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第三章 新たなる展開
3-1-3 諸々のこと
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1915年時点における大日本帝国の置かれた現状について考察しておきましょう。
私(宏禎王)の為すべき主たる目標は、来たるべき未来において帝国が戦争に負けないようにするための支援をすることなのですが、国力を削がないためにそこに至る途中で起こりえる種々の災害なども最小限度に留めるための準備をしておくことなのです。
第一に1905年(明治38年)から始まる東北地方の凶作対策、第二に1918年(大正7年)から始まるであろうスペイン風邪の抑制、第三に1923年(大正12年)に起きる筈の関東大震災等天災地変の被害極小化、第四に1929年(昭和4年)に始まる世界恐慌の備えなどがあり、このうち既に恐慌対策の一部は発動させています。
東北地方を中心とした飢饉対策については、1914年(大正3年)3月に北海道に、4月に東北と樺太地方に地下農場を発足させ、凶作により食い扶持にあぶれた餓死予備軍の農民を救済するため、農場の従業員として雇い、食糧増産に努めています。
地下農場については一般的に公表していないことから一時的には東北地方の農業人口が減少したように見えることになるのですが、実際には食えない小作農の農民が農業サラリーマンに転職しただけで、これまでの二倍三倍の食糧増産に当たっています。
無論、報酬として与える給与のお陰で生活水準も著しく向上し、その子弟たちの教育授与機会も増えているのが実情です。
農場には初等科から高等科までの私立の学校が併設されているのです。
大学については私立飛鳥大学を北海道の千歳に設立しました。
飛鳥農場では、従業員の家族はすべからく私設の学校で無償教育を受けているのです。
但し、一方で飛鳥農場の生産能力は秘匿しており、対外的には東北・北海道の農民の大量離散が一部問題視されています。
1915年8月半ばで1915年度における三つの農場での生産量は、米200万トン、小麦200万トン、根菜150万トン、葉茎菜150万トン、豆類400万トンに達しており、既に二千万人の人口を養えるにたる食糧生産を可能としています。
現状でも年間で言えばその二倍半に当たる五千万人分の穀物生産が可能となるだろうと試算しています。
但し、牧畜業は始めてから時間が間もないこともあって、今後少なくとも10年から20年程度は家畜の増産と成長に時間を要することになります。
大正二年から流行り出した(その前からも兆候はありましたが、特に顕著となりました。)東北地方における女子の身売りについて、その大半は、女衒擬きとなったゴーレムたちに回収を命じてその大半を農場に受け入れています。
その一方で、女子挺身隊なる組織を秘密裏に創設、女子でも特に優秀な者を率先して引き入れ、軍隊の後方支援作業ができるように教育・訓練中です。
いずれは女子だけの軍事特殊部隊として紅兵団を創設するつもりなのです。
農場及び女子挺身隊のお披露目は最短でも1920年以降になる予定です。
少なくとも摂政となるであろう裕人皇太子が成人を迎えられるまでは待とうと考えているのです。
今の時点で奏上すれば軍部によって良い様に利用されてしまいますからね。
スペイン風邪のパンデミック対策についての実働は感染が始まってからでないと動けませんが、飛鳥医大及び飛鳥製薬会社の活動は1912年(大正元年)10月から始めており、医大は未だ卒業生を出していませんが、製薬会社については既に成果を出しつつあり、六種類の抗生物質を製造、結核の特効薬、外傷における細菌感染の特効薬等を開発、臨床試験で成果を挙げ、厚生省から新薬として認可、大量生産を開始したところなのです。
抗生物質の性質上、高温多湿の環境では薬効が薄れ、或いは有効期限を過ぎると害になる場合もあるので注意しなければならず、このため飛鳥電気製作所で製作した医薬品輸送用小型冷蔵コンテナで輸送する体制を整えました。
これにより、国内各地への移出はもとより、1915年4月の時点では欧米など12か国に抗生物質等の輸出を始めている状況にあるのです。
この医薬品輸出も馬鹿になりません。
万が一帝国と戦にでもなろうものならば、帝国からの医薬品輸出が止められる可能性があるので、所謂戦略物資として極めて高い価値を有するのです。
例えば、結核は、抗結核抗生物質アスカK02で完治するようになりますが、この輸出を止められると国内での結核患者が根絶していない限りは再燃する恐れが極めて高いのです。
少なくとも結核と言う病気は私の知る限り昭和20年代まで不治の病として世界中から恐れられていたように思うのです。
飛鳥製薬の抗生物質がその歴史を変えるかもしれませんが、他人の命が救えるならばそれでよいですよね。
尤も抗生物質の耐性菌の発現が早まるかもしれないので、その対応も考えておく必要がありますけれど・・・。
結核を駆逐する新薬は世界中で絶賛され受け入れられたのですが、その製法は秘密にされました。
飛鳥製薬のこうした秘密主義について、一部の国や薬学会では独占による侵略と非難する向きもありますが、欧米列強の製薬会社では絶対に真似のできない低価格で提供している現状で文句を言われる筋合いはありません。
先ほども説明したように抗生物質は効能に期限があります。
私のように時間経過の無いインベントリでも持っていれば別ですけれどね。
従って、国や病院が大量に買い占めて備蓄しても余り意味がない薬でもあります。
そうした意味合いで戦略物資の一つになるのです。
私は大日本帝国が世界の覇者になることを望んでいるわけではありません。
少なくともこの時代に蔓延していた欧米列強のエゴイズムから国を守りたいだけなのです。
スペイン風邪の対応については従来の光学式電子顕微鏡ではウィルスを発見できませんので、電子顕微鏡の開発を考えています。
時間的には余り余裕がない状況ですが、海外留学の際の研究目的の一つにするつもりではいます。
電子顕微鏡があれば製薬会社での薬効確認に役立つのではないかと考えているのです。
一方、関東大震災の備えは少々微妙です。
いくら何でも帝都全ての家屋や建造物の耐震度を急に上げることはできません。
地震の起きる時間帯に火の気を無くすとか、戸外の安全な場所に予め避難しておくとかしなければ大きな被害が出ることは避けられません。
正直なところ家屋の倒壊はほぼ避けられないものと思っています。
私の会社や紀尾井町の屋敷などは耐震化を進めていますけれど、時間も費用も掛かるのです。
物的損害もさることながら、関東大震災の被害で最も顕著であったのは火災による家屋の焼失及び焼死なんです。
同時多発的に起こった火災により密集した市街地で多くの人が逃げ場を失ったが故に発生した悲劇です。
今の段階で考えているのは政府等が主導する震災訓練を当日に大々的に行うということなんです。
少なくとも関東一円の住民がこぞって参加するような訓練でなくてはなりませんし、大正12年9月11日午前11時58分には大多数の人が安全な場所に居ることが肝要です。
参加は半強制とし、参加しない者は非国民と誹謗されるように事前にマスコミや大衆意識を扇動することも必要でしょう。
そのためには闇魔法による洗脳もやむなしと考えています。
それで震災対策は十分かと言うと決してそうではありません。
震災の結果、首都圏の交通は途絶、食べ物も満足には供給されないことになりますので、それらの対策を事前に練っておく必要があります。
飛鳥と名の付く系列会社で共同名義の倉庫に応急支援物資の保管をしておくことも考えています。
政府にも一応働きかけてはみますがそもそも国の予算繰りに問題があってあまり期待はできません。
起きるかどうかわからないことに金をかける事について前向きな国会議員はいないのです。
震災については、余り知られてはいないのですが津波被害もあるのです。
確か館山では7mを超える津波の襲来があったとか・・・。
東日本大震災程ではないでしょうけれど、それなりの被害でかなりの死者も出たようなんです。
従って東京湾内に支援物資を搭載した貨物船を配置はできても、実際に稼働できるのは津波の収まる24時間後以降になるでしょうし、その接岸のために防災用の堅固な係留設備も必要でしょう。
