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第十一章
『作戦は第二段階へ』
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援軍協定がようやく決まり、遠征軍が動き出した事になっている。
流石にイル・カナンもそんなことは信じていないだろうが、それでも目の前に注目せざるを得ないだろう。すでに各地で行動は開始しており、順調であっても問題であっても、報告は必要である。
という訳であまり顔を合わせたくないが、学校を本部と称して占拠している連中との会合である。
「では現状を説明してもらおうではないか、ゴルビー伯爵?」
「現在。三方面でのいずれも、第一の目標到達に成功しました」
「「おお」」
今日の司会は取り巻き男爵君。嫌味気な声は相変わらずだ。
だが、彼が促す間は嫌味も同時に発することはできない。順調ですと言う訳ではなく、詳細やら事後のことを調整しているのは俺だからな。というかこいつは船に乗った以外は特に何もしてないし、それも大型の三胴船で少し回っただけなので本当に大したことはしていない。
それでもまあ船に乗ったことも無ければ海も見た事のないオロシャ貴族だ、黙って乗って居たなら良しとして置こうじゃないか。
「総司令官閣下の薫陶の賜物というやつだな。では詳細を教えてもらおう」
「東部軍に関しては囮として先行したので当然ですが、旧イラ・カナンと中央部の間に壁を設置。沿岸部まで三区画としてまずはその一つを掃除している所です。イル・カナン政府との妥協点として、分隊単位でまとまって動かない事や、イル・カナン方面には冒険者を紹介することで決着がつきました。いずれ掃討作戦を終えれば、帰還して『事態の発覚』に備える予定です」
イル・カナンとはオロシャへ影響がある範囲だけ片付けることで決まった。
北部域だけ全力で片付けて出て行くから後は知らん。イル・カナン向けには冒険者という組織を紹介だけするけど、自分らで拒否したんだから自分の面倒は自分で見ろよというやつである。もちろん北部域からこちらが撤兵するまで監視は付いているし、そもそも軍隊なのに集団行動を許されないのはどうよと思わなくもない。まあゴーレムを盾にするから、藪を突いて戦死する事ないから良いけどな。
ちなみに全部終わったら東部軍はイル・カナン軍の侵攻に備える。
こういうと何だが彼らが全く気が付かない筈はないので、こっそり南部域を抑えたことに怒りを覚えて侵攻して来る可能性はあったからだ。
「南部軍に関してはようやく山の開削にこぎつけました」
「こちらはポーセス方面にも壁を設置し、同じように三段階に分けます」
「沿岸部へ突入する最終段階までに、他から余剰戦力を回す予定です」
「まずは道中を開拓して大規模集団農業を行うための準備を開始。旧イラ・カナン出身者で親オロシャ派と思えそうな者には順次声を掛けて居ますが、彼らが南部こそ本命と知るのはもっと後の事になります。ひとまず難民を送り込み、共和国の指導者選挙は後でゆっくり行う事になるでしょうね」
この場に東部軍も南部軍も揃ってはいない。
彼らは現地でやる事があるし、今の所は順調だからこそこちらに戻ってきたりはしない。もし戻って来る余裕があっても故郷で休息している時だろうし、本部に来るのはアンドリオ副団長のように問題を伝えに来る時くらいなものだ。ひとまずで送り込む難民たちはオロシャ国内で働いているが、故郷で農業が出来るならばそっちの方が良いと判断した者たちになる。
こちらは後追いで掃討作戦を始める能登、イル・カナン政府が動いても警戒する必要があるので当面は戻れまい。
「うーむ。やはりイル・カナンと交渉した以上は我が国の領土に出来ぬのか。ちと割り切りが良過ぎぬか? 我らは善人で在りたいとは思うが、そうではないのだぞ」
「その辺りは向こうの港の一つを99年に渡って咀嚼する事にしました」
ここでサクラを用意してマッチポンプをしておくことにした。
