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久々の待ち伏せ
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昼食後、女子トイレに行くと声を掛けられた。3年生でシャルル様の側にいつもいるアレクシア・サリモア公爵令嬢だった。
「セルヴィーさん」
「はい」
「あなた、シャルル様の卒業式はパートナーとして出るわけ?」
「そのような話は出ておりません。多分サリモア様かオヴェル様をお誘いするのではありませんか?特に会話もありませんので私には分かりかねますが」
「じゃあ、私が誘ってもいいということね?」
「私にはその手のことにお答えする権利はございません。いつも通り シャルル様が誰をお誘いしようと私は口出ししませんわ」
「あっそ。
ねえ。あなたジオ公子と随分と親しくなったのね。あなたの我儘でシャルル様を婚約者にしたくせに、今度は伯爵家より公爵家が良くなったの?
どうせ遊ばれて終わりよ。調子に乗らないことね」
「……」
「何よ。何か文句があるのかしら?」
「私は確かにシャルル様をお慕いしていて、父が察してヘインズ伯爵と話し合って婚約が決まりました。ですが私は一度も“シャルル様と婚約させて”などと言ったことはありません。胸の内に秘めていても我儘と仰るのですか?」
「とぼけないで。あなたがシャルル様と結婚したいと言い張ったのでしょう!」
「どこでそんな嘘を聞いたのか分かりませんか事実と異なります。
サリモア様がシャルル様の愛人になろうが私には特に意見はありません。どうか私を憂さ晴らしの対象にしないでいただけますか」
「私が理不尽に当たり散らしていると言いたいわけ?」
「そうでないと仰るなら一緒にシャルル様のところへ行きましょう。最初からサリモア様のお話をシャルル様を交えて話し合いましょう」
バチン!
「生意気なのよ!」
「憂さ晴らしの対象にするのは止めてください」
バチン!バチン!
「これが理不尽に当たり散らしているのではないとしたら何なのですか!?」
バチン!!
ガシャン!!
「うっ…」
サリモア公女が何度も私の頬に平手打ちをし、ついには力一杯叩かれたその反動で、トイレの備え付けの鏡に頭を打ち付けてしまった。
鏡は割れ、頭というか額というか…今はどちらなのか分からない。ポタポタと赤い液体が頬を伝い床に落ちていく。
「わ、私は」
「キャアアアアッ!誰か!誰か来て!!」
たまたまトイレに入ろうとしたのか、鏡が割れる音で覗きに来たのか、とにかく女生徒が私を見て叫んだ。
近くにいた警備や教職員が駆け付け、私の怪我の具合を見ている。
「あなた、叩かれたのね」
何度も叩かれた私の頬が赤いからだろう。
「……」
側にいて狼狽える公女の手を教職員が掴んだ。
「あなたが犯人ね」
「わ、私は別に、」
「叩いた手のひらが赤くなってるじゃない。警備の方、この生徒を懲罰室へ連れて行ってください」
「失礼ですが、私が怪我人を運んだ方がいいと思います」
「そうですね、この子を医務室までお願いします。
あなたサリモア公爵令嬢ね。来なさい」
「お嬢様、失礼します」
警備兵は私を抱き上げ廊下に出た。
「ティナ?…ティナ!!」
ジネットが動揺している。今日はエルザが休みだから、もっと心配かけちゃうわね。
「大丈夫よ、ジネットは教室に戻って授業を受けて」
「でも!」
「医務室でお医者様に治療してもらうだけだから。ね? それより授業を聞いて今度教えて。お願い」
「分かったわ」
医務室に運んでもらい 傷口を洗い流していると、副学園長が駆け付けた。
「セルヴィー嬢」
「副校長先生」
「セルヴィー家に連絡を入れます」
「あの、父も母も領地で、私だけなのです」
「親戚は?」
「……ジオ公爵家に連絡を入れていただけますか」
「ジ、ジオ公爵家ですか!?」
「はい。お願いします」
「分かりました。傷の手当てに時間が掛かりますね。その間に手配します。また戻ってきますので、経緯を聞かせてください」
「はい」
副学園長は足早に医務室を出て行った。
「セルヴィー嬢、痛くてもじっとしていてくださいね。小さな破片が刺さっていますから今から抜きますので」
「はい」
チクッとしたけど無事に取ってもらえた。
また洗浄し、他にも破片がないか確認して縫合した。十数針縫っただろうか。その後消毒をして包帯を巻いてもらった。
担任が私の鞄を持って医務室へ来た。
「大変だったわね…こんなに出血して…」
「ご迷惑をお掛けします」
「あなたは被害者じゃないの。頬も腫れて…酷いわ」
そこに副校長先生が戻ってきたので担任と一緒に事情を説明した。
「つまり、別に婚約者がいるサリモア嬢があなたの婚約者と交際をしているということなのですね?」
「どの程度かは分かりません。彼の周りにはいつも女性がいますから。
ただ、今回も私に言われても仕方のないことですし、トイレに追いかけてそんな話をされるのも嫌なのでヘインズ様を交えて話し合いましょうと言ったのです。私は一度も文句を言ったこともありませんし、彼の女性関係や交友関係に口出しをしたことはありません。何を言われてもどうしようもないのです。公女はそれが分かっているはずなのに…だから私は憂さ晴らしに使われていると感じてそう言いました」
「叩かれた回数を覚えていますか?」
「4回だったはずです。全て左頬を打たれました」
「よく分かりました。ジオ公爵家には連絡を入れに行かせました。しばらくここで休んでいてください」
「はい。ありがとうございます」
「セルヴィーさん」
「はい」
「あなた、シャルル様の卒業式はパートナーとして出るわけ?」
「そのような話は出ておりません。多分サリモア様かオヴェル様をお誘いするのではありませんか?特に会話もありませんので私には分かりかねますが」
「じゃあ、私が誘ってもいいということね?」
「私にはその手のことにお答えする権利はございません。いつも通り シャルル様が誰をお誘いしようと私は口出ししませんわ」
「あっそ。
ねえ。あなたジオ公子と随分と親しくなったのね。あなたの我儘でシャルル様を婚約者にしたくせに、今度は伯爵家より公爵家が良くなったの?
