カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

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救え! セーラン商店街編

94色 編み出せ! 商店街繁盛計画!

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 ショッピングモールを後にした私達は商店街のスミレのお店に帰ってきた。

「あ、おかえり……って、アカリたちもいるじゃないか、どうしたの」

 先にきていたシーニは驚いて聞いてくる。 アカリはシーニのところに駆け寄る。

「シーニ!」
「アカリ達ともたまたまお会いまして、説明したら彼女達も協力してくれるとのことです」

 シーニに説明すると、隣に座るネム少年ともう一人の少年に気が付き、私は少し目を見開いて驚く。

「おや、『緑風くん』じゃないですか」

 私が彼に気が付くと彼はかわいい笑顔を向けて挨拶をしてくれる。

「まるうちさんこんにちは、それとみんなも」
「クロロン!」

 アカリが驚きながらも彼の下に行くと、緑風くんはその周りをみて少し驚いた感じで聞いてくる。

「みんなで遊びにいったのかな?」

 大世帯でいる私達をみて少し哀しそうな顔でいう緑風くんを抹消さんは慌てて弁明する。

「ち、違うよ! クウくんを仲間はずれにしたわけじゃなくて、まるうちさんたちとはショッピングモールの喫茶店でたまたまあったんだよ」
「ぼくも今日いったのに、あわなかったな」
「え!? そうなの!?」

 緑風くんの返しに抹消さんを含めて私達も驚く。

「うん、そこのコーヒーゼリーがすごいおいしいってウワサをきいて食べにいったんだ」
「!?」

 その言葉を聞いたスミレがカラダを少しビクッっとさせて反応する。

「……ぼくはひとりでコーヒーゼリーをコーヒーゼリーの様に渋く孤独を味わって食べにいってきたよ……ひとりで……」

 滅茶苦茶『ひとり』を強調しますね。

「えっと、クウくんの為に二人には下見ついてきてもらっただけで、本当に仲間外れにしたわけじゃ」

 下を向いて俯いていた緑風くんを抹消さんは必死に弁明する。 しかし、緑風くんはクスリと笑って顔を上げる。

「なんてね、冗談だよ」
「え?」

 顔を上げた緑風くんはいたずらっぽく笑いながら、かわいい笑顔で言葉を続ける。

「ひとりでいったのは本当だけど、全然気にしてないし、むしろ楽しんできたから平気だよ」
「なんだよかった」

 それを聞いた抹消さんは安堵の息を吐く。

「それで、何故、緑風くんはこちらに?」

 私が素朴な質問をすると、すぐに答えてくれる。

「なんとなく、むらさきさんのお店のコーヒーゼリーが食べたいなーって思ってきてみたら、たまたまみっくんとあおいさんにあったんだ」
「このお店のちょっと離れたところでクウタくんにたまたまあってね。 行く場所が同じだったみたいだから一緒にきたんだ」

 シーニが説明の付け足しをする。

「コーヒーゼリーを食べたのにまたコーヒーゼリーを食べたくなったの~?」
「うーん、ぼくもよくわからないけど……なんていうか……その……」

 ノワルが不思議そうに聞くと、緑風くんも少し考える様に言葉をつなげていう。

「あそこのもおいしかったけど、なんていうか……ここのコーヒーゼリーは『また食べたい!』って感じがして、うまくいえないけど『ぼくの大好きな味』って感じがしたんだ」

 彼は何も深い意味はないという感じで純粋に言ったのでしょうが、私がふと横目でスミレをみると目を少し見開いて驚いた顔をして少し頬を赤らめている様にみえた。

「それに大体のことは、あおいさんから聞いたから、できたらぼくも協力したいなって思って」

 彼の真っ直ぐで純粋な目を向けられた私は断る理由がなかったので二つ返事でお願いする。

「ありがとうございます。 では、早速、緊急会議を開きましょうか」

 私達は机を繋げて全員の顔が確認できる形を取った。

「さて、本題に入る前に皆様からみた、つまり、一般のお客様からみたショッピングモールはどうでしたか? 商店街との違いを教えて貰えるとさらにありがたいです。 遠慮なくズバズバと指摘してくれて構いません」

