33 / 39
アダムside
5話 初めての姿(11話後)
しおりを挟む
メアリーさんに新しい子が働くことになったから、よろしくねと言われていた。だが、僕は新しい店員さんが入ろうと、そうで無かろうと、そこまで関わる機会はない。
それよりも、店員の方が僕とよろしくしたくないだろうと思える。だからこそ、僕がその新しく働くことになった店員について、メアリーさんにそれ以上言及することはなかった。
しばらく店が休みだったが、久しぶりに店がオープンした。メアリーさんからは2日目から来てくれと言われていたから、店がオープンして2日目に喫茶店へと出勤した。
僕は店の何でも屋のような仕事を任されている。だが、基本的に任されるのは店内業務ではなく、店の裏方仕事だ。畑の世話や、店の椅子や机などの備品整理、その他にも薪割りなどのさまざまな業務を任されている。
「さて、今日は畑の水やりをしたら、薪割りでもするか」
そう独り言ち、作業を開始した。作業開始して畑の水やりが終わり、次は薪を割ろうと畑の近くにある倉庫へと斧を取りに行った。そして、斧を手に取り倉庫から出たところで、ふと畑の方に人の気配がした。
――誰かいるのか?
そう思い、その気配の正体を確かめようと畑の方に視線をやると、まさかのシェリーがそこにいた。
――え……!? シェリーがここにいるってことはもしかして、今日からここで働く子ってシェリーのことだったのか!?
ここ最近、丘の上であった時のシェリーとの会話を思い返してみた。働き始める時期も、店のオープンの情報と合わせると辻褄が合う。
――シェリーと一緒に働けるなんて、すごく喜ばしいことじゃないか!
まさかこんなことがあるなんて……!
シェリーは僕にとっての唯一の友人だ。絶対に声をかけるしかないだろう。そう思い、シェリーに声をかけた。
「シェリー! 今日から働く子って君のことだったんだね!」
そう言いながら手を振ったが、とんでもなく恐ろしいものを見てしまったというような顔をして、シェリーは走って逃げて行ってしまった。
――え、どうしてシェリー逃げるの……。
いつもニコニコと笑いかけて、楽しい話をしてくれるシェリーのあんなに怯えた表情は初めて見た。初めて会ったときも、シェリーは怖がった表情をしていなかった。
手を振りながら声までかけたのに、シェリーが逃げてしまったことにショックを受け、頭に手が触れた瞬間、ハッとその謎が解けた。
――あっ……!
仮面を付けているうえに、斧まで持ってるから僕めちゃくちゃ不審者どころか、凶悪犯罪者みたいじゃないか!
そりゃあ、仮面を付けた僕の姿を知らないシェリーは逃げて当然だ!
シェリーが誤解する前に、追いかけないと……!
そう思い、急いで斧を手放して彼女を追いかけるべく店内へと入って行った。すると、案の定シェリーは怯えて慌てた様子で、メアリーさんに何やら話をしていた。
でも、僕が店内に入ってきたことでメアリーさんはすべてを察し理解してくれた。そして、店の入り口に立っている僕に微笑みかけると、メアリーさんは僕に対しこっちに来るようにと手招いた。
それよりも、店員の方が僕とよろしくしたくないだろうと思える。だからこそ、僕がその新しく働くことになった店員について、メアリーさんにそれ以上言及することはなかった。
しばらく店が休みだったが、久しぶりに店がオープンした。メアリーさんからは2日目から来てくれと言われていたから、店がオープンして2日目に喫茶店へと出勤した。
僕は店の何でも屋のような仕事を任されている。だが、基本的に任されるのは店内業務ではなく、店の裏方仕事だ。畑の世話や、店の椅子や机などの備品整理、その他にも薪割りなどのさまざまな業務を任されている。
「さて、今日は畑の水やりをしたら、薪割りでもするか」
そう独り言ち、作業を開始した。作業開始して畑の水やりが終わり、次は薪を割ろうと畑の近くにある倉庫へと斧を取りに行った。そして、斧を手に取り倉庫から出たところで、ふと畑の方に人の気配がした。
――誰かいるのか?
そう思い、その気配の正体を確かめようと畑の方に視線をやると、まさかのシェリーがそこにいた。
――え……!? シェリーがここにいるってことはもしかして、今日からここで働く子ってシェリーのことだったのか!?
ここ最近、丘の上であった時のシェリーとの会話を思い返してみた。働き始める時期も、店のオープンの情報と合わせると辻褄が合う。
――シェリーと一緒に働けるなんて、すごく喜ばしいことじゃないか!
まさかこんなことがあるなんて……!
