転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監

文字の大きさ
24 / 31
第二章 ハンターとして

2ー18 シラブルの森の異変

しおりを挟む
 結局のところ、僕のシラブルの異常に関する報告内容は、ハンターギルド南支部のサブマスに重要なこととは見做されず、明後日以降まで判断を持ち越されることになってしまった。
 当然のことながら、このままでは、南支部のギルマスにこの異変に関する報告が上がることは無いのだろうね。

 残念なことに、駆け出しのハンターである今の僕では、ギルマスへの面会は取り次いでもらえないんだ。
 或いは、ギルマスならば適切な判断を下せるかもしれないんだけれどね・・・。

 いずれにしろ、ここで時間を食ってもいられないから、僕はハンターギルドを出て、すぐに王宮へ向かい、王家相談役クロイム・サイルズとの面会を取り付けた。
 彼はちょうど手が空いていたようで、すぐに面会に応じてくれたよ。

 面会場所は、王宮の門衛前の広場なんだ。
 そこで彼に現状の説明を行い、彼の力で何事かを為すことができないかを尋ねた。

「ふむ、リックの言うことはわかった。
 取り敢えず、仮にスタンピードの兆候だとするならば、王宮とて無碍むげにはできない話だ。
 取り敢えず、私は私で動いてみよう。
 但し、前例のないことでもあり、果たして王宮がすぐに動いてくれるかどうかはわからない。
 遅くとも明日には、シラブルの森に調査隊が行けるよう努力はしてみるつもりだがね。
 で、リックはどうするのかね?
 私としては、君にあまり危ないことはしてほしくは無いのだが・・・・。」

有耶無耶うやむやのまま放置はできませんから、今日は診療を休んでシラブルの森を僕なりに調査してみるつもりです。
 更なる異変が見つかった時は、またクロイムさんにお知らせします。
 緊急の場合は、あなたの寝所等に直接メッセージを送ることになるやもしれません。」

「うん?
 直接のメッセージを?
 一体・・・・。
 もしや妖精を使ってと言うことかな?」

 僕は小さく頷いた。
 クロイムさんならば、妖精を見ることもできるようなので、伝言ができるはずなんだ。

「そうか、・・・。
 だが、くれぐれも気をつけてな。
 君に万が一のことが有ると大勢の人が困るからね。」

 僕はその足で王都を出て、シラブルへと向かった。
 緊急事態の恐れもあることから、止むを得ず人には知られていない僕の能力を発揮することにした。

 シラブルの台地はそれなりに高い場所にあるんだが、台地に上がると多少の凹凸はあっても比較的平坦な地形なんだ。
 かなり遠方に比較的高い山並みがあるが、そこまで行くともなれば徒歩で三日や四日はかかるだろうし、ハンターもそこまでは入り込んでいない場所のはずだ。

 仮に異変があるとすれば、その山麓から森の深奥部にかけての地域だろうけれど、それでも調査すべき範囲はかなり広い地域になる。
 僕も魔物達を刺激してはいけないと思ってこれまで試したことは無いんだが、探知魔法を広域に使ってみることにしたよ。

 但し、地上からではなく、空中からの探査だ。
 場合によっては、飛行可能な魔物をひきつける恐れもあるけれど、シラブルの森のこれまで入った地域の一番奥の上空に行ってからやることにした。

 風魔法と時空魔法のコンボで、僕自身が飛翔できるんだ。
 何せ初めての試行なんで、当初の飛翔は何となく不安定だったが、五分もすると慣れて、かなりの飛翔速度も出るようになった。

 で、飛翔したまま前方空間に転移して、目的地周辺上空に達したので、そこで探知魔法を行使してみた。
 ダブル或いはトリプルでの魔法発動も特段の支障なくできているし、魔力の枯渇の心配は無い。

 探知をかけて驚いたことに、シラブルの森には多数の魔物が生息していた。
 僕の探知範囲が概ね周囲500mから700mほどなんだけれど、その範囲に千匹を超える魔物や動物が居たよ。

 ただ居るというだけでは何の判断もできないので、その探知した魔物や動物が何であるのかを鑑定で判定するようにした。
 うん、ゴブリンが一番多くて、500匹近くいるし、次いでオークの約200匹程度かな。

 後は雑多な動物と魔物なんだが、残りはほとんどが単独で活動しているようで、さほどの脅威にはなりそうもないと判断した。
 まぁ、これら全部が群れとなればかなりの脅威にはなる。

 問題は、僕の探知範囲ぎりぎりの森の奥まったところ、シラブルの森のエンド付近から約1キロ程度には、密集した魔物が居るような気配がするんだ。
 で、その付近に向けて飛翔しながら探索を続ける。

 その結果として、半径約1キロほどの範囲に、多数の魔物が混在していることが判明したよ。
 魔物は種族ごとの縄張り争いがあって、こんな風に多数の種類の魔物が密集することは無いはずなんだ。

 おまけにかなり高度を取っていた(地上から40m程度)にもかかわらず、下から魔法攻撃を受けたよ。
 周囲に時空魔法による結界を張っていたから僕に被害は無かったのだけれど、万が一を考えて高度を100mにまで上げた。

 覿面てきめんに地上からの攻撃は無くなったから、概ね魔法の射程が精々50m程度なのだろうと思われる。
 そうして、下の魔法使いが人間であれば、僕の探知でそれとわかるはずなので、多分人ではないんだろうな。

 従って、どうやらメイジと呼ばれる魔物の魔法使いが存在するようだ。
 いずれにしろ、当該魔物集団の中核を鑑定してみた。

 その結果、人型のオーガではないかと思われる集団と、オークと思われる集団が中核にあるようだ。
 これらはいずれも群れを造っているんだが、互いに争ってはいないところが不思議でもある。

 もう一つは、それら集団に向かって近づくに従って、彼らの出現点と思しき場所が見つかったことだ。
 空中からは明確には見えないんだが、探知によれば、地下からモンスターが湧き出ているようにも思われるんだ。

 或いは、ダンジョンからの漏出若しくは放出なのか?
 詳細は知らないが、ダンジョンにおいて討伐されないモンスターが異常に繁殖した際は、ダンジョンから魔物が放出されることが有るらしい。

 その場合、種族ごとの密度がどうしても高くなるので、往々にしてキングやロードなどの上位種が生まれやすいようだ。
 今のところ、そこまで詳細な個別の鑑定を行なってはいないのだけれど、オーガとオークの集団にキング又はロードが居るのかもしれない。

 そうした集団が、頂点となる種族のトップに従って、全体として一つの魔物集団のように人間社会を襲うスタンピードがあるらしい。
 くまで文献で読んだことが有るだけで、僕が実際に体験したわけではないから、不確実な情報ではある。

 しかしながら、異種族のモンスターがシラブルの森の奥で殺し合いもせずに全体としてまとまっており、意図を持っているかの如く、王都を目指しているように見えるのは異様である。
 シラブルの森には以前からオークやゴブリンなどの人型モンスターが居ることはギルドの資料で知っていた。

 しかしながら、オーガの存在は今回初めて知った。
 現状で云うならば、既にゴブリンの群れは十数匹ごとの群れに分かれて、シラブルの森のエンド近く(森の浅いところ)に達している。

 ゴブリンだけでも総数で間違いなく500匹を超えているだろうと思う。
 これらはあるいは斥候役なのか、現時点ではシラブルの森から出ようとはしていないようだ。

 但し、ハンターが森に踏み込めば直ちに集団で襲撃してくるだろう。
 ゴブリンで間に合わなければ、オークやオーガも出張ってくるかもしれない。

 一方で、ダンジョンの出入り口かもしれない箇所からのモンスターの湧出は、徐々に少なくなっており、ほぼとまりかけているようだが、出てきているのは専ら大型のオーガ種のようだ。
 ひときわ大きなオーガが出て来たので鑑定をかけると、オーガ・ロードだった。

