94 / 215
混乱
しおりを挟む
【 シャルルの視点 】
セルヴィー邸に先触れを出しても不在だと返ってきた。学園がある日も。
学園に行くと令嬢達からクリスティーナは休んでいると聞いた。
泊まりでどこかへ行っているということか?
先触れではなく 直接セルヴィー邸を訪ねたが、セルヴィー伯爵と出かけているとしか答えてくれなかった。
そして…
「ユーグがセルヴィー家の馬車に乗っていたらしい。
ジオ家の馬車も車列にいたそうだ」
「ユーグが!?」
「どうなっているんだ、何か聞いていないのか」
「パーティでクリスティーナが友人になったと言っていただけです」
「何の話をしていた」
「セルヴィー産の化粧品です」
「車列の護衛の数が多かったらしいから遠出なのだろう」
「実は学園を休んで伯爵と出かけたと聞きました」
「共通点なんか無いから 何か事業計画があるのかもしれない」
メルト邸に確かめに行き 戻って来た父上は苛立っていた。
「全く分からん!メルト家所有の別荘に行ったらしい。ユーグもどういうつもりだ!うちの嫁になる娘と遠くに行くのなら うちに話を通すのが普通だろう!」
「……」
その後もユーグは戻って来なかったが、クリスティーナは王都に戻っていた。
やっと約束を取り付けて会いに行った。
「クリスティーナ」
「シャルル様、ご機嫌よう」
「ご機嫌ようじゃない。ユーグとどこに行っていたんだ」
「あの…何か?」
「君と伯爵とジオ公子とユーグで別荘に行ったらしいな。何をしに行ったんだ」
「仕事です」
「君は僕の婚約者だろう。メルト家はヘインズ家と代々交流のある家門なのだから、事前に説明をすべきじゃないのか」
「シャルル様、私は仕事と申し上げました。いくらヘインズ家とメルト家に昔からの交流があったとしてもお伝えすることはございません」
「クリスティーナ?」
「ヘインズ家に関わりのないことです。報告の義務がありますか?」
「だが、君とユーグはうちのパーティで知り合ったのだろう」
「どこで知り合ったとしてもセルヴィー家とメルト家の仕事の話であれば断りも報告も必要ありません。
シャルル様は多くのパーティなどに出席なさっていますが、そこで知り合った方と個人的に会うのに、主催者の許可を得ているのですか?」
「君の場合は泊まりだろう」
「こんなことは申し上げたくありませんが、シャルル様は女性とお会いして、全て日付が変わる前に別れて帰宅なさっていましたか?」
「それとこれとは違う」
「違いません。というより私とユーグ様の方が健全です。父も一緒なのですから。
私がヘインズ家の資産で事業をしない限り口出しはご遠慮ください」
「クリスティーナ…」
「他にご用がなければお引き取りください」
「待ってくれ」
「何でしょう」
「本当にユーグとは仕事上の関係なのだな?」
「友人も兼ねていますが、そうです。
シャルル様、そもそも私が恋人を作ろうが愛人を作ろうが構わないと仰ったのはシャルル様ですよね?いずれは愛人との子を産んでも構わないとまで仰ったのに?
相手がユーグ様だからですか?」
「っ!」
「シャルル様と婚約してからずっと 辛い思いも悲しい思いも悔しい思いも全て胸の中に収めて約束を守ってまいりました。
令嬢達から酷いことを言われても、ぶつかられても足を掛けられても、飲み物などを掛けられても我慢してきました。私にはどの令嬢がシャルル様の本命か分かりませんでしたし、いずれ結婚後に愛人として屋敷に連れて来るかもしれないと思ったからです。ですから段差のある場所で突き飛ばされても我慢したのです。
ご自身で求めた契約内容は守ってくださいませんか」
「僕は…」
その後は言葉にならなかった。
彼女が応接間から去ると執事が退席を促した。
「お嬢様の予定は詰まっております。
また日を改めていただきたくお願い申し上げます」
「クリスティーナは長期休暇に領地に行くのだったよな」
「はい」
「同行する貴族はいるのか?例えばジオ公子かメルト子爵か」
「…ジオ公爵令息様がご同行なさいます」
「それはクリスティーナが誘ったのか?」
「いいえ。ジオ公爵令息様が直接旦那様に許可を得たそうです」
「そうか」
屋敷に戻り、領地のセルヴィー邸に手紙を出した。クリスティーナの長期休暇に合わせてセルヴィー領に滞在したいという申し入れだった。
だけど間際に届いた手紙はクリスティーナの兄からだった。
“父が不在のため判断致しかねます
父は仕事のため領地におらず 戻る日程は未定です
先客もありますのでまたの機会にお越しください”
クシャッ
「僕は婚約者だぞ」
「シャルル様?」
手紙を持ってきた執事が 手紙を受け取り中身を読んで握り潰した僕を見て驚いていた。
「今夜は遅くなる」
「ロマーヌ家の夜会に行かれるのですね?ご用意いたします」
苛立ちの矛先を別の女に向けるしかなかった。
セルヴィー邸に先触れを出しても不在だと返ってきた。学園がある日も。
学園に行くと令嬢達からクリスティーナは休んでいると聞いた。
泊まりでどこかへ行っているということか?
