【完結】純血の姫と誓約の騎士たち〜紅き契約と滅びの呪い〜

来栖れいな

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第二章:4騎士との出会い

第4話・ヴィクトル・エーベルヴァインとの出会い

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——それは、100年の孤独の果てに訪れた出会いだった。

ルナフィエラの隠れ家である古びた城。
紅き月が近づくにつれ、彼女の魔力は不安定になり、その影響が周囲へと静かに広がっていた。

その影響で、ついに「彼」が彼女のもとへ辿り着いたのだった——。


ルナフィエラは、胸騒ぎを覚えて目を覚ました。
城の外で、微かな足音が響いている。

(……誰かがいる)

100年間、誰にも見つからなかったはずのこの場所に、侵入者がいる。
血を求める者か、あるいは——。

彼女は震える足で慎重に扉へと向かう。

そして、扉を開けた瞬間、そこにいたのは——。

黒髪の騎士。紅い瞳のヴァンパイア。

冷たい月明かりの下、彼は静かに佇んでいた。

長い黒の外套を翻し、鋭く整った顔立ち。
その目が彼女を映した瞬間、時間が止まったような錯覚を覚えた。

「——見つけた」

彼は、まるでずっと待ち望んでいたものを目の前にしたかのように、低く囁いた。


「……あなたは?」

ルナフィエラが警戒するように問いかけると、彼はゆっくりと膝をつき、右手を胸に当てた。

「ヴィクトル・エーベルヴァイン」
「私は、ヴァンパイア王家に仕える騎士——そして、ルナフィエラ様を探し続けていた者です」

「……私を?」

彼は静かに頷いた。

「100年前、王家が滅びた夜——私は、生き残る価値のない存在となった」
「ですが、最後の主を探し出し、再びお守りする。それこそが、私に残された唯一の使命」

その声には、100年の時を超えた執念と、揺るぎない忠誠が滲んでいた。

「私はようやく、貴女のもとへ辿り着いた」
「——どうか、私に仕えることをお許しください」

そう言って、彼はルナフィエラの手を取り、ゆっくりと口づけを落とした。

まるで、長年求め続けた至宝に触れるように、慎重で、そして慈しむように。


ルナフィエラは、彼の紅い瞳を見つめながら、言葉を失っていた。

(この人は……本当に、私を探していた?)

100年前の悲劇からそのほとんどを、ひとりで生きてきた。
ヴァンパイア王家の滅亡後、自分が生きている意味を見いだせなかった。

そんな彼女に、「貴女を探し続けた者がいる」と言われたのだ。

「……私は、ヴァンパイアの王家としての役目も、覚醒する力も持たない」
「あなたが求めていたものは、こんな……」

「いいえ」

ヴィクトルの声が、ルナフィエラの言葉を遮る。

「私が探していたのは、ただ“貴女”という存在です」

「王家の血も、純血種の覚醒も関係ない。貴女が生きている——それだけで、私の使命は果たされる」

「だから、どうか。もう二度と、貴女をひとりにはしない」

彼の言葉が、ルナフィエラの胸の奥を震わせた。

(……ずっと、一人ではなかったの?)


「……私は、あなたを信じてもいいの?」

「誓います」

ヴィクトルは迷いなく答えた。

「この命に代えても、貴女をお守りすると」

彼の言葉に、ルナフィエラは戸惑いながらも、そっと目を伏せる。

彼の手の温もりが、確かに自分を現実へと繋ぎ止めているようで——。

彼女の長い孤独は、この瞬間、静かに終わりを告げた。
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