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第三章 新たなる展開
3-17 大陸への干渉と軍制改革
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米国留学から帰って、私が真っ先に手を付けたのは中国政策と軍制改革でした。
放置すると多数の命が脅かされることになるので早めにけりをつける必要があったからです。
後々の展開を色々と考慮した上で、第一に満州帝国の成立を早めました。
満州事変は、昭和16年9月の柳条湖事件に端を発すると言われますが、これが日本軍の中国東北部への進出を始めたきっかけでもあります。
そうして後に張作霖爆殺事件を起こして、混迷を深めることになるのですが、その前に先手を打ってしまうことにしました。
満州帝国の成立には群雄割拠している中国東北部の軍閥の統合、コミンテルンの影響を受けている中国共産党擬き(1921年7月23日、第1回中国共産党全国代表大会(党大会)が開催されるまで明確な組織ではない。)の解体、ソ連の干渉排除などすべきことは多いのですが、手持ちの忍び(私のゴーレム部隊)を多用して、徐々に切り崩しを図りました。
中国東北部に一大勢力を張っていた軍閥である張作霖を説き伏せ、毛沢東、周恩来など後に中国共産党の核と成り得る若手人物を徐々に取り込むこととし、1917年7月に一旦は宣統帝に復帰してその12日後には退位した愛新覚羅溥儀を再度擁立して、1919年6月に満州国政府を打ち立てさせたのです。
今回は、帝国の陸軍軍人は殆ど関わってはいません。
石原何某を含め、陸軍の準備がまだ進んでいなかったので、介入ができなかったのです。
と言うよりも、私が実質的に動けなくさせたのですがね。
一方で北伐を企てる辛亥革命の幹部たちには、南部の平定のみで終わらせるようにさせました。
中国の歴史と言うのは歴代、南部を平定して北伐をするという繰り返しが多いようなので、中国をまとめたいと願う人物で南部出身者は誰でも北伐を夢見るようです。
それを諦めさせるというのは結構大変なのですが、そこはそれ、闇魔法の精神操作を発動し、そうした野望を止めさせたのです。
更には中国国内における外国人排斥運動を盛り上げつつも、同じアジア人である日本人にはその矛先が向かないよう扇動し、調整を行いました。
このすべてはヒュプノによる精神操作なのですが、主要人物を統制することでその波及効果は中国全土に広まりました。
このために中国国内では共産党員が激減し、コミンテルンはほぼ壊滅しました。
当初は満州帝国の成立をめぐって中国内部での内乱も結構ありましたが、1920年にはほぼ収まり、1924年には南部の広州を中心とした中華民国と北部満州を中心とした満州帝国とに中国が完全に二分された状態になったのです。
満州帝国の縄張りは万里の長城以北とされ、中華民国と満州帝国の間でお互いの建国に関する承認と国境に関する議定書が1925年に交わされました。
因みに日本軍は中華民国に対しては、租借地以外に軍隊は派遣していません。
また、史実と異なり、満州帝国には満鉄警護のための帝国軍隊は存在しましたが、関東軍も総督府も置かれていない状態です。
その代わりに1925年に満州帝国とは相互安全保障条約を締結し、総勢で2万五千の兵力を満洲国内に駐屯させるとともに、外敵からの侵害に対しては相互にその排除のために全面協力することになりました。
欧米列強からは帝国の中国への介入度に若干の非難もありましたが、帝国軍が武力を行使したわけでもなく、中国国内の二大勢力が最終的に講和を結んでしまったことから、大いに不満があっても正式な形での抗弁は難しかったのです。
ある意味で欧米列強を出し抜いた形となりますね。
ついで帝国陸海軍の軍制改革ですが、強硬な言動で周囲を乱す者は、友人たちも知らぬ間に左遷されて閑職に就くことになり、往々にして自暴自棄となって自滅していった者が増えました。
その代表格は、盧溝橋事件にも若干関与した牟田口何某であり、1918年以降彼の昇進の道は閉ざされました。
何れにしろ1918年から1920年にかけての刷新では、かなり多くの陸海軍軍人が予備役に回されました。
