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第7話
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疫病が、王都を襲った。
最初は貧民街で数人が倒れただけだった。
でも、あっという間に広がって——一週間で数百人が床に伏せた。
「聖女様!どうか民をお救いください!」
民衆がリリアーナ様の元に押し寄せた。
「もちろんです。私が皆さんを癒しましょう」
リリアーナ様は広場の中央に立ち、華やかに両手を掲げた。
光の柱が空に伸び、民衆は歓声を上げた。
「ありがとうございます、聖女様!」
でも——
その夜。
私がこっそり貧民街を訪れると、治ったはずの人たちが苦しそうに横たわっていた。
「おかしい……リリアーナ様の治癒を受けたのに……」
老婆が弱々しく呟いた。
……リリアーナ様の"奇跡"は、ただの見せかけ。
「大丈夫ですか?」
私は老婆の手を取り、そっと聖力を込めた。
淡い銀色の光が、手のひらから溢れる。
温かな光。
老婆の顔色が、ゆっくりと良くなっていく。
「ああ……楽になった。ありがとう、お嬢さん」
「いえ、当然のことです」
一人、また一人。
私は夜通し、貧民街を回った。
子供、老人、病に苦しむ人たち。
一人ひとりに、聖力を込めて癒していく。
頭が痛くなった。
視界がぼやける。
でも、まだ苦しんでいる人がいる。
止まるわけにはいかない。
「……もう少し……」
最後の一人を癒し終えた時、膝が崩れた。
「セレスティア!」
誰かが私を支えてくれた。
ルーカス様だった。
「無理をするな。君一人で全員を救う必要はない」
「でも……私が……」
「休め。君が倒れたら、誰が彼らを救うんだ」
ルーカス様の腕の中で、涙が溢れた。
「私……役立たずで……聖女様にもなれなくて……でも、何もしないなんて……」
「違う」
ルーカス様は優しく、でも強く言った。
「君こそが本物の聖女だ。俺はそう信じている」
その言葉が、どれほど嬉しかったか。
初めて、誰かに認められた。
必要とされた。
疲れ果てた体で、私はルーカス様の肩に頭を預けた。
「ありがとう、ございます……」
夜明けの空が、少しずつ明るくなっていくのが見えた。
それは、希望の色に似ていた。
最初は貧民街で数人が倒れただけだった。
でも、あっという間に広がって——一週間で数百人が床に伏せた。
「聖女様!どうか民をお救いください!」
民衆がリリアーナ様の元に押し寄せた。
「もちろんです。私が皆さんを癒しましょう」
リリアーナ様は広場の中央に立ち、華やかに両手を掲げた。
光の柱が空に伸び、民衆は歓声を上げた。
「ありがとうございます、聖女様!」
でも——
その夜。
私がこっそり貧民街を訪れると、治ったはずの人たちが苦しそうに横たわっていた。
「おかしい……リリアーナ様の治癒を受けたのに……」
老婆が弱々しく呟いた。
……リリアーナ様の"奇跡"は、ただの見せかけ。
「大丈夫ですか?」
私は老婆の手を取り、そっと聖力を込めた。
淡い銀色の光が、手のひらから溢れる。
温かな光。
老婆の顔色が、ゆっくりと良くなっていく。
「ああ……楽になった。ありがとう、お嬢さん」
「いえ、当然のことです」
一人、また一人。
私は夜通し、貧民街を回った。
子供、老人、病に苦しむ人たち。
一人ひとりに、聖力を込めて癒していく。
頭が痛くなった。
視界がぼやける。
でも、まだ苦しんでいる人がいる。
止まるわけにはいかない。
「……もう少し……」
最後の一人を癒し終えた時、膝が崩れた。
「セレスティア!」
誰かが私を支えてくれた。
ルーカス様だった。
「無理をするな。君一人で全員を救う必要はない」
「でも……私が……」
「休め。君が倒れたら、誰が彼らを救うんだ」
ルーカス様の腕の中で、涙が溢れた。
「私……役立たずで……聖女様にもなれなくて……でも、何もしないなんて……」
「違う」
ルーカス様は優しく、でも強く言った。
「君こそが本物の聖女だ。俺はそう信じている」
その言葉が、どれほど嬉しかったか。
初めて、誰かに認められた。
必要とされた。
疲れ果てた体で、私はルーカス様の肩に頭を預けた。
「ありがとう、ございます……」
夜明けの空が、少しずつ明るくなっていくのが見えた。
それは、希望の色に似ていた。
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