2 / 9
第一章 裏庭のトンネル
1ー2 穴の調査
しおりを挟む
「コウちゃん、何してたん?」
「おう、京子か。
庭の片隅にあったお地蔵さんかどうかよくわからないんやが、石像の建屋がこないだの嵐で壊れたから新しく作ったところやで。」
「へぇ、意外とコウちゃんって信心深い?」
「いやぁ、どっちかと言えば俺は無神論者のほうやで。
ただ、爺ちゃん、婆ちゃんを含めて、先祖が祀ってきたもんを拒否はしないし、疎かにしたくないだけや。」
「へぇ、えらいじゃん。
そのお地蔵さんとやら、見せてもらえる?
私も何度かここにお邪魔しているけれど、お地蔵さんなんて気が付かなかったもの。」
「おお、いいぞ。
但し、笑うなよ。
素人の造った上屋なんやからな。」
「コウちゃんが一生懸命作ったものを笑ったりしないわよ。」
俺と京子は、連れ立って庭の片隅にある工事個所に行った。
地蔵堂というか祠というか、出来上がった上屋をみて京子が言った。
「へぇ、立派じゃん。
コウちゃん、もしかすると大工になれるよ。」
「お世辞でもうれしいぜ。
昨日から色々頑張ったからな。」
「そうなんだ。
でも、これって、本当に、お地蔵さんかどうかわからないね。
そもそも、どちらが前かもわからない。
あと、右手の波板は何?」
「ああ、そこはもともと台座があったところ。
台座も大分イカれていたから、新調するために掘り返したら穴が出て来たんや。
放っておくと危ないから波板で蓋をしているところなんじゃ。」
「え?
この波板、透けて見えるけど、穴なんかあるの?」
「オゥ、何だ?
穴が見えないってのか?」
穴の上に雨除けで蓋をしていたのは、薄い樹脂製の波板は透けて見える奴や。
納屋にあったのがそれだったから使っているだけなんやが・・・。
少なくとも俺の目でははっきりと穴の入り口が波板越しに見えている。
何で京子にこれが見えないんや?
おかしなこともあるもんやと思い、隅に置いてある重しのブロックを除けて、波板を外し、穴を表に出したんやが、それでも京子は穴なんか無いという。
「ヤダァ、コウちゃんたら、また私をからかってぇ。
何にもないじゃん。」
あれぇ?
これが見えないということはもしかして俺だけに見える穴か?
そこで言い合いをしても始まらないから一応俺の方が引き下がったが、どうやら不思議なことが起きている様や。
京子は俺と同級生であり、彦根の会社に就職が決まっている。
何でも親戚筋のコネで入った会社らしい。
彦根も長浜も人口ではそんなに変わらんけど、彦根の方が人口減少率は少ないようなんや。
そうは言っても同じ地方都市やからな、さほど変わらん。
京子も大学受験はしてみたが、三流大学にしか合格しなかったので、就職することにしたようやな。
大学で得ることもあるだろうが、周囲に流されると学業が疎かになって遊ぶだけに終わり、就職の際に困る者も多いらしいから、その意味では良い見切りなのかもしれない。
特に京子はドライな考えの持ち主であり、就職先は結婚までの準備段階としか捉えていない。
女は結婚して、子供を産んでナンボと考えている様や。
まぁ、チョット男勝りのところがあるから、男の俺ともうまいこと付き合ってきたわけやろな。
世間話を含めて色々と半時間ほども縁側に腰かけて駄弁っていたが、陽が斜めになるとすぐに寒くなってきたので、お互いに別れを告げて家に引き上げた。
トンネルの調査は次の土・日やな。
◇◇◇◇
幸いにして2月の第二週からは、登校しても午前中だけの授業になるし、大学受験のためにあちらこちらに出かけている奴も多いんだ。
実質まともな授業にはなっていないんだが、俺の場合だと、2月15日までは一応の授業があることになっている。
就職クラスの場合は、21日まで授業があるらしい。
どちらにしろ、世の中は、22日(土)から24日(月)は三連休なんだぜ。
特に予定もないから、トンネル調査は22日からにしよう。
2月22日、予定通り庭で見つけたトンネルの探検を行うことにした。
色々と装備を整えるのに結構手間取ったぜ。
酸欠で死にたくはないから、結局ライフゼムを購入したよ。
こいつは流石にホームセンターでは置いてなかったので、通販で購入した。
ネットを探すと中古もあったんだが、やっぱり中古で不具合が有ったりしたら危ないかもと思って、保証付きの新品を購入したよ。
〆て35万ほどもかかったが、未だ無職の俺にとっては少し高い買い物だったかもしれんなぁ。
でもまぁ、損害賠償やら、保険やら、相続やらで俺の口座には億を超える金がある。
多少の無駄遣いでも今のところはまだ余裕があるんや。
ライフゼムで活動できるのは、人にもよるらしいが15分から20分程度らしいので無理はしない。
一応の目安としては、トンネルに侵入して10分を目途に引き上げることにしている。
