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探し物
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そのまま帰ろうかとも思ったが、一応天狐になったと報告しに実家へと寄ることにする。
途中で商家通りに出たので、栞の家に寄ろうか迷ったが、丁度お客さんを送り出している栞の父が気付き、こちらに頭を下げてくるので、お久しぶりですと挨拶をする。
家までどうぞと言われたが、これから実家へ行くと言うと、店先で申し訳ないとお茶を入れてくれた。
「天狐様におなりになったと、朝に聞きました。おめでとうございます」
「ありがとうございます。ですが、それ早くないですか?私がついた頃にはみんな知っていたって」
「此度から仙狐様・天狐様になられた方は暫く各役場の前の掲示板に張り出されるとかで。今まで顔も知らなかったので、みんな本当にいるのかと疑ってましたから、それでだと思いますけれど」
「名前だけですか?」
「はい。でも天狐様だけは名字が有るとか」
「私もいただきました。それと、栞さんは元気です。お料理も上手ですし、とても気の利く方で助かっています」
「なら良かった。家内が今いれば喜んだでしょうが、生憎出かけておりまして」
「いえ、元気だと伝えたかっただけなので。後、子供を引き取った事はもうお聞きですか?」
「聞いてます。どんなお子ですか?」
「人間の子ですが、我らが見え、使役している狐まで仲良くなってしまうような子です」
「私は娘の好きにさせてあげたいと思っていますし、あなたや娘が幸せになれるのであれば受け入れるつもりです……あ、結婚を迫ってる訳では無いですから」
「分かってます。今はまだ、何からしていいのかわからないんですけど、少し忙しくなりそうなんです。たまには栞さんをこちらに戻しましょうか?」
「年に一度くらい帰って来いと言ってもらえますか?良かったら、その子も一緒に」
「伝えておきます。お茶ご馳走様でした」
店を出てから役場まで行き、問題の貼り紙を見つけて見てみるが、新たなる天狐誕生『冬弥』としか書かれていない。この地域だけなら、名前だけでわかるだろうが、他の地域は何を書かれていることやら……
「冬弥?」
兄だと分かったので振り向くと、風呂敷に荷物を包んで持っている兄が立っていた。
「お仕事ですか?」
「今帰ってきたところで、これから定食屋にでもと思っていたんだが、一緒に行くか?」
「ええ」
近くの定食屋で兄がゆっくりと食べている横で、魚をつつきながら酒を飲む。
「まさか天狐になるとはな」
「鳥居を飛んだらどうなるのかとずっと思ってました。飛んだ瞬間次があると確信に似たものがありましたが、内容は極秘だそうで言えないんです」
「それはいいが、今日は泊まっていくのか?」
「出来れば。自分が思っていたより疲れてるみたいなので、少し休ませてください。後……雪翔の事ありがとうございました」
「気にするな。今度連れてきなさい」
「はい」
その後は掲示板のことを聞いたり、こちらで変わったことがないか聞いたりして、兄が仕事に戻る時間まで久しぶりにゆっくり話せた。
途中で商家通りに出たので、栞の家に寄ろうか迷ったが、丁度お客さんを送り出している栞の父が気付き、こちらに頭を下げてくるので、お久しぶりですと挨拶をする。
家までどうぞと言われたが、これから実家へ行くと言うと、店先で申し訳ないとお茶を入れてくれた。
「天狐様におなりになったと、朝に聞きました。おめでとうございます」
「ありがとうございます。ですが、それ早くないですか?私がついた頃にはみんな知っていたって」
「此度から仙狐様・天狐様になられた方は暫く各役場の前の掲示板に張り出されるとかで。今まで顔も知らなかったので、みんな本当にいるのかと疑ってましたから、それでだと思いますけれど」
「名前だけですか?」
「はい。でも天狐様だけは名字が有るとか」
「私もいただきました。それと、栞さんは元気です。お料理も上手ですし、とても気の利く方で助かっています」
「なら良かった。家内が今いれば喜んだでしょうが、生憎出かけておりまして」
「いえ、元気だと伝えたかっただけなので。後、子供を引き取った事はもうお聞きですか?」
「聞いてます。どんなお子ですか?」
「人間の子ですが、我らが見え、使役している狐まで仲良くなってしまうような子です」
「私は娘の好きにさせてあげたいと思っていますし、あなたや娘が幸せになれるのであれば受け入れるつもりです……あ、結婚を迫ってる訳では無いですから」
「分かってます。今はまだ、何からしていいのかわからないんですけど、少し忙しくなりそうなんです。たまには栞さんをこちらに戻しましょうか?」
「年に一度くらい帰って来いと言ってもらえますか?良かったら、その子も一緒に」
「伝えておきます。お茶ご馳走様でした」
店を出てから役場まで行き、問題の貼り紙を見つけて見てみるが、新たなる天狐誕生『冬弥』としか書かれていない。この地域だけなら、名前だけでわかるだろうが、他の地域は何を書かれていることやら……
「冬弥?」
兄だと分かったので振り向くと、風呂敷に荷物を包んで持っている兄が立っていた。
「お仕事ですか?」
「今帰ってきたところで、これから定食屋にでもと思っていたんだが、一緒に行くか?」
「ええ」
近くの定食屋で兄がゆっくりと食べている横で、魚をつつきながら酒を飲む。
「まさか天狐になるとはな」
「鳥居を飛んだらどうなるのかとずっと思ってました。飛んだ瞬間次があると確信に似たものがありましたが、内容は極秘だそうで言えないんです」
「それはいいが、今日は泊まっていくのか?」
「出来れば。自分が思っていたより疲れてるみたいなので、少し休ませてください。後……雪翔の事ありがとうございました」
「気にするな。今度連れてきなさい」
「はい」
その後は掲示板のことを聞いたり、こちらで変わったことがないか聞いたりして、兄が仕事に戻る時間まで久しぶりにゆっくり話せた。
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