コンスタン・ティン伯にお願いして、突っ込みを受けそうなことへ先に説明を入れておく。ヨセフ側からの突っ込みは面倒だし、司会である取り巻き男爵君がネチネチとやり始めたら面倒だからだ。彼にその権限はないとはいえ、勝手に功績と罪を鳴らしてあれこれ言われたら面倒なことになるしな。彼に権限はなくともヨセフ伯が追認してしまえば、彼の派閥は賛同するだろう。
ここで発想の転換として、領地は切り取らずに借りることにした。
「租借だと? だが借り物とはいえ港町か、悪くは無いな。どうせ塩田も作るのであろうが……だが、そこまでやってイル・カナンが認めぬと攻め落されたらいかがする?」
「正統性はポーセス他の小国群に話を付けました。特にイラ・カナン側で滅びたカザックとスルターンなどの諸都市はまとめてカザフ=スタン共和国とし、共和国連合としてイラ・カナンの新政府と共同させます。もちろんこちらにも港を租借し、塩田の他に船を建造することも検討しています」
適宜に疑問の余地を残しつつ一つず解決していく。
イラ・カナンの南部州だけでは北部を吸収したイル・カナンには叶わないので、ポーセスとの間にある諸都市をくっつけたのだ。ポーセスとは同じ民族の都市はあちらに吸収させ、歴史やら文化で違う場所はカザフ=スタン共和国としてまとめさせた。いずれラファエロ・ゴメスなりその仲間が社会主義連邦共和国として頑張ってくれるだろう。もしかしたらプロシャの圧力に困ったポーセスも連合を組むかもしれない。
これであの辺りの問題は片付く筈だった。
ただし机上の空論でしかないので、後はイル・カナンが気が付いて実行に移すまでのスピード勝負である。困ったことにラファエロ・ゴメスが相談したり協力を持ち掛ける旧イラ・カナン貴族次第では、筒抜けになっている可能性もあるから、そこは急がないといけない(行動に移してしまえば、他の国も巻き込んでるので裏切られても困らない)。
「待て、他にも……」
「もう良い。肝心の諸島部制圧に関して説明せよ」
「承知しました。現在、キエール家に任せた海洋船が大回りで現地の確認に成功。かなり遠いですが、魔族の島も見えたそうです。これで第一段階を始められます」
ここで取り巻き男爵君も疑問を口にしようとしたがヨセフ伯が止める。
かなり苛立っているようで、自分が関係する話を早く聞きたいようだ。こちらとしても異存はないのでささと頷いてから説明に入った。そして改めて羊皮紙の地図を用意し、『閲覧オンリー、持ち帰り不可』であることを示すために一枚だけ紙で回覧させる。
その絵を見た時に西部と北部諸侯は息を吞み、ヨセフ伯は獰猛な笑みを浮かべる。
「た、辿り着いただけであろう、危険ではないのか?」
「虎の子である水中型ゴーレムを回しました。作業用のゴーレムならば問題なく曳航できます。歩かせるか浮きに吊り下げる形ならば、戦闘用のゴーレムも運べるでしょう。要するに水深が判らずに船が座礁したり、一番危険な上陸で皆様が死ぬことはありません」
ヨセフ伯の様子を伺いながらも取り巻き男爵が尋ねて来る。
それに対して水棲種族用に要したゴーレムであり、『浮き』を説明するために、海の方を指さした。この学校は海に面しており、その雄大さを理解できるからな。『浮き』は水中をバタ足で進む簡易的な舟で、水棲種族が掴まって移動したりするものだが、基本的に木製なので重石を用意しないと水面に浮かび、ゴーレムの様な重い物を吊り下げるとかなりゆっくり目で移動する物である。もちろん戦闘力なんかない。
ともあれ、これで諸島部へ何時でも攻められるという事に成ったわけだ。
「作戦の第一段階はあちらへ戦力を移しつつ、みなさまにも移動してもらいます。まずはアゼル国やバイザス国に表敬訪問していただき、徐々にオロシャ海軍の姿を見せつけます」
「先ほどの東部軍と同じ囮役だな? 実際には既に攻略を始めると」
「その通りです、閣下」
船が二隻以上あるので一か所で留める必要は無い。
海洋船と今までの三胴船二隻を用いて徐々にイラ・カナン南部へと戦力を輸送し、もし南部軍が手早く動けるならば百足列車も使って構わないであろう。ともあれ大型船の三胴船であるオロシア級はアゼル国やバイザス国で見せつけ、イル・カナン海軍にこちらの進出を警戒させる流れだ。その上で尋ねられたら、『魔族の島を直接攻める予定だ』と元からの予定を伝えるだけである。
これに対してイル・カナンは特に反対できる余地がない。何しろイル・カナンの領海に侵入する訳でもないからな。
「十分な戦力が揃った段階で諸島部に上陸作戦を敢行します。仮に南部進出にイル・カナンが先に気が付いた場合は、水棲種族に代価を払って援軍を頼んで一気に攻め落とす予定です。報酬は莫大な物になるでしょうが、これに関しては間に合わないではすいっませんから。この時点で『南部にはイラ・カナン系の別勢力が存在した』し、交流を求めて来たので『独立国であることを認めた』のだと認知する予定です」
「それで良い。イル・カナン如きに遠慮する必要は無いわ」
「その通りだ! 土台が弱腰過ぎなのだ!!」
これまでの採算と確実性を重視する作戦以外にも保険は用意した。
イル・カナン政府の方が外交的手腕は上なのだ。内通者というか反発を持った者が情報をくれたから気が付けただけで、気が付かなければ今でも転がされていただろう。そんな相手を見くびる筈が出来る訳もない。油断せずに進めて置き、やるべき時は果断に推し進めるべきだからだ。
とはいえ元からそうすべきだと思って居る者はそうは思わないのだろう。
「解せんな。どうして今になって強行を良しとする?」
「あちらの地形と水路が分かったからです。水深もゴーレムで判るとあっては、水棲種族もぼったくろうとはしません。彼らにとってはヨチヨチ歩きの子供が勇敢にも冒険をするならば、護衛を兼ねた水先案内料を取っているだけの事。我々が独自に可能であり、その保険を求めて居るだけならば、彼らの得意分野を買っているだけですからね。金額が変ります」
当たり前だが水棲種族は全体で物を見ている。
高額設定なのも、水に関しての素人が『何もかもお願い』して来るから合わせて要求しているだけの事である。だから向こうに辿り着いてしまえば、念の為の戦力としては高額であっても、今まで見たいな頭の悪い金額には成らない。おそらくだがかつてのイラ・カナン政府と、ラファエロ・ゴメスの家系では金額設定も違ったはずである。
いずれにせよこれで計画の段階が進んだことになる。
援軍協定がようやく決まり、遠征軍が動き出した事になっている。
流石にイル・カナンもそんなことは信じていないだろうが、それでも目の前に注目せざるを得ないだろう。すでに各地で行動は開始しており、順調であっても問題であっても、報告は必要である。
という訳であまり顔を合わせたくないが、学校を本部と称して占拠している連中との会合である。
「では現状を説明してもらおうではないか、ゴルビー伯爵?」
「現在。三方面でのいずれも、第一の目標到達に成功しました」
「「おお」」
今日の司会は取り巻き男爵君。嫌味気な声は相変わらずだ。
だが、彼が促す間は嫌味も同時に発することはできない。順調ですと言う訳ではなく、詳細やら事後のことを調整しているのは俺だからな。というかこいつは船に乗った以外は特に何もしてないし、それも大型の三胴船で少し回っただけなので本当に大したことはしていない。
それでもまあ船に乗ったことも無ければ海も見た事のないオロシャ貴族だ、黙って乗って居たなら良しとして置こうじゃないか。
「総司令官閣下の薫陶の賜物というやつだな。では詳細を教えてもらおう」
「東部軍に関しては囮として先行したので当然ですが、旧イラ・カナンと中央部の間に壁を設置。沿岸部まで三区画としてまずはその一つを掃除している所です。イル・カナン政府との妥協点として、分隊単位でまとまって動かない事や、イル・カナン方面には冒険者を紹介することで決着がつきました。いずれ掃討作戦を終えれば、帰還して『事態の発覚』に備える予定です」
イル・カナンとはオロシャへ影響がある範囲だけ片付けることで決まった。
北部域だけ全力で片付けて出て行くから後は知らん。イル・カナン向けには冒険者という組織を紹介だけするけど、自分らで拒否したんだから自分の面倒は自分で見ろよというやつである。もちろん北部域からこちらが撤兵するまで監視は付いているし、そもそも軍隊なのに集団行動を許されないのはどうよと思わなくもない。まあゴーレムを盾にするから、藪を突いて戦死する事ないから良いけどな。
ちなみに全部終わったら東部軍はイル・カナン軍の侵攻に備える。
こういうと何だが彼らが全く気が付かない筈はないので、こっそり南部域を抑えたことに怒りを覚えて侵攻して来る可能性はあったからだ。
「南部軍に関してはようやく山の開削にこぎつけました」
「こちらはポーセス方面にも壁を設置し、同じように三段階に分けます」
「沿岸部へ突入する最終段階までに、他から余剰戦力を回す予定です」
「まずは道中を開拓して大規模集団農業を行うための準備を開始。旧イラ・カナン出身者で親オロシャ派と思えそうな者には順次声を掛けて居ますが、彼らが南部こそ本命と知るのはもっと後の事になります。ひとまず難民を送り込み、共和国の指導者選挙は後でゆっくり行う事になるでしょうね」
この場に東部軍も南部軍も揃ってはいない。
彼らは現地でやる事があるし、今の所は順調だからこそこちらに戻ってきたりはしない。もし戻って来る余裕があっても故郷で休息している時だろうし、本部に来るのはアンドリオ副団長のように問題を伝えに来る時くらいなものだ。ひとまずで送り込む難民たちはオロシャ国内で働いているが、故郷で農業が出来るならばそっちの方が良いと判断した者たちになる。
こちらは後追いで掃討作戦を始める能登、イル・カナン政府が動いても警戒する必要があるので当面は戻れまい。
「うーむ。やはりイル・カナンと交渉した以上は我が国の領土に出来ぬのか。ちと割り切りが良過ぎぬか? 我らは善人で在りたいとは思うが、そうではないのだぞ」
「その辺りは向こうの港の一つを99年に渡って咀嚼する事にしました」
ここでサクラを用意してマッチポンプをしておくことにした。
コンスタン・ティン伯にお願いして、突っ込みを受けそうなことへ先に説明を入れておく。ヨセフ側からの突っ込みは面倒だし、司会である取り巻き男爵君がネチネチとやり始めたら面倒だからだ。彼にその権限はないとはいえ、勝手に功績と罪を鳴らしてあれこれ言われたら面倒なことになるしな。彼に権限はなくともヨセフ伯が追認してしまえば、彼の派閥は賛同するだろう。
ここで発想の転換として、領地は切り取らずに借りることにした。
「租借だと? だが借り物とはいえ港町か、悪くは無いな。どうせ塩田も作るのであろうが……だが、そこまでやってイル・カナンが認めぬと攻め落されたらいかがする?」
「正統性はポーセス他の小国群に話を付けました。特にイラ・カナン側で滅びたカザックとスルターンなどの諸都市はまとめてカザフ=スタン共和国とし、共和国連合としてイラ・カナンの新政府と共同させます。もちろんこちらにも港を租借し、塩田の他に船を建造することも検討しています」
適宜に疑問の余地を残しつつ一つず解決していく。
イラ・カナンの南部州だけでは北部を吸収したイル・カナンには叶わないので、ポーセスとの間にある諸都市をくっつけたのだ。ポーセスとは同じ民族の都市はあちらに吸収させ、歴史やら文化で違う場所はカザフ=スタン共和国としてまとめさせた。いずれラファエロ・ゴメスなりその仲間が社会主義連邦共和国として頑張ってくれるだろう。もしかしたらプロシャの圧力に困ったポーセスも連合を組むかもしれない。
これであの辺りの問題は片付く筈だった。
ただし机上の空論でしかないので、後はイル・カナンが気が付いて実行に移すまでのスピード勝負である。困ったことにラファエロ・ゴメスが相談したり協力を持ち掛ける旧イラ・カナン貴族次第では、筒抜けになっている可能性もあるから、そこは急がないといけない(行動に移してしまえば、他の国も巻き込んでるので裏切られても困らない)。
「待て、他にも……」
「もう良い。肝心の諸島部制圧に関して説明せよ」
「承知しました。現在、キエール家に任せた海洋船が大回りで現地の確認に成功。かなり遠いですが、魔族の島も見えたそうです。これで第一段階を始められます」
ここで取り巻き男爵君も疑問を口にしようとしたがヨセフ伯が止める。
かなり苛立っているようで、自分が関係する話を早く聞きたいようだ。こちらとしても異存はないのでささと頷いてから説明に入った。そして改めて羊皮紙の地図を用意し、『閲覧オンリー、持ち帰り不可』であることを示すために一枚だけ紙で回覧させる。
