笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

文字の大きさ
15 / 215

近付く男

しおりを挟む
公爵家のご令息2人と侯爵家のご令息2人に囲まれているけど、嫌だなぁ。今夜もドレスはワイン色に染まるのかしら。

「クリスティーナ」

カチッ

ヒューゴ様に手を掴まれ一瞬のうちに手首に何かをつけられた。

「うわ、高そう」

「綺麗だな」

「ヒューゴが女性に贈り物をするなんて歴史的瞬間」

手首を見ると 繊細な彫金に宝石が散りばめられたバングルがはめられていた。

「これは?」

「汚したドレス代の足しにもならないが、お詫びの贈り物だ」

「あれはあの令嬢にモルゾン公爵夫人が請求なさっていますので、いただく理由はございません。
……あれ?外れない」

ヒューゴ様はニヤニヤとした顔をして小さな鍵をチラつかせた。

「この鍵がないと駄目なんだ。手首より少し緩いだけで手は通らないサイズだから、引っ張っても抜けないぞ。
あと、それは世界に一つしかないから壊して外そうとするな。ジオ公爵家の家宝だからな」

何でそんなものをつけるのですか!!

「外してください」

「嫌だ」

「外してください」

「ふん!」

ヒューゴ様はツカツカと窓へ向かうと開けて、恐ろしいほどに小さな鍵を思いっきり投げた。

「ちょっと!!」

覗き込むも簡単に探せそうもない。使用人総出で探しても見つからないかもしれない。あまりにも小さいから草に埋まってしまう。踏んで土に食い込んで見えなくなるかもしれない、木に引っかかっているかもしれないし、鳥か何かが運ぶかもしれない。

親指の爪より少し長い程度の細い鍵だった。

「下手にいじると鍵穴が壊れるからな」

「あなたねぇ!いい加減にしなさいよ!
こういうのは詫びとは言わないのよ!
傲慢で無礼でストーカーで変態で拉致犯の上に拘束なんて、許されないわよ!」

「やっと敬語を止めたか」

はっ!

ヒューゴ様のご友人は驚きポカンとしていた。

「嫌ですわ。ヒューゴ様ったらお戯を」

「ぷっ」

「くっ」

「アハハハハッ」

「もう遅いよ、クリスティーナちゃん」

「そうそう。ヒューゴが喜んでいるからタメ口で罵ってやってよ」

「そうか…本当にヒューゴに春が来たんだな」

「クリスティーナ、良かったな。公認だそ」

「良くありませんっ!何の公認ですか!」

「もう敬語に戻ったぞ?焦らすタイプなんだな?」

「何やら悪寒が…そろそろ視界から消えてください」

「……」

4人は押し黙ってしまった。言い過ぎ?そうよね、これでも公爵家のこ令息。

「失言でした。お許しください」

「クリスティーナ、一生いうことをきくと誓え」

「は?嫌です」

「ククッ」

「クリスティーナちゃん、もうヒューゴには素でいいよ」

「うん、素の方がいい。敬語も遠慮も止めてあげて」

「強硬手段を取られると嫌でしょ?」

何ですか、強硬手段って。これ以上!?

遮るようにダンスが始まる知らせが奏でられた。

ふーん。ならこれなら不敬と言い出すわよね?

「ヒュー。跪いてダンスを踊って欲しいと懇願して」

「……」

さあ、誰がおまえにとか言いながら怒って!興味を失って!

ヒューゴ様は片膝を床に付き頭を下げた。

「クリスティーナ、このヒューゴ・ジオに貴女と踊る機会をいただけませんか。愛しい貴女としか踊りたくないのです」

馬鹿なの?みんな見ているのよ?誤解されるじゃない!

「この膝が割れようとも、貴女が受け入れてくださるまで、」

「分かりましたからっ」

ヒューゴ様は嬉しそうに微笑み私の手を取って立ち上がった。

ホールへ行くと既にシャルル様がいて、その胸にはサリモア公女が手を添え頬を付けていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

彼女の離縁とその波紋

豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...