品川沖にそのための人工島を建設すべく、政府に内々で働きかけているところです。
遅くとも大正7年にはその建設を始める心づもりでいます。
実は関東大震災以外にも天災地変は起きています。
1911(明治44)年6月15日には、鹿児島県喜界島付近で大きな地震があり、家屋の全壊418戸、半壊565戸、死者7、負傷者26を数えていますし、1914(大正3)年1月12日に鹿児島の桜島が大爆発。地震も伴って溶岩が大量に流出し、噴火と地震で死者35人、行方不明23人、負傷者112人。全壊120軒、半壊195軒、焼失2148軒の被害があったほか小津波もあった模様です。
同年3月15日には、秋田で大地震。被害は仙北郡に集中し、死者94人、負傷者324人。全壊640軒、半壊575軒があったようです。
この何れについても対策はしておりません。
関東大震災とはレベルが違いすぎますし、私も全ての自然災害を覚えているわけではないので事前対応ができないのです。
仮にできたとしても、人目に付く方法は難しいのです。
尤も、宮家ですから、発災時にはノブレス・オブリージュとしてできる範囲で応分の寄付はさせてもらいます。
こういう時は自分で自由に使える資金源を持っているのは非常に便利ですね。
恐慌対策については、米国において行き過ぎた投資のバブルが弾けただけのことで、正直なところ余り対策はありません。
一部経済学会でも警告と注意喚起はしていたのに、とある政府ですらそのバブルに乗っかって見込み予算を建てるような状況ですから、欲にまみれた金の亡者にはつける薬はありません。
この恐慌から帝国経済を救うためには、外国の資本引き上げを防ぐ、若しくはその流入を防ぐことなのですが、飛鳥系の会社では外国資本の導入をできるだけ排除しています。
そのために株式の暴落に伴う海外資本の引き上げに関しては抵抗力があります。
飛鳥系の会社は基本的な産業を一応抑えているために、仮に帝国内で解雇者が多数出てもそれをある程度吸収できるだけの余地はあります。
無論、無能な者を受け入れるほど馬鹿ではありませんが・・・。
同時に金本位制に移行したばかりの帝国は、その資金力が脆弱であると同時に、その元本となる金塊のほとんどを英国に預けています。
ですから仮に第一次大戦で英国が占領でもされたなら大変なことになっていたわけですが、その体制を急に変えることはできないまでも、別の方策として飛鳥農場と並行して開発した北海道と東北の「飛鳥鉱山」と「飛鳥特殊鋼」で金を産出しています。
金の産出量は年間で約50トン、少ないようですが金額に直すと1億円を超えます。
一等戦艦が8隻も購入できる金額なんですからとても高額ですよね。
そうしてこの金塊は英国には運びません。
飛鳥農場の北海道支部と東北支部の大金庫に保管しているのです。
これは恐慌が起きた際の国内外への非常用放出資金にする予定なのです。
現ナマは、民心の動揺を抑えるのに大きな効果がありますので、少なくとも銀行取り付け騒ぎなどは、融資枠を設定してやるだけで収まるはずなのです。
そもそも恐慌原因の一つには、欧州が第一次大戦で疲弊した際に、戦時中には米国が主要な兵器廠となって大量の武器弾薬を、戦後には大量に復興物資を供給したことによって生じた富の一極集中にあります。
これで余剰資金を持った米国の資産階級が投資というマネーゲームを始めたのが遠因です。
これを多少なりとも分散化できれば、余剰資金の減少により恐慌の規模がより縮小するかもしれません。
余り期待はしていないのですが、樺太原油の輸出はその目的もあるのです。
兵器の輸出については、陸海軍や大阪の兵器廠が考えればよいことで私の方では考えていません。
1915年3月に学習院高等科を卒業、海外留学に出発するまでの5か月足らずの間に国内でやっておくべきことを整理して、片付け或いは監督ゴーレムに仕事を委ねて執行させています。
私のいない二年間は監督ゴーレムが中心となって事業などが継続されるはずです。
ゴーレム以外の人材も少しずつながら育ってきていますね。
いつまでもゴーレム頼りでは拙いので徐々に生身の人間に任せるようにしています。