この制限時間内でただ歩くだけなら800mぐらいは行けそうや。
つまりは片道五分(400m前後?)になったら無理をせずに引き上げるということで考えている。
ライフゼムは、消防の救助隊員が使うような代物で、マスク、レギュレーター、空気タンクに背負子などからなっている。
ヘルメットも一応折り畳み式の簡易なものを用意しているぜ。
あと、厚めのデニムの上下に、インナーでパッチやらセーターやらを着こんで、皮手袋をつけ、登山靴を履いている。
少し重装備過ぎるかもしれんが、安全に越したことはないやろう。
お地蔵さんかどうかは今でもわからないが、潜る前に手を合わせて拝んでおいた。
御利益があると良いんじゃがな。
ヘルメットにLEDランプをつけ、手にもマグライトを持って、トンネルの階段を慎重に降りて行った。
念のため、庭に生えている太めの樹木に縛り付けたザイルを入り口から垂らして、進むに従って背後のリュックから伸ばして行き、万が一視界が失われてもロープを手繰れば外に戻れるようにしているというわけや。
斜めの移動距離で10m前後、垂直方向なら精々地下5mくらいかな、階段の下に降りて通路に出た。
まっすぐな通路で、高さが2m半、幅も同じく2m半ほどもありそうだ。
壁、天井、床面は汚れとかほこりがついていたり、蜘蛛の巣が張っていたりしているけれど、きちんと方形に切り出した石材を積み上げているように見えるので強度的には問題が無いと思うんやが、・・・。
その造りと言えば、石と石の隙間がカミソリも入らないほど、きっちりと組まれている。
まるでインカの遺跡の様(俺は行ったことが無いから詳しくは知らんが、そういう風にネットでは表示されているよね?)なんやけど、一体誰がこんなものを造ったんやろ。
日本の石垣ってこんなにきれいな方形には作っていないよね。
まぁ、どっかの石工さんがきれいに造ったものなら、最近のものと言うことになるのかな?
その場合やと、精々明治ぐらいだろう。
江戸時代の農家にこんな石造りの洞穴を造るわけがないと思うんや。
さらに20mほど先に通路よりも少し幅広の空間があって、正面に木製の扉が見える。
ウン?
こいつは、もしやお宝なのか?
そんな浮ついた気持ちながら、何かあっても困るから慎重に行動するのは忘れない。
周りが暗い上に閉鎖空間なんで、俺としては結構ビビり気味なんやで。
木製の扉は、いわゆる回転開きのドアじゃなくって、スライド式の引き戸のようやな。
扉自体はかなり古めかしく一部朽ちているけれど、全体としては壊れてはいないようやった。
時間は、地下のトンネルに入り始めてから2分足らずを経過したが、まだまだ空気には十分余裕はあったので、おそるおそる、その引き戸を開いたところまでは記憶がある。
次の瞬間、グワーンと頭を激しく揺すられたような感じがして、俺の意識は暗転した。
◇◇◇◇
次に目覚めた時、俺は布団に・・・?
じゃねぇな。
薄っぺらの布を重ねたような夜具の上に寝ていて、上に同じく布(毛布じゃねえぞ)を布団代わりにかけている様だ。
板張りの床だし、天井が無くって、梁やら屋根が直接見える粗末な小屋に寝かされていた。
何だ?
今時、随分と粗末な造りだが、どこかのロケの現場にでも迷い込んだのか?
気でも失って救助されたんなら、病院の病室で気づくってのが普通やろが、・・・。
これってどこかの納屋なのか?
そう思っていると、薄暗い中で、木戸・・・、障子じゃねえぞ。
木製の引き戸や。
俺が開けた例のトンネルにあった引き戸とは明らかに違う代物で、まだ真新しいな。
ガタピシと音を出しながら開けられて、外から若い女性が入ってきた。
腰までありそうな長い髪を、紐でしばって髪を束ねている。
そうして何よりも変わっているのは和服を着ていることや。
近頃、浴衣なんかは夏場に見ることがあっても、和装は中々見かけない。
但し、どう贔屓目に見てもよそ行きのおしゃれ着の衣装には見えないんやがな。
くすんだ色の前掛けをして、左程質の良くない重ね着の和服は普段着なのやろうと思うが・・・・。
年の頃は、20代半ばに達しているかどうかやな。
そこそこ整った顔ながら、美人かと問われると、チョット頷けないレベルかも知れないな。
まぁ、テレビ等で結構な美女俳優やアイドルを見慣れているから、目が肥えている(?)だけかもしれないな。
「おう、京子か。
庭の片隅にあったお地蔵さんかどうかよくわからないんやが、石像の建屋がこないだの嵐で壊れたから新しく作ったところやで。」
「へぇ、意外とコウちゃんって信心深い?」
「いやぁ、どっちかと言えば俺は無神論者のほうやで。
ただ、爺ちゃん、婆ちゃんを含めて、先祖が祀ってきたもんを拒否はしないし、疎かにしたくないだけや。」
「へぇ、えらいじゃん。
そのお地蔵さんとやら、見せてもらえる?
