私が聖女でした。〜侍女扱いされた本物の聖女がハッピーエンドを迎える話〜

井上 佳

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第9話

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 研究院の地下書庫で、俺はついに見つけた。

 古代の魔道具に関する文献——「偽りの聖杯」の記録。

 外見はペンダント型。
 装着者の微弱な聖力を何十倍にも増幅し、派手な光の演出を可能にする。

 だが、実際の治癒効果はゼロ。
 見せかけだけの奇跡。

「これだ」

 リリアーナが祈祷式で首元に着けているペンダント——あれと完全に一致する。

 もう一つのデータを確認する。
 セレスティアの聖力測定結果。
 通常の測定器では測定不能と出たが、俺の精密測定器では8700以上。
 しかも純度99.9%。
 測定器が彼女の純粋すぎる波長を読み取れなかったのは、もはや疑いようがない。

「真実を公にすべきか……」

 だが、これを公表すれば王国は大混乱になる。
 国中が崇める聖女が偽物で、軽んじていた侍女が本物だったなんて。

 アレクシス殿下の面子も潰れる。
 政治的な影響は計り知れない。

「だが、嘘のまま放置することはできない」

 科学者として、真実を曲げることは許されない。
 報告書をまとめ、ルーカスに連絡を取った。

「ルーカス、証拠が揃った。殿下に真実を伝える」
「分かった。俺も同行する」


 翌日。
 俺たちは殿下の執務室に報告書を提出した。

「殿下、リリアーナの聖力は魔道具によるものです。セレスティアこそが真の聖女です」

 報告書には、全てのデータと証拠写真が記載されている。

 だが——

「貴様ら、何を言っている!」

 殿下の顔が真っ赤になった。

「リリアーナを貶めるつもりか!この報告書は捏造だ!」
「アレクシス聞いてくれ!これは科学的な——」
「黙れ!」

 殿下は報告書を床に投げ捨てた。

「私はリリアーナを信じる。貴様らの戯言など聞きたくない!もう一度このような報告を上げれば、職務を剥奪する。分かったか!」

 執務室を出た後、ルーカスが低く呟いた。

「殿下は……真実よりも、自分の判断が正しかったことを望んでいる」
「ああ」

 俺はため息をついた。

「だが、俺たちは諦めない」

 真実は必ず明らかになる。
 それがいつになるかは分からないが——

 俺は科学者として、ルーカスは騎士として。
 セレスティアを守り抜く。
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