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第四章 学院生活(中等部編)
4ー41 感染症対策とセルデン再訪
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さてさて、感染症に対する一応のパッチ当ては済みましたね。
この感染症の名前は、私(ヴィオラ)の中では、『セタニテラ出血熱』という名前にしました。
セタニテラは、ベルナルド辺境伯領の南端にある魔境の呼称なんです。
最初はアメーバーを意味する『ミルヴァ』にしようかとも思いましたが、仮にこの名前をつけるとなんとなく人々が嫌がりそうな気がしましたので、敢えて魔境の名にしました。
というのも、仮に私が推測しているように魔境がこのセタニテラ出血熱の温床であるとするならば、他に発症の恐れのある地域は、魔境に接しているフルベルク王国とローランデル王国の可能性が高いのです。
その根拠は、やはりビッグファング・ボアがセタニテラ出血熱に対する抗体を持っていたからです。
もしかすると他にも抗体を持つ魔物も存在するかもしれませんが、魔境に生息する魔物の一つが耐性を持っていたということは、当該生息地にあった病原体ではないかと推測できるからです。
HK細胞を変性させることになった粘菌類も魔境で見つけたものですので、その推測を大いに裏付けます。
いずれにせよ、血清というかワクチンと言うか、変性HK細胞の抗体については、ビッグファング・ボアの現地名の『ヴァデダン』をもじって、『ヴァデ抗体』としました。
問題は、発症した患者で体内に抗体を持っている人物が、いずこかへ移動した際に耐性の無い人物に感染させる恐れがないかということです。
一応は体内にあるセタニテラ出血熱の病原体は、ヴァデ抗体が捕食して体内には存在していないはずなのですけれど、仮に周囲をバリアーで囲って一時的に活動を停止しているようなものを私(ヴィオラ)が見過ごしていれば、他の地域で感染症が拡大してもおかしくはありません。
前世では、シベリアのツンドラ地帯で眠っていた古代の細菌が渡り鳥に付着して、飛来先で感染症を蔓延させる脅威が懸念されていました。
前世のシベリア地帯は、太古の昔、気温が40度を超えるような熱帯地域であったと推測されているそうです。
従って、その後、気候が変化して凍土になった時に、活動を停止して冬眠している病原菌が居てもおかしくはないらしいのです。
私が知っている知識では、脅威だけで実際にそれが証明されたケースは無いのですけれどね。
いずれにせよ、天敵にあった際の生物のありうべき姿は、天敵に勝てるような能力を発現(突然変異)するか、逃げるか、無害なものに擬態するか、それとも、天敵を寄せ付けないようなバリアーを生み出すかの方法ぐらいしかないと思うんです。
抗生物質を多用しているうちに、いかなる抗生物質も効かないようなスーパー病原菌が生じるのは確かな話です。
ですから前世の結核治療は、最初にドカッと強力な抗生物質を投与して、結核菌を抑える手法を取ります。
ある意味で病原体も生物なんですから進化してしまうんですよね。
あらゆる抗生物質に耐性を持ってしまったなら、病原体を抑えることができなくなります。
そうは言いながらも、前世では、他の効果のある抗生物質を使って何とか対処していますけれど、駄目な場合は、無菌室に患者を放り込むような場合もあったようですね。
そんなことにならないよう、事前に色々と感染予防をしておくことが大事なんですけれど、医療や衛生知識に乏しいこの世界では、その基礎知識を広めることが大変です。
傷病に対処するはずの治癒師や薬師ですら、その基礎知識を知らないのですから、そうした衛生に関する基礎知識を広めることが本当に必要なんですが、これには時間がかかります。
ロデアルの学校では、そうした衛生に関する基礎知識の授業を必須にしていますけれど、これを世界中に押し広げるには経費も時間もかかりますよね。
でも、危険な致死性感染症が間違いなく出現したのですから、今後はこれを強力に推し進める必要があります。
但し、今の私(ヴィオラ)は、成人もしていませんので表立っては何もできません。
もしも実行するとしたなら、今回のように式神を使って、正体がわからないようにヴァデ抗体を投与することになりますけれど、投与した結果として副作用が発生した場合は困りますよね。
