笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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安心感

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安静にして待っていると、飛び込むようにしてヒューゴ様が駆け付けた。

「クリスティーナ!!」

「お静かにお願いします」

「失礼」

医務員に注意されると落ち着いて私の側まで来た。

「何でこんな…これは平手打ちの跡か」

ヒューゴ様は叩かれた方の頬に触れそうで触れない距離まで手を伸ばした。

「はい」

「こっちの怪我は」

「反動で鏡に…」

「痛かっただろう」

「お父様もお母様も領地へ行っているから…ごめんなさい、ジオ家に連絡をしてしまって」

「真っ先に呼んでくれて嬉しいよ。さあ、帰ろう」

ヒューゴ様はお医者様に挨拶をすると私を抱き上げて馬車乗り場へ向かった。荷物はヒューゴ様が連れてきた侍女が持ってくれた。

馬車に乗り、彼の膝の上で抱きしめられていた。安心したのか涙が溢れた。

「大丈夫だから…もう大丈夫」

「ヒュー、ありがとう」


ジオ公爵邸に到着すると部屋に運ばれてベッドに寝かされた。しばらくすると公爵夫妻がお医者様を連れて帰ってきた。

3人の前で包帯が取られると、ヒューゴ様は恐ろしい顔に、公爵は表情が消え、夫人は蒼白。

「なんで酷いことを…レディにこんな傷を負わせるなんて!」

「……」

「……」

「綺麗に縫合してありますね。初期治療に問題はありません。治るのに少し時間が掛かりますが辛抱してくださいね。…傷跡は少し残るかもしれません」

「そうですか。ありがとうございました」

「頬にはこちらを、傷にはこちらを塗ってください。頬はすぐ腫れが引きますので。
傷の薬は痛み止めも配合しておりますがずっと効果があるわけではありませんし完全に痛みが取れるわけでもありません。こちらは睡眠を促す薬です。気になって眠れないときにお使いください。強いものではありませんが、飲んだ後は早くベッドに入ってください」

「分かりました」

「では、2日後にまた参りますが、何かあれば呼んでください」

「ありがとうございます」

お医者が帰ると公爵が事情を聞いてきたので全部話した。

「私、少し煽ってしまったかもしれません。
ほとんど誘われない私に聞いてきたので少し苛立ってしまって。いつも一緒にいる彼と話せばいいことではありませんか?私には彼を動かせる力なんてないのに…」

「分かった。後このことは気にせずに療養しなさい。セルヴィー邸へは治るまでジオ邸で預かることを告げに行かせるから」

「ありがとうございます。
あの、ゼオロエン侯爵家のジネット様にも知らせていただけませんか。私の親友で酷く心配していましたから」

「分かった。ゼオロエン家とウィロウ家には連絡を入れておこう」

ご存知なのね

「本当にありがとうございました。厚かましくこちらに連絡を入れてしまって申し訳ございません」

「何を言い出すんだ。そんな風に思わなくていい。
まだ学生の女の子が怖い目に遭ったんだ。気にせずに甘えていたらいい」

「そうよ。可哀想に…女の子にこんなことをするなんて酷い女がいるものね」

「さあ、少し眠ろうか。夕食に食べたいものはあるか?」

「我儘をいうなら、簡単に食べられるものがいいです」

「分かった。ほら、横になって目を閉じて」

メイドがカーテンを閉めてくれた。ベッドに座るヒューゴ様にくっついて目を閉じた。


2時間後に目を開けるとジネットとエルザがベッドの側に椅子を置いて座っていた。

「「ティナっ」」

「来てくれたのね。もう大丈夫よ、ありがとう。びっくりさせてごめんね」

「何言ってるの。ティナは悪くないわ」

「公女に向かって私もちょっと態度が悪かったの」

「だからって、叩いていいわけじゃないし、しかもこんな酷い怪我をさせるだなんてっ」

「サリモア公爵家の令嬢だからって許される行為ではないわ」

「ふふっ ありがとう」

「もう!」

「怖かったしまだ痛いけど、ジオ家が優しくしてくださるし、2人が心配してくれたから私は幸せよ」

「馬鹿ぁ」

「お人好しぃ」

2人は泣き出してしまった。

本当に幸せ。いくら友達がたくさんいても、こんなに心を痛めてくれる友達を持つ人はどのくらいいるのかしら。私には友達は少ないけど2人がいてくれたら十分だわ。誰よりも優っている気がするもの。


翌日にはモルゾン公爵夫妻にゼイン公子とエステル公女がお見舞いに来てくださった。

エステル公女は驚いた顔をした後、初めて見る怖い顔になった。顔は似ていないけどヒューゴ様みたいだなとちょっと笑ってしまった。

他にもジュアン家、イオナード家、ホロウ家の令息が来てくださったけど、面会にはならなかった。
令嬢の療養中だから、男性だけでお見舞いに来てくれた人は ジオ公爵夫妻が私の両親の代理としてお見舞いを受け取ってくださった。





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