妹の身代りに生け贄にされたんだけどガチでマジ恋しちゃいました~世界にただ1人の男Ωは、邪神の激愛に絆される~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
65 / 86
7 崩壊する世界

7ー5 婚約

しおりを挟む
 7ー5 婚約

 「よく王都に戻ってくれたな、マクシア」
 ルーデニア兄上に改まった様子で言われて僕は、少し戸惑ってしまう。
 「こちらこそ王位継承式にお招きいただきありがとうございます、ルーデニア兄上」
 「いや」
 ルーデニア兄上が珍しく困ったような表情を見せる。
 「手紙では、あんな脅すようなことを書いてすまなかった」
 それは、僕も気になっていた。
 僕が王都に来なければ村を攻撃するとか、人格者であるルーデニア兄上らしからぬことだった。
 「何かご事情があったのでしょうから。気にしてはおりませんが」
 僕は、ルーデニア兄上をうかがう。
 「いったいどのような事情があったのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
 「ああ・・」
 ルーデニア兄上が一瞬言い淀んだのに僕は、気付いた。
 「兄上?」
 「なんでもない。案じるな、マクシア」
 ルーデニア兄上がふっと僕から視線をそらせる。
 これは。
 絶対に何かある!
 「ルーデニア兄上、僕ではお力になれないのでしょうか?」
 僕は、ルーデニア兄上をじっと見つめる。
 「今まで僕が生きてこれたのは、ルーデニア兄上のおかげです。僕ができることがあればなんでも命じてくださいませ!」
 「マクシア」
 ルーデニア兄上がしばし黙考してから口を開いた。
 「実は、神殿が私の王位即位に口を挟んでいるのだ」
 ルーデニア兄上が僕に話してくれたことによると、男オメガが生まれてきた以上、王となる者は、男オメガを娶らなくてはならない、と主張する者がいるとか。
 「しかし、お前には番であるその獣がいる。そう言って拒否したのだがどうしても納得してくれなくてな」
 ルーデニア兄上の横顔に疲労感が漂う。
 「僕が神殿を説得します!」
 僕は、兄上に告げた。
 ヴェルデの番である僕がお願いすれば神殿も譲歩してくれるかもしれないし!
 だけど、ルーデニア兄上が頭を振った。
 「神殿は、私の力量を危ぶんでいるのだろう。それ故にお前を妃にと主張しているのだ」
 「しかし・・」
 僕は、言葉に詰まってしまった。
 どうにかできないか?
 ルーデニア兄上をおいて次代の王はいないのに!
 どうしたものか。
 僕が考え込んでいるとルーデニア兄上が突然、僕の手をとり頭を下げた。
 「どうか、しばらくの間だけ私の婚約者となってはもらえないだろうか、マクシア」
 はいっ?
 僕がルーデニア兄上の婚約者?
 僕が驚いて絶句していると横からヴェルデが僕を抱き寄せて兄上から引き離す。
 「ダメだ!これは、俺のもの、だ!」
 「獣、か・・」
 ルーデニア兄上の表情が豹変した。
 その青い瞳が凍えるように冷たく輝く。
 「いつも、お前は、私のものを奪う。だが」
 ルーデニア兄上が冷え冷えとした声を発した。
 「マクシアを渡す気はない」
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

処理中です...