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つい商売っ気が
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そして4枚目の絵画を見た。
「あ、ここ…テイラーさんに似てますね」
「へ?」
「ここの豚の顔です」
「何処ですか?」
「この奥の…」
「あの野郎…」
豚舎の絵の中にはたくさんの豚がいて、その1匹の顔がテイラーさんの顔を似ていた。テイラーさんは青筋を立てて不在の作者に殺気を向けていた。
「テイラーさん、レディの前ですよ」
「し、失礼しました」
「この作者と親しいのですか?」
「腐れ縁みたいなもので。何度と持ち込んでは来るのですがパッとしなくて。今回は展示する予定の作者が急に展示を取りやめたのでジョアンに声をかけたんです。なのにまさかこんな…」
「売れる前で良かったですね。ではそろそろ」
シャルル様は帰ろうとしたけど
「もしかして、彼の作品は全部こんな感じなのでしょうか」
私はつい思い付いてしまった。
「さあ、どうでしょう」
「ジョアンさんのこの手の絵がたくさんあるのなら、彼だけの絵画展もありかもしれませんよ」
「はい?こんな不吉な絵をですか?」
「どんな不吉が隠れているか入場者に探してもらうのです。見つけても口に出したり指でさし示したりしないルールで。絵に興味のない人が絵に興味を持つきっかけにもなるかもしれません。ですがお客様が来ないかもしれませんけど」
「この絵をですか?お嬢様は見たいと思いますか?」
「絵を見ながら怖さも感じるなんて楽しそうです。人によっては夢に出てきそうですけど、興味がありますね。もの好きもいて買いたいと申し出があるかもしれませんが、あまり購入は見込めないでしょう。入場料を取る方がいいですね。だとするとジョアンさんには絵の値段というより来場者の払うチケット代の何割かを渡す契約になりますよね」
「え、ええ」
「特に王都でイベントがあって人が集まっている時期か、もしくは全く何もない日を狙うのもいいですよね。ある程度の入場料を取るなら貴族が集まるときでないと。もしくは何も催しなどがなくて行く場所がない日を選べば仕方なくきてくれるかもしれません」
「それは私どもで実行してもかまいませんか?」
「ええ。なんの権利も主張しません」
「お嬢様、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「クリスティーナ・セルヴィーと申します」
「セルヴィー伯爵家の!?…そうでしたか。王都で人気の店のオーナー様ですね。それも3店舗も。正直、お嬢様の名前だけお使いなのかと思っておりましたがそうではなかったのですね。誰も見つけなかった絵の中の異物を見つけ、このようなものにも活路を与えるとは。実に素晴らしいです。お連れの方は…」
「僕は彼女の婚約者のシャルル・ヘインズです」
「もし、やると決まったらチケットをお届けに上がります」
「楽しみにしていますわ」
合わせて5枚も隠し絵になっているのならジョアンさんはきっと隠し絵専門と言っていいくらい他にも描いていると思う。
予約をしていたレストランに少し遅れてしまったが問題なかった。食事をしているとやっぱり視線が集まる。
「しかし、クリスティーナはすごいな。あれを商売にしてしまうのだから」
「貴族令嬢らしくないですよね」
「以前はどちらかというと令嬢に商売なんてと思うところもあったけど、目の当たりにすると見方が変わったよ。すごく興味深い。結局5枚とも隠されたものを見つけたのはクリスティーナだし。あの絵は面白いよ。君がいなかったら何も気付けずに絵画展を出ていた。楽しかったよ、クリスティーナ。ありがとう」
「こちらこそありがとうございました」
「嫌いなものは食べなくていいからね」
「外ではアレルギーや気持ち悪いものでもない限り食べることにしています。新たな出会いがあるかもしれませんから」
「新たな出会い?」
「いろいろな調理の仕方があって口に合うかもしれません。例えばミルクスープの中の玉ねぎは大丈夫とか、酢漬けの胡瓜は大丈夫とか、カリッと焼いた鶏皮は大丈夫とか」
「それ、クリスティーナのこと?」
「残念ながら違います」
「そうか。じゃあ、違う楽しみができるんだね。クリスティーナを観察していたら外れのときの表情が見れるわけだ」
