江ノ島の小さな人形師

sohko3

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いつか静寂だった島

ふたりだけになった

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 二十四歳になったふたりは、自宅のかつて土産物店だったスペースを使ってまた店を開くことにした。

 半分は葉織の人形屋、もう半分は羽香奈の手相占いの店。

 ちょっとでも店らしく体裁を整えるため、葉織は龍や仏像や猫などの、江ノ島の土産店に置いてありそうな木像を隙間時間に彫って作り溜めておいた。

 全面がガラスのショーケースも買って、壁に沿って配置し、中に木像を飾っている。

 手相占いに興味があるような客層、主に女性が好みそうな鉱石、いわゆるパワーストーンの有名どころも少し仕入れて並べている。

 占い関係の書物も。

 ショーケースの中のラインナップはこんなところだが、別にこれらが売れて欲しいと思っているわけでもない。

 雑貨類を置くことで、冷やかしでも、少しでも入りやすい店の雰囲気に出来ればそれでいい。

「やっぱりこれは葉織くん自身の見てる世界の絵なんだから、葉織くんのスペースに飾りたいな。
いいかなぁ」

「いいよ。
ちょうど、こっちの壁の方が向こうより寂しく見えるし」

「ありがと!」

 葉織は踏み台の上に立ち、壁のなるべく高い方に額縁を飾った。


 半蔵は店については一切口出し、手出しをせず、若いふたりの孫の自由にさせた。

 晩年も認知機能は衰えなかったが体を動かすのは億劫になっていたので静かに過ごし。

 店を開けた二年後、心不全で急死した。

 ふたりにとっても心の準備が追い付かない急な別れになってしまったが、就寝中に苦しまずに亡くなったことだけは幸いだったと思えた。

 遺影もついに三つになってしまって置く場所に難儀したが、ふたりで考えた末。

 店の入り口上の天井近くに三つ並べて飾ることにした。

 客の目には目立たないよう配慮した位置だ。

 半蔵だって先祖の写真を店に飾るのは珍しくないと言っていたし、ふたりが仲良く暮らしているところも見守ってもらいたいと思っていた。

 ハツと半蔵の木彫りの人形はすでに作ってあって、ふたりの部屋の学習机の上に飾っている。
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