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第三章 新たなる展開
3-7 原油生産と価格、それに犬です
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そう言えば原油生産についていろいろと考察が必要でしたね。
宏禎王は、電気自動車や鉄道電車の製造を通じて本格的な石油需要が始まる前に電気動力への変換を目指しました。
軍艦であっても西浦造船所で建造するのは全て電動推進であって動力源は地脈発電機です。
そのうえで発電所まで火力を不要とする地脈発電所を造ることで石油がほとんど不要になっているのです。
但し、実態としては熱源としての石油製品は重宝すべきものなのです。
電熱器等による熱源は長時間の加熱などには有利ですが、一気に大きな熱源エネルギーを必要とするような場合には石油その他による火力が勝ります。
ですから工業製品の工場等では石油の燃焼力が必要となる場合があるということです。
製鋼設備は21世紀に入ってもコークスによる精錬を行っていました。
仮に電気炉が有効ならばコークス炉はとうに廃れていたはずです。
そうして宏禎王の生きているこの時代は、まさしくこれから原油の需要時期が始まる時期でもありました。
経済は需要と供給のバランスで決まりますから、供給が増えると価格は下落します。
一方で、種々の理由で需要が高まると価格が高騰します。
その狭間で原油の価格は常に揺れ動いているのです。
19世紀半ばから19世紀末にかけて米国とロシアで原油生産が拡大することにより、1876年には1バレル当たり2.56ドルだったものが、1892年には1バレル当たり0.56ドルまで下落しました。
20世紀に入り、1914年には1バレル当たり0.8ドル前後で推移していましたが、樺太油田の出現でおそらくは供給過多となり0.5ドル前後にまで下落するかもしれないと思っています。
しかしながら、樺太油田の掘削費用は先端技術というか、ほとんど自分の能力で造り上げた機器や魔道具でカバーしていますので大きな支出額にはなっていませんし、リグの素材等は吟味していますので今後50年以上にわたって大きな維持費はかからないのです。
精々が人件費程度ですがおそらく問題にならない額になります。
地下から噴き出す原油は無料で手に入りますので、そのほとんどが収入になるわけですから、1バレルが0.1ドルでも飛鳥石油は一向に構わないのです。
組織が巨大になれば人件費も維持費も増大しますが、宏禎王は最低限の勢力で会社を維持するつもりですから、原油生産だけを考えれば1バレル当たり1セントでもおそらくは大丈夫でしょう。
まぁ、そんな値段では米国、ロシア等の石油業者は潰れますがね。
今後、自動車生産が増えるにつれてガソリンが必要となり、原油価格は高騰することになります。
また間もなく起きる第一次世界大戦はこの原油価格を倍以上に押し上げる筈です。
そうしてその大戦後に起きる乗用車人気と乗用車の大量生産により、ガソリンが不足し、原油価格は更に跳ね上がることになります。
おそらくは樺太原油の順調な生産により1920年代には1.5ドル程度で価格が安定するものと思われます。
日本円にすると現行の1バレル1円から数年後には3円程度に押し上がるという感じでしょうか。
日本では、ガソリン車は既に駆逐されていますが、海外では、「韋駄天」が輸出されない限り今後しばらくはガソリン車が主流になることでしょう。
船舶についても石炭から石油に代わることにより内燃機関も発達、手間のかかるボイラー船はいずれ廃れることになります。
まぁ、そうは言いながらも大馬力の必要な戦闘艦は舶用ガスタービン・エンジンが普及するまでボイラーが主力でしょうね。
勿論、長月型駆逐艦で範を示したように帝国海軍は別の路線に進ませてもらいます。
因みに樺太油田の生産量は、現状で一日二万バレル程度に抑えているのです、
従って、一日に二万バレル(約二万円相当)の原油が手に入るわけであり、利用するためには精製してガソリンや重油などに分けなければならないのですが、それは国内企業の育成のためにも石油関連事業者に任せて飛鳥石油はひたすら生産だけすればいいのです。
月産60万バレル、年間730万バレルはそのまま年間700万円以上の収入になります。
