黄泉津役所

浅井 ことは

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暴露

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心配ではあったが役所に行き、食堂に行くとみんなが揃っている。

しかも手力さんまで……

「お、おはようございます」

「なんだよみんな揃って……」

コップにお茶を入れて座ると「名前決まった?」と八上さん。

みんなそれを知りたかったのか!

「桃花って名前になりました」

「桃花……可愛い名だ」

「あらまぁ、女の子らしい名前にしたねぇ」

「女の子ですからね、みんな変な名前つけるんじゃないかと気にしてたんですよ」

「なんで桃花なの?てっきり童子とかってつけるかと思ってたのに」

「さすがにそれは……センスがないというか」

いくつか名前を調べていて、上から呼んだものに反応した事と、たまたま桃を食べていたからと言うと、「桃ちゃんて家族には呼ばれてるぞ」と闇之助が言うので、みんながずるいといい出す。

その後も昨日は部屋で寝たのか、ご飯は食べられたのかと質問攻め。

「あの、座敷童子って寝ないんですか?」と反対に質問。

「寝るわよ」

「俺、6時前に起きていったら、もう窓の外見てて。寝れなかったのかなと思って聞いたら寝たって言うし」

「新しい家ですから興味津々なんでしょう」

「部屋もそのうち使うだろう。元々はそういう性質だ」

「もしかして、それの為だけにみんな集まってたとか?」

「名前が気になったのよ!」

「俺の作った部屋のものが気に入ったかどうか」

「ご飯を食べたか気になってねぇ」

「皆さんと同じです」

ちゃんと食べたし、爺ちゃん達と川の字で寝たし、風呂にも入って着替えもして、いい子だと言うと「良い子なのは分かってるわよ」と言われてしまう。

「暫くは猿田さんに任せましょうか。そろそろ始業ですから。丈史くんと風太君は一番の総合受付手伝ってください」

「何すればいいんですか?」

「出された紙が回ってくるので、それを各課に回してください。今日から人が多くなります」

闇之助が言ってた祭りのことかな?とコップを片付けて窓口に行くと、「こっちお願い!全部保護課!」「これも頼む、障害福祉だ」「これは土木課に運んで!」と着いたそうそう目の前には山盛りの書類。

「わけてあるから!」

「分かりました」

「ぼくは?」

「風太君は踏まれないようにしてね。それから、お使い頼んでもいい?」

「うん!」

風太にリュックが取り付けられ、中には手紙。

「下を向けば手紙が落ちてくるから、役所内に配ってきてね」

「いってくるね!」

ちゃんと出来るのかな?と思いながら近いところから書類を運び、土木課にも持っていき、戻る時には別の書類を渡されて運びと役所中を一日駆け回り、昼前だから志那さんはそろそろ来るのかな?と思っていると、「これ、地下に……」と封筒を渡される。

「地下?」

「丈史君、その封筒は入口のポストから入れたらいいから。部屋から声がかかっても中に入ったり返事したらダメだよ?」

「どうして?」

「働いてる人がちょっと……」

周りの人にも逃げてくるのよーと言われ地下に行くと、明らかに空気が重い。

ドアの真ん中に入れるところがあったので、そこから封筒を入れるのに差し込むと、ツンツンと引っ張られる。

「封書のお届けです。失礼します」ととりあえずエレベーターに向かうと、「グォォォォ」と大きな声。

「ヤバい!何かわからないけど吠えてる!」

急いで一階に戻ると「怖かった?」とジュースを貰い、一気に飲む。

「なんか……グォォォォって。誰がいるんですか?」

「絶賛ノイローゼ中の狼さんよ」

「オオカミ?おおかみ……。え?大口さんのこと?」

「ええ。昔は毎月だったけど、最近は半年に一回くらいかしら?変身しちゃうのよ」

「狼だから?」

「まあ、そんな感じ」

「ノイローゼっていうのは?」

「大口さん真面目でしょう?優しいし。動物にも私たちにも優しいの。でも、変身しちゃうと日頃のストレスが爆発しちゃうみたいで……それでも早く元に戻るようになったのよ」

「ストレス無さそうなのになぁ」

そうこう言っているうちに書類だけは溜まりまくり、運んでは渡されて違う所へまた運び。

「なんでこんなに人来てるんだよ!普段はスカスカなのに!」とやっと休憩。
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