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顔合わせ
しおりを挟むアシル様のご子息である公爵が、領地運営をしているアシル様の妻に何を求めるか口にしたが、私には理解ができなかった。
私「何故私が領地運営者を支えなければならないのでしょう」
公「どういう意味かな?君は父の後妻となるのだろう」
私「はい。隠居をしたアシル様の妻です。
領地運営者としてのアシル様を支えるための縁談なら、私は選ばれることはありません」
公「……じゃあ父と婚姻して何を?」
私「アシル様と穏やかに暮らします」
ド「それじゃ愛人じゃないか」
ア「ドナルド!」
私「愛人ですか?嬉しい響きですわ。アシル様が私のことを愛でてくださるということですよね」
公「どうやら我々とズレがあるようだ。
父の伴侶は後妻といえども、社交をこなし領地でしっかりと切り盛りしてくれる女性でないと相応しいとは言えない」
ア「ブノワ!」
父「イリザス家は最初から条件を伝えていましたし、アシル様もその様な女性を求めていなかったはずですが?」
公「言わずとも当然だと思いますが」
ア「ブノワ。私の妻は私が決める」
そこで私は手を挙げた。
私「あの。よく分からないのですが、領地のことをなさるのは公爵の役割の一つで、だとすると、仰っているような役割を任されるのは公爵夫人ではありませんか?相応しいと思う方を娶られたのですよね。
何故、爵位を渡して隠居なさったアシル様が領地で働いているのでしょうか。何故後妻に役目を任せようとするのでしょうか。
もし私がその役目をこなせたら、女主人は私になってしまうと思うのです」
公「 !! 」
エ「……」
ア「まあ、そうだな」
私「それっておかしいですよね?もしかして私が間違っていますか?
公爵家の女主人なんて大役があるなら私はアシル様の後妻になりたいなどと言いませんので破談にさせてください」
父「ハハハッ!申し訳ありません。
サラはこの通り、直球が故に貴族の社交に向かないので引退なさった方を探したのです」
母「どうしてサラだけこうなったのかしら」
兄「貴族社会には向かないかもしれませんがサラの長所だと私は思います。考えていることが丸分かりで陰湿なところがありませんからね」
ア「サラの言う通りだな。その件については私が解決しておこう。サラは私と楽しく過ごせばいいのだよ」
私「はい、アシル様。 記録に残るくらい元気に長生きしてくださいね」
ア「サラを残して死ぬのは心残りだから健康に気遣うようにするよ」
一応、顔合わせはこれで終了した。
もしかして失敗した?
屋敷に戻り居間でくつろいだ。
母「もう。サラったら」
父「いや、よく言った。それで破談になるなら構わん」
兄「サラの面倒は見るから嫁げなくても構わないよ。 しかし、公爵夫妻のあの顔」
父「面白かったな。なかなかお目にかかれないぞ」
母「冷や汗かきましたわ」
父「アシル様は乗り気のようだから、公爵家がどう動くか楽しみだな」
二日後、アシル様がイリザス邸に訪ねてきた。
ア「先日は不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」
父「こちらこそ、我儘な縁談を申し込みました」
ア「サラ。住まいを引っ越すことにした。サルファール領内の小さな屋敷だが、そこで一緒に暮らさないか。改装して整え終わる頃には婚姻だ。どうだろう」
私「ご家族の方は…」
ア「問題ないさ」
私「よろしくお願いします」
こうして100日の婚約期間を終えて王都で式を挙げてサルファール領に移り住んだ。
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