一例でも、アナフィラキシーショックのような症状が生じれば、投薬に対する信用がなくなり、ヴァデ抗体の投与ができなくなります。
何といっても予防のためのワクチンですから、発症の可能性が非常に少ない場合には、その必要性が余り無いのです。
前世でもインフルエンザ等のワクチンは基本的に任意でしたから、強制は難しいでしょうねぇ。
多分、私(ヴィオラ)の能力を王家辺りにぶちまけたなら、王家を動かして相応のこともできるかもしれませんが・・・・。
その場合は、私(ヴィオラ)が王家の支配体制に取り込まれ、政治権力者に手駒として良いように扱われる未来しか見えませんから、メリットよりもデメリットが多すぎます。
勿論、私(ヴィオラ)が力でそうした体制や勢力を押さえつけることは可能だと思いますけれど、本来、私(ヴィオラ)が望む姿ではありません。
それに、この世界では、女性の政治的な発言力は非常に弱いのです。
王家でも王妃はそれなりに権勢を持っていますが、表向き王妃が政治に口を挟むことはタブーとされているんです。
前世だって、男女同権が叫ばれて久しかったですけれど、やっぱり男尊女卑の傾向は幾許かなりとも残っていましたからね。
特にアフリカやアラブでは、その傾向が強かったように思います。
まぁ、そんなことはともかく、セタニテラ出血熱が、他所の地域で発症しないよう監視網を造る必要がありますよね。
そのためにライヒベルゼン王国内のみならず、周辺国、就中ブルベルク王国とローランデル王国には監視のための式神を多く配置しました。
これら二つの国は海に接しており、多数の国との交易も行っていますから、それらの国々の港を中心とした監視網も必要です。
数日をこの整備に費やし、私は王都に戻りました。
◇◇◇◇
ロデアルから王都に戻った私(ヴィオラ)は、その二日後にはレイノルズ様と合流して、ブルボン領へ向けて出発です。
二度目のセルデン訪問ですね。
今回の訪問で、地下にある岩塩層についてのお話をしようと思っています。
無論利益が絡む話ですので、内密なお話にしなければなりません。
ロデアルでの生産も、施設の整備によりこれから軌道に乗ってくると思いますけれど、安く品質の良い品を量産するには、ブルボン領でも塩の生産を始めたほうが良いと思うのです。
ちょうど地理的にもライヒベルゼン王国の南北に分かれていますから、それぞれの販売領域を設定しておけば競争は起きないと思うのです。
そのために、お父様にも相談をしております。
勿論、私(ヴィオラ)が嫁に入ったブルボン家で元々製塩事業を始める予定であったことは、お父様にも打ち明けておりました。
その上で、塩の問題でライヒベルゼン王国に、危難が生じた際に、緊急避難的にロデアルでの岩塩採掘を始めたわけですが、ロデアルはかなりの収益が有った筈なのです。
ブルボン家がこれから岩塩採掘のための坑道を造るにしても時間がかかります。
おそらくは早くて一年、遅ければ三年ほどもかかるかもしれません。
それほど、岩塩層に至るまでの間に存在する岩盤層が固いのです。
ブルボン領に存在する岩塩層の場合は、ロデアルの地下千メートルに比べると半分以下の深さにあるのですけれどね。
私(ヴィオラ)のように土属性魔法を自在に操れる者が居なければ。かなり苦労することになりますね。
私が嫁に行った後ならば、その時点で地割れでも発生させるなどして、岩塩層の近くまでの道筋をつけるつもりでは居ました。
それにしても、ロデアルみたいに私の力でいきなり産出するような手法は取りません。
あれは飽くまで緊急避難の手法だからです。
一応、塩の生産で国内需要の最低レベルは賄えていますから、ブルボン領でことさらに急ぐ必要はありません。
ということで、ご挨拶に合わせて人払いをしていただき、ロデアルでの岩塩採掘と食塩製造についての内情をジャクソン・ヒュルス・ド・ヴァル・ブルボン侯爵には、お話をしました。
ロデアルでは非常に深い地下に岩塩層が存在しましたけれど、ブルボン領ではその半分くらいの深さに岩塩層が存在する可能性が高いこともお話ししました。
また、ロデアルでは岩塩層に達するまでに三年ほどかかった(お父様が王家についた嘘を踏襲)けれど、ブルボン領では1年半から二年程度、長くても三年の掘削で岩塩層に達する可能性があることもお知らせしました。