先触れではなく 直接セルヴィー邸を訪ねたが、セルヴィー伯爵と出かけているとしか答えてくれなかった。
そして…
「ユーグがセルヴィー家の馬車に乗っていたらしい。
ジオ家の馬車も車列にいたそうだ」
「ユーグが!?」
「どうなっているんだ、何か聞いていないのか」
「パーティでクリスティーナが友人になったと言っていただけです」
「何の話をしていた」
「セルヴィー産の化粧品です」
「車列の護衛の数が多かったらしいから遠出なのだろう」
「実は学園を休んで伯爵と出かけたと聞きました」
「共通点なんか無いから 何か事業計画があるのかもしれない」
メルト邸に確かめに行き 戻って来た父上は苛立っていた。
「全く分からん!メルト家所有の別荘に行ったらしい。ユーグもどういうつもりだ!うちの嫁になる娘と遠くに行くのなら うちに話を通すのが普通だろう!」
「……」
その後もユーグは戻って来なかったが、クリスティーナは王都に戻っていた。
やっと約束を取り付けて会いに行った。
「クリスティーナ」
「シャルル様、ご機嫌よう」
「ご機嫌ようじゃない。ユーグとどこに行っていたんだ」
「あの…何か?」
「君と伯爵とジオ公子とユーグで別荘に行ったらしいな。何をしに行ったんだ」
「仕事です」
「君は僕の婚約者だろう。メルト家はヘインズ家と代々交流のある家門なのだから、事前に説明をすべきじゃないのか」
「シャルル様、私は仕事と申し上げました。いくらヘインズ家とメルト家に昔からの交流があったとしてもお伝えすることはございません」
「クリスティーナ?」
「ヘインズ家に関わりのないことです。報告の義務がありますか?」
「だが、君とユーグはうちのパーティで知り合ったのだろう」
「どこで知り合ったとしてもセルヴィー家とメルト家の仕事の話であれば断りも報告も必要ありません。
シャルル様は多くのパーティなどに出席なさっていますが、そこで知り合った方と個人的に会うのに、主催者の許可を得ているのですか?」
「君の場合は泊まりだろう」
「こんなことは申し上げたくありませんが、シャルル様は女性とお会いして、全て日付が変わる前に別れて帰宅なさっていましたか?」
「それとこれとは違う」
「違いません。というより私とユーグ様の方が健全です。父も一緒なのですから。
私がヘインズ家の資産で事業をしない限り口出しはご遠慮ください」
「クリスティーナ…」
「他にご用がなければお引き取りください」
「待ってくれ」
「何でしょう」
「本当にユーグとは仕事上の関係なのだな?」
「友人も兼ねていますが、そうです。
シャルル様、そもそも私が恋人を作ろうが愛人を作ろうが構わないと仰ったのはシャルル様ですよね?いずれは愛人との子を産んでも構わないとまで仰ったのに?
相手がユーグ様だからですか?」
「っ!」
「シャルル様と婚約してからずっと 辛い思いも悲しい思いも悔しい思いも全て胸の中に収めて約束を守ってまいりました。
令嬢達から酷いことを言われても、ぶつかられても足を掛けられても、飲み物などを掛けられても我慢してきました。私にはどの令嬢がシャルル様の本命か分かりませんでしたし、いずれ結婚後に愛人として屋敷に連れて来るかもしれないと思ったからです。ですから段差のある場所で突き飛ばされても我慢したのです。
ご自身で求めた契約内容は守ってくださいませんか」
「僕は…」
その後は言葉にならなかった。
彼女が応接間から去ると執事が退席を促した。
「お嬢様の予定は詰まっております。
また日を改めていただきたくお願い申し上げます」
「クリスティーナは長期休暇に領地に行くのだったよな」
「はい」
「同行する貴族はいるのか?例えばジオ公子かメルト子爵か」
「…ジオ公爵令息様がご同行なさいます」
「それはクリスティーナが誘ったのか?」
「いいえ。ジオ公爵令息様が直接旦那様に許可を得たそうです」
「そうか」
屋敷に戻り、領地のセルヴィー邸に手紙を出した。クリスティーナの長期休暇に合わせてセルヴィー領に滞在したいという申し入れだった。
だけど間際に届いた手紙はクリスティーナの兄からだった。
“父が不在のため判断致しかねます
父は仕事のため領地におらず 戻る日程は未定です
先客もありますのでまたの機会にお越しください”
クシャッ
「僕は婚約者だぞ」
「シャルル様?」
手紙を持ってきた執事が 手紙を受け取り中身を読んで握り潰した僕を見て驚いていた。
「今夜は遅くなる」
「ロマーヌ家の夜会に行かれるのですね?ご用意いたします」
苛立ちの矛先を別の女に向けるしかなかった。
3,043
あなたにおすすめの小説
「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜
水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」
効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。
彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。
だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。
彼に残した書き置きは一通のみ。
クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。
これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる