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何があったのか
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クリスは夫婦の寝室に私を連れて来て、メイドにあれこれ指示を出すとルカスを連れて遊びに行ってしまった。
ベッドに横になると長旅の疲れを感じた。
気が付くと真っ暗だった。私の側で眠るのはクリス様だと疑わない私は 彼の胸に触れた。
『誰が触れていいと言った』
身体が硬直し、手を引っ込めた。
『あ…』
『いつまでも痛いフリなどしやがって。興醒めだ』
声の主はレイモンド様だ。夫だった頃の…
『本当に痛いのです』
『それが本当だとしたら自分で準備をすればいいだろう。そこに潤滑油があるのだから』
『……』
『もう1年だぞ?孕むことができないのなら、文句など言っていないで夫を楽しませたらどうだ』
『……』
『カレンとは大違いだな』
『申し訳ございません』
『誰か!こいつを水風呂に入れてやれ!』
『冬は…冬は止めてください』
『孕んだら湯にしてやるよ』
『嫌!止めて!』
誰かが私を揺すっている。
「ミリア、大丈夫か」
「……」
「怖い夢を見たのだな。大丈夫、私が居るからな」
「はい」
優しくしっかりと抱きしめられ、夢だったと認識した。久しぶりにあの頃の記憶が夢に出てしまった。
環境の変化のせいか旅疲れのせいか…もう忘れたいのに。
「ルカスは?」
「遊び疲れて眠ったよ」
「ありがとうございます」
「食事を持って来させようか」
今は夜中なのだろう。
「できればクリス様と繋がりたいです」
「だが、胎の子が…」
「優しくしてくださるでしょう?怖い夢を忘れたいのです」
「ミリア」
クリス様は いつもよりも更に優しく抱いて快楽を与えてくださった。終わると抱きしめられ再び眠りについた。
【 クリストフの視点 】
“嫌!止めて!”
うなされるミリアを起こすと震えていた。
抱きしめると鼓動が早打ちしている。
一体どんなことをされてきたのか。
翌朝、実家のペナ伯爵家とローゼス公爵家でミリアがどんな扱いを受けてきたか調べるよう指示を出した。
「待て~!」
「まだまだ捕まりませんぞ」
「捕まえた!」
「ルカス様は足が早いですな」
「今度は僕が逃げるからね。10数えて」
あっという間にルカスはパルフェール邸に馴染み、ルカスの笑い声が響いている。屋敷に子供がいるというのはこんなに明るくさせるものなのだと実感した。
更にミリアが屋敷を鮮やかにする。彼女がいるだけで、満開になった暖かい春の庭園のようだ。
そしてミリアの胎の中にパルフェールの血を引く私の子がいる。このことが父と母、側近や使用人達に希望をもたらす。
少しずつ腹も膨らみ、腹を蹴る元気の良さに笑みがこぼれる。領内の教会で式を挙げ、ミリアはパルフェール子爵夫人となった。
「おぎゃーっ! おぎゃーっ!」
産まれたのは私にそっくりの女児だった。
疑いようのないほど私によく似ていて、父も母もホッとしていた。あれだけ不妊が続いたから、心のどこかで信じきれていなかったのかもしれない。
ミリアは疲れていて、休ませなくてはいけないが、ルカスが離れない。
なんとか説得してルカスを寝室から出して、ルカスを部屋に連れて行った。
「ルカス、どうしたんだ?」
「……」
「困ったことがあるのか?」
「僕、どうなっちゃうの」
「え?」
「赤ちゃんはパパと血が繋がっているけど、僕は違う。次は男の子かもしれない」
「ルカス」
「ママから教わって なんとなく覚えていたけど、パパにそっくりの赤ちゃんを見たら 血の繋がりってこういうことなんだって分かった」
5歳のルカスにはまだ難しい話だと思っていたが、賢い子なのだな。
「確かにルカスは私と血の繋がりは無い。だけどルカスが大事だし大好きだ。どうなるかはルカスが決めることだよ」
「僕が?」
「そのためには皆から信頼を得て助け合って、勉強して大人にならないと」
「…はい」
「私もミリアもルカスを優先すると思う。だけどルカスはお兄ちゃんだから幼い妹に優しく手を差し伸べて欲しい。できるね?」
「はい」
「なんでもルカスが先に覚えて上達する。だから小さな子の成長に合わせて求められたら手助けをしてあげて欲しい。危険だと思ったらお兄ちゃんの権限で止めて欲しい」
「けんげん?」
「今の話でいうと、ルカスの判断で“危ないからやってはダメ”と注意して欲しいという意味だ。分かるか?」