その上で、ブルボン侯爵がどのように動くかは、侯爵ご自身の判断でしょう。
ただ、侯爵からは、仮に掘るとしたならば、どこが良いだろうかとのご相談を受けました。
ふーむ、どうやら、前回訪問の際の私(ヴィオラ)の動きから、私の能力に何事かを感じ取ったようですね。
仮に、侯爵が推測にしろ、私の力を他所に漏らすようなことを為せば、私とレイノルズ様との婚約は破談です。
私(ヴィオラ)の立場を危うくするような義父であるのならば、破談もやむを得ないでしょう。
私(ヴィオラ)にとって、ブルボン領なり、侯爵なりの地位は左程意味を持たないんです。
レイノルズ様にしても、夫として合格点を与えているだけであり、いずれ嫁に行かねばならない私(ヴィオラ)が嫁ぐ先のベターな候補の一つにしかすぎません。
探せば、あるいはもっと良い男性がいるかもしれないんです。
その意味では、私(ヴィオラ)も結婚を意外とクールに割り切っていますね。
この世界では普通の女性が辿るべき道筋があり、目立たないためにはそれに倣って生きる方が望ましいというだけの話なんです。
極端な話、単なる手駒としての扱いを受けるようならば、私(ヴィオラ)は、国を捨てます。
私(ヴィオラ)の能力が有ればどこに行っても困りはしないからです。
いずれにしろ、飽くまで私(ヴィオラ)の堪としてセルデン南方にある断層帯が露出している丘陵地帯が候補地として挙げられますと示唆しておきました。
当該露出断層は、褶曲を伴う造山活動の際に、逆断層を生じて地表に数百メートルも露出した部分なんです。
前世では、フランスなどのホルスト地形やグラーベン地形が有名ですが、断層が一部露出している地形は、その下部も浅くなっている可能性があり、丘陵の基礎部から掘り進めれば意外と距離は短いのです。
おまけに、私(ヴィオラ)が示唆した丘陵は斜めの断層帯が広がっていますので垂直に近い状態(例えばらせん状)で掘り進めて、岩塩層にぶち当たれば、その後かなりの距離の斜面が岩塩層となっていることは、私(ヴィオラ)のセンサーでわかっています。
後は侯爵様の判断ですね。
労力を惜しまねば、いずれは塩と言う戦略物資が手に入るのです。
ブルボン領で斜陽となりかけている銅鉱山の代わりについては、別の機会に紹介することにいたしましょう。
この感染症の名前は、私(ヴィオラ)の中では、『セタニテラ出血熱』という名前にしました。
セタニテラは、ベルナルド辺境伯領の南端にある魔境の呼称なんです。
最初はアメーバーを意味する『ミルヴァ』にしようかとも思いましたが、仮にこの名前をつけるとなんとなく人々が嫌がりそうな気がしましたので、敢えて魔境の名にしました。
というのも、仮に私が推測しているように魔境がこのセタニテラ出血熱の温床であるとするならば、他に発症の恐れのある地域は、魔境に接しているフルベルク王国とローランデル王国の可能性が高いのです。
その根拠は、やはりビッグファング・ボアがセタニテラ出血熱に対する抗体を持っていたからです。
もしかすると他にも抗体を持つ魔物も存在するかもしれませんが、魔境に生息する魔物の一つが耐性を持っていたということは、当該生息地にあった病原体ではないかと推測できるからです。
HK細胞を変性させることになった粘菌類も魔境で見つけたものですので、その推測を大いに裏付けます。
いずれにせよ、血清というかワクチンと言うか、変性HK細胞の抗体については、ビッグファング・ボアの現地名の『ヴァデダン』をもじって、『ヴァデ抗体』としました。
問題は、発症した患者で体内に抗体を持っている人物が、いずこかへ移動した際に耐性の無い人物に感染させる恐れがないかということです。
一応は体内にあるセタニテラ出血熱の病原体は、ヴァデ抗体が捕食して体内には存在していないはずなのですけれど、仮に周囲をバリアーで囲って一時的に活動を停止しているようなものを私(ヴィオラ)が見過ごしていれば、他の地域で感染症が拡大してもおかしくはありません。
前世では、シベリアのツンドラ地帯で眠っていた古代の細菌が渡り鳥に付着して、飛来先で感染症を蔓延させる脅威が懸念されていました。
前世のシベリア地帯は、太古の昔、気温が40度を超えるような熱帯地域であったと推測されているそうです。
従って、その後、気候が変化して凍土になった時に、活動を停止して冬眠している病原菌が居てもおかしくはないらしいのです。