さしたる理由も無く、また、左程の年齢になっていないのにもかかわらず予備役とされて当人たちは周囲に不満をぶちまけていましたが、そんな彼らのうちでも強硬派が決まって反乱を起こそうとすると不思議と事前に鎮圧され、そうした不満分子の半数は監獄行き若しくは処刑台に送られていました。
また将来軍人となって災いをもたらしそうな人物も、本人が知らないうちにその将来を奪われていたのです。
その代表的な人物には、辻何某という少年も居ました。
あ、右翼と呼ばれる組織も何故か突然死で早死にする者が多く、某新聞では右翼ポックリ病と名付けたほどです。
日本刀を携えて憂国の志士を気取りながら要人を襲撃する右翼テロがそれまでは結構多かったのですが、急激に鳴りを潜めたのもこの時期です。
このようにして1920年代半ばには陸海軍軍人の刷新が終わり、元帥府が機能し始めていました。
初代陸軍元帥は関院宮規仁親王が、初代海軍元帥は東富士野宮頼仁親王が、それぞれ選出されました。
元帥府が最初に作った律令は、軍人勅諭を大幅に改定した軍人勅令であり、その代表的条文に
「第十二条 陸軍軍人及ビ海軍軍人トナリシ者ハ、ソノ現役中総理大臣並ビニ各省庁ノ長ト為ルヲ能ワズ。
二 陸軍軍人及ビ海軍軍人トナリシ者ハ、ソノ退役後十五年ヲ経ズシテ入閣シ、或イハ国会議員ト為ルヲ能ワズ」
というものがあり、現役軍人は首相を含む各大臣になれないこと、退役軍人は退役してから15年経たねば国会議員にもなれないことが明記されました。
但し、県知事、県議会、市議会などについては制限が無いので退役後はそれらの地位に就くことは許されていました。
無論、皇族等例外を除き職業軍人(尉官以上の任官者)は兼業禁止ですので、現役で議員などにはなれないのは当然のことですね。
「省庁の長」とは大臣をさしますので、例えば陸軍次官や海軍次官、参謀総長、教育総監などはその中には含まれません。
また、元帥府の元帥も軍の役職に過ぎないことからも同様に適用除外となりました。
一方、華族である軍人であって皇族以外の者は、この時期以降には貴族院議員から外されることになりました。
但し、勅令の施行時において既に退役軍人であって、なおかつ、貴族院議員となっていた者については除外とされています。
この大規模な変革の何れにも富士野宮宏禎王の名は出ては来ません。
完全にフィクサーとしてすべてを制御しているからなのです。
満州帝国は、史実よりも十数年も早く成立し、尚且つ中華民国からも承認されたので欧米列強もその存在を渋々ながらも認めざるを得ず、同時に満州地域から帝国以外の外国勢力は殆ど駆逐されました。
仮に外国商社が入ったにしても欧米に対する反西洋思想による不買運動の所為で商業活動がほとんどできないことが主な理由なのです。
欧米列強の商社などが満州に介入しようとした場合は、必ず帝国の商社を間に立てなければならず、それとて、不買運動の所為で製品の販売などは、政府調達物品を除いて非常に難しい状況にあったのです。
従って、どうしても貿易収支では輸入超過になることから、列強は余程のメリットがない限りは満州地域の市場から手を引いたのです。
ソ連は、東ロシア共和国の成立で、満蒙地域へ直接介入ができなくなっていました。
一方で、反共産主義を掲げる東ロシア共和国には、帝国政府も積極的な支援を行い、旧式となった軍備を安価に提供するようになりました。
実際のところ陸軍及び海軍は、私が実質支配する軍需工廠から供給される軍備で十分賄われており、それまでの陸軍工廠や海軍工廠での軍備を必要としなくなっていたのです。
一方でそれら陸海軍工廠の生産に傾注していた財閥系の重工は、陸海軍への納品ができなくなってそのままでは大きな損失を抱えることになります。
その救済のために作られたのが、元帥府によって新たに作られた「武器供与法」なのです。
外国政府若しくは外国の武装組織に対する武器供与は、政府及び元帥府が承認を与えた場合に限るとし、輸出を行う場合の武器性能についても政令で細かく規定しているものなのです。
この立法により、*菱、*島などの財閥系重工は、何とか倒産の危機から免れることができたのです。
飛鳥造船や飛鳥航空機などで生み出す製品には明らかに劣る品質であっても、政府の承認を得られれば海外には輸出できるのです。