「み、見ないでください」
シャルル様の微笑みは少しまた違う雰囲気を纏っていた。
「あ、ここ…テイラーさんに似てますね」
「へ?」
「ここの豚の顔です」
「何処ですか?」
「この奥の…」
「あの野郎…」
豚舎の絵の中にはたくさんの豚がいて、その1匹の顔がテイラーさんの顔を似ていた。テイラーさんは青筋を立てて不在の作者に殺気を向けていた。
「テイラーさん、レディの前ですよ」
「し、失礼しました」
「この作者と親しいのですか?」
「腐れ縁みたいなもので。何度と持ち込んでは来るのですがパッとしなくて。今回は展示する予定の作者が急に展示を取りやめたのでジョアンに声をかけたんです。なのにまさかこんな…」
「売れる前で良かったですね。ではそろそろ」
シャルル様は帰ろうとしたけど
「もしかして、彼の作品は全部こんな感じなのでしょうか」
私はつい思い付いてしまった。
「さあ、どうでしょう」
「ジョアンさんのこの手の絵がたくさんあるのなら、彼だけの絵画展もありかもしれませんよ」
「はい?こんな不吉な絵をですか?」
「どんな不吉が隠れているか入場者に探してもらうのです。見つけても口に出したり指でさし示したりしないルールで。絵に興味のない人が絵に興味を持つきっかけにもなるかもしれません。ですがお客様が来ないかもしれませんけど」
「この絵をですか?お嬢様は見たいと思いますか?」
「絵を見ながら怖さも感じるなんて楽しそうです。人によっては夢に出てきそうですけど、興味がありますね。もの好きもいて買いたいと申し出があるかもしれませんが、あまり購入は見込めないでしょう。入場料を取る方がいいですね。だとするとジョアンさんには絵の値段というより来場者の払うチケット代の何割かを渡す契約になりますよね」
「え、ええ」
「特に王都でイベントがあって人が集まっている時期か、もしくは全く何もない日を狙うのもいいですよね。ある程度の入場料を取るなら貴族が集まるときでないと。もしくは何も催しなどがなくて行く場所がない日を選べば仕方なくきてくれるかもしれません」
「それは私どもで実行してもかまいませんか?」
「ええ。なんの権利も主張しません」
「お嬢様、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「クリスティーナ・セルヴィーと申します」
「セルヴィー伯爵家の!?…そうでしたか。王都で人気の店のオーナー様ですね。それも3店舗も。正直、お嬢様の名前だけお使いなのかと思っておりましたがそうではなかったのですね。誰も見つけなかった絵の中の異物を見つけ、このようなものにも活路を与えるとは。実に素晴らしいです。お連れの方は…」
「僕は彼女の婚約者のシャルル・ヘインズです」
「もし、やると決まったらチケットをお届けに上がります」
「楽しみにしていますわ」
合わせて5枚も隠し絵になっているのならジョアンさんはきっと隠し絵専門と言っていいくらい他にも描いていると思う。
予約をしていたレストランに少し遅れてしまったが問題なかった。食事をしているとやっぱり視線が集まる。
「しかし、クリスティーナはすごいな。あれを商売にしてしまうのだから」
「貴族令嬢らしくないですよね」
「以前はどちらかというと令嬢に商売なんてと思うところもあったけど、目の当たりにすると見方が変わったよ。すごく興味深い。結局5枚とも隠されたものを見つけたのはクリスティーナだし。あの絵は面白いよ。君がいなかったら何も気付けずに絵画展を出ていた。楽しかったよ、クリスティーナ。ありがとう」
「こちらこそありがとうございました」
「嫌いなものは食べなくていいからね」
「外ではアレルギーや気持ち悪いものでもない限り食べることにしています。新たな出会いがあるかもしれませんから」
「新たな出会い?」
「いろいろな調理の仕方があって口に合うかもしれません。例えばミルクスープの中の玉ねぎは大丈夫とか、酢漬けの胡瓜は大丈夫とか、カリッと焼いた鶏皮は大丈夫とか」
「それ、クリスティーナのこと?」
「残念ながら違います」
「そうか。じゃあ、違う楽しみができるんだね。クリスティーナを観察していたら外れのときの表情が見れるわけだ」
「み、見ないでください」
シャルル様の微笑みは少しまた違う雰囲気を纏っていた。
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