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3話 裏切りと決意
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先生は一度、学校に来なくなった私と2人きりできちんと話がしたいと言い、家までやってきた。そして、部屋の扉は開けているものの、先生と2人きりになり筆記で会話した。
『つらいとは思うけど、どんなことをされたか教えてほしい』
先生のこの質問には困った。色々ありすぎて、何を言っていいのか分からない。とりあえず言われるがまま、箇条書きで書いてみた。すると、書き出した項目に気になるものがあったようで、先生はまたも質問してきた。
『紙の話しは聞いたことがない。どんなことが書かれていたの?』
嫌な記憶が蘇るから書きたくないと思った。しかし、私が伝えないと先生には分からないままだ。
――あまり思い出したくないから書きたくないけど、少しだけなら……。
そう思い、私は本に挟まれた紙に書かれていたことの一部を書き出した。すると、先生は眉間に皺を寄せ、すごい速さで紙にペンを走らせた。
『あなたが今書いた内容は、現実のあの子たちと乖離している』
『どこがですか?』
『あなた乖離って言葉の意味を分かっているの?』
『はい。このあいだ本に出て分からなかったので調べました』
先生は一体どうしたというのか。普通きっかけがなければ、乖離なんて言葉は同い年の多数が知らないと思う。
それなのに、わざわざ難しい言葉を使ったかと思えば、本当に意味が分かっているのかと聞いてくる。むしろ、自分が間違っているとは思わないのだろうか。聞かれたから伝えたのに、乖離しているなんて失礼にも程がある。
この先生の言動にどんどんイライラが募る。先生も先生で怒った顔をし、何やら必死に長文をツラツラと書き連ね始めた。
力任せに書いているように見える。もし耳が聞こえていたら、カンカンカンカンという筆記音が聞こえたに違いない。そんなことを考えながらしばらく待っていると、先生は書いていた紙を私の方へズイっと差し出してきた。
『いいえ、分かっていないでしょう。確かにふざけて、あの子たちがあなたに嫌な思いをさせたことには違いない。けれど、いくら何でもあの子たちがそんなことを書くわけない。乖離しすぎている。
嫌がらせされた被害者だからって、仕返しにそんな嘘を付いて人を傷付けて良いと思っているの? あの子たちがかわいそうでしょう。まだ子どもなのよ?
それに、あなたにした嫌がらせも本当は励ましたかっただけで、その方法をちょっと間違えただけなの。私もあの子たちにちゃんと怒ったわ。
だから、こんな嘘なんて付かずに許してあげなさい。そこは、賢いあなたが大人にならないと。
それに、あなたに対する嫌がらせについて相手の保護者の方たちに伝えたけれど、皆口をそろえて、私の子どもがそんなひどいことをするわけがないと言っていたわ。私の子どもに限ってありえないと。
私も子どもがそんなひどいことをするとは思えない。ちょっと嫌なことをされたからって、話を大きくしてあの子たちをおとしめようとするのはやめなさい』
先生は、なぜか私に対して怒ったような顔をしている。
――なぜ私が怒られないといけないの?
何で信じてくれないの?
読めば読むほど先生の文はおかしい。私は嘘をついてない。だけど、先生は信じてくれないし、その紙は自分で捨ててしまったからもう証明しようがない。瞬間的にされた嫌がらせは、そのときでないともっと証明できない。
――それに私もまだ子どもなのに、何であっちがかわいそうなの?
嫌がらせの紙については、書くわけないと思ったとしても、誰かが実際に書いていることには違いない。励まし方を間違えるだなんて、こんなレベルはさすがに11歳にもなってあるわけがないだろう。そんなのは、ただの言い訳だ。
――そこはってどこ?
なぜ私が大人になることを求められるの?
賢さなんて関係ない……!
あらゆる疑問が大量に浮かび、脳内は渦潮のような状態だ。言いたいことがあまりにも溢れているのに、私は紙とペンがなければ何も伝えられない。そのもどかしさでどうにかなりそうだ。
だが、この先生の反応を見る限り、何を言ったところで私の言うことを信じてくれないに違いない。言っても暖簾に腕押しだろう。
――先生は結局あっち側の味方なんだ……。
そう思うと、先生のことがとても嫌いになった。先生ももう私のことが嫌いだろう。
学校に来いとも言わず、シレッとやり取りの紙を持ち、先生は去ってしまった。そして、私はそんな先生や子どもがいるところに行きたくなくて、学校に断固として行かないことにした。
このことがあって以来、お父さんやお母さんにこれ以上心配はかけたくないと思い、学校に通う人以上の知識を身に付けようとひたすら勉強に勤しんだ。また、それと並行してあることを成し遂げるため、その協力に必要不可欠なお父さんとお母さんに手紙を渡した。
『私はこれから出会う人には絶対に耳が聞こえないと知られたくない。私は本で読唇術というものがあると知ったの。その読唇術と一緒に、私自身が上手く話せる術を習得しさえすれば、きっと普通の人のように生きていける気がするの。
だから、どんなに厳しくても辛くてもいい。私が読唇術と耳が聞こえる人みたいに上手く話せる術を習得できるように協力してくれないかな?』
この手紙に対し、両親は二つ返事で了承し、これでもかというほどに協力してくれた。