「分かる」
「ルカスが頼りなんだ」
「分かった」
「もし寂しいと感じたら私に教えてくれないか」
「寂しい」
「よし!ママを寝かし付けたら一緒に菓子を食べながら夜更かしをしようか」
「ママに怒られるよ」
「だから寝かし付けるんだよ」
「パパ、悪いパパだ」
「私とルカスの秘密だ」
「秘密!」
いつまでも子供でいて欲しいなんて思うのは駄目な大人だな。
指示していた調査の報告書が届いた。
ペナ伯爵家の当主でミリアの父は典型的な男尊女卑の思考を持っていた。意見を言うことは許されず、基本的に“はい”“分かりました”と返事をする生活だ。食事は伯爵と息子達が終わった後に席に着いて食べることが許される。しかも残り物だ。
伯爵と息子達は頻繁に服を仕立てるが、妻や娘達には伯爵の母親や女姉妹が置いて行ったドレスなどを手直しさせて与える。唯一靴だけは新調してもらえた。
伯爵は一攫千金を夢見るタイプで、何に手を出しても失敗していた。
そこでミリアを支援金と引き換えにローゼス家に嫁に出し、一切の介入をしなかった。
ミリアが出産して離縁後、ミリアと子の受け入れを拒否した。
ペナ家は多産の家系で、ミリアを含めて6人の子供がいた。そこに目をつけたのがローゼス公爵だった。息子レイモンドの妻にするために支援金を渡した。
レイモンドは当時恋人がいて、当てがわれた婚約者に反発した。レイモンドは恋人と結婚の約束をしていたからだ。だがそれはベッドでの口約束止まりで何の効力も無く、公爵から別れるように命じられた恋人はレイモンドに別れを告げて去った。レイモンドは荒れて 複数人と交際しながらミリアと婚姻した。
最初から酷いものだった。レイモンドは苛立ちを隠そうともせず、結婚式では終始溜息や舌打ちをし、指輪は勝手につけて式が終わると教会の外に捨てた。
初夜は泥酔して現れて手酷く事に及んだ。
その後も前戯らしきことはあまりせずに事に及ぶためミリアは痛みを感じていた。そんなに嫌だったら普通は月に1、2度にするだろうに、何故か頻繁にミリアを抱いた。
式を挙げてから直ぐに交際中の女達の中からカレンを選び離れに住まわせた。
その内 寝室からミリアの喘ぎ声が聞こえるようになったが、メイド曰く演技だろうと証言している。それはレイモンドがミリアに罰を与えるようになってから聞こえるようになったからだ。
終わった後、処理もせずに廊下に朝まで立たせたり、水風呂に入らせたり、妾と過ごす時に同じ部屋に入れて立たせたりした。
夫婦の閨事が終わった後に、レイモンドの命令で廊下に立たされたミリアは垂れてこないよう必死に締めていた。だが結局頑張っても時間が経つと流れ出てしまった。ドレスなら隠れただろうが、膝上のナイトドレスだけを着せて立たせたから、注がれた精が脚を漏れ伝う様が丸見えだった。特に男の使用人は釘付けだった。じっと見ながら膨らませた股間を刺激する男もいた。ミリアは泣いていたとメイドが証言した。
ミリアは冷たい水が苦手だった。夏場でもぬるま湯で顔を洗うほど水は嫌がる。だがそれを知ったレイモンドは罰に水を使った。特に冬の水風呂は泣いて嫌がった。
メイド達も最初は水風呂に入れるフリをしたが、レイモンドが肌に触れ、水風船に入れていないのがバレてしまった。フリをしたメイド2人が罰を与えられ、それ以来ミリアが泣いても顎の下まで水風呂に入れるしかなかった。
公爵が亡くなり レイモンドが爵位を継ぐと、他所のパーティにはカレンを同伴させた。親類の茶会やパーティには3人で行き、レイモンドはカレンをエスコートし、その後ろからミリアをついて来させた。ほとんど社交場に顔を出さないミリアが公爵家でどんな扱いをされているのか公になった。
そしてやっと産まれた男児に証が無かったために直ぐに離婚し、産後の2ヶ月だけ離れに滞在を許したレイモンドは、妾カレンを本邸に移した。
報告書を読んで腑が煮え繰り返るような怒りが込み上げた。悪質な虐待だ。子を産む身体故に食事を抜いたり粗食にしたりはせず、傷も付けなかったが完全に虐待だ。その上で自分の子ではないと産後2ヶ月で産まれたばかりの乳飲子と一緒に追い出した。
“不貞なはずがないのです。外出はほぼしておらず、必ず誰かがずっと側にいます。屋敷の中でも1人にはさせません。全て同性のメイドか公爵様が一緒でした。だから公爵様と以外できないのです”
メイド達の証言内容は難しいものではない。レイモンドも分かっていたはずだ。不貞をする隙がまるで無いと。
