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番外 三十 マルチバース異世界編 猟師のダリオとバグ有テオドール
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『ぼく、いいつけまもっていました。いちどだけ、そとにでて、だりおさんさがした。だりおさん、かえらない、ぼくがいいつけまもらなかったせい。もういちどはいった。だりおさん、まっていたらかえってくるおもいました』
テオドールの言い分に、ダリオは本当に涙が止まらなくなってしまった。
「テオは……悪くねぇだろ……言いつけ守ってくれてありがとうな……えらかったな……」
ダリオはまずやさしい声で労う。その後、自分の気持ちを話した。
「ただ、俺の言いつけより、自分の無事を優先してくれるか? テオが元気だと俺はいちばん嬉しい……」
言い聞かせながら、喉が痛くなる。どうやってテオドールが頑張ってくれたことを褒めて、今後は限界まで自分を酷使せずに、己を大切にしてくれと伝えるかダリオは悩んだ。
こんなになるまでダリオの言いつけを守ろうとしてくれたのに、叱りつけるなんてとてもできそうになかった。
それに、テオドールが完全に復調したら、彼を外に逃がしてやって、二度とダリオのためにこんなことをしてはいけない、自由に生きてほしいと言うつもりだったが、果たして上手く伝えられるだろうか。
「だりおさん。ないてます……なかないで……」
「うん……」
ダリオは拳で涙を拭った。
拭いながら、テオドールに事情を説明して、「元気になったらお別れしよう」
とどうにか伝えてみたが、やはり彼は嫌がった。
「いやです」
めちゃくちゃ強固な意思で、テオドールはお別れを拒否してきた。
ダリオだって嫌だ。なんで俺たちが、クソ野郎に選択肢をひとつにされて無理やり従わされないといけねぇんだよ、ふざけんな、と思う。
テオは、バスケットの中でずっと待っていてくれていた。
一度外にダリオを探しに行って、帰ってこないのは自分が言いつけを破ったせいだと。
それで、またバスケットの中に入って、こうして言いつけを守っていればダリオがきっと帰ってくると思って待っていたという。
そうして、彼はバスケットのすみに小さく丸くなって、へばりつくように干からびた状態になってしまったのだ。
あのひどい状態を思い出すだけで、ダリオは悲しくて涙がまた出てしまう。
なんで、テオがそんなことしなきゃいけない羽目になったんだ、そんなむごい仕打ちをされなきゃいけなかったんだ、と腸の煮え立つような怒りが生まれてきた。
どう考えても、ダリオの意思を無視して、都まで無理やり連れ去り、帰郷を許さなかったクソ野郎のせいだ。
おまけにそいつは、ダリオが嫌がってるのをわかっていて、性的に接触してきて、そろそろ無体を強いられそうな空気が増してきている。俺が従う道理はねぇ。無理気持ち悪い、と生理的嫌悪感が天元突破しつつある。
自分には諦めぐせがあるが、テオのことは本当に許せねぇ、とダリオは絨毯に直接座ってあぐらをかき、自分の手札を確認した。
権力も人望も財力も何も無いダリオだが、こんな風に踏みつけられて黙って耐えるのはナンセンスだろう。
考えた末に、自分の体質を利用することにした。
ダリオが村で爪弾きになっているのは、モンスターとは違う、もっと不明の怪奇現象がその周りで起きがちだからだ。
知らない間に妙な無人の村に攫われて数日出られなかったり、家中妙な音やけはいがして突如甲高い笑い声が鏡の向こうから聞こえたり、後ろから誰かついてきて家のドアを朝までドンドン叩きながら「いえにいれろ」と姿も見えずに脅されたり、そのようなことが頻発するので、村人からは避けられ、両親は蒸発してしまったのだった。
普段なら避けて回るところ、ダリオは自ら怪異を呼び寄せて、テオドールと一緒に王宮から脱出することに決めたのだった。
『ぼく、いいつけまもっていました。いちどだけ、そとにでて、だりおさんさがした。だりおさん、かえらない、ぼくがいいつけまもらなかったせい。もういちどはいった。だりおさん、まっていたらかえってくるおもいました』
テオドールの言い分に、ダリオは本当に涙が止まらなくなってしまった。
「テオは……悪くねぇだろ……言いつけ守ってくれてありがとうな……えらかったな……」
ダリオはまずやさしい声で労う。その後、自分の気持ちを話した。
「ただ、俺の言いつけより、自分の無事を優先してくれるか? テオが元気だと俺はいちばん嬉しい……」
言い聞かせながら、喉が痛くなる。どうやってテオドールが頑張ってくれたことを褒めて、今後は限界まで自分を酷使せずに、己を大切にしてくれと伝えるかダリオは悩んだ。
こんなになるまでダリオの言いつけを守ろうとしてくれたのに、叱りつけるなんてとてもできそうになかった。
それに、テオドールが完全に復調したら、彼を外に逃がしてやって、二度とダリオのためにこんなことをしてはいけない、自由に生きてほしいと言うつもりだったが、果たして上手く伝えられるだろうか。
「だりおさん。ないてます……なかないで……」
「うん……」
ダリオは拳で涙を拭った。
拭いながら、テオドールに事情を説明して、「元気になったらお別れしよう」
とどうにか伝えてみたが、やはり彼は嫌がった。
「いやです」
めちゃくちゃ強固な意思で、テオドールはお別れを拒否してきた。
ダリオだって嫌だ。なんで俺たちが、クソ野郎に選択肢をひとつにされて無理やり従わされないといけねぇんだよ、ふざけんな、と思う。
テオは、バスケットの中でずっと待っていてくれていた。
一度外にダリオを探しに行って、帰ってこないのは自分が言いつけを破ったせいだと。
それで、またバスケットの中に入って、こうして言いつけを守っていればダリオがきっと帰ってくると思って待っていたという。
そうして、彼はバスケットのすみに小さく丸くなって、へばりつくように干からびた状態になってしまったのだ。
あのひどい状態を思い出すだけで、ダリオは悲しくて涙がまた出てしまう。
なんで、テオがそんなことしなきゃいけない羽目になったんだ、そんなむごい仕打ちをされなきゃいけなかったんだ、と腸の煮え立つような怒りが生まれてきた。
どう考えても、ダリオの意思を無視して、都まで無理やり連れ去り、帰郷を許さなかったクソ野郎のせいだ。
おまけにそいつは、ダリオが嫌がってるのをわかっていて、性的に接触してきて、そろそろ無体を強いられそうな空気が増してきている。俺が従う道理はねぇ。無理気持ち悪い、と生理的嫌悪感が天元突破しつつある。
自分には諦めぐせがあるが、テオのことは本当に許せねぇ、とダリオは絨毯に直接座ってあぐらをかき、自分の手札を確認した。
権力も人望も財力も何も無いダリオだが、こんな風に踏みつけられて黙って耐えるのはナンセンスだろう。
考えた末に、自分の体質を利用することにした。
ダリオが村で爪弾きになっているのは、モンスターとは違う、もっと不明の怪奇現象がその周りで起きがちだからだ。
知らない間に妙な無人の村に攫われて数日出られなかったり、家中妙な音やけはいがして突如甲高い笑い声が鏡の向こうから聞こえたり、後ろから誰かついてきて家のドアを朝までドンドン叩きながら「いえにいれろ」と姿も見えずに脅されたり、そのようなことが頻発するので、村人からは避けられ、両親は蒸発してしまったのだった。
普段なら避けて回るところ、ダリオは自ら怪異を呼び寄せて、テオドールと一緒に王宮から脱出することに決めたのだった。
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