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気が晴れない
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【 シャルルの視点 】
ギシッ
事が済むと令嬢から離れてベッドに横たわった。
「シャルル様」
女は勝手に僕の腕を枕にして胸の上に手を乗せた。
重みと体温と髪の毛、そして熱のこもった馴々しい視線に嫌悪を覚えた。
「そろそろ帰るよ」
「まだいいではありませんか。お話しましょう?
久しぶりにシャルル様と交れたのですもの。
最近あまり夜会にいらっしゃらないから心配していましたのよ。あの婚約者に引き止められて困っているのではないかと」
「…彼女はそのような事はしない」
そう。僕のことが好きなはずなのに。僕の言ったこととはいえ、何故妬かないんだ。
「そうでしたわね。今はジオ公子の玩具ですものね。
堅物の公子もやっと女の体を知って夢中なのでしょう。それこそ猿みたいに盛った後は飽きて使い捨てられますわ」
黙れ
「きっと公子のお友達を渡り歩くのでしょうね」
黙れ!
「シャルル様もお可哀想。お古を押し付けられて、」
「黙れ!!」
「っ!!」
「おまえは何様なんだ」
「シャルル様!?」
「こうやって簡単に体を許して男達の上に乗って回っている自分のことは棚に上げて人の事を言えるのか?君の婚約者のことは可哀想じゃないのか」
「っ!!」
彼女を押して退かせてベッドから出て服を着た。
「シャルル様…私はあなたをお慕いして…」
「自分の姿をよく見るといい。君は僕の友人達とも寝ていただろう。独身令息だけじゃなくて既婚者にも誘いをかけているじゃないか。
今日は手っ取り早く済ませたかったから君を選んだだけだ。勘違いしないでくれ」
「シャルル様っ」
「もう僕が君の誘いに乗ることはない。
そうだ、この後パトリックに声をかけたらどうだ?あいつは女なら誰でもいいから簡単に君と寝るはずだ。さっさと済ませれば3人目も引っ掛けられるんじゃないか?」
「酷いっ」
「被害者ぶるのは止めてくれ。二度と僕の婚約者のことを口にしないでくれ」
バタン
部屋を出て廊下を歩き 会場に戻って酒を飲んだ。
「どうしたんだ?早いな」
「女が煩わしい事を言い出したから」
「恋人にしてくれって?」
「自分はいろんな男に股を開いているくせにクリスティーナのことをあれこれ言い出すから、現実を教えてやった」
「え?」
「無料の娼婦のくせに」
「シャルル…どうしたんだ」
「気分転換に来たのにあの女のせいで台無しだよ」
「じゃあ、あの令嬢に声を掛けろよ。いつもシャルルを見つめていて他の男の誘いには乗らない子だから新鮮だろう」
いかにも純潔で煩わしそうだから あえて気付かないフリをしてきた相手だ。
だけど僕は既に何杯も飲んでいて、そんなことはお構いなしに友人達の煽りを受けて彼女を個室に連れて行った。
部屋の中に入るともじもじとして頬を染めていた。
僕は本当に酔っていたんだ。
ベッドに押し倒し、たいした前戯もせずに彼女のナカに入った。
痛がって泣いて抵抗していた。
記憶の断片は、うつ伏せの彼女の頭を押さえ付けて捻じ込んで、苛立ちのまま突き立てている。
“・・・”
目を開けると薄暗い部屋のベッドの上だった。胃がもたれていて隣には裸の女がいた。
夜会で飲みすぎた後、2人目の女を連れ込んだことを思い出した。あれから3時間というところか…。
灯りを強めて確認するとシーツに純潔の証があった。
金髪だったはずの女の髪は焦茶色だった。側に金髪のカツラが落ちていた。涙と枕に擦り付けたせいで化粧が落ちている。ソバカス肌の田舎娘のような容姿だった。
クリスティーナとはまるで違う。
体を拭いて服を着た。
血色もいいし寝息もたてているから問題ないだろう。
部屋を出てエントランスへ行くと客を送り出している主催者の使用人がいたので、部屋で寝ている女の事を告げて帰った。
数日後、夜会で寝た純潔だった令嬢から手紙が届いた。
“愛するシャルル様に純潔を捧げることができて幸せです。私たちの愛を育みましょう”
「はぁ…」
これがあるから純潔を相手にするのは避けていたのに、飲み過ぎて馬鹿な事をした。
夜会にしか現れない謎の女は金髪のカツラと巧みな化粧で別人だったから気付かなかった。名前はアリアとだけ名乗っていたが、差出人の名はアマリア…ビクセン伯爵家の三女。
ビクセン伯爵家はどちらかといえば貧しい家門だ。困窮はしていないだろうが、嫁ぐ相手は平凡もしくは人気のない家門だろう。女女男女男男の順で子が産まれたので金がかかる。
長女は男爵家に嫁に出され、次女のときはヘインズ家にも打診をしてきた。父上が持参金が少な過ぎると断っていた。歳上だし容姿も伯爵に似ていて美しくない。結局次女は男爵の後妻になった。
第三子の長男は待望の男児で甘やかされて育てられた。在学中に金持ちの令息と学友になり、ギャンブルで借金を作ってしまった。
ビクセン伯爵家の所有する土地の一部を売却したと聞いていた。
三女は確か僕の1歳下だったか?
