異世界転移したので旅してみました

松石 愛弓

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壮行会

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「実は私の孫のエマが、突然 行方不明に…。大星山に行きたがっていたから、おそらくそこに向かったのではと思うのですが、道中には魔物も出ますし、迎えに行っても連れ戻せるかどうか…。
 それで異世界の強い勇者様にボディーガードをお願いしたいのです。道案内にリリを同行させますし、旅費も持たせます。無事にエマを連れ戻してくださった暁には御礼をはずませて頂きますので、何卒、捜索のご協力をよろしくお願いいたしまする~!」
 クアッカワラビーに似た長老は、三つ指ついて僕に頼み込んだ後、

「というわけで、壮行会じゃっ! 明日、捜索に出立する勇者様とリリを華々しく見送る宴を催すのじゃっ♪」
「「「了解ラジャー!」」」
 クアッカワラビー似軍団は、あっという間に空間術で部屋を広げると、最奥に舞台を作り、部屋中に綺麗な花を飾り付け、ご馳走を並べて、後は乾杯の音頭を待つだけとなった。

「早っっ!! ていうか、明日出発?決定?」
 上機嫌で浮かれまくるクアッカワラビー似軍団を止めれるとはミジンコほども思えなかった。
「では、勇者様とリリの旅の安全と、エマが見つかることを願って、かんぱ~い!」
「「「かんぱ~い!!」」」
 美味しそうに飲み物を飲み干すクアッカワラビー似軍団。
 舞台の上では、クアッカワラビー似三人娘がアイドルのような可愛い衣装でポップス調の歌を歌っていた。かわいい。
 次に民族衣装で民謡みたいな歌を歌うクアッカワラビー男子が出てきて、
 その次は手品。おぉ、空中に浮いてる。そんなとこから出てくるの?
 サーカスのような曲芸も始まった。玉乗り上手だな。かわいいな。
 その次は漫才や寸劇まで。なんて芸達者なんだ。

 ちなみに、今の僕は、首に派手なレイ花輪をかけてもらい、王様のような立派な椅子に座らせてもらって、アイドルクアッカワラビーにお酌してもらっています。未成年だから、ジュースだけど。
 僕の好きそうなものを考えて用意してくれたのか、骨付き肉の丸焼きとか大きな焼き魚とか揚げ物、煮物、サラダ、スープ、スィーツ、果物の盛り合わせなど、次々と運ばれてくる。

 とにかく、全力で壮行会を盛り上げようと頑張ってる気持ちが伝わってくる。
 もう、何してても可愛いし、期待に応えてあげないとという気持ちになってきた。
 インドア派の僕は武道は全くやってこなかったから、旅の途中でリリちゃんに武器でも貸してもらって使い方とか教えてもらわないと。
 それか、魔物から隠れたり逃げたりする方法を聞いたほうがいいのかな。
 へなちょこ勇者だとは言えない状況になってしまった。

 クアッカワラビー青年団の腹踊りが始まった。こういうの初めて見るわ~。
 そして、徹夜で踊りあかして明け方ちょっと寝て、出発することとなった。
 空は、雲ひとつないキラキラの晴天だ。

「では、行ってきます!」
「「「行ってらっしゃ~い!気を付けてね~!!」」」
 笑顔はじけるクアッカワラビー軍団に見送られ、僕は皆に手を振って、リリちゃんと歩き出した。
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