妹の身代りに生け贄にされたんだけどガチでマジ恋しちゃいました~世界にただ1人の男Ωは、邪神の激愛に絆される~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
70 / 86
7 崩壊する世界

7ー10 眠り

しおりを挟む
 7ー10 眠り

 「少し・・考えさせてください」
 僕が答えるとルーデニア兄上が頷いた。
 「いいだろう。だが、あまり長くは待てない」
 ルーデニア兄上が僕の頬に手を伸ばし軽く触れる。
 そっと僕の唇に長い白い指を伸ばす。
 「私が王座につくまでには返事をもらいたい」
 ルーデニア兄上の王位継承式は、確か1週間後。
 僕が返事をできずにいるのを見てルーデニア兄上がふっと笑みを浮かべた。
 「私は、あまりにも長くお前を手に入れるのに待ち続けたのだ。これ以上はもう待てない」
 部屋を去っていくルーデニア兄上に僕は、追いすがった。
 「お待ちください、兄上!」
 僕は、ルーデニア兄上の足元へ跪いた。
 「どうか、僕をヴェルデに会わせてください!ここから出てヴェルデに会いに行くことをどうか、お許しください!」
 「それは、ならん」
 ルーデニア兄上が冷え冷えとした声を発した。
 「なぜです?」
 見上げる僕のことを覗き込んでルーデニア兄上が困ったように眉を下げる。
 「私は、お前を守りたいのだよ、マクシア。この世界の全てから美しいお前を守りたい。もちろん、あの獣からも」
 「兄上!」
 じっと見つめている僕にルーデニア兄上がため息をつく。
 「仕方ないな。では、こうしよう」
 兄上がそっと僕の頭を撫でる。
 「お前が神殿の治癒師の治療を受けるというならあの獣を封じる前に1度だけ会うことを許そう」
 「神殿の治癒師?」
 僕は、首を傾げる。
 僕の体にはなんの不調もない。
 なのに治癒師?
 納得のいかない僕にルーデニア兄上の言葉が降り注いだ。
 「案じるな、マクシア。ただ、お前が妃としてのつとめを果たせることを確認するだけだ」
 ルーデニア兄上の声が僕の耳から全身に染み込んでいくのがわかった。
 ざわざわと騒ぐ心がすぅっと静まっていくのがわかる。
 それは、おかしな感覚だった。
 なのに僕は、少しも変に思うことがなくて。
 ただ。
 目蓋が重い。
 その場に崩折れそうになる僕をそっとルーデニア兄上が抱き止める。
 「眠いのか?マクシア」
 兄上の低い笑い声に僕は、小さく呻く。
 なぜ?
 意識が薄らいで。
 もう、起きていられない。
 僕は、目を閉じてルーデニア兄上に身を任せた。
 「仕方がない奴だな」
 眠りに落ちていく僕に向かってルーデニア兄上が囁く。
 「眠れ、マクシア。全てを忘れて安らかに眠るがいい」
 「・・あ、に、うえ・・」
 僕は、ルーデニア兄上に抱き締められてその胸元を掴んだ。
 ヴェルデ
 僕は、眠気に抗おうとした。
 でも。
 僕の意識は、眠りの中へと飲み込まれていった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

処理中です...