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誰からも愛されなかった少女
流木を拾う
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その少年は羽香奈が気付くよりずっと前から彼女に気付いていて、電車から降りた時点から彼女を無遠慮に見つめ続けていた。
別に不快に思うわけでもないけれど、もっと早く声をかけてくれてもいいのにね。
そんな風に思いながら無意識に肩を竦めてから、彼に歩み寄る。
近づいたことで、羽香奈は彼……
葉織の表情がよく見えて、懐疑を抱かずにはいられなかった。
彼が羽香奈を見る目はあまりに同情的というか、まるで痛ましいものをみるようで、直視するのが憚られるとでも言いたげで……。
きっと彼は、わたしがこれまでどんな扱いを受けてきたか知っているのだろう。
だからこそそんな顔をするのだろう。
そう羽香奈は思ったから、相手にばれないよう十分に配慮しながらも、ひっそりと口を尖らせた。
「あなたが潮崎葉織くん?」
「え? あ、ああ。
そうだよ。君が羽香奈?」
「そう。これからお世話になります。
よろしくね」
彼に対する第一印象は良くなかったけれど、表面を取り繕うのは得意だから、羽香奈はばっちり作り笑いで応えることが出来た。
葉織から向けられる同情の目はいっこうにおさまるところを知らない。
それを見ない振り気付かない振りを貫きつつ、彼の脇を抜けて、使用済み乗車券入れに持っていた切符を放り入れた。
駅を出て道なりに歩き、線路沿いにある歩道を歩いて江ノ島を目指す。
のかと、思っていたけれど。
踏切を抜けるとすぐそばに横断歩道があり、たまたま青信号だったのもあって葉織は急ぎ足でそこを渡る。
特に合図もなかったが羽香奈もそれを追いかける。
そのまま目の前の階段を下りて、葉織は砂浜の上に立つ。
まだ上にいる羽香奈をそこから言葉もなく見上げてくるので、羽香奈も黙って後に続き、砂浜の上で彼の隣に立つ。
「ここで流木を拾い集めながら海岸沿いに歩いていって、江ノ島を目指す。
完全にオレの用事でこの駅で降りてもらったから悪いんだけど。
付き合ってくれる?」
「流木って、どんなものを拾えばいいの?」
「オレが自分でやるから、羽香奈はついてきてくれればそれでいいよ」
「ふぅん……」
嫌がらせとかじゃなく、葉織くん自身の用事だったのね。
疑って悪いことしたなぁと思いながらも、羽香奈は内心ほっとしていた。
別に不快に思うわけでもないけれど、もっと早く声をかけてくれてもいいのにね。
そんな風に思いながら無意識に肩を竦めてから、彼に歩み寄る。
近づいたことで、羽香奈は彼……
葉織の表情がよく見えて、懐疑を抱かずにはいられなかった。
彼が羽香奈を見る目はあまりに同情的というか、まるで痛ましいものをみるようで、直視するのが憚られるとでも言いたげで……。
きっと彼は、わたしがこれまでどんな扱いを受けてきたか知っているのだろう。
だからこそそんな顔をするのだろう。
そう羽香奈は思ったから、相手にばれないよう十分に配慮しながらも、ひっそりと口を尖らせた。
「あなたが潮崎葉織くん?」
「え? あ、ああ。
そうだよ。君が羽香奈?」
「そう。これからお世話になります。
よろしくね」
彼に対する第一印象は良くなかったけれど、表面を取り繕うのは得意だから、羽香奈はばっちり作り笑いで応えることが出来た。
葉織から向けられる同情の目はいっこうにおさまるところを知らない。
それを見ない振り気付かない振りを貫きつつ、彼の脇を抜けて、使用済み乗車券入れに持っていた切符を放り入れた。
駅を出て道なりに歩き、線路沿いにある歩道を歩いて江ノ島を目指す。
のかと、思っていたけれど。
踏切を抜けるとすぐそばに横断歩道があり、たまたま青信号だったのもあって葉織は急ぎ足でそこを渡る。
特に合図もなかったが羽香奈もそれを追いかける。
そのまま目の前の階段を下りて、葉織は砂浜の上に立つ。
まだ上にいる羽香奈をそこから言葉もなく見上げてくるので、羽香奈も黙って後に続き、砂浜の上で彼の隣に立つ。
「ここで流木を拾い集めながら海岸沿いに歩いていって、江ノ島を目指す。
完全にオレの用事でこの駅で降りてもらったから悪いんだけど。
付き合ってくれる?」
「流木って、どんなものを拾えばいいの?」
「オレが自分でやるから、羽香奈はついてきてくれればそれでいいよ」
「ふぅん……」
嫌がらせとかじゃなく、葉織くん自身の用事だったのね。
疑って悪いことしたなぁと思いながらも、羽香奈は内心ほっとしていた。
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