黄泉津役所

祭り

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爺ちゃんの車で出かけたと言うことはきっと色々買い込んでるんだろうが……

「志那さん運転出来る？」

「出来ます」

ちょっと行ってくると車でホームセンターに行くと、資材館から荷物を車に運んでいる父と祖父。

「親父、闇之助は？」

「今、釘とか細かいもの頼んだから中だ」

「ありがと！」

走って中に行くとメモを持って釘を探している闇之助。

こういう時は背が高いから見つけやすい。

「闇之助！」

「なんだ、来たのか」

「釘、どれ？」

メモを見るといつも爺ちゃんが使っているもの。

箱を持ちレジに駆け込もうとしたところで足の甲がズキッとする。

「丈史君！」

「あ、足の甲が……」

「血が出てる。それにこんな大きな釘……」

「俺の事いいから、二人とも爺ちゃんと親父お願い」

「そうは行きません」

「こんなの引っこ抜けば！！！」

両手で持って刺さっている釘を掴んで「ぐぉぉぉ！」と一気に引き抜く。

「丈史……」

「志那さんお願い！闇之助連れてって！」

「すぐ戻ります」と闇之助を無理やり連れて行ってもらい、大声を出したからか店員さんが来て「きゅ、救急車」と慌てている。

「だ、大丈夫です……」

「ご家族は……いや、まず止血しないと……」

マニュアルがと言っているので、邪魔だからどいてくれと本気で思い、「どいて！」と言うと周りに来ていた人たちが一瞬止まる。

「くっそー！足が動かない……」

片足は無事とはいえ、釘が刺さった左足が前に動かせないので棚に掴まると、棚ごと倒れてしまい細々とした部品が降ってくる。

「止まれ！」

ピタっと止まっている間に何とか張って通路まで行くと、親父と爺ちゃんも駆け込んでくる。

「丈史！」

「おんぶ……」

「父さんじゃ無理だ。丈史、父さんの背中に乗りなさい」

言われるまま背中に乗り、車まで連れていってもらうと、闇之助が足を囲むかのように水の膜で覆ってくれる。

「痛むが、菌が入っていたら出てくる」

声にならない痛みに汗が止まらず涙もでたが、「や、役所でしょうか？それとも外科に……」と二人とも慌てていて、志那さんが「役所は手薄です。病院のがいいでしょう」と救急外来へ。

レントゲンをとり、処置をして貰い、足は包帯でぐるぐる巻き。

しかも入院と言われ断るのに闇之助に頼んで何とかしてもらい、松葉杖だけ借りて家に一旦戻る。