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盛夏
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退院してからすぐに行った商店街では、学校のことは何も思い出せなかったが、商店街の人のことは覚えていた。
今回の骨折のことは新聞にも載ったらしく、小さいながらニュースにもなったとのことで、記憶操作はしていないと聞かされていたが、周りはそのことには触れず、退院おめでとうと言ってくれる。
大丈夫かと聞かれたが、案外平気だったので大丈夫と答え、通り道に棟梁の家があると教えて貰ってから、車椅子でリハビリの合間に通うようになった。
数週間たったが、中々足の筋力が戻らず、医者の話は自分も聞きたいからとついていき、その時に精神的なものもあると言われ少し落ち込みはしたが、できる限り自分で出来ることはやっている。
真夏になり、帽子をかぶって下宿を出てバスを待つ。
「本当にひとりで行くの?」と栞には心配されたが、車で送ってもらう時に通るバスを見て、車椅子対応と書かれていたので、ひとりで行くことに決めた。
下宿のみんなにも反対されたが、我儘を通して初めてのバス。緊張しないと言ったら嘘になる。
ブーッとブザーがなり、ステップが降りてきたのを確認してバスに乗り、お金を入れる。乗れたのだから降りるのも頑張ればできるだろうと、病院についた時に準備をしていると、後ろから「押しますよ」と男性が言ってくれた。
「ありがとうございます……」
降りて振り向くともういなかったので顔は見ていないが、スーツを着ていたのだけはわかる。
リハビリ室へ行くと、いつもの人にバスできたことを告げる。
足を温めている間よく話をしてくれる人なので、かなり慣れてよく話すようになった。
「初めてでよく出来たね?」
「降りる時押してくれる親切な人がいて……バスも慣れたら行けるところも増えるんじゃないかと思って」
「いい事だよ。それに、リハビリにもなるしね」
「はい!」
帰りもバスに乗って帰り、母屋につくとすぐに栞が出てきて、怪我はないか、困ったことは無かったかと聞いてくるので、押してくれる人もいたし、帰りは自分で全部出来たと話す。
夕食時もその話になり、またみんなに心配されるが、もっと自分で動ける範囲を広げていきたいと言う。
「なぁ、みんな夏休みなんだから海行こうよ!」と海都が言い出し、急遽みんなで行くことになったが、メンバーは何故か狐三人も入っている妙な組み合わせ。
海まで車で行くことになり、着いたのはいいが砂浜はどうしても車椅子で行くことが出来ず、隆弘に背負ってもらう。
海水パンツに履き替えはしたが、支えてもらって海に入るも、波でかなり足を取られる。
バッシャーンと尻餅をついたのをいいことに、みんなが海水をかけてくるので、かけ直して応戦する。
「もう、目に入ったら痛いから!」
「もっと掛けちゃえ!」
「海都君、やめてってばー!」
「おい雪翔!背中に乗れ」
「ん?」
「良いから」
言われるまま乗り、腰くらいの高さに来た時にゴムボートに乗せられ、かなり遠くまで進む。
「みんな泳げるんだ!」
「多少はな、でもここまでが限界かな?ジェットやってる奴がいるから危ないし」
「だな、俺もゴムボートに捕まってなかったらここまでは無理だ」
「海都くらいじゃねえの?泳げるの」と賢司が言うと、実家の近くに海があるからと笑っていた。
今回の骨折のことは新聞にも載ったらしく、小さいながらニュースにもなったとのことで、記憶操作はしていないと聞かされていたが、周りはそのことには触れず、退院おめでとうと言ってくれる。
大丈夫かと聞かれたが、案外平気だったので大丈夫と答え、通り道に棟梁の家があると教えて貰ってから、車椅子でリハビリの合間に通うようになった。
数週間たったが、中々足の筋力が戻らず、医者の話は自分も聞きたいからとついていき、その時に精神的なものもあると言われ少し落ち込みはしたが、できる限り自分で出来ることはやっている。
真夏になり、帽子をかぶって下宿を出てバスを待つ。
「本当にひとりで行くの?」と栞には心配されたが、車で送ってもらう時に通るバスを見て、車椅子対応と書かれていたので、ひとりで行くことに決めた。
下宿のみんなにも反対されたが、我儘を通して初めてのバス。緊張しないと言ったら嘘になる。
ブーッとブザーがなり、ステップが降りてきたのを確認してバスに乗り、お金を入れる。乗れたのだから降りるのも頑張ればできるだろうと、病院についた時に準備をしていると、後ろから「押しますよ」と男性が言ってくれた。
「ありがとうございます……」
降りて振り向くともういなかったので顔は見ていないが、スーツを着ていたのだけはわかる。
リハビリ室へ行くと、いつもの人にバスできたことを告げる。
足を温めている間よく話をしてくれる人なので、かなり慣れてよく話すようになった。
「初めてでよく出来たね?」
「降りる時押してくれる親切な人がいて……バスも慣れたら行けるところも増えるんじゃないかと思って」
「いい事だよ。それに、リハビリにもなるしね」
「はい!」
帰りもバスに乗って帰り、母屋につくとすぐに栞が出てきて、怪我はないか、困ったことは無かったかと聞いてくるので、押してくれる人もいたし、帰りは自分で全部出来たと話す。
夕食時もその話になり、またみんなに心配されるが、もっと自分で動ける範囲を広げていきたいと言う。
「なぁ、みんな夏休みなんだから海行こうよ!」と海都が言い出し、急遽みんなで行くことになったが、メンバーは何故か狐三人も入っている妙な組み合わせ。
海まで車で行くことになり、着いたのはいいが砂浜はどうしても車椅子で行くことが出来ず、隆弘に背負ってもらう。
海水パンツに履き替えはしたが、支えてもらって海に入るも、波でかなり足を取られる。
バッシャーンと尻餅をついたのをいいことに、みんなが海水をかけてくるので、かけ直して応戦する。
「もう、目に入ったら痛いから!」
「もっと掛けちゃえ!」
「海都君、やめてってばー!」
「おい雪翔!背中に乗れ」
「ん?」
「良いから」
言われるまま乗り、腰くらいの高さに来た時にゴムボートに乗せられ、かなり遠くまで進む。
「みんな泳げるんだ!」
「多少はな、でもここまでが限界かな?ジェットやってる奴がいるから危ないし」
「だな、俺もゴムボートに捕まってなかったらここまでは無理だ」
「海都くらいじゃねえの?泳げるの」と賢司が言うと、実家の近くに海があるからと笑っていた。
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