残念ながら人間に任せると失敗も多いのですが、それを含めて許容すべきなのでしょう。
私(宏禎王)の為すべき主たる目標は、来たるべき未来において帝国が戦争に負けないようにするための支援をすることなのですが、国力を削がないためにそこに至る途中で起こりえる種々の災害なども最小限度に留めるための準備をしておくことなのです。
第一に1905年(明治38年)から始まる東北地方の凶作対策、第二に1918年(大正7年)から始まるであろうスペイン風邪の抑制、第三に1923年(大正12年)に起きる筈の関東大震災等天災地変の被害極小化、第四に1929年(昭和4年)に始まる世界恐慌の備えなどがあり、このうち既に恐慌対策の一部は発動させています。
東北地方を中心とした飢饉対策については、1914年(大正3年)3月に北海道に、4月に東北と樺太地方に地下農場を発足させ、凶作により食い扶持にあぶれた餓死予備軍の農民を救済するため、農場の従業員として雇い、食糧増産に努めています。
地下農場については一般的に公表していないことから一時的には東北地方の農業人口が減少したように見えることになるのですが、実際には食えない小作農の農民が農業サラリーマンに転職しただけで、これまでの二倍三倍の食糧増産に当たっています。
無論、報酬として与える給与のお陰で生活水準も著しく向上し、その子弟たちの教育授与機会も増えているのが実情です。
農場には初等科から高等科までの私立の学校が併設されているのです。
大学については私立飛鳥大学を北海道の千歳に設立しました。
飛鳥農場では、従業員の家族はすべからく私設の学校で無償教育を受けているのです。
但し、一方で飛鳥農場の生産能力は秘匿しており、対外的には東北・北海道の農民の大量離散が一部問題視されています。
1915年8月半ばで1915年度における三つの農場での生産量は、米200万トン、小麦200万トン、根菜150万トン、葉茎菜150万トン、豆類400万トンに達しており、既に二千万人の人口を養えるにたる食糧生産を可能としています。
現状でも年間で言えばその二倍半に当たる五千万人分の穀物生産が可能となるだろうと試算しています。
但し、牧畜業は始めてから時間が間もないこともあって、今後少なくとも10年から20年程度は家畜の増産と成長に時間を要することになります。
大正二年から流行り出した(その前からも兆候はありましたが、特に顕著となりました。)東北地方における女子の身売りについて、その大半は、女衒擬きとなったゴーレムたちに回収を命じてその大半を農場に受け入れています。
その一方で、女子挺身隊なる組織を秘密裏に創設、女子でも特に優秀な者を率先して引き入れ、軍隊の後方支援作業ができるように教育・訓練中です。
いずれは女子だけの軍事特殊部隊として紅兵団を創設するつもりなのです。
農場及び女子挺身隊のお披露目は最短でも1920年以降になる予定です。
少なくとも摂政となるであろう裕人皇太子が成人を迎えられるまでは待とうと考えているのです。
今の時点で奏上すれば軍部によって良い様に利用されてしまいますからね。
スペイン風邪のパンデミック対策についての実働は感染が始まってからでないと動けませんが、飛鳥医大及び飛鳥製薬会社の活動は1912年(大正元年)10月から始めており、医大は未だ卒業生を出していませんが、製薬会社については既に成果を出しつつあり、六種類の抗生物質を製造、結核の特効薬、外傷における細菌感染の特効薬等を開発、臨床試験で成果を挙げ、厚生省から新薬として認可、大量生産を開始したところなのです。
抗生物質の性質上、高温多湿の環境では薬効が薄れ、或いは有効期限を過ぎると害になる場合もあるので注意しなければならず、このため飛鳥電気製作所で製作した医薬品輸送用小型冷蔵コンテナで輸送する体制を整えました。
これにより、国内各地への移出はもとより、1915年4月の時点では欧米など12か国に抗生物質等の輸出を始めている状況にあるのです。
この医薬品輸出も馬鹿になりません。
万が一帝国と戦にでもなろうものならば、帝国からの医薬品輸出が止められる可能性があるので、所謂戦略物資として極めて高い価値を有するのです。