まさかクリスティーナと同じクラスじゃないだろうな。
手紙の薄気味悪さに不安になった。
「シャルル、ユーグが帰ってきたらしいから行ってくる」
「僕も行きます」
メルト邸に向かう父上について行った。
ギシッ
事が済むと令嬢から離れてベッドに横たわった。
「シャルル様」
女は勝手に僕の腕を枕にして胸の上に手を乗せた。
重みと体温と髪の毛、そして熱のこもった馴々しい視線に嫌悪を覚えた。
「そろそろ帰るよ」
「まだいいではありませんか。お話しましょう?
久しぶりにシャルル様と交れたのですもの。
最近あまり夜会にいらっしゃらないから心配していましたのよ。あの婚約者に引き止められて困っているのではないかと」
「…彼女はそのような事はしない」
そう。僕のことが好きなはずなのに。僕の言ったこととはいえ、何故妬かないんだ。
「そうでしたわね。今はジオ公子の玩具ですものね。
堅物の公子もやっと女の体を知って夢中なのでしょう。それこそ猿みたいに盛った後は飽きて使い捨てられますわ」
黙れ
「きっと公子のお友達を渡り歩くのでしょうね」
黙れ!
「シャルル様もお可哀想。お古を押し付けられて、」
「黙れ!!」
「っ!!」
「おまえは何様なんだ」
「シャルル様!?」
「こうやって簡単に体を許して男達の上に乗って回っている自分のことは棚に上げて人の事を言えるのか?君の婚約者のことは可哀想じゃないのか」
「っ!!」
彼女を押して退かせてベッドから出て服を着た。
「シャルル様…私はあなたをお慕いして…」
「自分の姿をよく見るといい。君は僕の友人達とも寝ていただろう。独身令息だけじゃなくて既婚者にも誘いをかけているじゃないか。
今日は手っ取り早く済ませたかったから君を選んだだけだ。勘違いしないでくれ」
「シャルル様っ」
「もう僕が君の誘いに乗ることはない。
そうだ、この後パトリックに声をかけたらどうだ?あいつは女なら誰でもいいから簡単に君と寝るはずだ。さっさと済ませれば3人目も引っ掛けられるんじゃないか?」
「酷いっ」
「被害者ぶるのは止めてくれ。二度と僕の婚約者のことを口にしないでくれ」
バタン
部屋を出て廊下を歩き 会場に戻って酒を飲んだ。
「どうしたんだ?早いな」
「女が煩わしい事を言い出したから」
「恋人にしてくれって?」
「自分はいろんな男に股を開いているくせにクリスティーナのことをあれこれ言い出すから、現実を教えてやった」
「え?」
「無料の娼婦のくせに」
「シャルル…どうしたんだ」
「気分転換に来たのにあの女のせいで台無しだよ」
「じゃあ、あの令嬢に声を掛けろよ。いつもシャルルを見つめていて他の男の誘いには乗らない子だから新鮮だろう」
いかにも純潔で煩わしそうだから あえて気付かないフリをしてきた相手だ。
だけど僕は既に何杯も飲んでいて、そんなことはお構いなしに友人達の煽りを受けて彼女を個室に連れて行った。
部屋の中に入るともじもじとして頬を染めていた。
僕は本当に酔っていたんだ。
ベッドに押し倒し、たいした前戯もせずに彼女のナカに入った。
痛がって泣いて抵抗していた。
記憶の断片は、うつ伏せの彼女の頭を押さえ付けて捻じ込んで、苛立ちのまま突き立てている。
“・・・”
目を開けると薄暗い部屋のベッドの上だった。胃がもたれていて隣には裸の女がいた。
夜会で飲みすぎた後、2人目の女を連れ込んだことを思い出した。あれから3時間というところか…。
灯りを強めて確認するとシーツに純潔の証があった。
金髪だったはずの女の髪は焦茶色だった。側に金髪のカツラが落ちていた。涙と枕に擦り付けたせいで化粧が落ちている。ソバカス肌の田舎娘のような容姿だった。
クリスティーナとはまるで違う。
体を拭いて服を着た。
血色もいいし寝息もたてているから問題ないだろう。
部屋を出てエントランスへ行くと客を送り出している主催者の使用人がいたので、部屋で寝ている女の事を告げて帰った。
数日後、夜会で寝た純潔だった令嬢から手紙が届いた。
“愛するシャルル様に純潔を捧げることができて幸せです。私たちの愛を育みましょう”
「はぁ…」
これがあるから純潔を相手にするのは避けていたのに、飲み過ぎて馬鹿な事をした。
夜会にしか現れない謎の女は金髪のカツラと巧みな化粧で別人だったから気付かなかった。名前はアリアとだけ名乗っていたが、差出人の名はアマリア…ビクセン伯爵家の三女。
ビクセン伯爵家はどちらかといえば貧しい家門だ。困窮はしていないだろうが、嫁ぐ相手は平凡もしくは人気のない家門だろう。女女男女男男の順で子が産まれたので金がかかる。
長女は男爵家に嫁に出され、次女のときはヘインズ家にも打診をしてきた。父上が持参金が少な過ぎると断っていた。歳上だし容姿も伯爵に似ていて美しくない。結局次女は男爵の後妻になった。
第三子の長男は待望の男児で甘やかされて育てられた。在学中に金持ちの令息と学友になり、ギャンブルで借金を作ってしまった。
ビクセン伯爵家の所有する土地の一部を売却したと聞いていた。
三女は確か僕の1歳下だったか?
まさかクリスティーナと同じクラスじゃないだろうな。
手紙の薄気味悪さに不安になった。
「シャルル、ユーグが帰ってきたらしいから行ってくる」
「僕も行きます」
メルト邸に向かう父上について行った。
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