私も何度かここにお邪魔しているけれど、お地蔵さんなんて気が付かなかったもの。」
「おお、いいぞ。
但し、笑うなよ。
素人の造った上屋なんやからな。」
「コウちゃんが一生懸命作ったものを笑ったりしないわよ。」
俺と京子は、連れ立って庭の片隅にある工事個所に行った。
地蔵堂というか祠というか、出来上がった上屋をみて京子が言った。
「へぇ、立派じゃん。
コウちゃん、もしかすると大工になれるよ。」
「お世辞でもうれしいぜ。
昨日から色々頑張ったからな。」
「そうなんだ。
でも、これって、本当に、お地蔵さんかどうかわからないね。
そもそも、どちらが前かもわからない。
あと、右手の波板は何?」
「ああ、そこはもともと台座があったところ。
台座も大分イカれていたから、新調するために掘り返したら穴が出て来たんや。
放っておくと危ないから波板で蓋をしているところなんじゃ。」
「え?
この波板、透けて見えるけど、穴なんかあるの?」
「オゥ、何だ?
穴が見えないってのか?」
穴の上に雨除けで蓋をしていたのは、薄い樹脂製の波板は透けて見える奴や。
納屋にあったのがそれだったから使っているだけなんやが・・・。
少なくとも俺の目でははっきりと穴の入り口が波板越しに見えている。
何で京子にこれが見えないんや?
おかしなこともあるもんやと思い、隅に置いてある重しのブロックを除けて、波板を外し、穴を表に出したんやが、それでも京子は穴なんか無いという。
「ヤダァ、コウちゃんたら、また私をからかってぇ。
何にもないじゃん。」
あれぇ?
これが見えないということはもしかして俺だけに見える穴か?
そこで言い合いをしても始まらないから一応俺の方が引き下がったが、どうやら不思議なことが起きている様や。
京子は俺と同級生であり、彦根の会社に就職が決まっている。
何でも親戚筋のコネで入った会社らしい。
彦根も長浜も人口ではそんなに変わらんけど、彦根の方が人口減少率は少ないようなんや。
そうは言っても同じ地方都市やからな、さほど変わらん。
京子も大学受験はしてみたが、三流大学にしか合格しなかったので、就職することにしたようやな。
大学で得ることもあるだろうが、周囲に流されると学業が疎かになって遊ぶだけに終わり、就職の際に困る者も多いらしいから、その意味では良い見切りなのかもしれない。
特に京子はドライな考えの持ち主であり、就職先は結婚までの準備段階としか捉えていない。
女は結婚して、子供を産んでナンボと考えている様や。
まぁ、チョット男勝りのところがあるから、男の俺ともうまいこと付き合ってきたわけやろな。
世間話を含めて色々と半時間ほども縁側に腰かけて駄弁っていたが、陽が斜めになるとすぐに寒くなってきたので、お互いに別れを告げて家に引き上げた。
トンネルの調査は次の土・日やな。
◇◇◇◇
幸いにして2月の第二週からは、登校しても午前中だけの授業になるし、大学受験のためにあちらこちらに出かけている奴も多いんだ。
実質まともな授業にはなっていないんだが、俺の場合だと、2月15日までは一応の授業があることになっている。
就職クラスの場合は、21日まで授業があるらしい。
どちらにしろ、世の中は、22日(土)から24日(月)は三連休なんだぜ。
特に予定もないから、トンネル調査は22日からにしよう。
2月22日、予定通り庭で見つけたトンネルの探検を行うことにした。
色々と装備を整えるのに結構手間取ったぜ。
酸欠で死にたくはないから、結局ライフゼムを購入したよ。
こいつは流石にホームセンターでは置いてなかったので、通販で購入した。
ネットを探すと中古もあったんだが、やっぱり中古で不具合が有ったりしたら危ないかもと思って、保証付きの新品を購入したよ。
〆て35万ほどもかかったが、未だ無職の俺にとっては少し高い買い物だったかもしれんなぁ。
でもまぁ、損害賠償やら、保険やら、相続やらで俺の口座には億を超える金がある。
多少の無駄遣いでも今のところはまだ余裕があるんや。
ライフゼムで活動できるのは、人にもよるらしいが15分から20分程度らしいので無理はしない。
一応の目安としては、トンネルに侵入して10分を目途に引き上げることにしている。
この制限時間内でただ歩くだけなら800mぐらいは行けそうや。