この700万円という金額がいかほどのものかというと、直近の日露戦争で三年あまりの期間における臨時軍事費特別会計(戦争において帝国陸軍及び帝国海軍の作戦行動に必要とされる経費を一般会計から切り離し、戦争の初めから終わりまでを一会計年度とみなして処理する会計手法)で歳出が1500万円余、歳入が1700万円余(単純に借金が8割強を占めます。)なのであり、この額ならば三年あれば賄えるほどなのですが、因みに明治38年における国家予算自体は、一般会計4億2000万円。 軍事費 7億3000万円という巨額の予算になっています。
帝国と臣民が借金まみれになってしまったわけですよねぇ。
借金返済までが結構大変な道のりなんです
なお、原油生産量は取り敢えず現状のままでも日産10万バレルまで増産は可能です。
さらに増産するにはもう一本油井を増やすだけのことなのですが、当分その必要はないと考えています。
何せ、10万バレルと言うことは、年間で560万キロリットル程度の原油生産ができるということです。
2020年代の日本では、約7000万キロリットル程度の原油を輸入していたと思うのですが、そのうち発電所、自動車、鉄道、船舶等で使用する燃料は、この世界の帝国でほとんど不要なのです。
将来的にも乗り物の燃料としては、航空機のジェット燃料が必要となるかもしれないぐらいで、後は北海道・樺太等の寒冷地における暖房用の燃料を除いてほぼ不要になることから、この7千万キロリットルの内の90%以上が不要になると思われるのです。
2020年代でさえ、発電所、自動車、鉄道、船舶で使用する燃料以外の石油エネルギーはおよそ七百万キロリットル程度あれば充足できそうなのですから、宏禎王がボストンにいるこの時から百年後であっても油井二本の生産量で充分にお釣りがくることになりますね。
一応外国への目くらましのために海軍工廠では既存路線で旧式戦闘艦を建造して貰っていますが、それらの船は重油炊きボイラーで建造していることから少なくともなにがしかの重油は今後とも必要とされるでしょう。
ジェット機については空母艦載機のつなぎとしてジェットエンジンを考えているのですが、ジェットエンジンそのものが非常に非効率なのでそもそも何れは使わないようにすべきと考えているのです。
そのための後継機エンジンは、高出力の魔導エンジンになる予定なのですが、それはまた別の機会に説明することにいたしましょう。
石油製品は、エネルギー源だけでなく繊維、化学原料、合成樹脂などへの利用もあるので、一定量以上の消費は継続するものと考えています。
ところで先ごろの日露戦争で必要となった経費の総額は約18億円で、そのうち13億円は外債(外国への借金)なのです。
宏禎王は、樺太油田で掘り当てた原油を外国に輸出することで負債の捻出に当てるつもりなのです。
そうして石油価格の変動はかなりあるものの一定額の収入は見込めますから、産出量を調整しつつ国際価格を一定に保つことを考えているのです。
その方が石油関連業者も安心して仕事ができます。
価格変動の度に売価を上下させていたのでは儲けになりませんからね。
もう一つ大事なことは、第一次大戦の勃発で日本を含め世界主要国の金本位制が一時停止されたことでしょうか。
何しろ帝国の外貨のほとんどがロンドンに置いてあるのです。
仮にロンドンが占領でもされたなら経済が崩壊します。
これが復帰するのは少し後になりますが、同時にこのことが昭和の恐慌の一因にもなるはずですので、私自身何らかの介入が必要と考えています。
◇◇◇◇
10月3日、ボストン中心部から見ると西北西に位置するフレッシュ湖(英語では“Lake”じゃなく“Pond”ですけれど?)近傍にある牧場に来ています。
但し、広い畑もありそうなので、牧場と言うよりも家畜も居る農場でしょうか。
農場主はベルナルド・サッチモさん、名前からするとイタリア移民でしょうか。
でも二世か三世なんでしょうね、ラテン訛りではなくボストン訛りの英語を話す方でした。
で、早速、犬を貰いたいと言うと随分と喜んでくれました。
「血統書がついているわけじゃないし、農場で気ままに育ったから、これから街の方で飼育するのはきっと手間暇がかかる。
仮にあんたが要らなくなってもウチじゃ引き取れない。
それを覚悟で引き取ってくれ。
で、何匹要る?」
最初から三匹の予定だったのですけれど、一応事前に見せてもらうことにしました。
犬小屋らしき物置に5匹のジャーマン・シェパードらしき犬がいました。
一匹は成犬で多分雌。
残りは成犬に近い大きさの犬で、確かに余り面倒を見てもらっていないかもしれないですね。
まぁ、エサはしっかり貰っているようだけれど、身体全体が泥だらけ、毛も梳いていないからゴテゴテになっているのです。
HAMで家事を任されているメイド二人が見たらきっと悲鳴を上げるし、このままでは家には絶対上がらせてもらえないでしょう。
HAMへの帰宅にはタクシーを使おうかと思っていたのですが、これでは諦めて馬車の輸送に切り替えざるを得ないでしょう。
いずれにしろこのままでは連れて帰れそうにありません。
貰うはずの三匹を含め、ついでに母親と貰わない予定の兄弟の一匹も、井戸端を借りて水洗いをしてあげました。
手持ちのシャンプーを使い、粗目の櫛で梳いてから魔道具のファーミネーターを使って、仕上げるとすごくきれいになりました。
そうして予て狙い目の三匹をくださいと言うと、ベルナルドさんびっくりしていましたね。
一匹だけと思っていたのが三匹も引き取ってくれるなんて思ってもいなかったようでした。
綺麗になった犬たちですが、ここから移動するのにやっぱり泥だらけになりそうなので、折り畳み式のケージに入れて馬車で移動することにしました。
早朝にHAMを出立して、お犬様三匹を貰ってケンブリッジにあるHAMに戻るまでまるまる1日かかりました。
やっぱりトラックが欲しいですよね。
米国でも試作はされているようですが、実用的になるのはもう少し先かもしれません。
エンジン馬力が上がらないと実用化が無理なんでしょうね。
ジャーマン・シェパードは無事にHAMに到着、その夜には従魔契約を行い、小さな魔石を頭に埋め込むことで、半分ゴーレム化かしました。
名前は安直ですが、アイン、ツヴァイ、トライにしました。
犬たちはその名前で結構喜んでいます。
私とHAMの家の中に住んでいる者には服従するように言い聞かせています。
従魔ですから私とは意思の疎通はできますが、侍従やメイド達はそうではありません。
同じゴーレムのマイクやカーラとは意思疎通ができますけれどね。
そのことは内緒なんです。
いずれにしろ翌日から三匹の犬は、とても優秀な番犬としてまた護衛として侍従やメイド達に連れ添うようになりました。
宏禎王は、電気自動車や鉄道電車の製造を通じて本格的な石油需要が始まる前に電気動力への変換を目指しました。
軍艦であっても西浦造船所で建造するのは全て電動推進であって動力源は地脈発電機です。
そのうえで発電所まで火力を不要とする地脈発電所を造ることで石油がほとんど不要になっているのです。
但し、実態としては熱源としての石油製品は重宝すべきものなのです。
電熱器等による熱源は長時間の加熱などには有利ですが、一気に大きな熱源エネルギーを必要とするような場合には石油その他による火力が勝ります。
ですから工業製品の工場等では石油の燃焼力が必要となる場合があるということです。
製鋼設備は21世紀に入ってもコークスによる精錬を行っていました。
仮に電気炉が有効ならばコークス炉はとうに廃れていたはずです。
そうして宏禎王の生きているこの時代は、まさしくこれから原油の需要時期が始まる時期でもありました。
経済は需要と供給のバランスで決まりますから、供給が増えると価格は下落します。
一方で、種々の理由で需要が高まると価格が高騰します。
その狭間で原油の価格は常に揺れ動いているのです。
19世紀半ばから19世紀末にかけて米国とロシアで原油生産が拡大することにより、1876年には1バレル当たり2.56ドルだったものが、1892年には1バレル当たり0.56ドルまで下落しました。
20世紀に入り、1914年には1バレル当たり0.8ドル前後で推移していましたが、樺太油田の出現でおそらくは供給過多となり0.5ドル前後にまで下落するかもしれないと思っています。
しかしながら、樺太油田の掘削費用は先端技術というか、ほとんど自分の能力で造り上げた機器や魔道具でカバーしていますので大きな支出額にはなっていませんし、リグの素材等は吟味していますので今後50年以上にわたって大きな維持費はかからないのです。
精々が人件費程度ですがおそらく問題にならない額になります。
地下から噴き出す原油は無料で手に入りますので、そのほとんどが収入になるわけですから、1バレルが0.1ドルでも飛鳥石油は一向に構わないのです。