きっと うなされていたミリアは夢の中で水風呂に入れられていたのだろう。
ベッドに横になると長旅の疲れを感じた。
気が付くと真っ暗だった。私の側で眠るのはクリス様だと疑わない私は 彼の胸に触れた。
『誰が触れていいと言った』
身体が硬直し、手を引っ込めた。
『あ…』
『いつまでも痛いフリなどしやがって。興醒めだ』
声の主はレイモンド様だ。夫だった頃の…
『本当に痛いのです』
『それが本当だとしたら自分で準備をすればいいだろう。そこに潤滑油があるのだから』
『……』
『もう1年だぞ?孕むことができないのなら、文句など言っていないで夫を楽しませたらどうだ』
『……』
『カレンとは大違いだな』
『申し訳ございません』
『誰か!こいつを水風呂に入れてやれ!』
『冬は…冬は止めてください』
『孕んだら湯にしてやるよ』
『嫌!止めて!』
誰かが私を揺すっている。
「ミリア、大丈夫か」
「……」
「怖い夢を見たのだな。大丈夫、私が居るからな」
「はい」
優しくしっかりと抱きしめられ、夢だったと認識した。久しぶりにあの頃の記憶が夢に出てしまった。
環境の変化のせいか旅疲れのせいか…もう忘れたいのに。
「ルカスは?」
「遊び疲れて眠ったよ」
「ありがとうございます」
「食事を持って来させようか」
今は夜中なのだろう。
「できればクリス様と繋がりたいです」
「だが、胎の子が…」
「優しくしてくださるでしょう?怖い夢を忘れたいのです」
「ミリア」
クリス様は いつもよりも更に優しく抱いて快楽を与えてくださった。終わると抱きしめられ再び眠りについた。
【 クリストフの視点 】
“嫌!止めて!”
うなされるミリアを起こすと震えていた。
抱きしめると鼓動が早打ちしている。
一体どんなことをされてきたのか。
翌朝、実家のペナ伯爵家とローゼス公爵家でミリアがどんな扱いを受けてきたか調べるよう指示を出した。
「待て~!」
「まだまだ捕まりませんぞ」
「捕まえた!」
「ルカス様は足が早いですな」
「今度は僕が逃げるからね。10数えて」
あっという間にルカスはパルフェール邸に馴染み、ルカスの笑い声が響いている。屋敷に子供がいるというのはこんなに明るくさせるものなのだと実感した。
更にミリアが屋敷を鮮やかにする。彼女がいるだけで、満開になった暖かい春の庭園のようだ。
そしてミリアの胎の中にパルフェールの血を引く私の子がいる。このことが父と母、側近や使用人達に希望をもたらす。
少しずつ腹も膨らみ、腹を蹴る元気の良さに笑みがこぼれる。領内の教会で式を挙げ、ミリアはパルフェール子爵夫人となった。
「おぎゃーっ! おぎゃーっ!」
産まれたのは私にそっくりの女児だった。
疑いようのないほど私によく似ていて、父も母もホッとしていた。あれだけ不妊が続いたから、心のどこかで信じきれていなかったのかもしれない。
ミリアは疲れていて、休ませなくてはいけないが、ルカスが離れない。
なんとか説得してルカスを寝室から出して、ルカスを部屋に連れて行った。
「ルカス、どうしたんだ?」
「……」
「困ったことがあるのか?」
「僕、どうなっちゃうの」
「え?」
「赤ちゃんはパパと血が繋がっているけど、僕は違う。次は男の子かもしれない」
「ルカス」
「ママから教わって なんとなく覚えていたけど、パパにそっくりの赤ちゃんを見たら 血の繋がりってこういうことなんだって分かった」
5歳のルカスにはまだ難しい話だと思っていたが、賢い子なのだな。
「確かにルカスは私と血の繋がりは無い。だけどルカスが大事だし大好きだ。どうなるかはルカスが決めることだよ」
「僕が?」
「そのためには皆から信頼を得て助け合って、勉強して大人にならないと」
「…はい」
「私もミリアもルカスを優先すると思う。だけどルカスはお兄ちゃんだから幼い妹に優しく手を差し伸べて欲しい。できるね?」
「はい」
「なんでもルカスが先に覚えて上達する。だから小さな子の成長に合わせて求められたら手助けをしてあげて欲しい。危険だと思ったらお兄ちゃんの権限で止めて欲しい」
「けんげん?」
「今の話でいうと、ルカスの判断で“危ないからやってはダメ”と注意して欲しいという意味だ。分かるか?」
「分かる」
「ルカスが頼りなんだ」
「分かった」
「もし寂しいと感じたら私に教えてくれないか」
「寂しい」
「よし!ママを寝かし付けたら一緒に菓子を食べながら夜更かしをしようか」