輸出先は、東ロシア共和国、満州帝国、中華民国、タイ王国などですね。
残念ながらこの時期、東南アジア地域の独立国はタイ王国ぐらいしかなかったのす。
また、この時期、八八艦隊構想の走りで長門型戦艦の建造が始まっていたのですが、これも完全に列強諸国の目を欺くためのダミーなのです。
見栄えは良いのですが、非常に装甲の薄い船(無駄な費用を掛けないため)であり、排水量を見かけ上増すために大量のバラストタンクを備えているハリボテ戦艦なのです。
ある意味で張子の虎ではあるのですが、列強の目をそらすには十分です。
主砲は史実と異なり、軽量合金を使った二連装の36センチ砲四基であり、旧式の金剛型戦艦と同じ装備となっています。
このため、この後に起こるはずの軍縮には引っかからなくなったのです。
そもそも軍縮の問題は各国の建艦競争が発端であり、日本の新造艦である長門型の41センチ砲が大きな問題となったのは事実なのです。
帝国は、長門型戦艦よりもはるかに強力な新型海防艦を実際に擁しているのですから、軍縮については左程に関心がないのです。
排水量だけで言えば、4万トン近い長門の代わりに、1万トンに満たない海防艦(長月型駆逐艦:イージス艦)を4隻から5隻も擁することができることになり、大型戦闘艦に関する軍縮はむしろ帝国にとって喜ばしいことでさえあるのです。
各国の動向次第では、そうした無駄な軍縮条約など無視する構えではおりますけれどね。
アジア、就中中国の植民地支配を狙う列強諸国が、新興の帝国を目の上のたん瘤と見ているのは間違いないことですから、その台頭を抑えようとするのは理解できないわけではありませんが、理不尽な扱いは撥ね退けなければならないこともあるのです。
大正初期における帝国政府と言うのは、陸海軍に対する文民統制も結構できていましたので、外交的には列強諸国の顔色をうかがいながらそろりそろりと慎重にやっていたのが史実なのです。
そのうちに自信を持ち過ぎてのさばり始めた軍人を抑えきれなくなりましたけれどね。
軍人を私の陰の力で抑制し、政府を望ましい方向に導けば戦争は或いは避けられるかもしれないと、はかない望みを持っているのですが、果たしてどうなるのでしょうねェ。
放置すると多数の命が脅かされることになるので早めにけりをつける必要があったからです。
後々の展開を色々と考慮した上で、第一に満州帝国の成立を早めました。
満州事変は、昭和16年9月の柳条湖事件に端を発すると言われますが、これが日本軍の中国東北部への進出を始めたきっかけでもあります。
そうして後に張作霖爆殺事件を起こして、混迷を深めることになるのですが、その前に先手を打ってしまうことにしました。
満州帝国の成立には群雄割拠している中国東北部の軍閥の統合、コミンテルンの影響を受けている中国共産党擬き(1921年7月23日、第1回中国共産党全国代表大会(党大会)が開催されるまで明確な組織ではない。)の解体、ソ連の干渉排除などすべきことは多いのですが、手持ちの忍び(私のゴーレム部隊)を多用して、徐々に切り崩しを図りました。
中国東北部に一大勢力を張っていた軍閥である張作霖を説き伏せ、毛沢東、周恩来など後に中国共産党の核と成り得る若手人物を徐々に取り込むこととし、1917年7月に一旦は宣統帝に復帰してその12日後には退位した愛新覚羅溥儀を再度擁立して、1919年6月に満州国政府を打ち立てさせたのです。
今回は、帝国の陸軍軍人は殆ど関わってはいません。
石原何某を含め、陸軍の準備がまだ進んでいなかったので、介入ができなかったのです。
と言うよりも、私が実質的に動けなくさせたのですがね。
一方で北伐を企てる辛亥革命の幹部たちには、南部の平定のみで終わらせるようにさせました。
中国の歴史と言うのは歴代、南部を平定して北伐をするという繰り返しが多いようなので、中国をまとめたいと願う人物で南部出身者は誰でも北伐を夢見るようです。
それを諦めさせるというのは結構大変なのですが、そこはそれ、闇魔法の精神操作を発動し、そうした野望を止めさせたのです。
更には中国国内における外国人排斥運動を盛り上げつつも、同じアジア人である日本人にはその矛先が向かないよう扇動し、調整を行いました。
このすべてはヒュプノによる精神操作なのですが、主要人物を統制することでその波及効果は中国全土に広まりました。
このために中国国内では共産党員が激減し、コミンテルンはほぼ壊滅しました。
当初は満州帝国の成立をめぐって中国内部での内乱も結構ありましたが、1920年にはほぼ収まり、1924年には南部の広州を中心とした中華民国と北部満州を中心とした満州帝国とに中国が完全に二分された状態になったのです。
満州帝国の縄張りは万里の長城以北とされ、中華民国と満州帝国の間でお互いの建国に関する承認と国境に関する議定書が1925年に交わされました。
因みに日本軍は中華民国に対しては、租借地以外に軍隊は派遣していません。
また、史実と異なり、満州帝国には満鉄警護のための帝国軍隊は存在しましたが、関東軍も総督府も置かれていない状態です。
その代わりに1925年に満州帝国とは相互安全保障条約を締結し、総勢で2万五千の兵力を満洲国内に駐屯させるとともに、外敵からの侵害に対しては相互にその排除のために全面協力することになりました。
欧米列強からは帝国の中国への介入度に若干の非難もありましたが、帝国軍が武力を行使したわけでもなく、中国国内の二大勢力が最終的に講和を結んでしまったことから、大いに不満があっても正式な形での抗弁は難しかったのです。
ある意味で欧米列強を出し抜いた形となりますね。
ついで帝国陸海軍の軍制改革ですが、強硬な言動で周囲を乱す者は、友人たちも知らぬ間に左遷されて閑職に就くことになり、往々にして自暴自棄となって自滅していった者が増えました。
その代表格は、盧溝橋事件にも若干関与した牟田口何某であり、1918年以降彼の昇進の道は閉ざされました。
何れにしろ1918年から1920年にかけての刷新では、かなり多くの陸海軍軍人が予備役に回されました。
さしたる理由も無く、また、左程の年齢になっていないのにもかかわらず予備役とされて当人たちは周囲に不満をぶちまけていましたが、そんな彼らのうちでも強硬派が決まって反乱を起こそうとすると不思議と事前に鎮圧され、そうした不満分子の半数は監獄行き若しくは処刑台に送られていました。
また将来軍人となって災いをもたらしそうな人物も、本人が知らないうちにその将来を奪われていたのです。
その代表的な人物には、辻何某という少年も居ました。
あ、右翼と呼ばれる組織も何故か突然死で早死にする者が多く、某新聞では右翼ポックリ病と名付けたほどです。
日本刀を携えて憂国の志士を気取りながら要人を襲撃する右翼テロがそれまでは結構多かったのですが、急激に鳴りを潜めたのもこの時期です。
このようにして1920年代半ばには陸海軍軍人の刷新が終わり、元帥府が機能し始めていました。
初代陸軍元帥は関院宮規仁親王が、初代海軍元帥は東富士野宮頼仁親王が、それぞれ選出されました。
元帥府が最初に作った律令は、軍人勅諭を大幅に改定した軍人勅令であり、その代表的条文に
「第十二条 陸軍軍人及ビ海軍軍人トナリシ者ハ、ソノ現役中総理大臣並ビニ各省庁ノ長ト為ルヲ能ワズ。
二 陸軍軍人及ビ海軍軍人トナリシ者ハ、ソノ退役後十五年ヲ経ズシテ入閣シ、或イハ国会議員ト為ルヲ能ワズ」
というものがあり、現役軍人は首相を含む各大臣になれないこと、退役軍人は退役してから15年経たねば国会議員にもなれないことが明記されました。
但し、県知事、県議会、市議会などについては制限が無いので退役後はそれらの地位に就くことは許されていました。
無論、皇族等例外を除き職業軍人(尉官以上の任官者)は兼業禁止ですので、現役で議員などにはなれないのは当然のことですね。
「省庁の長」とは大臣をさしますので、例えば陸軍次官や海軍次官、参謀総長、教育総監などはその中には含まれません。
また、元帥府の元帥も軍の役職に過ぎないことからも同様に適用除外となりました。
一方、華族である軍人であって皇族以外の者は、この時期以降には貴族院議員から外されることになりました。
但し、勅令の施行時において既に退役軍人であって、なおかつ、貴族院議員となっていた者については除外とされています。
この大規模な変革の何れにも富士野宮宏禎王の名は出ては来ません。
完全にフィクサーとしてすべてを制御しているからなのです。