組織が巨大になれば人件費も維持費も増大しますが、宏禎王は最低限の勢力で会社を維持するつもりですから、原油生産だけを考えれば1バレル当たり1セントでもおそらくは大丈夫でしょう。
まぁ、そんな値段では米国、ロシア等の石油業者は潰れますがね。
今後、自動車生産が増えるにつれてガソリンが必要となり、原油価格は高騰することになります。
また間もなく起きる第一次世界大戦はこの原油価格を倍以上に押し上げる筈です。
そうしてその大戦後に起きる乗用車人気と乗用車の大量生産により、ガソリンが不足し、原油価格は更に跳ね上がることになります。
おそらくは樺太原油の順調な生産により1920年代には1.5ドル程度で価格が安定するものと思われます。
日本円にすると現行の1バレル1円から数年後には3円程度に押し上がるという感じでしょうか。
日本では、ガソリン車は既に駆逐されていますが、海外では、「韋駄天」が輸出されない限り今後しばらくはガソリン車が主流になることでしょう。
船舶についても石炭から石油に代わることにより内燃機関も発達、手間のかかるボイラー船はいずれ廃れることになります。
まぁ、そうは言いながらも大馬力の必要な戦闘艦は舶用ガスタービン・エンジンが普及するまでボイラーが主力でしょうね。
勿論、長月型駆逐艦で範を示したように帝国海軍は別の路線に進ませてもらいます。
因みに樺太油田の生産量は、現状で一日二万バレル程度に抑えているのです、
従って、一日に二万バレル(約二万円相当)の原油が手に入るわけであり、利用するためには精製してガソリンや重油などに分けなければならないのですが、それは国内企業の育成のためにも石油関連事業者に任せて飛鳥石油はひたすら生産だけすればいいのです。
月産60万バレル、年間730万バレルはそのまま年間700万円以上の収入になります。
この700万円という金額がいかほどのものかというと、直近の日露戦争で三年あまりの期間における臨時軍事費特別会計(戦争において帝国陸軍及び帝国海軍の作戦行動に必要とされる経費を一般会計から切り離し、戦争の初めから終わりまでを一会計年度とみなして処理する会計手法)で歳出が1500万円余、歳入が1700万円余(単純に借金が8割強を占めます。)なのであり、この額ならば三年あれば賄えるほどなのですが、因みに明治38年における国家予算自体は、一般会計4億2000万円。 軍事費 7億3000万円という巨額の予算になっています。
帝国と臣民が借金まみれになってしまったわけですよねぇ。
借金返済までが結構大変な道のりなんです
なお、原油生産量は取り敢えず現状のままでも日産10万バレルまで増産は可能です。
さらに増産するにはもう一本油井を増やすだけのことなのですが、当分その必要はないと考えています。
何せ、10万バレルと言うことは、年間で560万キロリットル程度の原油生産ができるということです。
2020年代の日本では、約7000万キロリットル程度の原油を輸入していたと思うのですが、そのうち発電所、自動車、鉄道、船舶等で使用する燃料は、この世界の帝国でほとんど不要なのです。
将来的にも乗り物の燃料としては、航空機のジェット燃料が必要となるかもしれないぐらいで、後は北海道・樺太等の寒冷地における暖房用の燃料を除いてほぼ不要になることから、この7千万キロリットルの内の90%以上が不要になると思われるのです。
2020年代でさえ、発電所、自動車、鉄道、船舶で使用する燃料以外の石油エネルギーはおよそ七百万キロリットル程度あれば充足できそうなのですから、宏禎王がボストンにいるこの時から百年後であっても油井二本の生産量で充分にお釣りがくることになりますね。
一応外国への目くらましのために海軍工廠では既存路線で旧式戦闘艦を建造して貰っていますが、それらの船は重油炊きボイラーで建造していることから少なくともなにがしかの重油は今後とも必要とされるでしょう。
ジェット機については空母艦載機のつなぎとしてジェットエンジンを考えているのですが、ジェットエンジンそのものが非常に非効率なのでそもそも何れは使わないようにすべきと考えているのです。
そのための後継機エンジンは、高出力の魔導エンジンになる予定なのですが、それはまた別の機会に説明することにいたしましょう。
