黄泉津役所

浅井 ことは

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祭り

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みんな驚いていたが、「俺、夜は神社に行かないといけないんだ」と言うと、「お前じゃないとダメなのか?」と珍しく父が代わりにと言ってくれるが、「俺じゃないとダメ。親父たちは猿田さんが何とかしてくれる」と痛み止めを飲んで少しだけ横になる。

「たけちゃん、いたいのとんでけー」

「ありがとう」

「ぼ、ぼくも!いたいのとんでけー」

「風太もありがとな」

「丈史……俺は……」

「闇之助が悪いんじゃないよ。目的が俺ならホームセンターじゃなくても、神社で怪我してたと思うし。闇之助に何も無くてよかった」

「馬鹿か!お前は人だ。怪我したら死ぬことだってある!何のために俺たち神がいるんだ!」

「闇之助、まだ時間はあります。今は休ませてあげましょう」

薬のおかげかしばらく寝た後に、疲れて寝てしまった桃ちゃん達を起こして神社に行く時間だと伝える。

「あとから行くから。先に行ってて」

「本当に大丈夫なのかい?」

「大丈夫。桃ちゃん、楽しんでくるんだよ?」

「たけちゃん、もも、おうちでもいいよ?」

「いいからいいから」

本当はものすごく痛いしイライラするし腹が立って仕方ないが、ももちゃんの楽しみを奪う訳には行かない。

それに、俺が時間通りに行かないと捕まえられないかもしれない。

「志那さん、お願い出来ますか?」

「みんなについて行くよ。呑か茨をこちらに来させるから、それまで家で闇之助を見張っててくれるかい?」

「首に縄つけておきます」

「俺は犬か!ちゃんと時間までいるから安心しろ」

みんなが行ってから、「痛い!マジで痛い!昔骨折った時より痛い」と思いっきり騒ぐ。

「俺ができるのは水の癒しだけだ。この包帯は濡れないから安心しろ」とまた水の膜で覆ってくれるのだが、ひんやりしていて気持ちがいい。

「闇之助は、高龗神の穢れを落としてあげたいんでしょ?」

「ああ。だが、人を傷つければ傷つけるほど悪しき神になっていく。救えられるのならばと思うが……許せない」

「許してあげようよ。婆ちゃんも言ってたじゃん。寂しそうだって。俺が闇之助をとったとか思われてるならちゃんと話したい」

「それは正常な場合にしか無理だ。高は普段はこんな感情的にならない……何かおかしいとは思うんだが、ハッキリとしないんだ」

悲しそうな顔をする闇之介に声をかけようとしたら、「こんにちはー」と茨さんと紫乃さん。

「紫乃さんも?屋台は?」

「他の子に任せてきたよ。怪我と聞いてね」

ホームセンターでの出来事を言うと、茨さんが「もう手遅れになってるかも」と言いながらも、「俺たちは鬼になった経緯は置いといて、悪事を働いてきた。それを償うのにかなりの時間をかけて今に至るんだけど、改心できたかと言われると、元々の鬼の性質的には変わってないんだ。高龗神は同じにしたらいけないけど、魂がまだ穢れてなければ……」

「神様たちのことは分からないけど、助けられる?」

「あちきはその辺は……今はこの月読様の管轄地に居るから人で言うところの保護下にいるけどね、その代わり制限もあるんだよ」

うう、複雑そうで聞きたくない。

「闇之助は社務所の裏まで自力で行けるだろ?俺は丈史を背負っていく。少し自分で歩いてもらわないといけないけど、道の終わりまでは連れて行ける」

「あちきは周りを注意しながらついて行くから、今日で終わらせておくれよ?」

「感謝する」

闇之助も辛そうな顔をしていて、時間まで足を伸ばして神社へ!
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