 私は商店街組を除いたメンバーに聞いてみる。

「正直にいうと、そんなにはっきりとみていたわけじゃないから参考になるか分からないけど、服屋に限らずチェーン店が主体だからやっぱり『安心感』があったね。 それで、わたしも服をいくつか買っちゃったし」

 シーニは頬を掻きながら隣の席に置いてある紙袋をみる。

「なるほど、当たり前のことかも知れませんが、かなり重要なことですね」
「そうなの?」

 アカリが頭にハテナを浮かべながらいい、私は頷き説明する。

「はい、見慣れているという『安心感』はかなり重要だと思います。 例えば、味の全くしないシンプルな水とよくわからない色の液体どっちを飲むかと言われたら、大半の人が味がしなくても水を取るはずです。 なので、ブランド名というのはとても重要なんです」
「じゃあ、負け戦ってこと?」

 ノワルの質問に今度は首を横に振り答える。

「いえ、そういう訳ではありません。 寧ろ『勝とう』だなんて『一ミリも考えてません』からね」

 私の発言にみんな驚いた顔をする。 スミレは空かさず聞いてくる。

「勝つ気がないってどういうことよ!?」
「勝つ気がないのではなく『争う気がない』だけです」
「え?」

 冷静に私の意見を述べていく。

「協力関係とまではいかなくても、互いのメリットデメリットを生かせればと思いまして」
「メリットデメリット?」

 首を傾げて聞いてくるトウマくんに頷きながら話を続ける。

「今、この商店街は根こそぎお客様を取られているという状況です。 ですが、逆にそれを生かして行きたいと思います。 例えば、ショッピングモールから近いことを生かして、ショッピングモールの行きや帰りに寄って頂ける様な場所に出来ればと」
「そっか! ぼくみたいにってことだね!」
「え? どういうこと?」

 私の意図に気付いたのか、緑風くんがいうとアカリが頭にハテナを浮かべながら聞き返す。
 
「えーっとね、ぼくみたいにコーヒーゼリーを食べにいってコーヒーゼリーを食べにいくんだよ」
「ん?」

 みんな緑風くんの言葉にさらにクエスチョンマークを増やす。

「なに? トンチでもいってるつもり?」
「緑風くんの云う通りです」
「え?」

 肯定した私にさらに困惑するみんなに補足説明をする。

「ショッピングモールのコーヒーゼリーを食べに行き、帰りに商店街のコーヒーゼリーを食べにくるということです」
「あ、そういうことね」

 シーニは分かったみたいだ。

「クウタくんの場合はコーヒーゼリーだったけど、それに限らず商店街のお店をみて周れる様にするってことだね」
「コーヒーゼリーはコーヒーゼリーでもショッピングモールのとむらさきさんのお店じゃ味が違うからそれの違いを楽しむんだよ!」

 シーニの説明にさらに緑風くんが付け加える。

「いいたいことはわかったわ。 だけど、アナタの例えわかりずらいのよ」
「あはは、ごめん」

 スミレは溜息を吐きながらいうけど、緑風くんの言葉が嬉しかったのか、目を閉じて少し口角を上げて笑ってる様にみえた。

「そこで、スミレ達に先程後回しにした話をします」
「もしかして、食品売り場でのこと?」

 トウマくんの問に「はい」と一言返すと話を切り出す。

「先程、スミレに話した通り、ショッピングモールの食品や果物は安く多く仕入れているので、私の実家の八百屋の商品の約半額の値段で買えるという話でしたね」
「ええ、だけど、アナタのお店の商品は新鮮でかなりいいものを仕入れているけど、新鮮なものひとつとすこし質は落ちるけど同じ値段で二個ましてや三個買えればそっちを買ってしまうっていうことだったわよね?」
「人間の心理をついた至極当然の判断ですね」
「じゃあ、なに? アナタも値段を下げるとでもいうの?」