石油製品は、エネルギー源だけでなく繊維、化学原料、合成樹脂などへの利用もあるので、一定量以上の消費は継続するものと考えています。
ところで先ごろの日露戦争で必要となった経費の総額は約18億円で、そのうち13億円は外債(外国への借金)なのです。
宏禎王は、樺太油田で掘り当てた原油を外国に輸出することで負債の捻出に当てるつもりなのです。
そうして石油価格の変動はかなりあるものの一定額の収入は見込めますから、産出量を調整しつつ国際価格を一定に保つことを考えているのです。
その方が石油関連業者も安心して仕事ができます。
価格変動の度に売価を上下させていたのでは儲けになりませんからね。
もう一つ大事なことは、第一次大戦の勃発で日本を含め世界主要国の金本位制が一時停止されたことでしょうか。
何しろ帝国の外貨のほとんどがロンドンに置いてあるのです。
仮にロンドンが占領でもされたなら経済が崩壊します。
これが復帰するのは少し後になりますが、同時にこのことが昭和の恐慌の一因にもなるはずですので、私自身何らかの介入が必要と考えています。
◇◇◇◇
10月3日、ボストン中心部から見ると西北西に位置するフレッシュ湖(英語では“Lake”じゃなく“Pond”ですけれど?)近傍にある牧場に来ています。
但し、広い畑もありそうなので、牧場と言うよりも家畜も居る農場でしょうか。
農場主はベルナルド・サッチモさん、名前からするとイタリア移民でしょうか。
でも二世か三世なんでしょうね、ラテン訛りではなくボストン訛りの英語を話す方でした。
で、早速、犬を貰いたいと言うと随分と喜んでくれました。
「血統書がついているわけじゃないし、農場で気ままに育ったから、これから街の方で飼育するのはきっと手間暇がかかる。
仮にあんたが要らなくなってもウチじゃ引き取れない。
それを覚悟で引き取ってくれ。
で、何匹要る?」
最初から三匹の予定だったのですけれど、一応事前に見せてもらうことにしました。
犬小屋らしき物置に5匹のジャーマン・シェパードらしき犬がいました。
一匹は成犬で多分雌。
残りは成犬に近い大きさの犬で、確かに余り面倒を見てもらっていないかもしれないですね。
まぁ、エサはしっかり貰っているようだけれど、身体全体が泥だらけ、毛も梳いていないからゴテゴテになっているのです。
HAMで家事を任されているメイド二人が見たらきっと悲鳴を上げるし、このままでは家には絶対上がらせてもらえないでしょう。
HAMへの帰宅にはタクシーを使おうかと思っていたのですが、これでは諦めて馬車の輸送に切り替えざるを得ないでしょう。
いずれにしろこのままでは連れて帰れそうにありません。
貰うはずの三匹を含め、ついでに母親と貰わない予定の兄弟の一匹も、井戸端を借りて水洗いをしてあげました。
手持ちのシャンプーを使い、粗目の櫛で梳いてから魔道具のファーミネーターを使って、仕上げるとすごくきれいになりました。
そうして予て狙い目の三匹をくださいと言うと、ベルナルドさんびっくりしていましたね。
一匹だけと思っていたのが三匹も引き取ってくれるなんて思ってもいなかったようでした。
綺麗になった犬たちですが、ここから移動するのにやっぱり泥だらけになりそうなので、折り畳み式のケージに入れて馬車で移動することにしました。
早朝にHAMを出立して、お犬様三匹を貰ってケンブリッジにあるHAMに戻るまでまるまる1日かかりました。
やっぱりトラックが欲しいですよね。
米国でも試作はされているようですが、実用的になるのはもう少し先かもしれません。
エンジン馬力が上がらないと実用化が無理なんでしょうね。
ジャーマン・シェパードは無事にHAMに到着、その夜には従魔契約を行い、小さな魔石を頭に埋め込むことで、半分ゴーレム化かしました。
名前は安直ですが、アイン、ツヴァイ、トライにしました。
犬たちはその名前で結構喜んでいます。
私とHAMの家の中に住んでいる者には服従するように言い聞かせています。
従魔ですから私とは意思の疎通はできますが、侍従やメイド達はそうではありません。
同じゴーレムのマイクやカーラとは意思疎通ができますけれどね。
そのことは内緒なんです。
いずれにしろ翌日から三匹の犬は、とても優秀な番犬としてまた護衛として侍従やメイド達に連れ添うようになりました。
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