 王都にある図書館の文献では、オーガ・ロードが率いるモンスター軍団は別名『国崩し』とも呼ばれるらしい。
 実際に百五十年ほど前にハーゲン王国が存在する大陸とは別の大陸で二カ国が滅んだスタンピードがあったらしい。

 この二カ国の周辺国が連合してこのスタンピードに対処した結果、多大の損害を出しながらも何とか退治したという記録があったんだ。
 うーん、仮にハーゲン王国が国を挙げての防衛でも歯が立たないのかもしれないということだな。

 この時点で、日没を過ぎて周囲は暗闇に覆われつつあった。
 魔物の集団も、陽が落ちてからの活動は活発ではないので、明朝夜が明けてからの動きになる可能性が高いな。

 山の方向に彼らが移動するならばともかく、人里に向かうようならば、なんとか押しとどめねばならないのだが、はたして王国にその手だてがあるんだろうか?

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 新作を始めました。
 「戦国タイムトンネル」
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/792488792/120012757

 チート能力を持って逆行転生をするお話です。
 宜しくどうぞ。

  By サクラ近衛将監

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生大賢者の現代生活

サクラ近衛将監
ファンタジー
 ベイリッド帝国の大賢者として173歳で大往生したはずのロイドベル・ダルク・ブラームントは、何の因果か異世界のとある若者に転生を遂げた。  ロイドベルの知識、経験、能力、更にはインベントリとその中身まで引き継いで、佐島幸次郎として生き返ったのである。  これは、21世紀の日本に蘇った大賢者の日常の生活と冒険を綴る物語である。  原則として、毎週土曜日の午後8時に投稿予定です。  感想は受け付けていますけれど、原則として返事は致しませんので悪しからずご了承ください。

事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 会社員の俺が交通事故に遭いました。二か月後、病院で目覚めた時、ほぼ全身不随。瞼と瞳が動かせるものの、手足も首も動かない。でも、病院で寝ると異世界の別人の身体で憑依し、五体満足で生活している。また、異世界で寝ると現代世界に目が覚めるが体の自由は利かない。  睡眠の度に異世界と現代世界を行ったり来たり、果たして、現代社会の俺は、元の身体に戻れる方法があるのだろうか?  そんな男の二重生活の冒険譚です。  毎週水曜日午後8時に投稿予定です。

母を訪ねて十万里

サクラ近衛将監
ファンタジー
 エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。  この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。  概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。

戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える

yukataka
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、 家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。 降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。 この世界では、魔法は一人一つが常識。 そんな中で恒一が与えられたのは、 元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。 戦えない。派手じゃない。評価もされない。 だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、 戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。 保存、浄化、環境制御―― 誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。 理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、 英雄になることではない。 事故を起こさず、仲間を死なせず、 “必要とされる仕事”を積み上げること。 これは、 才能ではなく使い方で世界を変える男の、 静かな成り上がりの物語。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

魔界を追放された俺が人間と異種族パーティを組んで復讐したら世界の禁忌に触れちゃう話〜魔族と人間、二つの種族を繋ぐ真実〜

真星 紗夜(毎日投稿)
ファンタジー
 「...俺が...、元々は人間だった...⁉︎」  主人公は魔界兵団メンバーの魔族コウ。  しかし魔力が使えず、下着ドロボウを始め、禁忌とされる大罪の犯人に仕立て上げられて魔界を追放される。    人間界へと追放されたコウは研究少女ミズナと出会い、二人は互いに種族の違う相手に惹かれて恋に落ちていく...。    あんなトコロやこんなトコロを調べられるうちに“テレパシー”を始め、能力を次々発現していくコウ。  そして同時に、過去の記憶も蘇ってくる...。    一方で魔界兵団は、コウを失った事で統制が取れなくなり破滅していく。    人間と異種族パーティを結成し、復讐を誓うコウ。  そして、各メンバーにも目的があった。  世界の真実を暴くこと、親の仇を討つこと、自らの罪を償うこと、それぞれの想いを胸に魔界へ攻め込む...!

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

処理中です...