つまりは片道五分(400m前後?)になったら無理をせずに引き上げるということで考えている。
ライフゼムは、消防の救助隊員が使うような代物で、マスク、レギュレーター、空気タンクに背負子などからなっている。
ヘルメットも一応折り畳み式の簡易なものを用意しているぜ。
あと、厚めのデニムの上下に、インナーでパッチやらセーターやらを着こんで、皮手袋をつけ、登山靴を履いている。
少し重装備過ぎるかもしれんが、安全に越したことはないやろう。
お地蔵さんかどうかは今でもわからないが、潜る前に手を合わせて拝んでおいた。
御利益があると良いんじゃがな。
ヘルメットにLEDランプをつけ、手にもマグライトを持って、トンネルの階段を慎重に降りて行った。
念のため、庭に生えている太めの樹木に縛り付けたザイルを入り口から垂らして、進むに従って背後のリュックから伸ばして行き、万が一視界が失われてもロープを手繰れば外に戻れるようにしているというわけや。
斜めの移動距離で10m前後、垂直方向なら精々地下5mくらいかな、階段の下に降りて通路に出た。
まっすぐな通路で、高さが2m半、幅も同じく2m半ほどもありそうだ。
壁、天井、床面は汚れとかほこりがついていたり、蜘蛛の巣が張っていたりしているけれど、きちんと方形に切り出した石材を積み上げているように見えるので強度的には問題が無いと思うんやが、・・・。
その造りと言えば、石と石の隙間がカミソリも入らないほど、きっちりと組まれている。
まるでインカの遺跡の様(俺は行ったことが無いから詳しくは知らんが、そういう風にネットでは表示されているよね?)なんやけど、一体誰がこんなものを造ったんやろ。
日本の石垣ってこんなにきれいな方形には作っていないよね。
まぁ、どっかの石工さんがきれいに造ったものなら、最近のものと言うことになるのかな?
その場合やと、精々明治ぐらいだろう。
江戸時代の農家にこんな石造りの洞穴を造るわけがないと思うんや。
さらに20mほど先に通路よりも少し幅広の空間があって、正面に木製の扉が見える。
ウン?
こいつは、もしやお宝なのか?
そんな浮ついた気持ちながら、何かあっても困るから慎重に行動するのは忘れない。
周りが暗い上に閉鎖空間なんで、俺としては結構ビビり気味なんやで。
木製の扉は、いわゆる回転開きのドアじゃなくって、スライド式の引き戸のようやな。
扉自体はかなり古めかしく一部朽ちているけれど、全体としては壊れてはいないようやった。
時間は、地下のトンネルに入り始めてから2分足らずを経過したが、まだまだ空気には十分余裕はあったので、おそるおそる、その引き戸を開いたところまでは記憶がある。
次の瞬間、グワーンと頭を激しく揺すられたような感じがして、俺の意識は暗転した。
◇◇◇◇
次に目覚めた時、俺は布団に・・・?
じゃねぇな。
薄っぺらの布を重ねたような夜具の上に寝ていて、上に同じく布(毛布じゃねえぞ)を布団代わりにかけている様だ。
板張りの床だし、天井が無くって、梁やら屋根が直接見える粗末な小屋に寝かされていた。
何だ?
今時、随分と粗末な造りだが、どこかのロケの現場にでも迷い込んだのか?
気でも失って救助されたんなら、病院の病室で気づくってのが普通やろが、・・・。
これってどこかの納屋なのか?
そう思っていると、薄暗い中で、木戸・・・、障子じゃねえぞ。
木製の引き戸や。
俺が開けた例のトンネルにあった引き戸とは明らかに違う代物で、まだ真新しいな。
ガタピシと音を出しながら開けられて、外から若い女性が入ってきた。
腰までありそうな長い髪を、紐でしばって髪を束ねている。
そうして何よりも変わっているのは和服を着ていることや。
近頃、浴衣なんかは夏場に見ることがあっても、和装は中々見かけない。
但し、どう贔屓目に見てもよそ行きのおしゃれ着の衣装には見えないんやがな。
くすんだ色の前掛けをして、左程質の良くない重ね着の和服は普段着なのやろうと思うが・・・・。
年の頃は、20代半ばに達しているかどうかやな。
そこそこ整った顔ながら、美人かと問われると、チョット頷けないレベルかも知れないな。
まぁ、テレビ等で結構な美女俳優やアイドルを見慣れているから、目が肥えている(?)だけかもしれないな。
21
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる