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江戸屋敷
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洗った野菜を持ってきた人に、何作るの?と聞くと、煮物をと言うので野菜を切らせてくれと頼む。
「坊ちゃんにそんなことは……御館様と奥様に怒られます」
「僕がおじいちゃんに言うから」と籠から玉ねぎをとる。
「坊っちゃま!」との悲鳴に近い言葉を聞きながら、玉ねぎの皮をむいていると幸が来てさらに驚かれる。
「向こうでもね、いつも手伝ってたんだ。ここに来たからって癖は抜けないよ」と手際よく切っていく。そのまま味付けだけしてもらい、小鉢に一緒に盛り付ける。
使用人は常に坊っちゃまーと言っていたが、気にせずに作業に没頭する。
「どうかな?」とお浸しや煮物を盛り付けた鉢を見せ、幸に上手ですねと言われる。
「みんなにナイショだよ?」と土間を出ると、一通り終わったのか座って汗を拭いている周太郎に、このあたりに神社はないのかと聞く。
狐の世界で社はないだろうと思っていたが、裏に神社があると言うので連れていってもらう。
「下宿の神社に似てる……」
酷似していると言っていいほど似ており、宮司さんの家や集会所がないだけで、鳥居の位置も階段の位置も同じだった。
朝餉でその事を言うと、祖父母は見た時に思っていたと言うが、なぜ似ているのかまではわからないと言っていた。
「社にもお狐様がいるの?」
「我らが狐じゃからな、形だけじゃよ」
「そうなんだ……」
僕、今日行っててもいいかな?と聞くと構わないと言われたので、水筒だけ用意してもらい、本を持って木陰に止めてのんびりと過ごす。
時折来る風が気持ちよく、ついうたた寝してしまうほどリラックスできた。
「坊ちゃん、お昼なので奥様がこれをと」
「お弁当だ!」
のんびり街を見ながらお弁当を食べて、ご馳走様と蓋を占めて風呂敷に包む。
「冬弥さんてどんな人?」
「そうですね。京弥様とご兄弟で似ているところもありますが、何方かと言えば、冬弥様の方が行動力のある方と言いますか……でも、とてもお優しい方です」
「僕ね、思い出せないんだ。何となく着物を着てる人で髪は横の方でくくっててって位。顔も思い出せなくて……とても大事な事忘れてる気がするんだ」
「坊ちゃんもお優しい方なので、気にされているかも知れませんが、必ず思い出せます」
「うん。ここ、いい所だね」
「御館様もお喜びになると思います」
社で参拝してから、お昼も食べたし一度戻ると言って連れて帰ってもらう。
薬を持ってなかったのでちゃんと飲んで布団に横になりながら本を読む。
「雪翔、入るぞ」
「なに?」
「雪翔、城から面会に来いと手紙が来た」
「お城?」
「多分、お前の力のことと思う。儂にもイマイチ分からんのだが、天狐ならば分かることもあるじゃろう。拒否権はないが、儂が一緒に行くから問題はないと思う」
「えっと……僕はどうしてたらいいのかな?座れないし」
「天狐は分かっておるじゃろう。それよりずっと出てきてないが、金と銀はどうした?」
「しーちゃんに聞くと、眠ってるって……どこか悪いのかなって心配で」
「若しかしたら成長期に入ったのかもしれんな」
「どういう事?」
「ある程度力が溜まったら狐の子はかなり睡眠をとる。それじゃと思うのじゃが、紫狐に聞いたか?」
「まだ。なんにも言わないから余計気になって」
「坊ちゃんにそんなことは……御館様と奥様に怒られます」
「僕がおじいちゃんに言うから」と籠から玉ねぎをとる。
「坊っちゃま!」との悲鳴に近い言葉を聞きながら、玉ねぎの皮をむいていると幸が来てさらに驚かれる。
「向こうでもね、いつも手伝ってたんだ。ここに来たからって癖は抜けないよ」と手際よく切っていく。そのまま味付けだけしてもらい、小鉢に一緒に盛り付ける。
使用人は常に坊っちゃまーと言っていたが、気にせずに作業に没頭する。
「どうかな?」とお浸しや煮物を盛り付けた鉢を見せ、幸に上手ですねと言われる。
「みんなにナイショだよ?」と土間を出ると、一通り終わったのか座って汗を拭いている周太郎に、このあたりに神社はないのかと聞く。
狐の世界で社はないだろうと思っていたが、裏に神社があると言うので連れていってもらう。
「下宿の神社に似てる……」
酷似していると言っていいほど似ており、宮司さんの家や集会所がないだけで、鳥居の位置も階段の位置も同じだった。
朝餉でその事を言うと、祖父母は見た時に思っていたと言うが、なぜ似ているのかまではわからないと言っていた。
「社にもお狐様がいるの?」
「我らが狐じゃからな、形だけじゃよ」
「そうなんだ……」
僕、今日行っててもいいかな?と聞くと構わないと言われたので、水筒だけ用意してもらい、本を持って木陰に止めてのんびりと過ごす。
時折来る風が気持ちよく、ついうたた寝してしまうほどリラックスできた。
「坊ちゃん、お昼なので奥様がこれをと」
「お弁当だ!」
のんびり街を見ながらお弁当を食べて、ご馳走様と蓋を占めて風呂敷に包む。
「冬弥さんてどんな人?」
「そうですね。京弥様とご兄弟で似ているところもありますが、何方かと言えば、冬弥様の方が行動力のある方と言いますか……でも、とてもお優しい方です」
「僕ね、思い出せないんだ。何となく着物を着てる人で髪は横の方でくくっててって位。顔も思い出せなくて……とても大事な事忘れてる気がするんだ」
「坊ちゃんもお優しい方なので、気にされているかも知れませんが、必ず思い出せます」
「うん。ここ、いい所だね」
「御館様もお喜びになると思います」
社で参拝してから、お昼も食べたし一度戻ると言って連れて帰ってもらう。
薬を持ってなかったのでちゃんと飲んで布団に横になりながら本を読む。
「雪翔、入るぞ」
「なに?」
「雪翔、城から面会に来いと手紙が来た」
「お城?」
「多分、お前の力のことと思う。儂にもイマイチ分からんのだが、天狐ならば分かることもあるじゃろう。拒否権はないが、儂が一緒に行くから問題はないと思う」
「えっと……僕はどうしてたらいいのかな?座れないし」
「天狐は分かっておるじゃろう。それよりずっと出てきてないが、金と銀はどうした?」
「しーちゃんに聞くと、眠ってるって……どこか悪いのかなって心配で」
「若しかしたら成長期に入ったのかもしれんな」
「どういう事?」
「ある程度力が溜まったら狐の子はかなり睡眠をとる。それじゃと思うのじゃが、紫狐に聞いたか?」
「まだ。なんにも言わないから余計気になって」
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