例えば、結核は、抗結核抗生物質アスカK02で完治するようになりますが、この輸出を止められると国内での結核患者が根絶していない限りは再燃する恐れが極めて高いのです。
少なくとも結核と言う病気は私の知る限り昭和20年代まで不治の病として世界中から恐れられていたように思うのです。
飛鳥製薬の抗生物質がその歴史を変えるかもしれませんが、他人の命が救えるならばそれでよいですよね。
尤も抗生物質の耐性菌の発現が早まるかもしれないので、その対応も考えておく必要がありますけれど・・・。
結核を駆逐する新薬は世界中で絶賛され受け入れられたのですが、その製法は秘密にされました。
飛鳥製薬のこうした秘密主義について、一部の国や薬学会では独占による侵略と非難する向きもありますが、欧米列強の製薬会社では絶対に真似のできない低価格で提供している現状で文句を言われる筋合いはありません。
先ほども説明したように抗生物質は効能に期限があります。
私のように時間経過の無いインベントリでも持っていれば別ですけれどね。
従って、国や病院が大量に買い占めて備蓄しても余り意味がない薬でもあります。
そうした意味合いで戦略物資の一つになるのです。
私は大日本帝国が世界の覇者になることを望んでいるわけではありません。
少なくともこの時代に蔓延していた欧米列強のエゴイズムから国を守りたいだけなのです。
スペイン風邪の対応については従来の光学式電子顕微鏡ではウィルスを発見できませんので、電子顕微鏡の開発を考えています。
時間的には余り余裕がない状況ですが、海外留学の際の研究目的の一つにするつもりではいます。
電子顕微鏡があれば製薬会社での薬効確認に役立つのではないかと考えているのです。
一方、関東大震災の備えは少々微妙です。
いくら何でも帝都全ての家屋や建造物の耐震度を急に上げることはできません。
地震の起きる時間帯に火の気を無くすとか、戸外の安全な場所に予め避難しておくとかしなければ大きな被害が出ることは避けられません。
正直なところ家屋の倒壊はほぼ避けられないものと思っています。
私の会社や紀尾井町の屋敷などは耐震化を進めていますけれど、時間も費用も掛かるのです。
物的損害もさることながら、関東大震災の被害で最も顕著であったのは火災による家屋の焼失及び焼死なんです。
同時多発的に起こった火災により密集した市街地で多くの人が逃げ場を失ったが故に発生した悲劇です。
今の段階で考えているのは政府等が主導する震災訓練を当日に大々的に行うということなんです。
少なくとも関東一円の住民がこぞって参加するような訓練でなくてはなりませんし、大正12年9月11日午前11時58分には大多数の人が安全な場所に居ることが肝要です。
参加は半強制とし、参加しない者は非国民と誹謗されるように事前にマスコミや大衆意識を扇動することも必要でしょう。
そのためには闇魔法による洗脳もやむなしと考えています。
それで震災対策は十分かと言うと決してそうではありません。
震災の結果、首都圏の交通は途絶、食べ物も満足には供給されないことになりますので、それらの対策を事前に練っておく必要があります。
飛鳥と名の付く系列会社で共同名義の倉庫に応急支援物資の保管をしておくことも考えています。
政府にも一応働きかけてはみますがそもそも国の予算繰りに問題があってあまり期待はできません。
起きるかどうかわからないことに金をかける事について前向きな国会議員はいないのです。
震災については、余り知られてはいないのですが津波被害もあるのです。
確か館山では7mを超える津波の襲来があったとか・・・。
東日本大震災程ではないでしょうけれど、それなりの被害でかなりの死者も出たようなんです。
従って東京湾内に支援物資を搭載した貨物船を配置はできても、実際に稼働できるのは津波の収まる24時間後以降になるでしょうし、その接岸のために防災用の堅固な係留設備も必要でしょう。
品川沖にそのための人工島を建設すべく、政府に内々で働きかけているところです。
遅くとも大正7年にはその建設を始める心づもりでいます。
