【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ

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今度こそ

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新居に移って9日、この町でもいいのかなと思っていた頃にオーブの使いの方が訪ねてきた。

「支店長より代理権を預かって参りました、セドリックと申します」

「ミリアと申します。皆様にはお世話になっております」

「屋敷が売れましたので、お金を届けに参りました。手数料は引かせていただいております」

「早かったのですね」

「パルフェール子爵様が直ぐ購入なさいました」

「そう…」

「支店までいらして、ミリア様とルカス様を何処へやったと詰問なさいました。もちろん場所を知らせるような事はしておりません」

「ご迷惑をおかけしたようですね、ありがとうございました」

「ご不便はございませんか?」

「ありませんわ。ここもいい町ですし、そろそろ売り物件を探そうと思います」

「希望なさればこの屋敷を買い取ることも可能です。
他の物件を含めて次回は資料をお持ちします」

「でも、こんなに遠くまで申し訳ないです。こちらで探してみますわ」

「いえ、これもオーブの利益のためですので、どうかご贔屓にお願いいたします」

「私では大した利益にはなりませんわよ?」

「支店長の目に狂いはございません」

「なら、私が出来る事はオーブの宣伝ですね。
貴族社会からは追い出されてしまいましたが、平民社会で頑張ってみますわ」

「その時は、私をミリア様の担当にさせてください」

「ふふっ」



再出発に希望が持てた。後はまた、私に似た子が産まれてくれたらと思っていた。
だけど 数日後に現れたのは…

「パパ!」

「ルカス!!」

子爵様が膝を付き、駆け寄るルカスを抱きしめた。

「パパ、会いたかった」

「私もルカスに会えなくて辛かった」

胸が痛い。ルカスが懐いているから尚のこと。

「サリー、ルカスと居てくれないか。ミリアと2人で話がしたい」

サリーは私を見た。

「お願い、サリー」

「かしこまりました」

町で買い物中に見つかってしまった。

サリーはルカスを連れて直ぐそばにある菓子店へ。
私は彼の馬車に乗った。

「子爵様、お別れをしたはずですが」

「“領主様”でもなくなったのだな」

「引っ越しましたので、その方がいいかと思いました」

「だが、クリスと呼んで欲しい。君は私の妻なのだから」

「はい?」

「私はミリアを妻にする。絶対にだ」

「私はもう平民ですし、」

「なら拒否権は無いだろう、普通の平民は領主に求められたら拒否という選択肢を持たない。違うか?」

「……」

「君の心を待つつもりだったが、もう悠長なことを言うのは止めた。子爵邸に帰るぞ」

「私の帰る場所ではありません」

「胎の子は私の子だ。子爵家の子を宿して逃げれば罪に問われるぞ」

「え?」

「私の子を孕んでくれたのだろう?」

「…本気でそう思っていらっしゃるのですか、それとも意地悪ですか」

「胎の子はクリストフ・パルフェールの血を引く子だ。間違いない。
君は私と交際をしておきながら他の男に体を許す女ではないし、私との交わりに満足していたはずだ。あれだけ濡れて乱れれば、」

「分かりました!分かりましたから!」

「ルカスは私の子だ。血の繋がりは無いが魂の繋がりを感じる。引き離されてこれだけ胸を痛める子供などルカスしかいない。ルカスだって私を迷うことなくパパと呼んで抱き付いて来るだろう?実子として届け出たいが、それをしたらミリアの不貞を認めたことになる。だから養子で我慢する」

「はい」

「何故 言ってくれなかった」

「もし、愛するクリス様に“私の子ではない”と言われたら、もう立ち直れません。
貴方は自分に子を作ることはできないと確信していましたから、信じてもらえないと思ったのです」

「思い込んでいたが違った。ミリアが奇跡を起こしてくれたんだ。愛するミリアが私を2人の子の父親にしてくれる。ありがとう ミリア」

彼は私の頭にキスをしながら下腹部を撫でた。


戻って来たルカス達と借家に戻り、クリス様以外は宿に泊まった。
彼はルカスを寝かし付けて私のベッドに潜り込んだが、私の下腹部を優しく撫でて、耳を当てて音を聞いたりしながら話しかけていた。

「パパだよ。ママをつかまえたから もう大丈夫だ。10ヶ月になったらママを困らせないように出てくるんだぞ。出て来たら沢山抱っこして沢山遊んでやるからな。お兄ちゃんもいるぞ」

「ふふっ」

「ママの笑い声が聞こえるか?そろそろ名前を考えておかないとな」

相当嬉しいのね。

「クリス様、ありがとうございます」

「私の方こそ感謝している。本当にありがとう」


翌日、荷馬車が手配され荷物が詰め込まれた。
ルカスはクリス様に質問をし始めた。

「パパのお家に行くの?」

「そうだよ。もう二度とママに逃げられないようにしないとな」

「ずっとパパと一緒にいられる?」

「ずっと一緒だ」

「一緒に寝てくれる?」

「眠りにつくまで絵本を読んであげるよ」

「ママは泣かない?」

「ママはもう嬉し泣きしかしない」

最初からクリス様の妻が良かったと心から思った。

クリス様に抱っこされてルカスが馬車に乗った。
私も乗り込み、サリー達も別の馬車に乗った。

ゆっくり進むのはお腹の子のためだろう。



数日後、やっとパルフェール領に到着し子爵邸の門を通過した。停車すると使用人達が出迎えてくれた。既に泣いてハンカチで拭っている人が何人もいるし、ハンドフラッグまで作って振っている。
あれはもしかしてクリス様のご両親かしら。男性は車椅子に乗っていた。

ク「父のリオネルと母のフローラだ。こちらはミリアとルカスです」

私「初めまして。ミリアと申します。どうぞ宜しくお願いいたします」

ル「初めまして。長男ルカスと申します」

フ「あらあら」

リ「ようこそパルフェールへ」

フ「先ずは身体を休めないと。気分はどうかしら。悪阻はあるの?」

私「悪阻はありません」

フ「それはラッキーね。彼女はメイド長のシンシアよ、お部屋に案内して差し上げて」

ク「母上、ミリアとルカスは私が連れて行きます。
ルカス」

クリス様がルカスを呼ぶと ルカスは両腕をあげ、抱っこされるとクリス様にピッタリくっついた。

リ「もうすっかり父親なのだな」

ク「そうですよ。私の息子です。
さあ、行こう。ママは休ませて、ルカスはパパとかくれんぼしよう」

ル「いいよ。僕が勝ったら絵本は2冊にしてね」

ク「じゃあ、パパが勝ったらルカスがパパに絵本を読んでくれるか?」

ル「うん!」

ルカスはクリス様に任せて 私はお腹の子のために休むことにした。
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