私が知っている知識では、脅威だけで実際にそれが証明されたケースは無いのですけれどね。
いずれにせよ、天敵にあった際の生物のありうべき姿は、天敵に勝てるような能力を発現(突然変異)するか、逃げるか、無害なものに擬態するか、それとも、天敵を寄せ付けないようなバリアーを生み出すかの方法ぐらいしかないと思うんです。
抗生物質を多用しているうちに、いかなる抗生物質も効かないようなスーパー病原菌が生じるのは確かな話です。
ですから前世の結核治療は、最初にドカッと強力な抗生物質を投与して、結核菌を抑える手法を取ります。
ある意味で病原体も生物なんですから進化してしまうんですよね。
あらゆる抗生物質に耐性を持ってしまったなら、病原体を抑えることができなくなります。
そうは言いながらも、前世では、他の効果のある抗生物質を使って何とか対処していますけれど、駄目な場合は、無菌室に患者を放り込むような場合もあったようですね。
そんなことにならないよう、事前に色々と感染予防をしておくことが大事なんですけれど、医療や衛生知識に乏しいこの世界では、その基礎知識を広めることが大変です。
傷病に対処するはずの治癒師や薬師ですら、その基礎知識を知らないのですから、そうした衛生に関する基礎知識を広めることが本当に必要なんですが、これには時間がかかります。
ロデアルの学校では、そうした衛生に関する基礎知識の授業を必須にしていますけれど、これを世界中に押し広げるには経費も時間もかかりますよね。
でも、危険な致死性感染症が間違いなく出現したのですから、今後はこれを強力に推し進める必要があります。
但し、今の私(ヴィオラ)は、成人もしていませんので表立っては何もできません。
もしも実行するとしたなら、今回のように式神を使って、正体がわからないようにヴァデ抗体を投与することになりますけれど、投与した結果として副作用が発生した場合は困りますよね。
一例でも、アナフィラキシーショックのような症状が生じれば、投薬に対する信用がなくなり、ヴァデ抗体の投与ができなくなります。
何といっても予防のためのワクチンですから、発症の可能性が非常に少ない場合には、その必要性が余り無いのです。
前世でもインフルエンザ等のワクチンは基本的に任意でしたから、強制は難しいでしょうねぇ。
多分、私(ヴィオラ)の能力を王家辺りにぶちまけたなら、王家を動かして相応のこともできるかもしれませんが・・・・。
その場合は、私(ヴィオラ)が王家の支配体制に取り込まれ、政治権力者に手駒として良いように扱われる未来しか見えませんから、メリットよりもデメリットが多すぎます。
勿論、私(ヴィオラ)が力でそうした体制や勢力を押さえつけることは可能だと思いますけれど、本来、私(ヴィオラ)が望む姿ではありません。
それに、この世界では、女性の政治的な発言力は非常に弱いのです。
王家でも王妃はそれなりに権勢を持っていますが、表向き王妃が政治に口を挟むことはタブーとされているんです。
前世だって、男女同権が叫ばれて久しかったですけれど、やっぱり男尊女卑の傾向は幾許かなりとも残っていましたからね。
特にアフリカやアラブでは、その傾向が強かったように思います。
まぁ、そんなことはともかく、セタニテラ出血熱が、他所の地域で発症しないよう監視網を造る必要がありますよね。
そのためにライヒベルゼン王国内のみならず、周辺国、就中ブルベルク王国とローランデル王国には監視のための式神を多く配置しました。
これら二つの国は海に接しており、多数の国との交易も行っていますから、それらの国々の港を中心とした監視網も必要です。
数日をこの整備に費やし、私は王都に戻りました。
◇◇◇◇
ロデアルから王都に戻った私(ヴィオラ)は、その二日後にはレイノルズ様と合流して、ブルボン領へ向けて出発です。
二度目のセルデン訪問ですね。
今回の訪問で、地下にある岩塩層についてのお話をしようと思っています。
無論利益が絡む話ですので、内密なお話にしなければなりません。
ロデアルでの生産も、施設の整備によりこれから軌道に乗ってくると思いますけれど、安く品質の良い品を量産するには、ブルボン領でも塩の生産を始めたほうが良いと思うのです。
ちょうど地理的にもライヒベルゼン王国の南北に分かれていますから、それぞれの販売領域を設定しておけば競争は起きないと思うのです。
