66 / 67
7 王子様と俺
7ー5 王子の帰国
しおりを挟む
7ー5 王子の帰国
「番?」
ダンジョンから魔王国の王都の王宮に戻った俺たちを魔王様が待ち受けていた。
魔王様は、久しぶりに王宮に戻ったと言うルシエル王太子殿下を冷ややかに見つめていた。
「このアリオスト王国の王子が、か?」
「はい、父上」
ルシエル王太子殿下が真面目な表情で頷いた。
「このルリオスは、間違いなく我が番。我は、この者と離れることはできません」
「なんということだ」
魔王様が額を押さえてうつむく。
「よりによってアリオスト王国の王子が番、だと?」
「この者は、魔王国を気に入りこの地に残ることを望んでいます。このまま我が妃にしたいと思います」
ルリオス王子を抱き締めて離そうとしないルシエル王太子殿下をじっと見上げてルリオス王子は、ぽぅっと頬を赤らめている。
「ぼ、僕でいいの?僕なんて、なんにもできないし、ダメダメなのに?」
「お前は、ダメダメなんかじゃない」
ルシエル王太子殿下が蕩けそうな眼差しでルリオス王子を見つめて微笑む。
「お前は、そのままでかけがえのない我が妃なのだからな」
「僕が、妃……」
呆然自失の様子のルリオス王子の頭を優しく撫でているルシエル王太子殿下を見て魔王様が舌打ちした。
「まさか、お前がその王子を妃に選ぶとはな。それなら、最初から王族同士の婚姻にすればよかったな、フィオール」
「お断りします」
フィオールが僕をぎゅっと抱き寄せると魔王様に返答した。
「この婚約を解消するつもりはありませんので」
むぅっと魔王様が口をつぐむ。
フィオールが魔王様に提言する。
「このさい、国と国のより深い絆を結ぶために二組の婚姻を執り行うべきです」
「しかし、な」
魔王様がちらっと俺とルリオス王子を見つめる。
「アリオスト王国がどういうか。公爵の令息だけでなく、王子まで差し出せとは」
「僕のことなら大丈夫です!」
ルシエルに抱かれて黙り込んでいたルリオス王子が声をあげた。
「どうせ、国では、いてもいなくても同じって扱いだったし!僕、ラナ…じゃなくて、ルシエル様の番になりたいです!」
「ルリオス!」
ルシエル王太子殿下がすりすりとルリオス王子に頬擦りした。
「さすが、我が番よ!よく言った!」
「しかし、このままでは、アリオスト王国も頷くまい。いったん、ルリオス王子を国に戻してからでないと婚約の話もできまい」
というわけで。
ルリオス王子は、一度、母国に戻ることになった。
ルシエル王太子殿下は、旅立つルリオス王子を泣く泣く見送った。
「必ず戻ってこい!」
「うん!」
ルリオス王子は、頬を赤く染めながら頷いた。
「番?」
ダンジョンから魔王国の王都の王宮に戻った俺たちを魔王様が待ち受けていた。
魔王様は、久しぶりに王宮に戻ったと言うルシエル王太子殿下を冷ややかに見つめていた。
「このアリオスト王国の王子が、か?」
「はい、父上」
ルシエル王太子殿下が真面目な表情で頷いた。
「このルリオスは、間違いなく我が番。我は、この者と離れることはできません」
「なんということだ」
魔王様が額を押さえてうつむく。
「よりによってアリオスト王国の王子が番、だと?」
「この者は、魔王国を気に入りこの地に残ることを望んでいます。このまま我が妃にしたいと思います」
ルリオス王子を抱き締めて離そうとしないルシエル王太子殿下をじっと見上げてルリオス王子は、ぽぅっと頬を赤らめている。
「ぼ、僕でいいの?僕なんて、なんにもできないし、ダメダメなのに?」
「お前は、ダメダメなんかじゃない」
ルシエル王太子殿下が蕩けそうな眼差しでルリオス王子を見つめて微笑む。
「お前は、そのままでかけがえのない我が妃なのだからな」
「僕が、妃……」
呆然自失の様子のルリオス王子の頭を優しく撫でているルシエル王太子殿下を見て魔王様が舌打ちした。
「まさか、お前がその王子を妃に選ぶとはな。それなら、最初から王族同士の婚姻にすればよかったな、フィオール」
「お断りします」
フィオールが僕をぎゅっと抱き寄せると魔王様に返答した。
「この婚約を解消するつもりはありませんので」
むぅっと魔王様が口をつぐむ。
フィオールが魔王様に提言する。
「このさい、国と国のより深い絆を結ぶために二組の婚姻を執り行うべきです」
「しかし、な」
魔王様がちらっと俺とルリオス王子を見つめる。
「アリオスト王国がどういうか。公爵の令息だけでなく、王子まで差し出せとは」
「僕のことなら大丈夫です!」
ルシエルに抱かれて黙り込んでいたルリオス王子が声をあげた。
「どうせ、国では、いてもいなくても同じって扱いだったし!僕、ラナ…じゃなくて、ルシエル様の番になりたいです!」
「ルリオス!」
ルシエル王太子殿下がすりすりとルリオス王子に頬擦りした。
「さすが、我が番よ!よく言った!」
「しかし、このままでは、アリオスト王国も頷くまい。いったん、ルリオス王子を国に戻してからでないと婚約の話もできまい」
というわけで。
ルリオス王子は、一度、母国に戻ることになった。
ルシエル王太子殿下は、旅立つルリオス王子を泣く泣く見送った。
「必ず戻ってこい!」
「うん!」
ルリオス王子は、頬を赤く染めながら頷いた。
100
あなたにおすすめの小説
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。
前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか
Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。
無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して――
最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。
死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。
生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。
※軽い性的表現あり
短編から長編に変更しています
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる