36 / 75
海のダンジョンへ
しおりを挟む
海人君が作ってくれた魔道具は、その名も迷子札!
…いや、もっとましな名前考えようよ…
だけど、驚くべき効果がある。ステータス画面で、札の位置が確認出来るのだ。
その為の付与は私がやったけど、これがあれば広いダンジョンではぐれても位置を把握出来る。
私からしたら、従魔であるタマ達の位置は感覚で分かるんだけど、流石に海人君は分からない。それに階層の広さに定評のあるダンジョンらしいから、あれば便利だろう。
でも、海人君が念話を覚えた方が確実な気がする。
それを言ったら、口を尖らせて、努力すると呟いていた。
「とにかく、ありがとう。これならキーホルダーとして付けておけばいいしね」
「…けど、念話か…そっちの方が確実だな。ってか、スマホあるじゃん」
「タマ達はスマホ持ってないよ?」
「それは、美優ちゃんが側にいるから…手を借りたい時は美優ちゃんに言えば」
「全力を発揮させてあげられないのが可哀想だけど、それなりに強いはずだから」
「確かに、妖怪の姿は見せたくないよね」
普通の犬や猫だと思わせておいた方がいい。
お弁当も持って、いよいよ出発だ。
楽し気な音楽を背に、ダンジョンに入る列に並ぶ。タマもポチも、しっかりリードで繋いでいる。
(このあたしをリードで繋ぐなんて…!)
(ごめんね?タマ。ある程度人がばらけたら外すから)
(ピヨちゃんは繋がないの?)
(鶏だし、平気かな…って)
それに、繋ぎようがない。
みんな私達を見て、何か言いたげにしてたけど、結局声をかけられる事はなかった。
こういう所は田舎と違う所だ。
今では慣れたからか、何も言われなくなったけど、前は近所の人とかによく心配された。
外の見かけはコンクリートの小屋。元はトイレだったらしい。でも一歩中に入るとダンジョンで、入り口からは想像もつかない程広い。
その広いフロアには、一面にワカメが生えている。
そして、進もうとすると、ワカメが足に絡んで足を取られる。
美優は鎌を出して、ワカメを狩り取る。
でも、手元に残るのは明らかに少ない。
ダンジョンでは魔物一匹狩っても、残るのは本当に一部だもんね。
海人君は槌で叩いている。どうやらそれでも残るのは同じ位のワカメのようだ。
「サクサク行こう?今日中には2階層に行きたいし」
「分かってるよ」
なかなか前に進めない。足を取られて転ぶし、濡れるのが嫌なタマを抱っこしながらだけど、私が転ぶと海人君の方に逃げて行く。
ここから先、海水で満たされたエリアもあるのに、この調子だと不安だ。
「しかし広いな…」
「そうだね。東京ドームと同じ位だっけ?行った事はないけど」
その一面にワカメが生えてて採り放題なんだよね…多少減ってもちょっといるだけで、かなりの量が確保出来る。
ワカメなら、味噌汁にサラダ。色々利用出来るから、無駄にはならない。
うわ…また濡れた。
「お前…ドジっ子でも目指してるのか?」
「酷い!絡みつかれる前に足を上げればいいって分かっていても、間に合わないんだよ」
言いつつ、ドライで服を乾かす。
「何とかするスキルとか持ってないのか?このペースだと、夕方までに魔法石を触れなくなる」
そんな事になったら一大事だ。勿論、そんなダンジョンだからポツポツとセーフティエリアがある。
冒険者の書でも、そこで一泊するのを推奨してる。
攻略が難関な所や、大変な所のダンジョンランキングにも常に載っているだけはある。
1日で1階層進むのが難しいと、休日だけダンジョンに潜れる人には攻略が難しい。
私達だってそうだ。無断外泊が許される年齢じゃないからね。更にはバレない為に、夕ご飯までには戻らないとならない。
「大体の方角が分かるからって、魔法で焼いて通路を作る訳にもいかないし」
「無人だったらいいけど、都会のダンジョンではあり得ないからな」
「やっぱり、亜空間にお泊まりするって説得してみる?」
「いいけど、今日はもう無理じゃん?しかも半分以上は来てるんだから、どうにか魔法石にまで辿り着いた方が早い」
今日は見通しが甘かった。予想よりもワカメの拘束が厄介で、先に進めない。
「…あ、結界で橋を作ればいいんだ」
ちょっとズルいけど、今日の所は仕方ない。
大体の方角は分かるし、誰かとぶつかる前には分かる。
「おー!いいな。余裕で1階層はクリア出来そうだ」
なんて、私も同じ事思ったけど、甘かった。
結界って攻撃を逸らす効果もあるから超すべるのだ。
案の定転びまくったけど、ワカメに邪魔されてた時よりはやっぱり速い。どうにか夕方までには魔法石に触れる事が出来た。
「明日はもっと、早い時間に来ようぜ」
「でも、お弁当が…お昼に戻らない為には、その準備がないと」
「あー…ならコンビニは?夕ご飯終わった後でもちょっと行って貰うとか」
「え?夜にはもう閉まっているよ?」
「は?…だって、コンビニだろ?」
「商店街のお店よりは長く開いてるけど、夜はやってないよ?」
「うぐぐ…田舎のコンビニ恐るべし」
「それに、コンビニにはゲート開いてないし。ここには内緒で来てるんだから、もっとましな言い訳考えないと」
…いや、もっとましな名前考えようよ…
だけど、驚くべき効果がある。ステータス画面で、札の位置が確認出来るのだ。
その為の付与は私がやったけど、これがあれば広いダンジョンではぐれても位置を把握出来る。
私からしたら、従魔であるタマ達の位置は感覚で分かるんだけど、流石に海人君は分からない。それに階層の広さに定評のあるダンジョンらしいから、あれば便利だろう。
でも、海人君が念話を覚えた方が確実な気がする。
それを言ったら、口を尖らせて、努力すると呟いていた。
「とにかく、ありがとう。これならキーホルダーとして付けておけばいいしね」
「…けど、念話か…そっちの方が確実だな。ってか、スマホあるじゃん」
「タマ達はスマホ持ってないよ?」
「それは、美優ちゃんが側にいるから…手を借りたい時は美優ちゃんに言えば」
「全力を発揮させてあげられないのが可哀想だけど、それなりに強いはずだから」
「確かに、妖怪の姿は見せたくないよね」
普通の犬や猫だと思わせておいた方がいい。
お弁当も持って、いよいよ出発だ。
楽し気な音楽を背に、ダンジョンに入る列に並ぶ。タマもポチも、しっかりリードで繋いでいる。
(このあたしをリードで繋ぐなんて…!)