絶対に読唇術を習得するんだ。もう耳が聞こえないからって、人でなしにされるがままにならない。辛くても辛くても未来の自分のために強くなるんだ。そう胸に誓い、ひたすら勉強と特訓に時間を費やした。
こうして、苦しみに苦しんだ11歳の少女は7年の時を経て、妙妙たる18歳の女性へと成長した。
『つらいとは思うけど、どんなことをされたか教えてほしい』
先生のこの質問には困った。色々ありすぎて、何を言っていいのか分からない。とりあえず言われるがまま、箇条書きで書いてみた。すると、書き出した項目に気になるものがあったようで、先生はまたも質問してきた。
『紙の話しは聞いたことがない。どんなことが書かれていたの?』
嫌な記憶が蘇るから書きたくないと思った。しかし、私が伝えないと先生には分からないままだ。
――あまり思い出したくないから書きたくないけど、少しだけなら……。
そう思い、私は本に挟まれた紙に書かれていたことの一部を書き出した。すると、先生は眉間に皺を寄せ、すごい速さで紙にペンを走らせた。
『あなたが今書いた内容は、現実のあの子たちと乖離している』
『どこがですか?』
『あなた乖離って言葉の意味を分かっているの?』
『はい。このあいだ本に出て分からなかったので調べました』
先生は一体どうしたというのか。普通きっかけがなければ、乖離なんて言葉は同い年の多数が知らないと思う。
それなのに、わざわざ難しい言葉を使ったかと思えば、本当に意味が分かっているのかと聞いてくる。むしろ、自分が間違っているとは思わないのだろうか。聞かれたから伝えたのに、乖離しているなんて失礼にも程がある。
この先生の言動にどんどんイライラが募る。先生も先生で怒った顔をし、何やら必死に長文をツラツラと書き連ね始めた。
力任せに書いているように見える。もし耳が聞こえていたら、カンカンカンカンという筆記音が聞こえたに違いない。そんなことを考えながらしばらく待っていると、先生は書いていた紙を私の方へズイっと差し出してきた。
『いいえ、分かっていないでしょう。確かにふざけて、あの子たちがあなたに嫌な思いをさせたことには違いない。けれど、いくら何でもあの子たちがそんなことを書くわけない。乖離しすぎている。
嫌がらせされた被害者だからって、仕返しにそんな嘘を付いて人を傷付けて良いと思っているの? あの子たちがかわいそうでしょう。まだ子どもなのよ?
それに、あなたにした嫌がらせも本当は励ましたかっただけで、その方法をちょっと間違えただけなの。私もあの子たちにちゃんと怒ったわ。
だから、こんな嘘なんて付かずに許してあげなさい。そこは、賢いあなたが大人にならないと。
それに、あなたに対する嫌がらせについて相手の保護者の方たちに伝えたけれど、皆口をそろえて、私の子どもがそんなひどいことをするわけがないと言っていたわ。私の子どもに限ってありえないと。
私も子どもがそんなひどいことをするとは思えない。ちょっと嫌なことをされたからって、話を大きくしてあの子たちをおとしめようとするのはやめなさい』
先生は、なぜか私に対して怒ったような顔をしている。
――なぜ私が怒られないといけないの?
何で信じてくれないの?
読めば読むほど先生の文はおかしい。私は嘘をついてない。だけど、先生は信じてくれないし、その紙は自分で捨ててしまったからもう証明しようがない。瞬間的にされた嫌がらせは、そのときでないともっと証明できない。
――それに私もまだ子どもなのに、何であっちがかわいそうなの?
嫌がらせの紙については、書くわけないと思ったとしても、誰かが実際に書いていることには違いない。励まし方を間違えるだなんて、こんなレベルはさすがに11歳にもなってあるわけがないだろう。そんなのは、ただの言い訳だ。
――そこはってどこ?
なぜ私が大人になることを求められるの?
賢さなんて関係ない……!
あらゆる疑問が大量に浮かび、脳内は渦潮のような状態だ。言いたいことがあまりにも溢れているのに、私は紙とペンがなければ何も伝えられない。そのもどかしさでどうにかなりそうだ。
だが、この先生の反応を見る限り、何を言ったところで私の言うことを信じてくれないに違いない。言っても暖簾に腕押しだろう。
――先生は結局あっち側の味方なんだ……。
そう思うと、先生のことがとても嫌いになった。先生ももう私のことが嫌いだろう。
学校に来いとも言わず、シレッとやり取りの紙を持ち、先生は去ってしまった。そして、私はそんな先生や子どもがいるところに行きたくなくて、学校に断固として行かないことにした。
このことがあって以来、お父さんやお母さんにこれ以上心配はかけたくないと思い、学校に通う人以上の知識を身に付けようとひたすら勉強に勤しんだ。また、それと並行してあることを成し遂げるため、その協力に必要不可欠なお父さんとお母さんに手紙を渡した。
『私はこれから出会う人には絶対に耳が聞こえないと知られたくない。私は本で読唇術というものがあると知ったの。その読唇術と一緒に、私自身が上手く話せる術を習得しさえすれば、きっと普通の人のように生きていける気がするの。
だから、どんなに厳しくても辛くてもいい。私が読唇術と耳が聞こえる人みたいに上手く話せる術を習得できるように協力してくれないかな?』
この手紙に対し、両親は二つ返事で了承し、これでもかというほどに協力してくれた。
絶対に読唇術を習得するんだ。もう耳が聞こえないからって、人でなしにされるがままにならない。辛くても辛くても未来の自分のために強くなるんだ。そう胸に誓い、ひたすら勉強と特訓に時間を費やした。
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