私が聖女でした。〜侍女扱いされた本物の聖女がハッピーエンドを迎える話〜

井上 佳

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第6話

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 リリアーナは完璧な聖女だ。

 美しく、優雅で、民衆から慕われている。
 彼女が隣にいれば、王国の未来は安泰だと、俺はずっと信じていた。
 父王も、宰相も、皆がリリアーナを称賛している。
 俺の判断は正しかったはずだ。

 だが——

「殿下、ルーカス騎士団長が最近、あの侍女の娘を……」

 側近の報告に、俺は眉をひそめた。

「セレスティアを?」
「はい。妙に気にかけているようです」

 ルーカスは忠実な騎士だったはずだ。
 それが最近、俺の命令に疑問を挟むようになった。

 あの侍女——セレスティアを、庇うような態度を取る。

「それと、エドガー研究員が聖力について調査を……」
「何を調べている?」
「詳細は不明ですが、聖女に関する研究だと」

 不安が胸に広がる。
 もしリリアーナに何か問題があれば——

 いや、そんなはずはない。
 彼女の奇跡は本物だ。この目で何度も見てきた。

 でも、もし万が一——

「殿下?」
「……何でもない」

 セレスティアを軽んじたことが、間違いだったとしたら?

 いや、考えたくない。

 俺は王子だ。国の将来を背負う立場だ。
 一度下した判断を、簡単に覆すわけにはいかない。

 リリアーナは聖女だ。
 それ以外の可能性は、認めるわけにはいかない。
 認めてしまったら——

 俺の立場が、俺の判断が、全て間違いだったことになってしまう。

 窓の外では、夜の王都が静かに眠っていた。

 でも、俺の心は休まらなかった。
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