(ごめんね?タマ。ある程度人がばらけたら外すから)
(ピヨちゃんは繋がないの?)
(鶏だし、平気かな…って)
それに、繋ぎようがない。
みんな私達を見て、何か言いたげにしてたけど、結局声をかけられる事はなかった。
こういう所は田舎と違う所だ。
今では慣れたからか、何も言われなくなったけど、前は近所の人とかによく心配された。
外の見かけはコンクリートの小屋。元はトイレだったらしい。でも一歩中に入るとダンジョンで、入り口からは想像もつかない程広い。
その広いフロアには、一面にワカメが生えている。
そして、進もうとすると、ワカメが足に絡んで足を取られる。
美優は鎌を出して、ワカメを狩り取る。
でも、手元に残るのは明らかに少ない。
ダンジョンでは魔物一匹狩っても、残るのは本当に一部だもんね。
海人君は槌で叩いている。どうやらそれでも残るのは同じ位のワカメのようだ。
「サクサク行こう?今日中には2階層に行きたいし」
「分かってるよ」
なかなか前に進めない。足を取られて転ぶし、濡れるのが嫌なタマを抱っこしながらだけど、私が転ぶと海人君の方に逃げて行く。
ここから先、海水で満たされたエリアもあるのに、この調子だと不安だ。
「しかし広いな…」
「そうだね。東京ドームと同じ位だっけ?行った事はないけど」
その一面にワカメが生えてて採り放題なんだよね…多少減ってもちょっといるだけで、かなりの量が確保出来る。
ワカメなら、味噌汁にサラダ。色々利用出来るから、無駄にはならない。
うわ…また濡れた。
「お前…ドジっ子でも目指してるのか?」
「酷い!絡みつかれる前に足を上げればいいって分かっていても、間に合わないんだよ」
言いつつ、ドライで服を乾かす。
「何とかするスキルとか持ってないのか?このペースだと、夕方までに魔法石を触れなくなる」
そんな事になったら一大事だ。勿論、そんなダンジョンだからポツポツとセーフティエリアがある。
冒険者の書でも、そこで一泊するのを推奨してる。
攻略が難関な所や、大変な所のダンジョンランキングにも常に載っているだけはある。
1日で1階層進むのが難しいと、休日だけダンジョンに潜れる人には攻略が難しい。
私達だってそうだ。無断外泊が許される年齢じゃないからね。更にはバレない為に、夕ご飯までには戻らないとならない。
「大体の方角が分かるからって、魔法で焼いて通路を作る訳にもいかないし」
「無人だったらいいけど、都会のダンジョンではあり得ないからな」
「やっぱり、亜空間にお泊まりするって説得してみる?」
「いいけど、今日はもう無理じゃん?しかも半分以上は来てるんだから、どうにか魔法石にまで辿り着いた方が早い」
今日は見通しが甘かった。予想よりもワカメの拘束が厄介で、先に進めない。
「…あ、結界で橋を作ればいいんだ」
ちょっとズルいけど、今日の所は仕方ない。
大体の方角は分かるし、誰かとぶつかる前には分かる。
「おー!いいな。余裕で1階層はクリア出来そうだ」
なんて、私も同じ事思ったけど、甘かった。
結界って攻撃を逸らす効果もあるから超すべるのだ。
案の定転びまくったけど、ワカメに邪魔されてた時よりはやっぱり速い。どうにか夕方までには魔法石に触れる事が出来た。
「明日はもっと、早い時間に来ようぜ」
「でも、お弁当が…お昼に戻らない為には、その準備がないと」
「あー…ならコンビニは?夕ご飯終わった後でもちょっと行って貰うとか」
「え?夜にはもう閉まっているよ?」
「は?…だって、コンビニだろ?」
「商店街のお店よりは長く開いてるけど、夜はやってないよ?」
「うぐぐ…田舎のコンビニ恐るべし」
「それに、コンビニにはゲート開いてないし。ここには内緒で来てるんだから、もっとましな言い訳考えないと」
81
あなたにおすすめの小説
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~
九頭七尾
ファンタジー
子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。
女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。
「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」
「その願い叶えて差し上げましょう!」
「えっ、いいの?」
転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。
「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」
思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。
ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜
ことりとりとん
ファンタジー
ゲームっぽいシステム満載の異世界に突然呼ばれたので、のんびり生産ライフを送るつもりが……
この世界の文明レベル、低すぎじゃない!?
私はそんなに凄い人じゃないんですけど!
スキルに頼りすぎて上手くいってない世界で、いつの間にか英雄扱いされてますが、気にせず自分のペースで生きようと思います!
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる