転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ

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7 王子様と俺

7ー2 ダンジョン

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 7ー2 ダンジョン

 魔物の一件で俺とルリオス王子の関係は、一変した。
 俺とディナを襲撃した魔物は、ルーロという猫みたいな魔物で魔王国では、愛玩魔物として親しまれていた。
 ルリオス王子の飼っている魔物も王都の見物にいったときに拾ってきたものだった。
 「ラナは、ほんとにいい子なんだ!」
 ルリオス王子は、俺が解凍してやった魔物を抱き締めてその毛並みに顔を埋めた。
 その黒い猫みたいな魔物もルリオス王子に懐いているようだし。
 抱きついているルリオス王子の髪をペロペロ舐めている。
 俺は、ディナの手にできた引っ掻き傷に持っていた軟膏を塗ってやった。
 「あの、お願いがあるんだ」
 ルリオス王子は、俺たちにおずおずと言い出した。
 「今回の、ラナのいたづらのことは、内緒にして欲しいんだ」
 もし、王宮内で人を襲ったということが知られたらこの魔物は、おそらくは殺処分されるに違いない。
 「かわりに僕がなんでも言うことを聞くから!お願い!」
 「じゃあ、アリオスト王国に帰ってください」
 「それは、いや!」
 俺が言うとルリオス王子が食いぎみに即答した。
 「なんでもっていったじゃん!」
 俺が責めるとルリオス王子がそっぽを向く。
 「それ以外でってことだから!」
 うん。
 よっぽどアリオスト王国に戻るのが嫌なんだな。
 俺は、眉をよせて考え込んだ。
 ルリオス王子は、魔王国を舐めている。
 この国は、決してルリオス王子が考えているような楽園じゃないし!
 彼が無事に暮らせるのはアリオスト王国の王子であるからということと、それとライナスさんの存在のおかげだ。
 さもなければ、ルリオス王子なんて誰にも相手にもされてないだろう。
 それを知らせたい。
 「では、ルリオス王子殿下。俺と一緒にダンジョン探索に行きましょうか」
 俺の提案にルリオス王子がキョトンとする。
 「そんなことでいいの?」
 そうして。
 俺とルリオス王子とその一行は、魔王国の短い夏が始まる季節の頃に王都のすぐ側にあるダンジョンに出掛けることになった。
 そのダンジョンは、王都の南にある小さなダンジョンだった。
 あまりに初心者用だったために今では、誰も近寄るものさえあまりいないそのダンジョンに俺たちは、潜ることにした。
 ちなみに、一行というのは、俺とディナ、ルリオス王子にライナスさん、そして、フィオールだ。
 いや!
 このメンバーで初心者用のダンジョンなんて!
 ほんとならもっとレベルの高いダンジョンを目指せる筈なのだが、ここは、ルリオス王子に合わせる。
 ダンジョン攻略は、登山と同じだ。
 一番、レベルの低い者に合わせることが必要だからな。
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