実は関東大震災以外にも天災地変は起きています。
1911(明治44)年6月15日には、鹿児島県喜界島付近で大きな地震があり、家屋の全壊418戸、半壊565戸、死者7、負傷者26を数えていますし、1914(大正3)年1月12日に鹿児島の桜島が大爆発。地震も伴って溶岩が大量に流出し、噴火と地震で死者35人、行方不明23人、負傷者112人。全壊120軒、半壊195軒、焼失2148軒の被害があったほか小津波もあった模様です。
同年3月15日には、秋田で大地震。被害は仙北郡に集中し、死者94人、負傷者324人。全壊640軒、半壊575軒があったようです。
この何れについても対策はしておりません。
関東大震災とはレベルが違いすぎますし、私も全ての自然災害を覚えているわけではないので事前対応ができないのです。
仮にできたとしても、人目に付く方法は難しいのです。
尤も、宮家ですから、発災時にはノブレス・オブリージュとしてできる範囲で応分の寄付はさせてもらいます。
こういう時は自分で自由に使える資金源を持っているのは非常に便利ですね。
恐慌対策については、米国において行き過ぎた投資のバブルが弾けただけのことで、正直なところ余り対策はありません。
一部経済学会でも警告と注意喚起はしていたのに、とある政府ですらそのバブルに乗っかって見込み予算を建てるような状況ですから、欲にまみれた金の亡者にはつける薬はありません。
この恐慌から帝国経済を救うためには、外国の資本引き上げを防ぐ、若しくはその流入を防ぐことなのですが、飛鳥系の会社では外国資本の導入をできるだけ排除しています。
そのために株式の暴落に伴う海外資本の引き上げに関しては抵抗力があります。
飛鳥系の会社は基本的な産業を一応抑えているために、仮に帝国内で解雇者が多数出てもそれをある程度吸収できるだけの余地はあります。
無論、無能な者を受け入れるほど馬鹿ではありませんが・・・。
同時に金本位制に移行したばかりの帝国は、その資金力が脆弱であると同時に、その元本となる金塊のほとんどを英国に預けています。
ですから仮に第一次大戦で英国が占領でもされたなら大変なことになっていたわけですが、その体制を急に変えることはできないまでも、別の方策として飛鳥農場と並行して開発した北海道と東北の「飛鳥鉱山」と「飛鳥特殊鋼」で金を産出しています。
金の産出量は年間で約50トン、少ないようですが金額に直すと1億円を超えます。
一等戦艦が8隻も購入できる金額なんですからとても高額ですよね。
そうしてこの金塊は英国には運びません。
飛鳥農場の北海道支部と東北支部の大金庫に保管しているのです。
これは恐慌が起きた際の国内外への非常用放出資金にする予定なのです。
現ナマは、民心の動揺を抑えるのに大きな効果がありますので、少なくとも銀行取り付け騒ぎなどは、融資枠を設定してやるだけで収まるはずなのです。
そもそも恐慌原因の一つには、欧州が第一次大戦で疲弊した際に、戦時中には米国が主要な兵器廠となって大量の武器弾薬を、戦後には大量に復興物資を供給したことによって生じた富の一極集中にあります。
これで余剰資金を持った米国の資産階級が投資というマネーゲームを始めたのが遠因です。
これを多少なりとも分散化できれば、余剰資金の減少により恐慌の規模がより縮小するかもしれません。
余り期待はしていないのですが、樺太原油の輸出はその目的もあるのです。
兵器の輸出については、陸海軍や大阪の兵器廠が考えればよいことで私の方では考えていません。
1915年3月に学習院高等科を卒業、海外留学に出発するまでの5か月足らずの間に国内でやっておくべきことを整理して、片付け或いは監督ゴーレムに仕事を委ねて執行させています。
私のいない二年間は監督ゴーレムが中心となって事業などが継続されるはずです。
ゴーレム以外の人材も少しずつながら育ってきていますね。
いつまでもゴーレム頼りでは拙いので徐々に生身の人間に任せるようにしています。
残念ながら人間に任せると失敗も多いのですが、それを含めて許容すべきなのでしょう。
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