その絵を見た時に西部と北部諸侯は息を吞み、ヨセフ伯は獰猛な笑みを浮かべる。
「た、辿り着いただけであろう、危険ではないのか?」
「虎の子である水中型ゴーレムを回しました。作業用のゴーレムならば問題なく曳航できます。歩かせるか浮きに吊り下げる形ならば、戦闘用のゴーレムも運べるでしょう。要するに水深が判らずに船が座礁したり、一番危険な上陸で皆様が死ぬことはありません」
ヨセフ伯の様子を伺いながらも取り巻き男爵が尋ねて来る。
それに対して水棲種族用に要したゴーレムであり、『浮き』を説明するために、海の方を指さした。この学校は海に面しており、その雄大さを理解できるからな。『浮き』は水中をバタ足で進む簡易的な舟で、水棲種族が掴まって移動したりするものだが、基本的に木製なので重石を用意しないと水面に浮かび、ゴーレムの様な重い物を吊り下げるとかなりゆっくり目で移動する物である。もちろん戦闘力なんかない。
ともあれ、これで諸島部へ何時でも攻められるという事に成ったわけだ。
「作戦の第一段階はあちらへ戦力を移しつつ、みなさまにも移動してもらいます。まずはアゼル国やバイザス国に表敬訪問していただき、徐々にオロシャ海軍の姿を見せつけます」
「先ほどの東部軍と同じ囮役だな? 実際には既に攻略を始めると」
「その通りです、閣下」
船が二隻以上あるので一か所で留める必要は無い。
海洋船と今までの三胴船二隻を用いて徐々にイラ・カナン南部へと戦力を輸送し、もし南部軍が手早く動けるならば百足列車も使って構わないであろう。ともあれ大型船の三胴船であるオロシア級はアゼル国やバイザス国で見せつけ、イル・カナン海軍にこちらの進出を警戒させる流れだ。その上で尋ねられたら、『魔族の島を直接攻める予定だ』と元からの予定を伝えるだけである。
これに対してイル・カナンは特に反対できる余地がない。何しろイル・カナンの領海に侵入する訳でもないからな。
「十分な戦力が揃った段階で諸島部に上陸作戦を敢行します。仮に南部進出にイル・カナンが先に気が付いた場合は、水棲種族に代価を払って援軍を頼んで一気に攻め落とす予定です。報酬は莫大な物になるでしょうが、これに関しては間に合わないではすいっませんから。この時点で『南部にはイラ・カナン系の別勢力が存在した』し、交流を求めて来たので『独立国であることを認めた』のだと認知する予定です」
「それで良い。イル・カナン如きに遠慮する必要は無いわ」
「その通りだ! 土台が弱腰過ぎなのだ!!」
これまでの採算と確実性を重視する作戦以外にも保険は用意した。
イル・カナン政府の方が外交的手腕は上なのだ。内通者というか反発を持った者が情報をくれたから気が付けただけで、気が付かなければ今でも転がされていただろう。そんな相手を見くびる筈が出来る訳もない。油断せずに進めて置き、やるべき時は果断に推し進めるべきだからだ。
とはいえ元からそうすべきだと思って居る者はそうは思わないのだろう。
「解せんな。どうして今になって強行を良しとする?」
「あちらの地形と水路が分かったからです。水深もゴーレムで判るとあっては、水棲種族もぼったくろうとはしません。彼らにとってはヨチヨチ歩きの子供が勇敢にも冒険をするならば、護衛を兼ねた水先案内料を取っているだけの事。我々が独自に可能であり、その保険を求めて居るだけならば、彼らの得意分野を買っているだけですからね。金額が変ります」
当たり前だが水棲種族は全体で物を見ている。
高額設定なのも、水に関しての素人が『何もかもお願い』して来るから合わせて要求しているだけの事である。だから向こうに辿り着いてしまえば、念の為の戦力としては高額であっても、今まで見たいな頭の悪い金額には成らない。おそらくだがかつてのイラ・カナン政府と、ラファエロ・ゴメスの家系では金額設定も違ったはずである。
いずれにせよこれで計画の段階が進んだことになる。
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