そのために、お父様にも相談をしております。
勿論、私(ヴィオラ)が嫁に入ったブルボン家で元々製塩事業を始める予定であったことは、お父様にも打ち明けておりました。
その上で、塩の問題でライヒベルゼン王国に、危難が生じた際に、緊急避難的にロデアルでの岩塩採掘を始めたわけですが、ロデアルはかなりの収益が有った筈なのです。
ブルボン家がこれから岩塩採掘のための坑道を造るにしても時間がかかります。
おそらくは早くて一年、遅ければ三年ほどもかかるかもしれません。
それほど、岩塩層に至るまでの間に存在する岩盤層が固いのです。
ブルボン領に存在する岩塩層の場合は、ロデアルの地下千メートルに比べると半分以下の深さにあるのですけれどね。
私(ヴィオラ)のように土属性魔法を自在に操れる者が居なければ。かなり苦労することになりますね。
私が嫁に行った後ならば、その時点で地割れでも発生させるなどして、岩塩層の近くまでの道筋をつけるつもりでは居ました。
それにしても、ロデアルみたいに私の力でいきなり産出するような手法は取りません。
あれは飽くまで緊急避難の手法だからです。
一応、塩の生産で国内需要の最低レベルは賄えていますから、ブルボン領でことさらに急ぐ必要はありません。
ということで、ご挨拶に合わせて人払いをしていただき、ロデアルでの岩塩採掘と食塩製造についての内情をジャクソン・ヒュルス・ド・ヴァル・ブルボン侯爵には、お話をしました。
ロデアルでは非常に深い地下に岩塩層が存在しましたけれど、ブルボン領ではその半分くらいの深さに岩塩層が存在する可能性が高いこともお話ししました。
また、ロデアルでは岩塩層に達するまでに三年ほどかかった(お父様が王家についた嘘を踏襲)けれど、ブルボン領では1年半から二年程度、長くても三年の掘削で岩塩層に達する可能性があることもお知らせしました。
その上で、ブルボン侯爵がどのように動くかは、侯爵ご自身の判断でしょう。
ただ、侯爵からは、仮に掘るとしたならば、どこが良いだろうかとのご相談を受けました。
ふーむ、どうやら、前回訪問の際の私(ヴィオラ)の動きから、私の能力に何事かを感じ取ったようですね。
仮に、侯爵が推測にしろ、私の力を他所に漏らすようなことを為せば、私とレイノルズ様との婚約は破談です。
私(ヴィオラ)の立場を危うくするような義父であるのならば、破談もやむを得ないでしょう。
私(ヴィオラ)にとって、ブルボン領なり、侯爵なりの地位は左程意味を持たないんです。
レイノルズ様にしても、夫として合格点を与えているだけであり、いずれ嫁に行かねばならない私(ヴィオラ)が嫁ぐ先のベターな候補の一つにしかすぎません。
探せば、あるいはもっと良い男性がいるかもしれないんです。
その意味では、私(ヴィオラ)も結婚を意外とクールに割り切っていますね。
この世界では普通の女性が辿るべき道筋があり、目立たないためにはそれに倣って生きる方が望ましいというだけの話なんです。
極端な話、単なる手駒としての扱いを受けるようならば、私(ヴィオラ)は、国を捨てます。
私(ヴィオラ)の能力が有ればどこに行っても困りはしないからです。
いずれにしろ、飽くまで私(ヴィオラ)の堪としてセルデン南方にある断層帯が露出している丘陵地帯が候補地として挙げられますと示唆しておきました。
当該露出断層は、褶曲を伴う造山活動の際に、逆断層を生じて地表に数百メートルも露出した部分なんです。
前世では、フランスなどのホルスト地形やグラーベン地形が有名ですが、断層が一部露出している地形は、その下部も浅くなっている可能性があり、丘陵の基礎部から掘り進めれば意外と距離は短いのです。
おまけに、私(ヴィオラ)が示唆した丘陵は斜めの断層帯が広がっていますので垂直に近い状態(例えばらせん状)で掘り進めて、岩塩層にぶち当たれば、その後かなりの距離の斜面が岩塩層となっていることは、私(ヴィオラ)のセンサーでわかっています。
後は侯爵様の判断ですね。
労力を惜しまねば、いずれは塩と言う戦略物資が手に入るのです。
ブルボン領で斜陽となりかけている銅鉱山の代わりについては、別の機会に紹介することにいたしましょう。
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