転生DKは、オーガさんのお気に入り～姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない！～

7 王子様と俺

7ー6 未来は、未定

　７ー６　未来は、未定

　アリオスト王国の王子であるルリオス王子と魔王国の王子であるルシエル王太子の婚約が決まった。
　こうなれば俺とフィオールの婚約なんて必要なくなる。
　俺の実家から手紙がきて『戻ってこい』と言われたんだが、俺は、ずるずると魔王国で暮らし続けていた。
　それは、魔道研究所での研究が面白かったからだ。
　毎日、王宮にある魔道研究所に通って俺は、魔法とそれと魔族の魂に刻まれている呪術の研究をしていた。
　今の俺の立ち位置的には、フィオールの婚約者というより魔法研究のためにきている留学生ぐらいな感じになっている。
　それがフィオールは、気に入らないようで婚約者であることを周囲に見せつけるためにか、毎日、俺の送り迎えをしてくれている。
　それこそ必要がないんだが。
　それでも俺は、フィオールの送迎を拒むことはなかった。
　フィオールの屋敷から魔道研修所までは、徒歩で通えたし、自分の身は自分で守れるのだが、俺は、何も言わなかった。
　婚約者では、なくてもよくなった俺とフィオールだったが、今のところは婚約を破棄はしていない。
　まあ、屋敷のお互いの部屋を繋いでいる扉は、いまだに開かないようになっているがな。
　俺は、フィオールとの今の距離感が快く思えていた。
　なんというか。
　友情以上、恋人未満。
　それが、今の俺たちだ。
　できれば、ずっとこのままでいたいんだが、そうもいかないのかもしれない。
　でも。
　将来のことは、将来に考えることにした。
　フィオールは、相変わらず甘々で。
　というか、婚約者でいなくてもいい状態になってからは、今までよりもよけいに俺に甘くなった？
　毎日、朝は、フィオールに起こされてるし、夜は、おやすみのキスをされている。
　これは、ちょっと気恥ずかしいんだが。
　それでも、以前に比べたら馴染んできたような気がするのが怖い。
　ディナは、相変わらずフィオールと俺を遠ざけようとしていたが、フィオールは、そんなこと気にも止める様子はない。
　もうすぐ魔王国の長い冬が来る。
　それまでには、ルリオス王子は、魔王国に戻ってくる予定だ。
　それまでには、俺とフィオールの関係も変わってしまうのかもしれない。
　でも。
　今の関係が快くて。
　もう少し。
　もう少しだけ、このままでいたくて。
　俺たちの未来は、不確定で。
　それでも、毎日が甘くて、ちょっと酸っぱくて。
　要するに。
　恋になるのか、それともこのまま平行線のままなのか。
　それは、誰にもわからないのだ。
　俺としては、このままがいい。
　いつかは、何かを選ばなくてはいけないのだろうけど。
　それまでは、このままで漂っていたい。
　そんな関係もありじゃね？
　そう、最近は、思っている。