【完結】王命の代行をお引き受けいたします

ユユ

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2人会議に出ます

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2人きりになって話をすることになった。

「エステル。

大好きだ。

初めて恋に落ちたんだ。

ヴァネッサと交わした契約を君に当てはめるのは嫌だ。

同じ建物で、同じ部屋で過ごしたい。

約束を取り付けないと一緒にいられないなんて嫌だ。

直ぐにとは言わないが、本当に夫婦になって君との子も欲しい。

一緒に外に出かけたり買い物したり旅をしたり、里帰りも嫌じゃなきゃついて行きたい。
セヴィアン殿にいびられそうだけど仲良くしたい。

家族で行き来ができるようにできるはずだ。


王命を呪い続けてきたけど、祭壇の前で感謝したんだ。ヴァネッサが亡くなったことが前提の感謝なんて不謹慎で、家族の君に言う事じゃないのは分かってる。

単なる好きでもない相手なら、家族として絆を育めたかもしれない。
だけど嫌いな相手と夫婦になるのは辛いんだ。ヴァネッサも辛かったはずだ。だから彼女も他の男達と遊んでいた。

王命なら一生だろうと絶望感でいっぱいだった。
だから私とヴァネッサはあの契約書を作った。
あの時が最初で最後の前向きな時間だった。

もしかしたら 私が君を好きでも、君はヴァネッサと同じように私が嫌かもしれない。
知りもしないのに嫌われてるかも。

私を知って欲しい。
私に触れて欲しい。

向き合ってもらえないだろうか、エステル・ソワールとして」

どうあれ私たちは婚姻して夫婦になった。
それは変えられない。

「タイムリミットは5年。
それでも溝が埋まらなければ離縁しましょう。
もちろん、王が交代して許されたらの話ですが」

「帰ってきてくれるね?」

「里帰りはします」

「一緒に行くよ。独りがいいと言うときは 迎えに行って最後の一泊だけして一緒に帰って来る」

「痴話喧嘩に巻き込まれるのは嫌です」

「トイレにもどこにでも着いて行く」

「私だって遊びたいかもしれない」

「エステルには私だけしか遊び相手はいないよ」

「悔しい」

「ごめんな」

「イライラする」

「殴っていいよ」

「手が痛くなる」

「じゃあ、あそこの火かき棒で殴っていいよ」

「重い」

「じゃあ、後ろのクッションで」

ボスっ

「何でキャッチするの!」

「ごめん!つい!反射的に」

「もう!」

「ハハッ!」

「何で笑ってるの!」

「可愛すぎる!」

「……」

「セヴィアン殿が溺愛する理由が分かるよ。
こっちに来て」

「嫌」

「そっちに行っていい?」

「……」

「エステルがいいって言ってくれるなら身内だけでもう一度式をあげよう。
ちゃんとエステルのドレスを作って誓いを立てたい」

「……」

「エステル。触れて」

髪に触れてみた。

「抱きしめてもいい?」

「嫌」

「抱きしめてくれる?」

「……」

ギュッ

抱きしめたというより、しがみ付いたが正しいかもしれないけど。

「心臓の音を聞いて」

耳を当てると凄く早かった。

「嬉しくてドキドキしてるんだ」

「病気かも」

「エステル病だな」

「ふ~ん」

「エステル以外に胸が高鳴ったことは無い。
抱きしめたこともない。愛を囁いたこともない」

「へ~」

「本当だ」

「ふん」

「本館で暮らしてくれる?」

「別棟 気に入ってる」

「じゃあ 私がそっちに行くよ」

「侯爵様たちが泣きますよ」

「寝るときだけそっちに行く」

「一緒に寝るつもりですか!?」

「そうだよ」

「嫌」

「エステルがいいって言うまで初夜は迎えない」

「……」

「帰ろう?」

「…はい」


王命が無くなったわけではないし戻ることにした。










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