 スミレの問に私は首を横に振る。

「いえ、先程もいったようにそちらのデメリットを生かしていこうと思います」
「どうやってよ?」
「お忘れですか? 私の実家の果物はこの町随一の果物農園から仕入れていることを」
「!? それって……まさか!?」

 私の意図に気付いたスミレが何かを云いかけると、お店の入り口のベルが鳴り、私達は反射的にそちらをみると農園着姿の温厚そうなお兄さんが入ってきた。 それをみたスミレは飛び上がる様に椅子から立ち上がる。

「センパイ!?」
「こんにちは、おや、なんだか思ってたより人がいるね」

 私達に挨拶をすると、周りを見回して机を囲う人達をみながらいう。

「センパイ! どうしてこちらに?」

 スミレは農園着のお兄さん。 リュイ先輩に小走りで近寄って聞くと、先輩は優しく微笑み答えてくれる。

「マルに相談があるって呼ばれてね」
「え? マルに?」  

 先輩の言葉にスミレは私をみる。

「はい、ショッピングモールをみている途中に先輩と連絡を取っていました。 『農園のお仕事が落ち着いたらご相談があるので、スミレの実家のお店まで来て頂けませんか?』と」
「いつのまに……」
「さすがマルちゃん! 抜け目ないね!」
「それは褒めていると受け取っておきましょう」

 ノワルの言葉を流しながら私は話を続ける。

「大体の事情は簡潔にお伝えしています」
「うん、そうだね、正直ぼくの実家もここ数か月売り上げが悪くて困ってたんだ……」
「そうだったんですね……」
「でも、お得意様のマルとスミレの実家のお店が仕入れてくれてるから助かってるよ。ありがとね」
「は、はい! ワタシもセンパイの為にがんばってます!」

 先輩の言葉にスミレは頬を染めながら、まるで子犬の様に尻尾を振る様に喜ぶ。
 
「ん? もしかして、あっちが本命? じゃあ、クウくんにむけるあの眼はなに?」

 あまりの自分達との態度の違いに抹消さんは驚き、頭にクエスチョンマークを浮かべながらブツブツと考える。 それを横目で確認しながらも私は話を切り出す。

「では、先輩に折り入ってお願いがあるのですが、先輩の農園から仕入れている果物の一割を『試食』に回してもいいでしょうか?」
「え? 試食?」

 先輩は首を傾げながら聞き返してくる。

「はい、試食という形を取ることによって少しでも先輩のところの果物を買って頂ける様にという根端でして」
「そういうことなら全然構わないよ。 むしろ、ぼくが大切に育てた果物が役に立つなら是非とも使ってほしいかな」

 私が説明をすると、先輩は直ぐに納得して許してくれた。

「では、これで私の実家のお店の対策は完了しましたね」
「え? それだけでいいの?」

 あっさりと対策を立てた私にアカリが聞いてくる。

「はい、いきなり慣れていないことをいくつも増やすより、少しずつ増やしていくのが効率がいいですからね」
「はへぇ~そうなんだ」
「では、次にトウマくんの実家のおもちゃ屋さんのことでひとつ提案してもいいですか?」
「なにかな?」
「トウマくんのお店にあってショッピングモールにないもの覚えてますか?」
「もしかして、古いおもちゃのこと?」

 私の質問にトウマくんは少し考えた後答えてくれる。

「はい、トウマくんの実家に比べショッピングモールの新作のおもちゃは二割程安く売られていましたが、数年前のおもちゃは売られていませんでしたよね?」
「え? 古いおもちゃならなくて当然じゃない?」

