黄泉津役所

家族生活

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「ちょっとリュック変わって」

闇之助に代わってもらい、身軽になったところで写真をまた撮りまくり、一周回りきったところで駐車場の前でアイスを食べた後に目的地に行くのかと思ったら、「時間かかりすぎだ！」と今日は目的地近くのホテルに泊まるからとチェックイン。

「晩飯まで時間あるからひとつ行くが、風太は……」

「僕、眠い」

「鳴くなよ？」

「すぐ戻るから大丈夫だろう。何かあったら鈴でわかる」

「便利グッズだったのか！」

「その言い方をやめろ！」

行ってくるねと車に乗ると、街中を走り少しして曲がったところに神社。

「熊野速玉大社くまのはやたまたいしゃだ。御祭神は熊野速玉大神と、熊野夫須美大神。誰だと思う？」

「熊野さんご家族！」

「名前こそ違うが、イザナミとイザナギと言ったらわかるか？」

「なんで熊野さんになってんの！」

「この熊野にある三つの大社ではこの名前で書かれている。明日は残り二つに行くが、最後は……根性で登れ」

「何それ……」

「ま、158段だからそれほど階段が長い訳ではない」

だが言い方がかなり気になる。

車から降りて脇道から入れるのにちゃんと鳥居の前まで行ってから中に入る。

「おお、凄い！この木！」

「梛の木だ。木の葉を懐に入れてお参りすると、今で言う交通安全的な意味になるんだが、みんな写真ばっかりだな……ってお前もか！」

「良いじゃん！」

「撮るなら参拝してからにしろ」

全く礼儀がなってないと言われ、参拝した後にいくつか写真を撮り、「みんなびっくりするかな？世界遺産だよ！」と写真を神様フォルダーに入れる。

「爺さんは喜びそうだな。婆さんとお前の母親は土産の菓子、親父さんは……酒か？喜びそうなものといえば」

「多分。いつもご当地のビールとかお酒は買ってる」

「買い物は明日にして、ほら、こっちだ」

ついて行くとちょうど一周。

あれ？一周？とこの前読んだ何かを思い出しそうで思い出せない。