら戦闘開始ね」
「そのゴングまでに長々と喋るようでしたら殺しますよ?」
「大丈夫! 喋れないから!」

喋らないモンスターが出てくるようだ。

俺達が入ってきた扉の前まで戻ると、中央に黒いモヤが発生した。
それが収縮していき、人間っぽい形になる。
そして、手には銃。……銃?!

「魔王! 銃持ってるぞ!」
「そうだよ! それが何か?!」
「剣と魔法の世界で銃って! それは転生者とか転移者の方が持つ物でしょ!
 そっちの世界のが持っててこっちは持ってないのっておかしくない?!」
「いやいや、君の居た世界にあるモノがこっちの世界に無いって誰が決めたのさ!」

そう言われれば返答のしようがない。
確かにそうかも知れないが、なんか納得出来ないな。モヤモヤする。

そんな気持ちを抱えているとゴングが鳴り響いた。
そして銃持ちの黒いモヤは、銃を撃つ間も無くクロさんに引き裂かれた。
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