 抹消さんは首を傾げながらいう。

「はい、こちらも当たり前のことですね。 ですが、あえて同じ策を取ります」
「同じさくっておもちゃを食べるの?」
「いや、さすがにそれはないでしょ」

 アカリの発言に抹消さんはツッコム。

「まあ、似たようなことです」
「え!? やっぱり食べるの!?」
「『試食』ならぬ、『試着』とでもいっておきましょうか」
「おもちゃを着るの?」
「正しくは一部の商品を試しに触れて遊べるようにするんです。 そうすることによってこちらも買って頂ける可能性が増えます」
「それってかなり危険じゃないかな?」

 私の提案にシーニは少し訝しげにいう。

「え? そうなの?」
「うーん、これをいっちゃあれかもしれないけど、おもちゃとかだと『盗まれる』可能性が高いんじゃないかな?」

 シーニの発言にみんなもハッとなり少し不安な顔になる。

「勿論、そちらも可能性としてしっかりと考えています」
「どんな?」

 みんなの視線が集まり私は一言だけいう。

「『その時はその時です』」
「え?」

 私の対策もクソもない発言にみんなきょとんとする。

「はあ!? それってどういうことよ!? アナタふざけてるの!?」

 スミレは私に詰め寄りながら聞いてくる。

「モノの窃盗よ!? そんなのを見過ごすわけ!?」
「はい」
「なっ!?」

 あっけらかんという私にスミレは何かを云おうとしましたが、その前に私が口を開く。

「だって、『その程度の人間』だったということですから、それに『そんな人に時間を割いてる暇はありません』」
「!?」

 あまりに滅茶苦茶な私の発言にみんな戦慄しているようです。 まあ、当然ですけどね。

「ぼくはまるうちさんのいうことわかるかな」
「え?」

 意外にも口を開いたのは緑風くんだった。

「冷たい言い方になっちゃってるかもしれないけど、その通りなんだよね。 モノを盗む人はお金がないのかもしれない、それを買ってもらえないほど貧しいのかもしれないし、そうじゃないかもしれない、お金を払えるけど払いたくないでも、お金がなくて仕方なく盗んだでも、理由がなんであれ『その程度の人間』ってことだよね?」

 緑風くんから出る意外な言葉にみんな驚きながら静かに顔を見合わす。 私は彼の言葉を繋げる様に説明を続ける。

「はい、ですが、モノを売る身としても、それをされる覚悟で行動するべきだと思います。 そのリスクを背負う覚悟が」

 私はトウマくんに向き直りいう。

「勿論、この提案は強制ではありませんし、勿論ちゃんとした対策を考えるつもりです。 決めるのはトウマくんのご家族達です」

 トウマくんは少し考える仕草をしてチカラ強く頷きながら口を開く。
 
「うん、やるよ。 少しのリスクを背負ってでも」

 私もそれに頷き返す。

「では、トウマくんはそのリスクを減らす対策を考えて頂いてもいいでしょうか?」
「うん、わかったよ。 例えば、触れるおもちゃを紐で付けるとかいろいろと考えてみるよ」
「センサーとかつければいいんじゃない?」

 トウマくんは対策を考えはじめてノワルはそれを手伝う。

「マルもしかして、これが狙い?」

 シーニが周りに聞こえない様にこっそりと聞いてきて、私も声を抑え答える。

「はい、正直、私が全て提案してしまっては、それは只の私の自己満足に過ぎません。 なので、『私達で考える』ことが大切だと思いまして」
「さすがだね。 やっぱりキミは周りをよく考えてるんだね」
「ありがとうございます。 ですが、私の行動の原理はおじいちゃんの教えであって私はそれを守っているだけです」
「その教えがあってこその丸内林檎だね」

 シーニは優しく微笑みながらいい、私も微笑み「はい」と一言返す。

 チリンッ♪チリンッ♪

 その直後、またお店の入り口からベルが鳴り、ひとりの青年が入ってきた。 その少年の姿を認識した瞬間、スミレは顔を顰めた。

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