「ママに怒られるよ」
「だから寝かし付けるんだよ」
「パパ、悪いパパだ」
「私とルカスの秘密だ」
「秘密!」
いつまでも子供でいて欲しいなんて思うのは駄目な大人だな。
指示していた調査の報告書が届いた。
ペナ伯爵家の当主でミリアの父は典型的な男尊女卑の思考を持っていた。意見を言うことは許されず、基本的に“はい”“分かりました”と返事をする生活だ。食事は伯爵と息子達が終わった後に席に着いて食べることが許される。しかも残り物だ。
伯爵と息子達は頻繁に服を仕立てるが、妻や娘達には伯爵の母親や女姉妹が置いて行ったドレスなどを手直しさせて与える。唯一靴だけは新調してもらえた。
伯爵は一攫千金を夢見るタイプで、何に手を出しても失敗していた。
そこでミリアを支援金と引き換えにローゼス家に嫁に出し、一切の介入をしなかった。
ミリアが出産して離縁後、ミリアと子の受け入れを拒否した。
ペナ家は多産の家系で、ミリアを含めて6人の子供がいた。そこに目をつけたのがローゼス公爵だった。息子レイモンドの妻にするために支援金を渡した。
レイモンドは当時恋人がいて、当てがわれた婚約者に反発した。レイモンドは恋人と結婚の約束をしていたからだ。だがそれはベッドでの口約束止まりで何の効力も無く、公爵から別れるように命じられた恋人はレイモンドに別れを告げて去った。レイモンドは荒れて 複数人と交際しながらミリアと婚姻した。
最初から酷いものだった。レイモンドは苛立ちを隠そうともせず、結婚式では終始溜息や舌打ちをし、指輪は勝手につけて式が終わると教会の外に捨てた。
初夜は泥酔して現れて手酷く事に及んだ。
その後も前戯らしきことはあまりせずに事に及ぶためミリアは痛みを感じていた。そんなに嫌だったら普通は月に1、2度にするだろうに、何故か頻繁にミリアを抱いた。
式を挙げてから直ぐに交際中の女達の中からカレンを選び離れに住まわせた。
その内 寝室からミリアの喘ぎ声が聞こえるようになったが、メイド曰く演技だろうと証言している。それはレイモンドがミリアに罰を与えるようになってから聞こえるようになったからだ。
終わった後、処理もせずに廊下に朝まで立たせたり、水風呂に入らせたり、妾と過ごす時に同じ部屋に入れて立たせたりした。
夫婦の閨事が終わった後に、レイモンドの命令で廊下に立たされたミリアは垂れてこないよう必死に締めていた。だが結局頑張っても時間が経つと流れ出てしまった。ドレスなら隠れただろうが、膝上のナイトドレスだけを着せて立たせたから、注がれた精が脚を漏れ伝う様が丸見えだった。特に男の使用人は釘付けだった。じっと見ながら膨らませた股間を刺激する男もいた。ミリアは泣いていたとメイドが証言した。
ミリアは冷たい水が苦手だった。夏場でもぬるま湯で顔を洗うほど水は嫌がる。だがそれを知ったレイモンドは罰に水を使った。特に冬の水風呂は泣いて嫌がった。
メイド達も最初は水風呂に入れるフリをしたが、レイモンドが肌に触れ、水風船に入れていないのがバレてしまった。フリをしたメイド2人が罰を与えられ、それ以来ミリアが泣いても顎の下まで水風呂に入れるしかなかった。
公爵が亡くなり レイモンドが爵位を継ぐと、他所のパーティにはカレンを同伴させた。親類の茶会やパーティには3人で行き、レイモンドはカレンをエスコートし、その後ろからミリアをついて来させた。ほとんど社交場に顔を出さないミリアが公爵家でどんな扱いをされているのか公になった。
そしてやっと産まれた男児に証が無かったために直ぐに離婚し、産後の2ヶ月だけ離れに滞在を許したレイモンドは、妾カレンを本邸に移した。
報告書を読んで腑が煮え繰り返るような怒りが込み上げた。悪質な虐待だ。子を産む身体故に食事を抜いたり粗食にしたりはせず、傷も付けなかったが完全に虐待だ。その上で自分の子ではないと産後2ヶ月で産まれたばかりの乳飲子と一緒に追い出した。
“不貞なはずがないのです。外出はほぼしておらず、必ず誰かがずっと側にいます。屋敷の中でも1人にはさせません。全て同性のメイドか公爵様が一緒でした。だから公爵様と以外できないのです”
メイド達の証言内容は難しいものではない。レイモンドも分かっていたはずだ。不貞をする隙がまるで無いと。
きっと うなされていたミリアは夢の中で水風呂に入れられていたのだろう。
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