妹の身代りに生け贄にされたんだけどガチでマジ恋しちゃいました~世界にただ1人の男Ωは、邪神の激愛に絆される~

トモモト ヨシユキ

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5 辺境スローライフ(陰謀編)

5ー3 伝承

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 5ー3 伝承

 僕は、ヴェルデの言葉を思い出してルーデニア兄上の顔をまともに見ることができなかった。
 僕は。
 ヴェルデがいうようにルーデニア兄上のこと、そういう意味で好きだったのかな?
 「どうしたんだ?マクシア」
 うつ向いている僕にルーデニア兄上が心配して声をかけてくれる。
 僕は、顔を上げるとルーデニア兄上のことを見つめた。
 神々しい金色の髪を後ろに流している兄上は、まさに未来の王の器といえた。
 ルーデニア兄上の青い瞳が僕をうつしている。
 それだけで僕の胸は高鳴る。
 「なんでもありません」
 僕は、頬が熱くなるのを隠せなかった。
 「その獣は、なんでもないことはないようだがな」
 ルーデニア兄上とヴェルデがばちばちと睨みあう。
 僕は、ヴェルデが余計なことを言い出さないかと思って気が気じゃない。
 「お前は、なぜ、マクシアを選んだ?」
 ルーデニア兄上がヴェルデに問いかける。
 「オメガなら今までに何人も送り込まれただろう。なぜ、今までの誰かではなくマクシアを・・私の弟を選んだ?」
 「マクシア・・俺の運命だから」
 隣に腰かけているヴェルデが僕をぎゅっと抱き締める。
 「運命、マクシアだけ」
 「ふん」
 ルーデニア兄上が不服そうに眉をひそめる。
 「どうだかな。私の姿をしていたり、怪しいものだ。ところでマクシア。手紙でお前が言ってたことなんだが」
 「はい」
 僕は、顔を上げて頷く。
 「クーリアスは、確かに僕を王妃にすると言っていました」
 「クーリアスの派閥が最近騒がしいことはわかっていたが、まさか、お前を狙っているとは思いもしなかった」
 ルーデニア兄上が顎に手をあてて考え込んだ。
 「このところ『古き魔女』たちと親しくしていたようだったが何か吹き込まれているのかもしれないな」
 僕は、びくり、と体を震わせる。
 『古き魔女』
 あの老婆が何を考えているのかは、僕にはわからない。
 なんでも前国王との間に子を成すまでは絶世の美女だったらしいが子を成したとたんに年老いていったのだとか。
 僕は、クーリアスが僕に使おうとした丸薬のことをルーデニア兄上に話した。
 「番持ちのオメガは、番との間にしか子は成せない」
 ルーデニア兄上が僕とヴェルデを見つめて告げた。
 「だが。『古き魔女』の力を持ってすればその理も覆せるということか。我が王家には伝承がある。もし男オメガが生まれたらそのオメガの子は世界を手に入れるであろう、というものだ。おそらくクーリアスは、マクシアとの間に子を成し、なしくずしにお前を妃にするつもりだったのだろう」
 ルーデニア兄上は、しばらくこのフェイルの村に滞在することになった。
 それは、あくまでも僕は、ルーデニア兄上の庇護下にあるということを示すため、そして、ルーデニア兄上のもとにヴェルデがあることを国の内外に知らしめるためでもあった。
 
 
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