満州帝国は、史実よりも十数年も早く成立し、尚且つ中華民国からも承認されたので欧米列強もその存在を渋々ながらも認めざるを得ず、同時に満州地域から帝国以外の外国勢力は殆ど駆逐されました。
仮に外国商社が入ったにしても欧米に対する反西洋思想による不買運動の所為で商業活動がほとんどできないことが主な理由なのです。
欧米列強の商社などが満州に介入しようとした場合は、必ず帝国の商社を間に立てなければならず、それとて、不買運動の所為で製品の販売などは、政府調達物品を除いて非常に難しい状況にあったのです。
従って、どうしても貿易収支では輸入超過になることから、列強は余程のメリットがない限りは満州地域の市場から手を引いたのです。
ソ連は、東ロシア共和国の成立で、満蒙地域へ直接介入ができなくなっていました。
一方で、反共産主義を掲げる東ロシア共和国には、帝国政府も積極的な支援を行い、旧式となった軍備を安価に提供するようになりました。
実際のところ陸軍及び海軍は、私が実質支配する軍需工廠から供給される軍備で十分賄われており、それまでの陸軍工廠や海軍工廠での軍備を必要としなくなっていたのです。
一方でそれら陸海軍工廠の生産に傾注していた財閥系の重工は、陸海軍への納品ができなくなってそのままでは大きな損失を抱えることになります。
その救済のために作られたのが、元帥府によって新たに作られた「武器供与法」なのです。
外国政府若しくは外国の武装組織に対する武器供与は、政府及び元帥府が承認を与えた場合に限るとし、輸出を行う場合の武器性能についても政令で細かく規定しているものなのです。
この立法により、*菱、*島などの財閥系重工は、何とか倒産の危機から免れることができたのです。
飛鳥造船や飛鳥航空機などで生み出す製品には明らかに劣る品質であっても、政府の承認を得られれば海外には輸出できるのです。
輸出先は、東ロシア共和国、満州帝国、中華民国、タイ王国などですね。
残念ながらこの時期、東南アジア地域の独立国はタイ王国ぐらいしかなかったのす。
また、この時期、八八艦隊構想の走りで長門型戦艦の建造が始まっていたのですが、これも完全に列強諸国の目を欺くためのダミーなのです。
見栄えは良いのですが、非常に装甲の薄い船(無駄な費用を掛けないため)であり、排水量を見かけ上増すために大量のバラストタンクを備えているハリボテ戦艦なのです。
ある意味で張子の虎ではあるのですが、列強の目をそらすには十分です。
主砲は史実と異なり、軽量合金を使った二連装の36センチ砲四基であり、旧式の金剛型戦艦と同じ装備となっています。
このため、この後に起こるはずの軍縮には引っかからなくなったのです。
そもそも軍縮の問題は各国の建艦競争が発端であり、日本の新造艦である長門型の41センチ砲が大きな問題となったのは事実なのです。
帝国は、長門型戦艦よりもはるかに強力な新型海防艦を実際に擁しているのですから、軍縮については左程に関心がないのです。
排水量だけで言えば、4万トン近い長門の代わりに、1万トンに満たない海防艦(長月型駆逐艦:イージス艦)を4隻から5隻も擁することができることになり、大型戦闘艦に関する軍縮はむしろ帝国にとって喜ばしいことでさえあるのです。
各国の動向次第では、そうした無駄な軍縮条約など無視する構えではおりますけれどね。
アジア、就中中国の植民地支配を狙う列強諸国が、新興の帝国を目の上のたん瘤と見ているのは間違いないことですから、その台頭を抑えようとするのは理解できないわけではありませんが、理不尽な扱いは撥ね退けなければならないこともあるのです。
大正初期における帝国政府と言うのは、陸海軍に対する文民統制も結構できていましたので、外交的には列強諸国の顔色をうかがいながらそろりそろりと慎重にやっていたのが史実なのです。
そのうちに自信を持ち過ぎてのさばり始めた軍人を抑えきれなくなりましたけれどね。
軍人を私の陰の力で抑制し、政府を望ましい方向に導けば戦争は或いは避けられるかもしれないと、はかない望みを持っているのですが、果たしてどうなるのでしょうねェ。
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