どうせ遊ばれて終わりよ。調子に乗らないことね」
「……」
「何よ。何か文句があるのかしら?」
「私は確かにシャルル様をお慕いしていて、父が察してヘインズ伯爵と話し合って婚約が決まりました。ですが私は一度も“シャルル様と婚約させて”などと言ったことはありません。胸の内に秘めていても我儘と仰るのですか?」
「とぼけないで。あなたがシャルル様と結婚したいと言い張ったのでしょう!」
「どこでそんな嘘を聞いたのか分かりませんか事実と異なります。
サリモア様がシャルル様の愛人になろうが私には特に意見はありません。どうか私を憂さ晴らしの対象にしないでいただけますか」
「私が理不尽に当たり散らしていると言いたいわけ?」
「そうでないと仰るなら一緒にシャルル様のところへ行きましょう。最初からサリモア様のお話をシャルル様を交えて話し合いましょう」
バチン!
「生意気なのよ!」
「憂さ晴らしの対象にするのは止めてください」
バチン!バチン!
「これが理不尽に当たり散らしているのではないとしたら何なのですか!?」
バチン!!
ガシャン!!
「うっ…」
サリモア公女が何度も私の頬に平手打ちをし、ついには力一杯叩かれたその反動で、トイレの備え付けの鏡に頭を打ち付けてしまった。
鏡は割れ、頭というか額というか…今はどちらなのか分からない。ポタポタと赤い液体が頬を伝い床に落ちていく。
「わ、私は」
「キャアアアアッ!誰か!誰か来て!!」
たまたまトイレに入ろうとしたのか、鏡が割れる音で覗きに来たのか、とにかく女生徒が私を見て叫んだ。
近くにいた警備や教職員が駆け付け、私の怪我の具合を見ている。
「あなた、叩かれたのね」
何度も叩かれた私の頬が赤いからだろう。
「……」
側にいて狼狽える公女の手を教職員が掴んだ。
「あなたが犯人ね」
「わ、私は別に、」
「叩いた手のひらが赤くなってるじゃない。警備の方、この生徒を懲罰室へ連れて行ってください」
「失礼ですが、私が怪我人を運んだ方がいいと思います」
「そうですね、この子を医務室までお願いします。
あなたサリモア公爵令嬢ね。来なさい」
「お嬢様、失礼します」
警備兵は私を抱き上げ廊下に出た。
「ティナ?…ティナ!!」
ジネットが動揺している。今日はエルザが休みだから、もっと心配かけちゃうわね。
「大丈夫よ、ジネットは教室に戻って授業を受けて」
「でも!」
「医務室でお医者様に治療してもらうだけだから。ね? それより授業を聞いて今度教えて。お願い」
「分かったわ」
医務室に運んでもらい 傷口を洗い流していると、副学園長が駆け付けた。
「セルヴィー嬢」
「副校長先生」
「セルヴィー家に連絡を入れます」
「あの、父も母も領地で、私だけなのです」
「親戚は?」
「……ジオ公爵家に連絡を入れていただけますか」
「ジ、ジオ公爵家ですか!?」
「はい。お願いします」
「分かりました。傷の手当てに時間が掛かりますね。その間に手配します。また戻ってきますので、経緯を聞かせてください」
「はい」
副学園長は足早に医務室を出て行った。
「セルヴィー嬢、痛くてもじっとしていてくださいね。小さな破片が刺さっていますから今から抜きますので」
「はい」
チクッとしたけど無事に取ってもらえた。
また洗浄し、他にも破片がないか確認して縫合した。十数針縫っただろうか。その後消毒をして包帯を巻いてもらった。
担任が私の鞄を持って医務室へ来た。
「大変だったわね…こんなに出血して…」
「ご迷惑をお掛けします」
「あなたは被害者じゃないの。頬も腫れて…酷いわ」
そこに副校長先生が戻ってきたので担任と一緒に事情を説明した。
「つまり、別に婚約者がいるサリモア嬢があなたの婚約者と交際をしているということなのですね?」
「どの程度かは分かりません。彼の周りにはいつも女性がいますから。
ただ、今回も私に言われても仕方のないことですし、トイレに追いかけてそんな話をされるのも嫌なのでヘインズ様を交えて話し合いましょうと言ったのです。私は一度も文句を言ったこともありませんし、彼の女性関係や交友関係に口出しをしたことはありません。何を言われてもどうしようもないのです。公女はそれが分かっているはずなのに…だから私は憂さ晴らしに使われていると感じてそう言いました」
「叩かれた回数を覚えていますか?」
「4回だったはずです。全て左頬を打たれました」
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「はい。ありがとうございます」
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