《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福

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外伝 センバは続く

幕間 シュハキマセリ 2

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教皇視点


そして、再び訪れた静寂。
陽も完全に落ち、部屋の中は暗い。
もしや私は、もう夢と現実の区別もつかなくなってしまったのか?と思った瞬間だった。

「イチミさーん、起きてるよぅ!」「あ、ほんとだ」「こんばんわ!」「元気ぃ?じゃないよね!」

ベットの縁に現れた小さな影達。
なんの気配も感じずに現れた影達に息をのむ。
既にお迎えは遠くないと覚悟を決めていたはずなのに、いざ、得体の知れない出来事に恐怖は感じるらしい。

ゴンゴンゴンゴン!!

「「「「いっっっっっってぇぇ!!!」」」」

「おっまえらぁ…!」
大人の影が現れ、小さな影にゲンコツを落としていくと、小さな影達はベットの縁から沈んでいった。


…うむ。
どうやら現実に、私の部屋に陽気な者達が来ているようだ?


「えっと、こんばんわ。教皇さんで間違いない?」

別の大人に抱っこされた幼子が私に話しかけてくる。

「ぁぁ…」

しばらく出していなかった声は、かすれて小さかったが、ちゃんと聞こえていただろうか。

「あのね、私達、貴方が死んだら喜ぶ人達に利用されそうになってるの。
ん?すでに半分利用されてるのかしら?
だからね、貴方を治す事にしました!早く元気になって、私達をセンバに帰す手助けしてね!」

…は?
センバだと?!センバに手を出したのか?!アホじゃないか?!

「ぃ、ん"ん"ん"、いやしかし、私を治しても後ろ楯がないんだ。実家からの献金が止まって、皆、手のひらを返したんだ。
私1人では、ゲホッゲホッ」

ああ、いきなり一気にしゃべったせいで咳き込んでしまった。
すると、ゲンコツを落としていた大人が、私を横向きにして背中をさすってくれた。
ああ、涙が滲むのは咳のせいか、人の優しさのせいか。

「ごめんなさい、お身体辛いのにしゃべらせて。とりあえず、ママの作った栄養剤は世界一だから。
これ飲んで、今後のお話しましょう」

うむ。
大人が2人も居るのに、何故、幼子が話をすすめるのじゃろうな?

そんな事を思ってる間に、上半身は起こされ、枕を背中に、口元に小瓶が押し当てられた。

「うむ。もしこれが毒でも、そなたらに最後を看取って貰えるなら本望じゃろうなぁ」
最後、なかなかに楽しかったの。

「あらまぁ、どうしましょう。引導を渡しに来たと思われてる感じ?」
幼子の困惑した声が聞こえる。

「ああー、まぁ、確かに。
得体の知れない人物が押し掛けてきて、いきなり何か飲ませようとしたら、暗殺も考えらる立場のお人ではありますもんねぇ」
私の口元に当てられていた小瓶が遠ざかり、介助していた人物が幼子に言う。

「んー、じゃぁ、教皇様は敬虔な信者なのよね!
もし信じて貰えなかった時のために私が来たようなものだから!
はーい、今から、神様をお呼びしまぁす!
あのね、去年の12月24日に、ママが〝クリスマスには天使よねぇ。私もチィちゃんみたいにおむつ様呼べないかしら?〞って、お歌を歌ったのよ。それが楽しくて私もママと一緒に歌ったの!
そしたらね、武神様が、ぺっかーん!って一瞬だけど来てくれたのよ!」

暗闇になれてきた目に、幼子が抱っこ状態で胸を張っているのがわかる。

「ああ!あれ!」「夜にいきなり空が光ってさぁ!」「武神様のマッチョポーズ浮かび上がって!カッコよかったな!」「ユーディリア奥様とアンジュ様が呼んだの?」

…はい?

「なので、今日はママがいないけど、アンジュが心を込めて歌います!
短いお歌だから、みんなも一緒に歌いましょう!!」

「隠密行動も何もあったもんじゃない…」
介助してくれとる男のつぶやきは、私にはちゃんと聞こえとるぞ。

「いくわよぉ

もろびぃとこぞぉりてぇ~ シュワ キマセりぃ シュワ キマセりぃ シュワァァ シュワァァ キマセりぃ♪

ハイ!」

「「「「シュワワァァシュワワワワ キマセりぃ♪」」」」

「皆、良い感じ、その調子ぃ!さぁ、声を揃えて歌いましょう!」
小さな影達は手を繋いで、その手を振りながら調子を取って楽しげに歌っている。

表情など暗くて何も見えないが、笑顔がわかる。
ああ、なんて優しく暖かいんだ。

頬に手が触れられた。
どうも涙が出ていたようだ。

「まぁ、早々神様は来ないと思いますが。良い子達でしょう?
信じて貰えました?
どうです、この騒動が終わったら、引退してセンバに来ませんか?」
介助してくれてる人間も、きっと穏やかな笑顔な事だろう。

「ぁぁ、その小瓶の中身、頂こう。素晴らしい晩年になりそうだ」

そう、つぶやいた瞬間だった。


キラキラと明るい光が降ってきた。


「ちょっとおチビちゃん!言葉がちゃんと言えるようになっても、意味がわかってなきゃ、ダメだからね?!」


神々しいお姿が現れた。
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