シェリーは僕にとっての唯一の友人だ。絶対に声をかけるしかないだろう。そう思い、シェリーに声をかけた。
「シェリー! 今日から働く子って君のことだったんだね!」
そう言いながら手を振ったが、とんでもなく恐ろしいものを見てしまったというような顔をして、シェリーは走って逃げて行ってしまった。
――え、どうしてシェリー逃げるの……。
いつもニコニコと笑いかけて、楽しい話をしてくれるシェリーのあんなに怯えた表情は初めて見た。初めて会ったときも、シェリーは怖がった表情をしていなかった。
手を振りながら声までかけたのに、シェリーが逃げてしまったことにショックを受け、頭に手が触れた瞬間、ハッとその謎が解けた。
――あっ……!
仮面を付けているうえに、斧まで持ってるから僕めちゃくちゃ不審者どころか、凶悪犯罪者みたいじゃないか!
そりゃあ、仮面を付けた僕の姿を知らないシェリーは逃げて当然だ!
シェリーが誤解する前に、追いかけないと……!
そう思い、急いで斧を手放して彼女を追いかけるべく店内へと入って行った。すると、案の定シェリーは怯えて慌てた様子で、メアリーさんに何やら話をしていた。
でも、僕が店内に入ってきたことでメアリーさんはすべてを察し理解してくれた。そして、店の入り口に立っている僕に微笑みかけると、メアリーさんは僕に対しこっちに来るようにと手招いた。
17
あなたにおすすめの小説
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
優しすぎる王太子に妃は現れない
七宮叶歌
恋愛
『優しすぎる王太子』リュシアンは国民から慕われる一方、貴族からは優柔不断と見られていた。
没落しかけた伯爵家の令嬢エレナは、家を救うため王太子妃選定会に挑み、彼の心を射止めようと決意する。
だが、選定会の裏には思わぬ陰謀が渦巻いていた。翻弄されながらも、エレナは自分の想いを貫けるのか。
国が繁栄する時、青い鳥が現れる――そんな伝承のあるフェラデル国で、優しすぎる王太子と没落令嬢の行く末を、青い鳥は見守っている。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
瀬月 ゆな
恋愛
ロゼリエッタは三歳年上の婚約者クロードに恋をしている。
だけど、その恋は決して叶わないものだと知っていた。
異性に対する愛情じゃないのだとしても、妹のような存在に対する感情なのだとしても、いつかは結婚して幸せな家庭を築ける。それだけを心の支えにしていたある日、クロードから一方的に婚約の解消を告げられてしまう。
失意に沈むロゼリエッタに、クロードが隣国で行方知れずになったと兄が告げる。
けれど賓客として訪れた隣国の王太子に付き従う仮面の騎士は過去も姿形も捨てて、別人として振る舞うクロードだった。
愛していると言えなかった騎士と、愛してくれているのか聞けなかった令嬢の、すれ違う初恋の物語。
他サイト様でも公開しております。
イラスト 灰梅 由雪(https://twitter.com/haiumeyoshiyuki)様
【完結済】春を迎えに~番という絆に導かれて~
廻野 久彩
恋愛
辺境の村から王都の星環教会へやってきた研修生アナベル・ウィンダーミア。
門で出会った王族直属騎士団副団長ルシアン・ヴァルセインと握手を交わした瞬間、二人の手首に金色の光が浮かび上がる。
それは"番"——神が定めた魂の半身の証。
物語の中でしか聞いたことのない奇跡的な出会いに胸を躍らせるアナベルだったが、ルシアンの口から告げられたのは冷酷な現実だった。
「俺には……すでに婚約者がいる」
その婚約者こそ、名門ルヴェリエ家の令嬢セレナ。国境の緊張が高まる中、彼女との政略結婚は王国の命運を左右する重要な政治的意味を持っていた。
番の衝動に身を焼かれながらも、決して越えてはならない一線を守ろうとするルシアン。
想い人を諦めきれずにいながら、彼の立場を理解しようと努めるアナベル。
そして、すべてを知りながらも優雅に微笑み続けるセレナ。
三人の心は複雑に絡み合い、それぞれが異なる痛みを抱えながら日々を過ごしていく。
政略と恋情、義務と本心、誠実さと衝動——
揺れ動く想いの果てに、それぞれが下す選択とは。
番という絆に翻弄されながらも、最後に自分自身の意志で道を選び取る三人の物語。
愛とは選ぶこと。
幸せとは、選んだ道を自分の足で歩くこと。
番の絆を軸に描かれる、大人のファンタジーロマンス。
全20話完結。
**【キーワード】**
番・運命の相手・政略結婚・三角関係・騎士・王都・ファンタジー・恋愛・完結済み・ハッピーエンド
婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました
有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。
魔力が弱い私には、価値がないという現実。
泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。
そこで目覚めた彼は、私を見て言った。
「やっと見つけた。私の番よ」
彼の前でだけ、私の魔力は輝く。
奪われた尊厳、歪められた運命。
すべてを取り戻した先にあるのは……
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる