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7 終わらない世界を目指して。厄災と勇者の物語。
7ー5 世界は、優しく歌う
しおりを挟む世界が。
入り交じっていく。
様々な色が重なり、虹色の空が拡がっていく。
負の世界と、正の世界が。
表面で合わさり、全てが消滅へと向かっていく。
ああ。
俺は、思った。
これじゃ、いけない。
このままじゃ、ダメなような気がしていた。
俺は、流される強い力に逆らい踏み留まろうとした。
世界の流れが変わり、消滅が少しづつずれていく。
全てが傾き、斜めになっていく。
「ダメじゃない」
女が言った。
「これじゃ、作り直せなくなってしまう」
俺は。
俺は、叫び声をあげた。
「新しい世界なんかじゃない!今、ここにあった世界を俺は、望む!」
「なるほど」
女が頷いた。
「それが、君の望みなんだ」
少し。
時が引き戻されていくのがわかった。
逆さまになっていく。
消滅から、出現へ。
死から生へ。
無から、有へと世界が変化していった。
そのとき。
俺の手のひらに残っていたその小さな一欠片がキラリ、輝いた。
それは、生命の誕生だった。
小さな、小さな、命から始まり、進化していく。
魚から、鯨へ。
鯨から、竜へ。
それは、大きな、大きな、命へとなっていく。
やがて、それは、竜から人間へと変化していった。
それは、1人の少女の姿へと成っていく。
「ああ」
俺は、喘ぐように囁いた。
「君は、ここにいたのか」
君の名前。
俺は、呼んだ。
「アズミ、ちゃん」
アズミちゃんの瞳がぽっかりと開いた。
黒い宝石のようなその瞳に、俺の姿が宿る。
「やっと」
アズミちゃんが微笑んだ。
「僕を呼んでくれた」
俺たちは、互いに手を伸ばした。
触れ合い、そして、お互いを引き寄せる。
俺たちは、抱き締めあった。
暖かい。
アズミちゃんの温もりが俺の魂を包み込んでいく。
俺は、にっこりと微笑みを浮かべていた。
これが。
正しい。
これが、正解、だ。
間違いない。
ここが、俺の求めていたもの。
欲しかった世界、だ。
ここが。
俺は、目を閉じた。
拡がっていく。
優しい、緑と青の世界が。
ぐるん、とそれは、球状に俺たちを包み込んでいく。
俺たちは、大地の核となり、命の火を灯す。
世界は、ざわざわとざわめき出す。
風が吹き、鳥たちがさざめく。
妖精たちが唄い、竜が空を飛び交う。
ここが、俺の世界。
俺たちの世界。
俺とアズミちゃんの世界。
世界は、拡がっていく。
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